税理士が解説する相続税コラム

自筆証書遺言書保管制度とは

自筆証書遺言書保管制度とは

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で作成する身近な遺言書です。

遺言を残す方が一人で作成できる手軽さもありますが、紛失やトラブルを避けるため、新たに保管制度が創設されましたのでご紹介します。
執筆:相続センター 水戸事務所
公開:2020年8月11日

「遺言書の保管制度」の新設

自筆証書遺言に係る遺言書は、自宅で保管されることが多く、紛失や亡失だけでなく、相続人による遺言書の廃棄、隠匿、改ざんが行われる可能性があることから、相続をめぐる紛争が生じる恐れもあります。

民法改正により、法務局で自筆証書遺言(自分で書いた遺言書)を保管する制度が創設され、令和2年7月10日に施行されました。
これにより、遺言書の紛失や隠匿等を防止し、遺言書の存在の把握が容易になり、遺言者の最終意思の実現や相続手続きの円滑化が見込まれます。

法務局で保管されている遺言書は、家庭裁判所での検認が不要になります。

遺言書の検認とは……遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言書を家庭裁判所へ提出し「検認」の手続きをしなければなりません(公正証書による遺言の場合、検認は不要です)。
封印してある遺言書は、家庭裁判所で相続人が立ち会った上で開封しなければならないことになっています。

自筆証書遺言に係る遺言書の作成

遺言書

遺言書を保管する法務局では、遺言の形式的な確認をするのみで遺言の内容の相談は受け付けていないため、あらかじめご自身で作成する必要があります。

遺言書を作成する際、用紙のサイズや余白の指定、日付の記載や署名・押印など細かい決まりがあります。
【法務局】遺言書の様式の注意事項[PDF]

遺言者が遺言書を預ける(遺言書の保管の申請)

保管の申請をする場所は、遺言者の住所地または遺言者の本籍地もしくは遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所(法務局の本局、支局または出張所)ですが、既に他の遺言書を預けている場合には、その遺言書保管所になります。

保管の申請は遺言者本人が出頭する必要があり、遺言者本人が病気で法務局(遺言書保管所)へ出頭できない場合には、この制度は利用できません。
しかし、介助のため付添人に同伴してもらうことはできます。

<保管の申請に必要なもの>

  1. 自筆証書遺言に係る遺言書
  2. 申請書(法務省のウェブサイトからダウンロードするか、遺言書保管所窓口で入手)
  3. 添付書類(本籍の記載のある住民票等)
  4. 本人確認書類として顔写真付き身分証明書を提示(例:マイナンバーカード・運転免許証等)
  5. 手数料納付のための収入印紙(遺言書1通につき3900円)

手続終了後に、保管証が発行されます。保管証は再発行されないので大切に保管してください。

遺言書の保管後の請求等

<遺言書の閲覧>

遺言書の閲覧請求ができるのは遺言者本人だけです。
遺言者は、モニターによる画像閲覧をする場合は全国どこの遺言書保管所でも閲覧できますが、原本を閲覧する場合には遺言書が保管されている遺言書保管所でのみ閲覧できます。

<遺言書を返してもらう(保管の申請の撤回)>

保管申請の撤回ができるのは、遺言者本人のみです。
撤回できる場所は、遺言書が保管されている遺言書保管所でのみです。
なお、保管申請の撤回は、遺言の効力とは関係ありません(遺言の内容が撤回されるわけではありません)。

<遺言書の変更事項を届け出る(変更の届出)>

遺言者は、保管の申請時以降に氏名、住所等に変更が生じたときは、遺言書保管官にその旨を届け出る必要があります。
変更の届出ができるのは、遺言者本人またはその親権者や成年後見人等の法定代理人です。全国どこの遺言保管所でも届出をすることができ、郵送でも届出が可能です。

遺言者が亡くなった場合に限りできること

<相続人等は遺言書が預けられているか確認する(証明書の交付)>

遺言書保管事実証明書の交付を請求できるのは、相続人、遺言執行者、受遺者およびこれらの親権者や成年後見人等の法定代理人です。
全国のどの遺言書保管所でも交付請求できます。

<相続人等が遺言書の内容の証明書を取得する(証明書の請求)>

遺言書情報証明書を交付の請求をできる人および交付請求ができる場所は遺言書保管事実証明書と同じです。また、家庭裁判所での検認は必要ありません。
この証明書は、遺言書の原本ではありませんが、登記や各種手続きに利用できます。

<相続人等が遺言書を見る(遺言書の閲覧)>

遺言書の閲覧請求ができるのは、相続人・受遺者等・遺言執行者等およびこれらの親権者や成年後見人等の法定代理人です。
閲覧できる場所は、モニター閲覧であれば全国のどの遺言保管所でもできますが、遺言書の原本閲覧は保管されている遺言保管所のみとなります。

<他の相続人への通知について>

相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けて遺言書の閲覧をすると、遺言書保管官はその方以外の相続人等に対して遺言書を保管している旨を通知します。

<遺言書の返却について>

相続人であっても、遺言書保管所(法務局)に保管されている遺言書の返却を受けることはできないため、内容を確認するためには、遺言書情報証明書の交付請求または遺言書の閲覧請求をしてください。

自筆証書遺言書保管制度の申請書等の様式は、注意事項と共に法務省のウェブサイトに掲載されています。添付書類、費用などは手続きによって異なりますので、事前にご確認ください。
【法務局】自筆証書遺言書保管制度自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等

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