税理士が解説する相続税コラム

贈与の方法・タイミングで、かかる税金が変わるって本当?

贈与の方法・タイミングで、かかる税金が変わるって本当?

将来の相続の発生に備えて、すでに生前贈与を行っている方やご検討中の方も多いと思います。

贈与の方法または贈与する相手やタイミングによって、税金の計算の仕方が異なることがあるのをご存知でしょうか?
生前贈与を行ううえで大切なポイントを解説していきます。
執筆:相続センター 大宮事務所
公開:2020年8月26日

生前贈与の方法は2つ

生前贈与とは、(相続が発生する前に)生存している個人から別の個人(子供や孫など)へ財産を無償で渡すことをいいます。その方法をご説明します。

1.暦年課税制度

暦年課税とは、1月から12月までの1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残額に税率をかけて贈与税を計算する仕組みです。つまり、年間110万円までは税額が発生しません。

この制度は、贈与した人も、贈与された人も制限がなく、誰でも利用できます。また、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上の子や孫に対する贈与については、税額が少し低くなるように税率が設定されています。

2.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、複数年にわたる贈与を相続が発生するときにまとめて相続財産として精算する制度です。

贈与税の計算は、複数年にわたり利用できる2,500万円の特別控除額があり、この金額を超えない限り贈与税額は発生しません。
なお、この控除額を超える場合には、一律20%の税率で贈与税を計算することになります。
そして、相続が発生した際には、この複数年にわたる贈与財産を相続財産に含めて相続税の計算をすることとなります。

この制度を選択するには、税務署へ届出書を提出する必要があります。
また、相続時精算課税制度を選択している年分以後は、暦年課税の対象となりません。
したがって、その年の贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。

【注意点】相続時精算課税制度は、贈与した人、贈与される人に制限があります。
贈与を受ける年の1月1日時点で、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対して行われる贈与のみが選択の対象となります。

生前贈与加算は相続税の計算の対象に

生前贈与加算とは、被相続人(亡くなった方)から相続や遺贈で財産をもらった人が、亡くなる前3年以内にその被相続人から贈与を受けていた場合に、その贈与財産の贈与時の価額を相続財産に加算して相続税を計算する仕組みをいいます。
つまり、亡くなる直前に贈与した財産は、贈与財産ではなく相続財産として税金を計算し直すことになるのです。

加算する贈与財産は、その贈与に贈与税額がかかっていたかどうかに関係なく加算しますので、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することとなります。

贈与税が非課税となるもの

非課税の特例を活用する

家族へ

以下のような非課税の特例を適用することもできます。これらの特例は、適用できる期間や条件に制限があり、一定の書類を添付した申告書を提出する必要があります。
なお、暦年課税や相続時精算課税との併用が可能です。
また、これらの贈与から3年以内に相続が発生しても、相続財産に加算する必要はありません。

  1. 贈与税の配偶者控除(最高2,000万円)
  2. 直系尊属(父母や祖父母)からの住宅取得等資金の贈与(最高3,000万円)
  3. 直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与(最高1,000万円)
  4. 直系尊属からの教育資金の一括贈与(最高1,500万円)

3、4の特例については、取り扱い金融機関で一定の手続きが必要です(一定の場合に相続財産に加算する場合があります)。
また、結婚・子育て資金や教育資金として認められるものに範囲がありますので、事前に確認が必要です。
相続税コラム⇒ 贈与税の配偶者控除の特例教育資金の一括贈与の特例(非課税措置)

そもそも贈与税がかからないものがある

前述した「非課税の特例」は期間限定の制度でしたが、実は、原則的に贈与税がかからないものがあります。

扶養義務者からの生活費や教育費に充てるための贈与財産には、贈与税がかかりません。
ここで重要となるのは、その費用が「通常日常生活に必要なもの」であり、その贈与が「都度」されており、「直接その費用に充てられている」という事実です。

例えば、祖父母から孫の塾代としてもらった現金を、一旦父母の口座へ入金して預金してしまうなどした場合には、これには該当せず、贈与税がかかることになります。

誰に贈与をするとおトク?

孫への生前贈与は相続対策としてメリットがある

孫への生前贈与については、子を経由することなく、直接、孫へ渡すことができるため、その財産に相続税がかかることを1回分(または2回分)回避できるメリットがあります。

また、孫は通常、相続人ではないため、孫への贈与財産は生前贈与加算の対象となりません。
ただし、以下の場合には、孫への3年以内の生前贈与も相続財産への加算の対象となりますので、注意が必要です。

  • 孫が代襲相続人や養子になっている場合
  • 孫が生命保険金の受取人になっている場合
  • 遺言書により孫への遺贈がある場合

子の配偶者などへの贈与も検討する価値がある

贈与をする相手として真っ先に浮かんでくるのは、自分の子や孫という方が大半かと思います。しかし、税金対策の観点から、将来の相続人となり得ない人物へ贈与することに一定のメリットがあります。

まず、子の配偶者への贈与を選択肢に加えることで、贈与する相手が増えます。
贈与税の計算は、累進税率(贈与額が大きくなればなるほど税率が高くなる)の仕組みとなっているため、1人当たりの贈与される額を減らすことは贈与税を減らす効果につながります。

また、将来の相続人ではない子の配偶者への贈与は、先に述べた生前贈与加算の対象となりませんので、相続財産に足し戻される心配がありません。
ただし、孫の場合同様、養子となっていない、生命保険金の受取人になっていない、遺言書による遺贈をされていないことが前提となります。

まとめ

孫へ教育資金を援助したいという場合などには、非課税の特例を活用する一括贈与の方法もありますが、比較的手間もかからず非課税となる教育費の都度贈与の方法は、ぜひ有効活用したいものです。

例えば、子の配偶者が孫の学資保険の契約者となっている場合に、毎年、その保険料を父母から子の配偶者へ贈与するという方法も良策かと思います。

そして、生命保険金の受取人の指定は慎重にしてください。

将来の相続人とならないであろう孫を保険金の受取人に指定することには、税金対策の面から以下のようなデメリットがあります。

  1. 相続税の計算において、法定相続人以外の受取人には生命保険金の非課税の規定は適用されない
  2. 孫を受取人に指定したことにより、孫に対する贈与も生前贈与加算の対象となる
  3. 受け取った生命保険金にかかる相続税は2割加算の対象となる

税金対策以外の事情もあるかと思いますので、バランスを取りながら、生命保険金の受取人は慎重に指定することをお勧めします。

その人の財産の総額、贈与の目的、贈与する人・贈与される人の思いや状況にもよりますが、いずれにしても、生前贈与は「きちんと計画をたてて」「なるべく早い段階から少しずつ」「(贈与の相手や方法の)選択肢を広げて」行っていくことが大切です。
お困りの場合は、お気軽に当センターへお問い合わせください。

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