辻・本郷の事業承継

事業承継コラム

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事業承継のタイミング

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(辻・本郷税理士法人 第9部門統括部長 青木 治雄 Aoki Haruo )

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 早速、新年1本目のブログをアップします。

事業承継を進めていく中で自社株を移すタイミングに頭を悩ませていらっしゃる社長様は多いのではないかと思います。
ご子息等の後継者が会社に入られて、経営者承継の準備を進めていらっしゃれば今がその時であったり、たまたま株価が安く算出されることがあればその時が機会となる場合もあると思います。
 しかし、いざ、株式を動かした後にまた元の状態に戻したり、別の考えが浮かんで違う方に再び株式を動かしたりしますと余分なコストや労力が生じます。
 株価がたまたま安いと思っていても、その後の上場株式の株価がもっと安くなることも考えられますし、納税猶予を選択したところ納税猶予の打ち切り事由に該当してしまうこともあるかもしれません。
 そんなことを考え始めますと、ますます決断が出来なくなります。
 株式の移動のコストは大きな金額になることが多いと思いますし、その金額を現実のものとして目の前にして考えますと必然的に慎重な判断にならざるを得ないと思います。
よく言われる『株式の底値買いをして、天井売り』が困難であるように、株価やコストの損得で自社株の移転の時期を決定するのは難しいことだと思いますし、そこにこだわると本当に大切なタイミングを逃がすことにもなりかねないと思います。
割り切りも難しいことと思いますガ、社長の座をお譲りしたいと思われたタイミングを大事にしていただき、将来のその日にターゲットを絞り込んで計画的に事業承継を進めるというのが王道であるように思います。
最終的にご判断いただくのは社長様がベストの決断を下すためにあらゆるリスクを洗い出し、それぞれのケースでどのようなメリットとデメリットがあるのかお示しし、個人情報や守秘義務に抵触しない範囲で過去の事例等をご紹介しながら、事業承継のご判断できるようにサポートさせていただきます。

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医療法人の事業承継

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(辻・本郷税理士法人 第17部門部長 二ノ宮伸幸 Ninomiya Nobuyuki)


医療法人につきましては平成19年に制度改正が行われ、出資持分のある医療法人については、当分の間、その形態は維持されますが、平成19年4月1日以降は出資持分ありの医療法人は設立できなくなりました。

よって、解散時の残余財産は国等へ帰属することになります。


今回の事業承継は、そんな医療法人の事業承継の話です。

弊社が携わったのは、奥様の相続がきっかけでした。3年前に理事でありまた医師でもあった奥様がお亡くなりになり、現在は夫である理事長が先頭に立って病院経営の舵取りをしています。後継者であるご子息もその病院で医者をしています。とても立派なご子息ですが、理事長からすると頼りがないのでしょう、「息子には今の病院を継がせるだけの能力がない」と常日頃からお話をされていました。

そしてある時、理事長が、
「うちの病院を出資持分のある医療法人から、持分のない医療法人に移行する。」
と言い出しました。

ということは、出資に対する財産権がなくなり、その分の純資産が国等へ帰属する、すなわち今まで蓄積した病院の財産を放棄するということです。


これにはとても驚きました。

その病院の純資産は約150億、それを放棄するわけです。また、そのご子息はとても優秀な方だったからなおさらです。理事長が思っているほど能力がないわけではないでしょうし、地位は人をつくるではありませんが、ご子息が理事長になって病院を経営したらそれなりの人物にもなると思えるからでした。


ただし、移行せざるをえない大きな問題が1つありました。それは、「相続税」の問題です。

奥様が亡くなったときの相続税、そして将来理事長が亡くなったときの相続税を考えますと、今後支払う数十億円といった納税ができるどうかは未知数と思われました。理事長は相続税についても十分に考えたのでしょう、苦渋の決断をした理事長には頭が下がる思いでいっぱいですが、相続税の負担が少なければ移行するといった考えをせずにすんだと思います。

やはり、早いうちから相続税の納税資金対策や財産評価引下げ対策はとても重要だと痛感させられた事例でした。


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相続時精算課税制度と納税猶予制度

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(辻・本郷税理士法人 第7部門課長 渡邊 一輝  Watanabe Kazuteru)


