税理士が解説する相続税コラム

被相続人からの生前贈与で納めた贈与税はどうなる?

被相続人の生前に納めた贈与税はどうなる?

相続に備えて、生前贈与を検討している方もいらっしゃると思います。制度を理解してより適切な贈与方法を選択しましょう。

執筆:相続センター 仙台事務所
公開:2021年7月21日

贈与税から相続税を差し引ける2つの方法

以前の記事で、相続時精算課税制度による贈与税と、 相続開始前3年以内の贈与に係る贈与税をご紹介しました。
どちらも被相続人から生前に贈与を受けて贈与税を納付した人が、その後の相続で相続財産を受け取った場合、相続税額からあらかじめ納めた贈与税額を差し引くことができます。

相続時精算課税制度を一度選択すると、それ以降の贈与財産はすべて相続財産に加えることになりますが、相続開始前に納めた贈与税がある場合には、相続税から差し引くことができます。

一方、暦年贈与に該当する相続開始前3年以内の贈与財産も相続財産に加えます。そしてこの3年以内の贈与に係る贈与税についてもやはり相続税から差し引くことができます。

それでは、贈与税の額が相続税の額よりも高額だった場合、つまり相続税から贈与税が引ききれなかった場合はどうでしょう。

あらかじめ納めた贈与税は当然戻ってきそうですよね。ところが、そうともいえません。

関連コラム→「生前贈与加算にご注意! ~生前贈与による相続税対策の落とし穴~
相続時精算課税制度とは?わかりやすく解説します!

相続時精算課税制度による贈与と暦年贈与の違い

相続時精算課税制度も暦年贈与も、算出した相続税額から差し引くことができます。

ただし、贈与税額が相続税額から控除しきれない場合(すでに納付した贈与税額が相続時に納付すべき額より多い場合)には、両者の取扱いが変わってきますので注意が必要です。

1-1・相続時精算課税制度に係る贈与税額(相続税法第33条の2)

相続税額を超えた部分は還付されます。

1-2・暦年贈与に係る贈与税額

相続税額を限度として控除されます。還付はされません。
暦年贈与の場合は、支払った贈与税は切り捨てられてしまいます。暦年贈与の金額や方法には気を付けなければなりませんね。

相続時精算課税制度に係る贈与税額の還付申告とその期限

相続時精算課税制度により贈与をした後の相続では、相続税から贈与税を差し引くことができますし、1-1の通り、払い過ぎた贈与税は戻ります。

しかし、もし相続の際に、相続時精算課税制度の贈与財産を足し戻しても、相続財産が基礎控除額以下で、そもそも相続税申告が必要でなかった場合はどうでしょうか?

その場合は、贈与税を戻してもらうための還付申告をする必要があります。
この還付申告の期限は、相続開始の日の翌日から起算して5年を経過する日まで(相続税法基本通達27-8)となっています。

関連コラム→「相続税はかかるのか? ~相続税の計算方法~

贈与税を最後に相続で差し引けるなら、贈与税申告しなくても同じ?

相続開始3年以内の暦年贈与について、お客様から「贈与税申告をしていなかったけれど、申告をして贈与税を納めたとしてもその贈与税は結局相続税から差し引かれる。それならば申告してもしなくても同じではないのか?」 と質問をいただくことがあります。

しかし、贈与申告を期限後にした場合、納めるのは贈与税だけではなく、無申告加算税や延滞税などのペナルティ分もあります。
これらペナルティ分は相続税から差し引くことはできません
(相続税法基本通達19-6、相続税法19①)。

申告しなくても結局同じ…ということにはなりませんので、期限後であっても申告納税しましょう。

おわりに

相続時精算課税は一度選択すると暦年贈与には戻れない制度ですので、制度をよく理解した上で使う必要があります。

暦年贈与はよく知られた贈与で、一見手軽で簡単そうですが、思わぬ落とし穴もあります。

後々「あのとき知っておけば…」とならないよう、ぜひ一度、相続の専門家である私たち辻・本郷相続センターにご相談ください。

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