税理士が解説する相続税コラム

成年年齢引き下げに伴う相続税・贈与税への影響

成年年齢引き下げ

平成30年6月に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が公布され、令和4年(2022年)4月1日から施行されることとなりました。

相続税および贈与税においても20歳を基準としているものがあり、改正により18歳へ引き下げられます。その影響を解説します。
執筆:相続センター 京都事務所
公開:2021年1月29日

未成年者控除

相続人の中に未成年者がいる場合には、その未成年者に対し相続税が一定額控除される「未成年者控除」という制度があります。
控除の額は、未成年者が成人するまでの年数に10万円を乗じた金額になります。

改正後(令和4年4月1日以後)に開始した相続の未成年者控除

法定相続人が18歳未満の者である場合には、18歳に達するまでの年数(1年未満の端数は切り上げ)に10万円を乗じた金額を、相続税額から控除するよう改正されました。

未成年者控除額 =( 18 - 相続発生時の未成年者の年齢 )× 10万円
年齢の1年未満は切り捨て(例:16歳3カ月→16歳)

改正前(令和4年4月1日以前)は、20(歳)から相続発生時の年齢を引いていたため、控除できる相続税額が2年分(20万円)少なくなったといえます。
改正前に相続または遺贈により取得した財産に係る相続税については、従前どおりとされています。

2回目の未成年者控除

なお、すでにこの控除を受けたことがある場合、次の相続の際に控除できる金額は、前回の控除不足額の範囲内に限られますが(相法19の3③)、この特例として経過措置(過去に控除額が改正された時の経過措置と同様のもの)が設けられています(平成31年改正法附則23②)。

<例>
1回目(平成28年に相続開始)が5歳時(相続税額60万円)、
2回目(令和5年に相続開始)が12歳時(相続税額80万円)の場合

1回目の相続時には(20-5歳)×10万円=150万円まで控除が可能(60万円全額を控除できた)でした。2回目の相続時には成年年齢を18歳で計算をしなおす必要があり、控除額が(18-5歳)×10万円=130万円に引き下がります。
130万円から1回目に控除を受けた60万円を引いて、2回目の相続では70万円まで控除ができることになります。

相続時精算課税制度

相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)は、原則60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上(※現行)の子または孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。関連コラム→「相続時精算課税制度とは?わかりやすく解説します!

相続時精算課税の適用を受けることができる者は、贈与者の推定相続人で贈与の年の1月1日において18歳(改正前:20歳)以上の者とされ、2年早く適用が受けられるようになりました。

令和4年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用され、同日前に贈与により取得した財産に係る贈与税については従前どおりとされています。

租税特別措置法

租税特別措置法(そぜいとくべつそちほう)は、国税に関するさまざまな特例を定めた法律です。
以下の項目について、受贈者の年齢要件が20歳から18歳に引き下げられました。

  1. 直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例(措法70の2の5)
  2. 相続時精算課税適用者の特例(措法70の2の6)
  3. 非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除(措法70の7)
  4. 非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除の特例(措法70の7の5)

なお、民法改正法の施行日の前日(令和4年3月31日)までに適用期限が到来する租税特別措置は、今般の税制改正では見直されていません。

遺産分割協議

遺産分割

相続人のなかに未成年者がいる場合、その未成年者は遺産分割協議に参加できないため(法律行為が制限されるため)家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければならない場合があります。
この場合、特別代理人がその未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。

現状20歳以上でなければ遺産分割協議に参加できませんが、令和4年4月1日以降であれば、同日時点で18歳以上の相続人は遺産分割協議に参加することができます。
関連コラム→「相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議はどうすればいいの?

令和4年(2022年)4月1日より民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられますが、「飲酒」「ギャンブル」「養子をとることができる者」等の年齢は民法改正後も20歳以上のままなので、ご注意ください。

相続人に未成年者の方が含まれる相続でお困りの場合も、当センターまでお気軽にご相談ください。

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