相続時精算課税制度は、2,500万円の贈与税の非課税枠があり、税率も20%と固定されているため、多額の財産を一度に贈与する場合に有効な制度といえます。

また、この制度は、贈与者に相続が発生した場合、生前にこの制度を使って贈与した財産を相続財産に合算することになるのですが、その合算する財産の価額は、贈与時の価額とされています。

そのため、非上場株式等を株価が従前よりも大幅に下がったタイミングで、この制度を使って贈与すれば、将来の相続財産を生前に圧縮することが可能となります。

ここで一点注意が必要です!!

お亡くなりになられた方が、相続時精算課税制度を使って贈与した財産以外に多額の相続財産を所有していた場合(例えば不動産を多数保有している等)、相続時精算課税制度を使って圧縮した財産についても、相続税の最高税率50%が適用され、以外に多額の相続税を納めることになってしまったということも想定されます。

税負担の面からいえば、このような場合には、煩雑な手続きを踏んででも、納税猶予制度を使ったほうが良いでしょう。


なお、納税猶予制度は、オーナーがお亡くなりになった後も税務署・経済産業省に報告する等の手続が必要となるため、生前に株式承継の問題から解放されたいというオーナーにとっては、多少の税負担を覚悟してでも、相続時精算課税制度を使ったほうが良いのかもしれません。

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事前準備が大切です!

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(辻・本郷税理士法人 第17部門部長 二ノ宮伸幸 Ninomiya Nobuyuki)


先日、ご相談があったお話です。

お客様から会社を清算したいということでお話がありました。

その理由は、
10数年前にご子息を後継者として事業承継を行ったのですが、突然そのご子息が会社をお辞めになり、家を出て行ってしまったそうです。
社長としましては、現在は歳も70を超え、後継者もいないのでそろそろ引退したいので会社を清算したいというお話でした。

また、ご子息が会社に入ったことで給料も大幅にさげ、事業の引継ぎをしていたのですが、ご子息にとっては入社して直ぐに社長業への対応に迫られたことや会社経営に対する責任感に耐えられなくなったようなのです。

最近は、現社長が会長になり、後継者(例えばご子息)が社長になることで、現社長が完全に現役を退く前に、後継者に社長業の教育をするというのは良くみられるようになりましたが、とても良いことだと思いますし、私もクライアントにはそのようにお勧めしています(私の場合は、会長でも代表権のある会長になってもらっています)。

急に社長業をやれと言われても、その心構えや経営・マネジメントに関する知識等がなければ社長業は務まらないと思います。何事もそうですが事前準備が大切というのは、事業承継に限ったことではありません。

急がずじっくりと人の承継を行っていくのも1つの方法だと思います。


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事業承継の税金

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(辻・本郷税理士法人 第9部門統括部長 青木 治雄 Aoki Haruo )


日本は何かにつけ税金がついてまわるという意味で、日本は税金天国とおっしゃる方がいらっしゃいます。 仕事柄、いろんな税金に出会い、驚いたり、感心したりします。
所得税、法人税のほか、物を買えば消費税もかかります。 お酒を飲む方は、無意識に酒税を納め、自動車を購入保有していても自動車に関係する税金を納税するなどいろんな形で税金を支払っております。 もちろん、事業承継の際にも税金がかかってくるケースが大半です。

どれくらい払うのかとイメージを持ってもらうために、簡単な例で試算してみたいと思います。
たとえば、会社が給与を支払う前で、かつ、税引前利益が100だったとします。 ここから給与を50支払うと利益は50になります。 法人税の実効税率が40%とすると50の利益に対する法人税は20(50×40%)です。 なお、給与に対しても税金はかかりますが、話しを簡単にするために無視します。 給与を支払った後の税引後の会社留保利益は30(100?50?20)です。
この業績が20年間続いたとすると、会社が20年間に獲得した税引前利益が1,000(50×20)で、20年分の法人税が400(20×20)、20年間の会社の留保利益は600(30×20)となります。
そして、この20年経過したタイミングで、内部留保600の会社の事業承継をする時が到来したとします。
この会社の評価を内部留保額と同額の600と仮定して、暦年贈与で一括贈与を実施した場合、贈与税が300(実効税率を50%と仮定)必要になります。
この300という数字は、税引前給与(50)の6年分の金額です。 すなわち、年収の6倍のコスト(税金)をかけて事業承継することになるのです。 10年で300をためようとするなら、税引前給与50から30を毎年貯金しないといけません。 仮に15年でためようとしても毎年20の貯金が必要です。 とても、現実的ではないというのが私の印象です。

