
「危機状態にある会社を建て直す手助けをしたい!」
そんな熱い思いを持っている方に知っていただきたいのが、事業再生コンサルタントという仕事です。
事業再生コンサルタントは、再生局面にある会社をサポートし、建て直しを目指します。
クライアントの経営の問題点を導き出し、改善に導くことが必要であるため、財務面のほか、事業構造や組織、業務、経営などの幅広い知識と経験が必要です。
さらに経営危機にはタイムリミットがあるため、スピード感と緊張感をもって挑むことが重要となります。
会社の未来を左右する仕事であり、そのプレッシャーは非常に大きいものです。一方で、危機にあった会社を再建に導く仕事は、非常にやりがいがあるといえるでしょう。
辻・本郷FAS株式会社では、そんな向上心と強い意志を持った方を求めています。
本記事では、事業再生コンサルタントが行う4つの仕事内容について具体的に解説します。
目次
1.事業再生コンサルタントの仕事:会社の現状分析
事業再生コンサルタントが、最初に行うのが現状分析です。会社の現状を把握し、抱えている問題を明確にするほか、伸ばすべき強みについて分析していきます。
現状分析では、主に3つの点に着目します。
- 直近3カ月間の資金状況の見通し
- 採算事業と不採算事業の切り分け
- 改善の余地が大きい事業の洗い出し
事業再生コンサルタントは、限られた時間の中で経営者と信頼関係を構築し、現状分析のためのヒアリングやデータの入手や分析を重ねます。
分析結果によっては、再生が厳しいという結論になることもあります。その場合は、クライアントに数値的なデータを基に現状を説明し、事業再生以外の選択肢をお伝えするのも大切な仕事です。
業界によって特有な事情があるほか、実は経営者自身が根底にある問題を認識していないというケースも少なくありません。また、中小企業の場合は、必要なデータ不足しているというケースも散見されます。
さらには、事業再生のために介入するにもかかわらず、従業員ばかりでなく、最初は経営者からも警戒されることもあります。
会社の実態を把握し、再建のために解決すべき問題点が明確になったとき、きっと大きな手ごたえを感じるはずです。
| 現状分析で求められるスキル | ・財務諸表の分析力 ・本質を突いた質問力 ・的確なデューデリジェンスを実施する力 ・経営数値から、実態を導き出す力 ・信頼関係を構築するコミュニケーション力 |
2.事業再生コンサルタントの仕事:事業再生計画の策定
現状分析を踏まえ、再生へのシナリオを作り、事業再生計画書に落とし込んでいきます。クライアントを事業再生に導く肝となる非常に重要な仕事です。
事業再生の方法には、債権者の金融機関などと直接交渉を行う私的整理、裁判所の管轄下において債務整理を行う法的整理、事業譲渡や新規に会社を立ち上げるなどの方法で再生を図る再生型M&Aの3種類があります。
事業再生の手法は、「事業再生にはどんな方法がある?11の手法と特徴を解説」でくわしく解説しています。
事業再生計画は、目の前の資金繰りにとどまらず、課題に対する各要因のKPI(重要業績評価指標)を設定し、着実に目標を達成していくことが大切です。
大規模なリストラクチャリング、財務体質の改善、経営体質、事業構造や組織を見直しや、抜本的な業務の改善が必要になるかもしれません。
事業再生に至った原因を踏まえた上で、多角的で冷静な視点からその会社にとって、必要な手法を選択し、計画を策定します。
策定した事業再生計画書は、再生の手続き上で必要となるほか、金融機関をはじめとする各ステークホルダーに対する説明資料としても利用されます。
時には、経営者にとって受け入れがたい提案も必要です。
さまざまな難題を乗り超えて、会社や従業員の雇用を守れる方向性が明らかになったとき、経営者はもちろん、経営者を支える事業再生コンサルタントにも希望が見えてくるでしょう。
| 事業再生計画の策定で求められるスキル | ・事業再生の各手法に関する知識 ・実行可能な再生計画を策定する力 ・事業構造の設計力・構成力 ・冷静な判断力 ・ステークホルダーや市場の状況を踏まえた客観性 ・根拠に基づいたロジカルシンキングと状況に対応できる柔軟性の両立 ・経営者を動かす説得力 |
