日本と海外との取引で発生する投資先の開発途上国について、自国の経済発展を図るため、海外から企業誘致を積極的に行い、その結果、租税優遇措置を認め、租税を減免するということを行っています。
このような政策的配慮がある場合、減免措置を受けた後の税額だけを居住地国における外国税額控除の対象とすることになれば、その政策はまったく生かされず、租税優遇措置の目的が達成できないことになりかねません。
このような傾向に伴い、先進国から開発途上国への経済援助という政策の配慮により、租税条約が締結済の開発途上国において減免された租税について、これ自体を納付したこととみなして外国税額控除を適用する場合があります。
これを、みなし外国税額控除制度(タックス・スペアリング・クレジット・システム)といいます。
日本は、この制度について、廃止する方向で租税条約の交渉に向かい合っています。これは、課税についての公平性や中立性の観点から、問題があるというものです。
最近では、2006年に条約改正の基本合意がなされたインド、フィリピンおよびパキスタンとの租税条約において、みなし外国税額控除が、廃止または10年間の期限を付されるなど、縮小の方向にあります。
2020年11月現在、日本との間の租税条約において、有効なみなし外国税額控除を規定している国は、以下のとおりです。
・タイ
・中国
・ブラジル
・フィリピン
・スリランカ
・バングラディッシュ
・ザンビア
日本の内国法人に対する直接的な税額控除については(制度が適用される場合において)、外国で減額免除された租税につき、実際の納税額に加えて、その減額免除税額(みなし納付分)についても、日本の内国法人が納付した税額として、みなされることとなります。
所得に対する負担が高率な所によっての金額については、控除対象の外国法人税額から除外される傾向にあります。
この制度で外国税額控除の適用を受ける場合、国外所得金額の計算においては、基本的には一般の外国税額控除の場合と同様の取り扱いとなります。しかし、以下については、ご留意ください。
直接税額控除の適用を受ける場合には、その法人が納付する控除対象の外国法人税額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
制度の適用を受けようとする場合、次の2つの要件を満たさなければなりません。
1. みなし外国税額控除の適用を受けようとする事業年度の確定申告書に、控除を受けるべきみなし外国税額の計算の明細を記載すること
2. 1を証明する書類を添付すること
みなし外国税額控除については、国際部にお問い合わせください。
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