
自己破産を経験した方が起業による再チャレンジを考えるとき、創業融資という選択肢が浮かんでも「無理だろう」と可能性を閉ざしてしまうことは少なくありません。失敗を経験しているからこそ、再び信用してもらうことが難しいと感じるのは自然なことです。
たしかに、自己破産歴がある場合の審査通過は簡単ではありませんが、申請資格自体がないわけでもありません。気になるのは「制度上は資格がある」という建前ではなく、実際に審査に通る?現実的には厳しいと考えるべき?という可能性の度合いではないでしょうか。
本記事では、現実的なハードルや審査の実態も示しながら、創業融資を受けられる可能性が生まれる条件や今の状況からできる具体的な準備を詳細に解説していきます。
目次
1.自己破産後でも条件次第で創業融資は受けられる
自己破産歴がある場合でも、創業融資を受けられる可能性はあります。
実際に、免責確定から7年以上経過後に創業融資へ申し込んだケースの審査通過率は20〜30%程度と言われています。高い数字ではありませんが、一定の可能性があることも読み取れます。
まずは、金融機関が自己破産歴をどう見るのかを整理しておきましょう。
1-1.自己破産歴があると審査通過のハードルは高い
自己破産歴があると、創業融資の審査はやはり不利な地点からスタートになります。過去に債務を返済できず破産に至った事実は、「再び同じことが起こるのでは?」という計画力や判断力への懸念材料として重く受け止められるからです。
信用情報機関に破産記録が残っている期間は、審査は極めて通りにくいとされています。また、記録が消えた後でも、通常より慎重に見られることは理解しておく必要があります。
1-2.自己破産歴が直接の否決理由にはならない
自己破産歴が創業融資の否決に直結するわけではありません。創業融資の審査では、破産歴の有無にかかわらず、返済能力・自己資金・事業計画などを総合的に評価します。
つまり、総合評価のうえで創業融資を受ける妥当性さえ示せれば、可能性は残されているとも言えます。金融機関は、自己破産したという過去を裁くわけではなく、その事実が現在の信用リスクとしてどこまで作用するかを見ているのです。
1-3.公庫で事故歴がある場合、創業融資を受けるのは不可能に近い
ここまでで「破産歴があっても条件次第で創業融資は狙える」という大枠を整理してきましたが、例外があります。それが、日本政策金融公庫で返済不能になった事故歴がある場合です。この場合、創業融資を受けることは実務上、ほぼ不可能に近いとされています。
理由は、創業融資の選択肢が次のような構造になっているためです。
・自己破産後は「同じルート」からの再借入は原則不可
・破産歴がある時点で、公庫以外(銀行・自治体)の創業融資は極めて難しい
この2点が重なるため、公庫で事故歴がある場合は創業融資という選択肢自体が事実上閉じてしまうという結論になります。(厳密には「絶対に無理」とは言い切れませんが、「限りなく不可能に近い」というのが専門家の実務感覚です)
そして、破産の原因が公庫以外の金融機関での借入だった、あるいは個人事情による破産で公庫には事故歴がない場合などは、創業融資の可能性自体は残ります。この“土俵に乗れるケース”を前提に、次の項目では可能性が残る場合の判断軸をさらに整理します。
1-4.「免責確定から7年」が1つの分岐点になる
創業融資審査の成否は、自己破産によるマイナスを現在の信用情報・収入・資金管理・計画の整合性などでどこまで補えるかによって決まりますが、こうした準備以前に、現在の信用情報がどの段階にあるかによって前提がまったく変わるという点も押さえておく必要があります。