3.事業再生コンサルタントの仕事:金融機関との交渉の補助
会社の経営者が債務者である金融機関との交渉を行うにあたり、事業再生コンサルタントは、交渉の補助をします。縁の下の力持ちともいえますが、実は交渉の行方を左右する重要な役割です。
事業再生コンサルタントが交渉の場に同席することで、以下のようなメリットがあります。
- 経営者と金融機関の意思疎通のサポートができる
- 双方の合意を促す妥協点を見出すことができる
- 経営者の心理的な負担を軽減
- 事業再生コンサルタントが支援しているという安心感がある
返済条件の変更や追加融資、担保の見直しなど、金融機関との交渉自体は経営者が行います。
事業再生コンサルタントが補助することで経営者の説明を補足をしたり、知識を補うことができるため、双方の意思疎通がスムーズになります。さらに交渉が難航した場合には、双方の妥協点を見出す手助けをすることも可能です。
※代理交渉や法的交渉、和解交渉のほか、紛争性が高いケースの対応は、弁護士に限られています。
金融機関が、危機的な状況にある会社に対し、慎重な姿勢を取るのは当然だといえるでしょう。
そんな状況で経営者が会社の再生を左右する交渉を行うのは、非常にプレッシャーが大きいものです。事業再生コンサルタントの援護を受けられることで、心理的な負担が軽減するはずです。
また、金融機関にとっても再生計画の実行性に対する安心感と信頼感が生まれます。
金融機関とクライアントの間で合意を得ることは簡単ではありません。しかし、関係者が納得し、合意を得られたときは、大きな達成感を得られるはずです。
| 金融機関との交渉の補助で 求められるスキル | ・財務知識 ・コミュニケーション力 ・ロジカルに説明する力 ・冷静な状況判断力 ・合意形成に導く調整力・交渉力 ・粘り強さ ・プレゼンテーション力 ・信頼関係の構築力 |
4.事業再生コンサルタントの仕事:事業再生計画の実行支援・モニタリング
事業再生計画の実行は、基本的には経営者です。事業再生コンサルタントは、状況をモニタリングをしながら、必要に応じて助言やサポートを行います。
事業再生は、必ずしも計画的に遂行できるとは限りません。事業再生コンサルタントは、計画の修正や新たな施策が必要であれば、柔軟かつ的確に対応します。
金融機関をはじめとするステークホルダーとも信頼関係を維持・構築していくことも重要な役割です。一般的には、半期もしくは四半期ごと、懸念性が高いケースは月次でミーティングを開催し、予実報告を行います。
予定と実績の乖離があった場合は、適切な是正を行い、その報告も欠かせません。
経営者が悩んだり躊躇したりすることもあるかもしれません。事業再生コンサルタントは、助言やサポートをしながら経営者を支えていきます。
クライアントの会社も経営者も変化を実感する時期が来るはずです。会社を守るということは、従業員の雇用を守ることにもつながります。
事業再生の支援を成し遂げたとき、その達成感とともに事業再生コンサルタントである自分自身も大きく成長していることを痛感するのではないでしょうか。
| 事業再生計画の実行支援とモニタリングで求められるスキル | ・冷静な分析力 ・状況を俯瞰的に把握する力 ・組織を動かす推進力 ・建設的なフィードバックをする力 ・将来を予測する先見性 |
5.事業再生コンサルタントの仕事:その他
あなたが事業再生コンサルタントになった場合、どんな日常になるのでしょうか。日々の業務について、解説します。
| 日常業務 | ●クライアントとのミーティング |
| スポット業務 | ●金融機関との交渉 ●緊急対応 |
事業再生コンサルタントは、クライアントである会社を訪問もしくは、リモートで状況のヒアリングや必要なデータの収集を行い、データとしてまとめ、分析します。その結果を踏まえ、クライアントと事業再生に向けた意見の交換や議論を重ねていきます。
