国税庁が発表した資料によりますと、平成16年度の相続税の物納申請件数は3,065件であり前年度の4,775件と比較して3割以上減少しています。また金額は、平成16年度が1,288億円であり前年度の2,321億円と比較して4割以上減少しています。ただし、物納申請件数の減少は平成16年度に限ったことではなく、平成11年度から6年連続で減少となっており、ピーク時の2割程度の水準となっております。
そもそも、物納とは何でしょうか。物納とは、読んで字のごとく『物で納める』ということですが、税金は金銭で納付するのが原則です。金銭納付が原則であるにもかかわらず、相続税に物納制度が設けられているのには次のような理由があります。
相続税は財産税ですので、亡くなった人の財産に対して税金が課税され、その財産を相続した人が相続税を支払います。つまり、相続財産が金銭であるかどうかに関わらず、税金を支払わなければなりません。法人税や所得税のように「もうけ」に対して課税される税金とは異なるわけです。
したがって、金銭で納付できない場合には、納税地の所轄税務署長の許可を得ることによって相続した財産を物納することが可能となるのです。
そして、物納できる財産として認められるものは、日本国内にある
実務上、これまで物納財産として認められるのは、国が処分しやすい国債・地方債、住宅用不動産や駐車場、上場株式等に限られることが多かったのです。
一方、中小企業では、オーナーが亡くなった場合、相続財産に占める非上場株式の割合が大きくなるケースがあります。そして、相続税額が多額に発生した場合、非上場株式は上場株式ではありませんので市場で換金することができず、また、物納に充てることも難しいため相続税をどう支払うかが大きな課題となっております。そこで、日本商工会議所が平成17年9月に「平成18年度事業承継円滑化のための税制措置に関する要望」において、物納基準の緩和による相続税の納税環境の円滑化を要望しました。
それに対応して、政府は11月下旬に物納制度の基準を緩める方針を決定しました。これによって、今までは物納の対象として認められることが難しかった非上場株式や農地・山林なども対象となる可能性がでてきました。
政府は税制調査会の答申に、この物納基準の緩和の考え方を盛り込み、年末にかけて開かれる与党の税制調査会において、非上場株式や農地・山林などの価値の計算方法を詰めて、平成18年度からの実施をめざしています。
実現すれば、物納の使い勝手が向上し、中小企業の事業承継にとって朗報となるだけに今後の行方が注目されます。
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