創業融資が現実的な選択肢になるかどうかを左右する、もっともシンプルで有効な指標が免責確定からの経過期間です。特に免責確定から7年がひとつの大きな分岐点とされており、ここを境に信用情報の実務上の扱われ方が変わり始めます。
信用は、「問題なく収支管理が続いている期間」 が積み重なることで回復していきます。そのため、免責からどれだけ時間が経っているかは、回復の度合いを示す具体的な根拠になるのです。
それでは、免責確定からの期間ごとに見てみましょう。
| 免責確定からの期間 ※ | 融資の可能性 | 判断のポイント |
| 0〜5年 | ほぼ不可能 | ・信用情報に破産記録が残っている ・生活の再建期間が短く安定性を判断できない ・公庫であっても面談以前に厳しい判断 |
| 5〜7年 | 極めて 限定的 | ・破産歴は依然として審査に強く影響する ・信用情報が回復し始める人もいるが一律ではない ・公庫の実務でも「7年未満は厳しい」が通説 |
| 7〜10年 | 状況次第で 可能性あり | ・日本政策金融公庫でも免責後7年が1つの指標とされる ・生活基盤の安定性(勤続や収支)に説得力が増す ・自己資金+計画の整合性があれば検討対象 |
| 10年以上 | 現実的に 狙える | ・信用情報から破産歴が確実に消えている ・破産歴は特記事項になるが影響は薄まり始める ・自己資金や事業計画などの現状がそのまま評価されやすい |
※免責確定からの期間について
免責確定とは
一連の自己破産手続きが終了し、法律的に債務がゼロになった日のことを指します。融資審査で「何年経過したか」を判断する際の基準もこの免責確定日です。
免責確定からの期間
信用情報機関では、自己破産の記録はCICで5年、JICCで5年〜最長10年、KSC(全国銀行個人信用情報センター)で10年程度残ります。また、日本政策金融公庫では「免責から7年」が実務上のひとつの判断目安とされています。上記の期間の分け方は、こうした様々な情報をもとに整理したものです。公的に定められた審査基準ではなく、あくまで傾向を把握するための目安としてご覧ください。
創業融資の可否は、上記の前提のうえでどれだけ信用を積み上げられるか次第です。そこで、次章では、創業融資審査で特にチェックされるポイントを掘り下げて解説します。
※申し込みが現実的でない段階にある場合も、今から始められることはあります。「4章【免責確定からの期間別】再チャレンジに向けて今踏み出せる1歩」で、状況別の取り組み方をまとめています。
2.自己破産後の創業融資審査で問われる5つのポイント
創業融資は、これから事業を始める人が一歩踏み出すための資金を確保できるように設計された制度です。事業実績がない段階での申請となるため、審査では計画の実現性や返済能力を丁寧に確認するフローが組まれています。
自己破産歴がある場合、この「実現性と信用の裏付け」がさらに慎重に見られます。だからこそ、金融機関の視点を理解し対策を講じることが重要です。先に主なポイントを確認しておきましょう。
審査で特に気にされる5つのポイント
- 免責確定から一定期間が経過し、信用情報が回復しているか?
- 破産に至った理由と再発防止策を一貫して説明できるか?
- 資金管理の改善が見える形で、自己資金が積み上がっているか?
- 現在の返済能力を根拠のある数字や証拠で示せているか?
- 事業計画が過去の失敗を繰り返さない内容になっているか?