この例に使用した数字に100,000ないし1,000,000を乗じて、もう一度ご覧なっていただくと、もっと具体的なイメージが持てるかと思います。

場合によっては、この例のように高いコストを承知の上で事業承継を進める必要があるケースもあると思います。
しかし、認められる工夫をしながら、計画的に事業承継を進めることにより、適正な納税を行って、このコストを下げていく努力も大切かと思います。


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株価が5倍以上に上がるなら・・・

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(辻・本郷税理士法人理事・第一部門統括部長 楮原達也 Kagohara Tatsuya)


今年度、自社株の次世代への円滑な承継を税制面から支えていこう、という趣旨のもと、「自社株についての相続税納税猶予制度」が設けられました。

これは、資本金や従業員数、保有資産状況など一定の要件を満たす非上場会社について、自社株承継にかかる相続税の80%を猶予しよう、というものです。

"相続税の80%について払わなくていい!"というと、非常に聞こえは良いのですが、国としては貴重な税収の80%について猶予、そして最終的には免除するものですから、この制度の適用を受けるための厳しい要件が、数多く設けられています。


その要件を一つ一つ見ていくと、「やはり我が社は、納税猶予を受けない方がいいかも知れないな・・・」とお考えになるオーナー様も多いようです。(定められた経営承継が行われないと、猶予された税額について、それまでの利息と一緒に払わなければなりません。)


一方で、「我が社は、納税猶予の要件にピッタリ当てはまる。是非、この制度の適用を受けて80%部分の納税をしないで済むようにしたい・・・」というオーナー様も、もちろんいらっしゃいます。

ただ、ここで一つ、確認していただきたいことがあります。
御社の株価は、現在、いくらになっていますか?
前年・前々年の株価と比べると、大幅に下がっていませんか?
御社の業績そのものにより株価が大きく変動することはもちろんですが、それ以外にも、世の中の株価市況により、御社の株価は大きく変動することになります。

仮に、将来の株価が、今の水準の5倍に上昇するのなら、納税猶予制度の適用を受けるより、今の時点で贈与や売買をしてしまった方が良い、といえます。

これはどういうことか?といいますと、納税猶予制度は、"自社株にかかる相続税の80%の納税を猶予する"、というものでしたね。

ということは、逆に、20%部分については通常の相続税がかかってしまう・・・20%というのは、言い換えれば1/5ですから、株価が5倍以上になるのなら、(細かい計算は別として)今の時点で贈与税などを支払って精算してしまった方が良い、という考え方です。


株価が5倍以上なんて、そこまでは上がらないだろう!?と思われるかも知れません。
しかし、昨年から今年にかけて、多くの会社において、株価が一気に1/5、1/7・・・の水準まで下落しています。
ということは、将来、また株価が現時点の5倍以上になることは、容易に想定されます。


将来的にも制約の多い納税猶予制度を使うより、目先で多少の税金を支払ってでも、株式を贈与するなどして株式承継を完了させてしまった方が良い、というケースもあるのです。


まずは、御社の今の株価を、すぐに計算してみましょう。
 株価が低い今年は、株式承継の絶好のチャンスです!

