税理士が解説する相続税コラム

「おひとりさま」の相続。相続人が誰もいない場合は?

「おひとりさま」の相続。相続人が誰もいない場合は?

社会やライフスタイルの変化に伴い、年々増える傾向にある「おひとりさま」。配偶者やお子さんがいない「おひとりさま」に相続が発生した際は、親や兄弟姉妹(またはその子)がご健在であれば、その方々に相続権が発生します。

一方で、親や兄弟姉妹(その子であるおい、めい)がいない、ひとりっ子の「おひとりさま」の場合は、どのような手続が必要なのでしょうか?
執筆:相続センター 遠野事務所
公開:2020年7月15日

相続財産管理人の選任と財産の分与

相続財産管理人とは……相続が発生した時、誰も相続する人がいない(相続人不明)または相続人全員が相続を放棄したケースでは、亡くなった方の遺産の調査や管理・分配を行う人が必要な場合があり、その人を相続財産管理人といいます。

身よりのない「おひとりさま」に相続が発生した場合、利害関係人(親族、葬式費用等を立替えた方、債権者)などが家庭裁判所に申出し、下記の手続を行うことになります。
すべての手続が完了・確定するまでに、最短でも13カ月以上の期間がかかります。

  1. 相続財産管理人の選任と公告(家庭裁判所に選任を申出。弁護士等専門家の選任例が多いようです)
    ↓ 公告期間は約2カ月
  2. 相続債権者等に対する請求申出公告(債務が無くても省略できません)
    ↓ 公告期間は2カ月以上
  3. 相続人の捜索の公告(官報等で捜索を公告します)
    ↓ 公告期間は6カ月以上
  4. 相続人の不存在の確定([3]と同様に公告します)
    ↓ 公告期間は約3カ月
  5. 特別縁故者に対する財産分与の申立(内縁関係者や、生前非常に親しかった方が家裁より特別縁故者に選任される場合があります)
  6. 相続財産分与の審判の確定(相続財産管理人が、特別縁故者等への財産分与を家裁に申立します。家裁が審判を確定させて完了となります)
  7. 国庫に帰属([6]の分与後に、残額があった場合は帰属されます)

※以上は代表的な手続の流れです。実際のお手続き・申立にあたっては、必ず弁護士事務所、司法書士事務所等でご相談の上、ご確認ください。

公告とは…「広く一般に告知する」という意味です。公告をすることで、法律を踏まえ公正に相続が行われていることを明らかにします。
相続財産管理人が選任されたことは官報に掲載されます(官報公告)。選任した公告から相続人を捜索する手続きが始まります。

誰もが「特別縁故者」に選任されるわけではない

上の[5.特別縁故者に対する財産分与の申立]で「特別縁故者」という言葉が出てきました。

特別縁故者(とくべつえんこしゃ)とは……亡くなられた方と特別の縁故があった間柄の人のことです。相続人がいない場合などに、内縁関係にあった方、同居するなど非常に親しい関係にあった親族の方などが、家庭裁判所により選任され、財産を相続する権利を得ることがあります。

しかし、例えば親族であれば誰でも選任されるかというと、必ずしもそうではありません。

生前のご関係や個別の事情も踏まえ判断・選任されるので、仮に高額な葬式費用等を立替えたとしても「特別縁故者」に選任されないことも十分に考えられます(その場合でも、立替えた費用は[6.相続財産分与の審判の確定]の相続財産分与で返してもらえる可能性はあります)。

1.相続財産管理人の選任と公告]の相続財産管理人の意向、家庭裁判所の判断、「特別縁故者」に選任される人物の有無が、「おひとりさま」の相続には大きく影響してきます。

また、「特別縁故者」に選任された方が、基礎控除額(特別縁故者の場合3,000万円)以上のご財産を相続することになった場合は、相続税の申告が必要となります。
相続税の申告期限は、[6.相続財産分与の審判の確定]がされたことを知った日の翌日から10カ月以内です。「特別縁故者」の相続税は、2割加算の対象となりますので、ご注意ください。

相続税額の2割加算とは……亡くなられた方の配偶者、子ども、親、(代襲相続する孫を含む)以外の人が、相続や遺贈等によって財産を取得した場合には、本来の相続税額に2割加算した税額がかかりますという制度です。
※1親等の血族以外の人が該当しますので、兄弟姉妹やおい・めいが相続人となった場合は2割加算の対象となります。

遺されたご親族やご友人に過度な負担をかけないために

公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)作成のすすめ

これまでの説明の通り、身よりのない「おひとりさま」の相続は、遺されたご親族やご友人に大変な負担をかけることになります。
慣れない各種手続や、財産分与まで1年以上の時間がかかること、相続財産の不動産になかなか買い手が付かないと財産の最終処分まで長い年月を費やす可能性など、さまざまな困難が想定されます。

このような事態を防ぐために、現在注目されているのが「遺言」の作成です。
遺言によりご自身の財産をどのように分配、あるいは処分していくかをご自身で決めることができます。
お世話になった方々へ財産を遺して報いたい、各種団体に寄付したい、誰にも財産は渡さず国へ寄贈したいなどのご希望を実現させることができます。
それだけでなく、各種手続も遺言の内容に沿ってスムーズに行うことができ、ご親族やご友人の負担を軽減することにもつながります。

「遺言」には複数の種類がありますが、近年、偽造防止と客観性の観点から公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)の作成・執行に関心が集まっています。
辻・本郷 相続センターでは、遺言作成についてのご相談も承っております。
「おひとりさま」のためにはもちろん、大切なご親族、ご友人のためにも「遺言」作成を検討してみてはいかがでしょうか?

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