それぞれ詳細を見ていきましょう。
2-1.免責確定から7年以上経過し信用情報が回復しているか
前章でも触れたとおり、免責確定からの経過期間は、審査を左右する前提条件です。
日本政策金融公庫では「免責確定から7年」が申請が現実的になるひとつの境界と考えられています。絶対的な基準ではありませんが、まずはこの7年を目安に把握しておくと状況整理がしやすくなります。
土台となる信用情報が一定程度回復していなければ、その他の準備をどれだけ整えても審査通過は難しいものです。可能性が低い段階では、創業融資の申請を急ぐよりも自己資金づくりや計画の磨き込みに時間を充てる方が、結果的に近道となるケースが多くあります。
2-2.破産理由と再発防止策を一貫して説明できるか
審査で必ず問われるのが「なぜ返済不能に至ったのか」という理由です。事情は人によって様々だと思いますが、事業の失敗であれ、別の事情であれ、破産に至った経緯の説明は避けて通れません。
重要なのは、その経験をどう捉え、どのような再発防止策を講じ、実際にどれだけ行動として積み上げてきたか。ここに一貫性と納得感があるかどうかが評価の分かれ目です。
たとえば、状況の捉え方が他責に寄りすぎている、再発防止策の裏付けが曖昧……という場合、審査担当者は「同じ道を辿らないか?」と疑念を持つでしょう。逆に、説明と行動に納得感があれば「失敗を踏まえて再チャレンジできる人だ」と前向きに評価されます。
【NG】再発リスクがあると判断されやすいケース
- 取引先が急に倒産したせいで…など、外部要因のみを強調してしまう
- 具体的な再発防止策がなく「意識する」「注力する」という説明しかない
- 資金管理の甘さや判断ミスの課題を曖昧にしたままにしている
【OK】改善が見られ評価に繋がりやすいケース
- 破産に至ったプロセスを、外部要因と内部要因の両面から整理して説明できる
- 資金管理ルールの見直しや固定費削減など、再発防止策が現在の行動に反映されている
- 失敗から学んだ改善点が具体的に計画に反映されている
2-3.資金管理の改善が見える形で自己資金が積み上がっているか
自己資金とは、創業のために自分で準備した返済不要の資金(預貯金など出所が明確なお金)です。
破産歴がある場合、審査では金額の大きさだけではなく、その金額を積み上げてきたプロセスも重視されます。審査担当者が見たいのは、破産後に家計管理・収支管理を立て直し、継続的に黒字を作れる状態へ改善してきたかどうか。自己資金はその改善を裏付ける「行動の証拠」として扱われます。計画的に積み上げてきたプロセスが見えるほど、審査での説得力は高まります。
【具体例】改善が見える積み上げ方
- 給与や事業収入から、毎月一定額を継続的に積み立てている
- 一時的な入金で増えた残高ではなく、右肩上がりに近い形で増えている
- クレジットカードやローンへの依存を減らし、支出のコントロールができている
- 家計・事業の固定費を見直し、赤字月が例外的なケースにとどまっている
2-4.返済能力を客観的な根拠で示せるか
返済能力とは、問題なく返済していけるだけの収入構造がすでに確立しているかを指します。融資審査では、破産歴の有無に関わらず返済能力は重要項目です。ただし自己破産歴がある場合、その返済能力こそが最も懸念されているため、審査は通常よりも慎重に行われます。
特に求められるのは、過去とは明確に異なる安定した収入構造が現在すでに成立しているか?という一点です。必要なのは口頭の説明ではなく客観的根拠。「この収入と支出のバランスなら返済に耐えられる」と判断できる根拠を丁寧に示すことが重要です。
【具体例】返済能力を客観的に示す材料
- 収入基盤の証明:給与明細、確定申告書、売上台帳など、一定期間の安定収入を示す資料
- 返済に回せる余剰の明確化:月々の家計(または事業収支)で、返済に充てられる金額が継続的に残っていることを数字で示す資料
- 固定費や支出構造が適正である証拠:家計簿、事業の経費一覧など、返済負担を乗せても赤字化しない支出構造を示す資料
2-5.前回の失敗を繰り返さない事業計画になっているか
事業計画は、創業融資で最も重視される書類のひとつ。破産歴がある場合、一般的な審査で見られる売上の妥当性や収支計画の整合性に加え、同じ崩れ方をしない設計であるかを慎重に確認されます。