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黄金株の行方

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(辻・本郷税理士法人 第7部門課長 渡邊 一輝  Watanabe Kazuteru)


今回は、「拒否権付株式(いわゆる黄金株)」に関する事例についてご紹介させていただきます。

私の担当する会社のオーナーAは、議決権の大部分(90%)を所有していましたが、このままでは、自分に万一のことがあった場合、相続税の負担が高額になることから、株価が大幅に下がったタイミングでその大部分の株式を後継者Bに贈与しました。

株式の大部分を贈与したとはいえ、自分が目の黒いうちは、会社経営の実権を握りたいというオーナーAの意向もあって、株式の贈与と引き換えに、オーナーAの株式のうち1株を「拒否権付株式」に変更致しました。

その後、月日は流れ、オーナーAに相続が発生しました。
その際、後継者Bは、生前に多額の株式の贈与を受けていたため、遺留分の関係から、オーナーAの相続財産を一切相続しませんでした。
(「拒否権付株式」の存在をすっかり忘れていました。)

遺産分割が終わり、相続税の申告も終わった頃、後継者Bは、オーナーAの相続財産の中に「拒否権付株式」が含まれていることを思い出しました。
後継者Bは、急いで「拒否権付株式」を承継した相続人Cに、その株式を会社に売り渡すよう要求しました。
「拒否権付株式」を承継した相続人Cは、株式を手放すことにはすんなりと同意をしたのですが、その際の買取価額について、普通株式の評価額に相当のプレミアを付けた価額(普通株式の10倍の価額)でなければ譲渡はしないと主張してきました。

後継者Bは、この件について顧問の先生等に相談しましたが、今後の会社経営のことも考え、「拒否権付株式」を承継した相続人Cが主張する価額で渋々買い取ることとしました。
後継者Aのちょっとした不注意で、会社としては、多額のキャッシュアウトを余儀なくされました。

「拒否権付株式」とは、この株式を所有する者の承認がなければ、株主総会決議が成立しないという強大な力を持った株式です。
会社の経営に関与していない人間の手に渡ってしまった場合、経営陣はスムーズな会社経営を行うこができなくなってしまいます。
そのため、このような強大な力を持った株式を発行する、又は既存の株式をこの株式に変更する際には、必ず取得条項を付けておくことをお勧め致します。

以上

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会社を継ぐのは、男性だけとは限らない

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(辻・本郷税理士法人 第17部門部長 二ノ宮伸幸 Ninomiya Nobuyuki)


最近、後継者がいなくて会社を清算したいという問い合わせがきました。

その理由としましては、一度は長男が会社を継いだのですが、結局長男が挫折してしまい、一度引退した社長が再度経営に戻るのですが、後継者がみつからず、結局は会社を清算するというケースでした。

社長としては会社を清算することについて、従業員を解雇することが大変つらい決断だったと話しておりました。


会社は男が継ぐもの?という考え方は、最近では崩れてきています。

長男ではなく長女に継がせたいという社長や、実際に1人娘の長女に会社を継がせているというケースがあります。

社長になった1人娘と話しをしますと、「大変だけどやりがいがあります。」という返事。また、女性経営者の集まりに参加したり、人間関係が広がったと話していました。

社長の娘が会社を継ぐようなケースですと、社長もすぐに会社を退職するわけではなく、自らは代表権のある会長に、娘を代表権のある社長にしているケースが多いです。

やはり、いきなり単独で代表権をあたえるには、社長として娘が未熟であること、また従業員の反発も考えられます。また、社長が代表権のある会長になることは、すぐそばで娘に社長としての教育ができるという点ではとても良いことだと思います。

最近は女性の社会への進出が多くなっています。男性にはない決め細やかな対応、とくに男性よりも肝が据わっているといったことが影響しているような気がします。これから会社の後継者を決めようと考えている社長、男性に限らず女性を経営者することも選択肢に加えてはいかがでしょうか?

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納税猶予制度の適用は?

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(辻・本郷税理士法人 第7部門課長 渡邊 一輝  Watanabe Kazuteru)

今回のブログでは、相続税の納税猶予制度に関する事例を紹介致します。

「現状のままでは、相続税の納税猶予制度の適用が受けられないため、相続税の負担が高額になってしまう。何とかして適用を受ける方法はないのか?」

とご相談を受けた事例を2件紹介致します。


まず、一つ目の事例は、卸売業を営む会社で、資本金が2億円、従業員数が200人の会社についてです。
この会社は、適用対象会社の要件(資本金要件or従業員数要件)を満たしていないため、このままでは、相続税の納税猶予制度の適用を受けることができません。
(なお、適用対象会社の要件以外の要件については、満たしているものとします。)

