平成22年4月21日の第174回通常国会で「小規模企業共済法」及び「中小企業倒産防止共済法」の改正法が成立し、各共済制度の内容が以下のように充実されることになりました。
- 小規模企業共済制度
小規模企業共済制度とは、小規模企業者が掛金を積み立て、廃業や引退に備える制度であり、いわば小規模企業者のための退職金制度のようなものです。
【改正内容】
加入対象者について、改正前は事業主のみしか加入することができませんでしたが、個人事業主の配偶者や後継者などの「共同経営者」まで加入対象が拡大され、また、個人事業主の親族でなくとも「共同経営者」であれば加入することができるなど、加入条件が大きく緩和されました。
よって、個人事業主になる前の後継者の時期から加入できるため、十分な老後の資金を確保することができ、また、共同経営者の掛金についても全額所得控除の対象となり、将来受け取る共済金についても退職所得控除等の対象になるなど、税制面でのメリットも大きい改正となっています。
なお、本改正は平成23年4月までに施行されることとされていますが、施行日や制度の細やかな内容につきましては、今後、政令や経済産業省令等によって定められます。
- 中小企業倒産防止共済制度
中小企業倒産防止共済制度とは、取引先が倒産した場合に積み立てた掛金総額の10倍を限度に、無利子・無担保・無保証人で貸付け、中小企業の連鎖倒産を防止する制度です。
【改正内容】
- 貸付条件の緩和
現行では、取引先が法的整理又は銀行取引停止処分を受けた場合でないと共済金からの貸付けを受けることができませんでしたが、改正により、私的整理(弁護士や認定司法書士からの支払停止通知があった場合のみ対象)の開始を知らせる通知が届いた場合についても共済金の貸付けを受けることができるようになりました。
なお、本改正は平成22年夏までに実施されることになっています。
- 貸付限度額の増額
現行では、共済金の貸付限度額は3,200万円でしたが、改正により8,000万円に引き上げられ、掛金についても次のように改正されます。
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(現行) |
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(改正) |
掛金月額 |
5千円~8万円 |
5千円~20万円 |
掛金総額 |
320万円上限 |
800万円上限 |
なお、掛金はこれまでと同様、全額、損金又は必要経費に算入することができます。
また、貸付金を予定より繰り上げて償還した完済者に対し、新たに手当金(早期償還手当金)を支給することになりました。
※ 月々の償還が延滞していない共済契約者が繰上償還した場合に限ります。
※ 手当金の額は、繰上げ時期と繰上げ額に応じて決定される予定です。
なお、本改正は平成23年10月までに施行されることになっています。