前回の破産が事業に起因していたケース、全く別の事情だったケース、今回は異なる業種に挑むケースなど背景はさまざまだと思いますが、金融機関が確認したい軸は共通しています。
資金不足を招きやすい要因(売上や収入の不安定さ、固定費の重さ、回収タイミングの遅さ、資金管理の甘さなど)をどのように捉え運営設計をしているのか?そして、その視点が事業計画に納得感のある形で落とし込まれているか?これらが審査での判断ポイントになります。
以下は、事業計画で特に示しておきたい代表的なポイントです。破産歴の有無に関わらず重要な要素ですが、再び資金が行き詰まらないか?という観点から、より厳しく見られる前提で準備する必要があります。
【具体例】事業計画で示しておきたいポイント
- 売上の不安定さへの対策:売上構成の分散、回収サイトの短縮など、資金ショートを避ける仕組みを組み込む。
- 固定費の重さに対する対策:必要以上の固定費を抱えない運営方法(小規模スタート、投資の段階分けなど)を数値で示す。
- 売上回収タイミングへの対策:請求〜入金の流れが改善されるモデルを具体的に説明する。
- 資金管理体制の対策:資金繰り表、予測管理、バッファ設定など、“管理の仕組み” を事業計画に明示する。
- 大きなリスクへの対策:急速に規模拡大を狙わず、売上とコストを段階的に積み上げる堅実な方針を示す。
本章では、破産歴がある場合に創業融資で特に注意深く見られる点を整理しました。次章は具体的な申請先の話に移ります。実際にどの金融機関なら審査通過の可能性があるのか、その具体的な選択肢を確認していきます。
3.【金融機関別】審査における破産歴の扱いと融資の可能性
結論から言えば、破産歴がある場合、創業融資の申請先は実質的に「日本政策金融公庫」に限られます。
銀行や自治体の創業融資は信用保証協会の審査を通る必要があり、破産歴がある時点でほぼ受け付けられないためです。
民間金融機関(銀行)や自治体制度融資にも「創業融資」は存在しますが、これらは信用保証協会の審査を通過する必要があり、破産歴があると事実上ほとんど土俵に乗りません。
公庫でも審査は厳しいですが、創業融資が通る余地のある唯一のラインと言えます。理由と背景を簡単に整理しておきましょう。
※公庫で事故歴がある場合は例外です
「選択肢は日本政策金融公庫に限られる」と説明しましたが、公庫で返済不能となった事故歴がある場合は例外です。自己破産歴の有無に関わらず、同一ルートでの再借入は原則できないため、実質的に唯一の選択肢である公庫で融資を受けることも不可能に近いためです。(絶対に不可ではないものの、実務上、可能性は極めて低いとされます)
3-1.日本政策金融公庫|破産歴がある場合の現実的な選択肢
日本政策金融公庫は、創業者支援を目的とした政策金融機関です。事業実績がない人の挑戦を後押しするために、創業向けの融資制度が設計されています。
このような背景から、破産歴がある場合でも「免責確定から7年前後を目安に、信用が回復していれば申請の土俵に上がれる」という特徴があります。もちろん、審査はかなり慎重にされますし、前章で述べた「信用の裏付け」「改善の根拠」「再発防止策の一貫性」はすべて厳しく求められます。しかし、申し込みが現実的に機能しうるのは公庫だけというのが実態です。
公庫が現実的な選択肢となりうる背景
- 政策目的として創業者の再チャレンジ支援を担っている
- 信用保証協会のような「過去の事故情報=即アウト」構造ではない
- 実務上「免責確定から7年」が一つの目安として扱われている
- 返済原資の見立てを「人物」「計画」「改善の根拠」まで含めて総合評価してくれる
審査に臨む際は単に必要書類を出すのではなく、回復の過程を丁寧すぎるくらいに伝えられる状態にして臨むことが大切です。
3-2.銀行・自治体(信用保証協会付き融資)|極めて厳しい
銀行融資や自治体の制度融資は、いずれも信用保証協会の審査を通る必要があります。そしてこの信用保証協会は、過去の事故歴(債務不履行)を最も厳しく見る機関。つまり、自己破産歴がある時点で信用保証協会の審査を通過すること自体が極めて厳しいという構造です。
このルートは実質閉じていると理解して差し支えなく、創業融資を検討する際は公庫に集中して準備を進めるのが合理的です。
4.【免責確定からの期間別】再チャレンジに向けて今踏み出せる1歩
ここまで、自己破産歴がある場合の創業融資申請について、以下のようなポイントを整理してきました。
