税理士が解説する相続税コラム

非上場株式の評価 ~一物多価ってどういうこと?~

非上場株式の評価 ~一物多価ってどういうこと?~

「自分の会社の株式を売買したいのだけど、いくらで売買したら良いですか?」「そろそろ会社の株式を子どもに贈与したいのだけど、贈与税はいくらになりますか?」など、会社の株式絡みで経営者の方々からご質問をいただくことがあります。

今回は、非上場株式の評価についてお話しします。
執筆:相続センター 湘南事務所
公開:2020年11月27日

非上場株式の譲渡または贈与

「非上場株式の譲渡または贈与を行おうとする場合にはまず、株式の時価を算定することが必要となります(非上場株式は上場会社と異なり客観的な評価をするための取引相場がありません)。

ただ、ひとことで非上場株式の時価といっても、株式を売却する側と取得する側の関係性や、個人間取引なのか法人が絡む取引なのかによって、課税上弊害が生じない適正な時価の考え方が異なり、一物多価(いちぶつたか)となります。

株式を売却する側と取得する側の関係性によって適正な時価は変わる

1. 第三者間取引の場合

純然たる第三者間取引であり、その取引価額決定の過程において種々の経済性が考慮された状態であれば、当事者間で合意した取引価額に経済的合理性が認められると判断されるため、その価額をもって時価とすることができます。

一般的にはDCF法、時価純資産法、類似会社比準価額法などの方法で株式の時価を評価します。

DCF法……ディスカウンテッド・キャッシュ・フローの略で、会社が将来生み出す収益(フリーキャッシュフロー)をもとに算出する評価方法です。
時価純資産法……評価を行う時点で会社が保有している資産の時価総額から、負債の時価総額を差し引いた価格を算出する評価方法です。
類似会社比準価額法……事業内容が類似している上場会社の利益や純資産などを参考に1株あたりの評価額を算出する評価方法です。

2. 同族株主間取引の場合

同族株主間取引の場合には、取引価額の決定に当事者間の恣意性が介入する(当事者間で思うままに価額を決める)恐れがあることから、時価の算定にあたっては税法で定める非上場株式の評価方法により算定した評価額が適正な時価の指針となります。

この場合は個人の同族株主間取引であるため、財産評価基本通達に基づいて評価することになります。

3. 法人に株式を譲渡する場合

実は非上場株式の評価については細かな論点がほかにもさまざまであり、場合によっては法人に対して株式を譲渡するようなケースもあります。
この場合には「2. 同族株主間取引の場合」のケースとは異なり、所得税法に定める時価を適用することになります。

このように、登場人物によって各税法が時価の算定方法を定めているため、評価額は一律とはならないのです。

各税法で定める時価とは

各税法で定める時価とは

評価額が一律ではないという点についてもう少し説明しますと、相続税・贈与税の非上場株式の時価は財産評価基本通達に基づいて評価した価額となります。

法人税・所得税の場合の時価は基本的には時価純資産価額ですが「通常取引される」ことはまれなので、財産評価基本通達による算定方法に一部修正を加えることもできます(課税上弊害がある場合を除きます)。

<財産評価基本通達による評価方法を採用する場合の修正項目>

  1. 中心的な同族株主に該当する場合には子会社で評価する
  2. 土地や上場株式等は譲渡時の時価で評価する(相続税評価額ではありません)
  3. 評価差額に対する法人税額相当額を控除しない

会社の株式を移動させたいと考えた時には各税法で定める方法により算定した時価を指針として譲渡等の取引価額を決定することで税務リスクを避けることができますし、納税者にとっても課税の予測が可能となります。

辻・本郷 相続センターでご提供するサービス

非上場株式の評価にはこれ以外にもさまざまな論点があり専門家にとっても注意が必要な分野です。専門家でも財産評価ソフトに頼るばかりですと対応しきれませんので、ぜひ詳しい税理士にご相談ください。

当センターでは非上場株式を含む財産評価のほかにも法人の事業承継、上手な相続財産の残し方のアドバイスや相続税対策、また実際に申告をさせていただいたお客様のアフターフォローにも力を入れています。

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