事業再生コンサルタントは、事業再生計画の立案や成功に導くためのよりよい方法を模索し、改善を繰り返していきます。
また、金融機関などのステークホルダーには定期的な報告を行い、信頼関係を構築していくことも重要な役割です。
スポット業務としては、金融機関との交渉の場に同席したり、クライアントに不測の事態が起きた場合に対応することもあります。
時には不安になったり、会社の危機に感情に動かされてしまう経営者もいるかもしれません。また、事業再生コンサルタント自身が、強いプレッシャーを感じることもあるでしょう。どんなときでも、事業再生コンサルタントは冷静で客観的に状況を把握し、必要な業務を確実に実行することが求められます。
クライアントの状況によっては、非常に忙しくなることもあります。決して楽な仕事とは言えませんが、危機状態にあるクライアントを再生に導いたその先には、大きな達成感が待っているはずです。
| 事業再生コンサルタントに求められるスキル | ・諦めない精神力・責任感 ・いそがしい業務に対応する体力 ・常に学ぼうとする向上心 ・計画を実現させる行動力 ・常に冷静に状況を把握する力 ・信頼関係を構築するコミュニケーション力 |
6.事業再生コンサルタント4つのタイプ
事業再生を行うコンサルタントには大きく4つのタイプに分かれます。それぞれのバックグラウンドにより得意分野があり、それを活用した事業再生を行う傾向があります。
- 会計事務所系
- 経営コンサル系
- シンクタンク系
- FAS系
- 会計事務所系(税理士法人、公認会計士など)
会計事務所系は、債務超過や資金繰りなど会計数値に対する高い信頼性があります。顧問税理士であれば、経営課題の早期発見・早期対応も可能です。比較的、中小企業に強い傾向があります。 - 経営コンサル系(金融機関系含む)
事業構造や業務の改善、コスト削減など、実務的な戦略に強いのが経営コンサルタント系です。金融機関系のコンサルタント会社であれば金融機関との調整に強みを発揮します。 - シンクタンク系
シンクタンク系は、マクロ視点の分析に基づく客観的で精密な計画立案を得意とします。比較的、中立的な立場から提案を行う傾向があります。 - FAS系(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)
財務や法務に関する高い専門性を持つのがFAS系です。デューデリジェンスやスキーム設計に強く、M&Aの実行力が高いのが特徴といえるでしょう。
クライアントが大規模な会社であったり、状況が複雑になっている場合などは、タイプが異なる複数の事業再生コンサルタントが協力し合い、それぞれの得意分野を生かして事業再生に臨むケースが増えています。
7.事業再生にご興味をお持ちの方は辻・本郷 FASにお問い合わせください
辻・本郷 FAS株式会社では、再生局面にある会社の支援に一緒に向き合ってくださる方を求めています。
会計や財務の専門知識に強みを持つ弊社は、再生局面にあるクライアントの経営・財務面の安定化と利益最大化の実現をサポートし、日々、事業発展のために尽力しています。
グループ法人である辻・本郷 税理士法人との協業により税務面においてもサポートできることも大きな特徴といえるでしょう。事業再生がひと段落した後は、税理士法人にバトンを渡し、引き続き顧問税理士としてクライアントの事業を支えていくことも可能です。
辻・本郷 FAS株式会社には、以下のようなメリットがあります。

事業再生コンサルタントにご興味をお持ちの方は、辻・本郷 FAS株式会社にお問い合わせください。
8.まとめ
本記事では、事業再生コンサルタントの仕事内容をまとめました。
- 事業再生コンサルタントの主な仕事は、以下の4つです。
- 会社の現状分析
- 事業再生計画の策定
- 金融機関との交渉の補助
- 事業再生計画の実行支援・モニタリング
事業再生コンサルタントは、多忙であり、高い知識と経験を求められる一方で、非常にやりがいがある仕事といえるでしょう。
ご興味をお持ちの方のご参考になれば幸いです。