卸売業の場合の適用対象会社の要件は、資本金が1億円以下であるか、従業員数が100人以下である必要があります。

従業員数の要件を満たそうとして従業員を解雇等するのは、今後の事業継続に問題が出てきます。
そこで、弊法人としては、資本金を2億円から1億円に減資することを提案致しました。
減資することで、資本金要件を満たすことになり、結果として相続税の納税猶予制度の適用を受けられる会社となりました。

また、余談ですが、資本金が1億円になったことで、法人税法、租税特別措置法上の優遇税制の適用が受けられたり、外形標準課税の適用対象外の会社になったり、法人住民税の均等割の負担が軽減されたりと、納税猶予制度以外の面でもメリットがありました。


二つ目の事例は、小売業を営む会社で、資本金が5千万円、従業員数が100人の会社についてです。
この会社は、被相続人の要件のうち、筆頭株主要件を満たしていないため、このままでは、相続税の納税猶予制度の適用を受けることができません。
(なお、被相続人の要件以外の要件については、満たしているものとします。)
被相続人の要件は、相続開始の直前において、被相続人が、後継者を除いて筆頭株主である必要があります。
なお、筆頭株主の判定は、議決権のある株式を基に行うことになります。

しかし、この会社の現状の株主名簿を見ると、被相続人となる者(現オーナー)よりも、会社の経営に参画していない親族が、議決権を多く所有しています。
(この親族には、御子様がおらず、会社の経営にも興味がないとのことです。)

そこで、弊法人としては、この親族が所有する普通株式を配当優先無議決権株式に変更することを提案致しました。
この親族の所有する株式が、議決権のない株式に変わったことで、議決権ベースで被相続人となる者(現オーナー)が筆頭株主となり、結果として、相続税の納税猶予制度の適用を受けられる会社となりました。


相続税の納税猶予制度は、相続が発生した際に負担すべき相続税のうち、相続等で取得した非上場株式に係る相続税の80%を納税猶予するものです。
ただし、適用にあたっては、経済産業大臣の認定を受けたり、相続税の申告期限後も経済産業大臣、及び税務署長に報告をしたりと、煩雑な手続を踏む必要があります。

このような煩雑な手続のことを考えると、相続税の納税猶予制度に頼らず、株価が下がったタイミングで、大多数の株式を後継者に承継しておくことも一考です。

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民法特例法を使えていれば・・・

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(辻・本郷税理士法人 第9部門統括部長 青木 治雄 Aoki Haruo )


もし、経営承継円滑化法による民法特例制度が使えていたらどうなっていたのかなぁというお話しです。


今の社長様は、会社の株式をお父様から贈与でもらい、社長に就任し、一生懸命努力して、承継した会社を大きく成長させたそうです。

その社長様のお父様がお亡くなりになったのです。

遺言書はなかったのですが、幸い相続財産の大半は金融資産でしたので、何の問題なく相続の手続きは終わると思っていました。 ところが、社長のお姉様が遺留分侵害を主張されたのです。

今の社長が生前贈与によって取得した株式は、なんと20倍になっていたのです。

会社を大きくして、株価を高くしたのは、紛れもなく今の社長の貢献が高いわけですが、もともとは父親の会社なのだから遺留分の対象になるというのがお姉様の主張です。
姉と弟で争うことを望まない社長様は、お姉様にお金を払って、この相続問題を解決されました。


現在は、経営承継円滑化法の民法特例のひとつに生前贈与株式を遺留分の基礎算定から除外するというものがあります。

もちろん、一定の要件がありますが、相続前にこの法律の適用を受けていたら、また違った結果になっていたのではないかと空想したりします。

その後もお姉様との兄弟関係は、今もなお、ギクシャクしたままとおしゃっていました。
お姉様も本当はそんな主張をしたくなかったと思いますし、社長様自らがお姉様の主張を申し出れば、円満な結果が迎えられたとも思います。


お互いを思いやる気持ちは大切だと感じつつも、民法特例の除外合意が成立したうえで、ご相続を迎えていたら。。。と考えてしまうのです。

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