取締役の報酬限度額と監査役の報酬限度額を
区分していない場合の税務上の取り扱いについて

2005年11月17日(木)

 取締役及び監査役に支払う報酬の限度額については、商法上は取締役においては第269条、監査役においては第279条第1項で、定款又は株主総会の決議により定める旨が規定されています。
 一方、法人税法では、法人税法施行令第69条第2号(以下「施令69条2号」という。)において、定款又は株主総会等の決議により報酬の限度額が定められている場合には、役員報酬額のうちその限度額を超える部分は損金不算入とするとし、取締役の報酬と監査役の報酬を区分して当該規定を適用するとは規定していません。

 そこで実際に株主総会の決議等で役員に対して支払うことができる報酬額が取締役と監査役とに区分されていない場合には税務上はどのように取り扱うのか疑問が生じるかと思われます。 
 考えられる取り扱いとしては

  1. 取締役及び監査役の報酬を区分して決定していない以上商法違反に該当し、限度額の決定がなかったものとされ、施令69条2号の規定の適用そのものがないとする考え方
  2. 取締及び監査役の報酬を区分して決定していないので損金算入限度額がゼロであり、役員報酬全額が損金不算入の取り扱いとなるとする考え方
  3. 取締及び監査役の報酬を区分して決定していないが、合計での限度額は決議されているので、全体の限度額は有効として施令69条2号の規定を適用するという考え方
以上3つが挙げられるかと思われます。
 (1)、(2)の考え方については、商法の規定に基づき取締役と監査役の支払報酬限度額を区分して定めていない為に、施令69条2号の規定が働かないとする判断ですが、それはあくまで商法上の支払限度額の規定であり、一括して限度額を定めた上で報酬の支払いがあったとしても商法上問題となるだけで、そのことだけをもって法人税上において施令69条2号の適用がなくなる又は全額損金不算入の取り扱いになることにはならないかと思われます。
 例えば商法違反である配当を行ったとしても、同族会社の留保金の計算上はその配当を考慮して計算しますので、商法上の問題がすぐさま法人税法上の規定に影響を与えるということはないと考えられるでしょう。
 以上のことを踏まえますと、役員に対する報酬限度額が取締役と監査役とに区分されてなくとも合計で株主決議がされていれば、その決議に基づき不損金算入額を算定するとなるかと思われます。
 すなわち(3)の考え方が適切な判断と言えるでしょう。