- 自己破産歴があると創業融資の審査ハードルは非常に高い
- それでも条件次第では公庫を中心に狙える余地はある
- 審査では信用の回復状況・再発防止策が特に重視される
本記事のさいごに、今から具体的に取り組むべきことを明らかにしておきましょう。現時点では創業融資が受けられない場合でも、進められる準備はあります。まずは以下が全体像です。
| 免責確定からの経過期間 | 今やるべきこと |
| 7年以上 ※信用情報回復済み | 創業融資を現実的に狙えるため、入念な準備を ・資金管理の改善や積み上げの証拠を揃える ・事業計画の精度を上げる ・返済能力の根拠(数字)を整える |
| 5年〜7年 | 状況次第で視野に入るがハードルは高いため、現在地の把握から ・信用情報を開示して現在地を確認する ・不足しそうな点(返済能力・資金管理・計画の整合性)を重点的に整える |
| 5年未満 | 申請しても通らないため、着実に実績を積むことから ・黒字化の継続と自己資金の積み上げを進める ・家計管理や事業収支の改善習慣を定着させる ・次の申請可能ラインに向けて土台を整える |
この前提のもと、ケース別にもう少し詳しく見ていきましょう。
4-1.免責確定から7年以上(信用情報回復済み)の場合
免責確定から7年以上が経過していれば、信用情報の事故記録は概ね解消され、公庫の創業融資の申請の土俵に乗っている状態です。実務でも、このゾーンの創業融資の通過率はおおむね20〜30%とされ、現実的に狙える領域です。
ただし、あくまで「現実的な土俵に乗り始める」というスタートラインの話であり、融資の可否は当然その後の準備次第です。期間が経過した=破産歴が気にされなくなる、ということではないので、マイナスを解消できる条件がどこまで整っているのかが勝負になります。
自己破産歴があっても創業融資の審査を通過できる人には、次のような特徴があります。自身の状況と照らし合わせながら確認し、不安な点があれば埋めていきましょう。
自身と比較してチェック|破産後でも審査通過する人の特徴
- 破産に至った経緯を客観的に説明でき、改善の根拠が示せている
- 自己資金の積み上げ方に一貫した改善が見られる
- 家計・事業の収支管理がすでに安定しており、黒字が継続している
- 再発防止策と事業計画がつながっており、運営面の弱点を明確に克服している
- 事業計画の数字に無理がなく、返済原資の見立てが妥当である
4-2.免責確定から5年〜7年の場合
この時期は「可能性はゼロではないが、基本的にはまだ厳しい」というラインです。通過事例もありますが、極めて限定的です。焦って申請するより、まずは信用回復の積み上げを優先した方が合理的なケースが多いと言えます。
創業融資を活用した再チャレンジを目指すなら、この期間は土台を整えるフェーズ。収支の安定、自己資金の積み上げ、家計・事業の管理改善などを確実に進めておくことが、将来の再起に繋がりやすいでしょう。
※信用情報機関への開示請求で「信用回復の進み具合」が確認できます
この5〜7年の期間は、信用情報の状態が人によって分かれる時期です。自身の現在地を把握する意味では、信用情報機関(CIC・JICCなど)に開示請求し、事故情報の残り具合を確認しておく価値があります。記録が消えていても、それだけで融資の可能性が大きく上がるわけではありませんが、申請に向けた前提条件がどこまで整っているかを判断する材料になります。
4-3.免責確定から5年未満の場合
この時期は、創業融資よりも土台づくりを優先した方が確実です。家計・収支の安定、自己資金積み上げ、継続的に黒字を作る習慣など、事業を始めるうえで欠かせない基盤を整える期間と捉えるのが現実的です。
今すぐ創業融資を狙うことが難しくても、起業での再チャレンジの道そのものが閉ざされているわけではありません。小さく始めて実績を積むことで将来の可能性は広がります。
5. 自己破産後の創業融資申請に向けて受けられる支援
融資の成否は 、過去を教訓にどう改善し計画に落とし込めているか? にかかっていますが、これらを独力で組み立てる難易度は高いため、外部の専門家の力を借りながら準備を進めることも有効な選択肢です。
特に、融資制度の構造や金融機関の審査基準を熟知した専門家(認定支援機関の税理士、中小企業診断士など)は、相談先として心強い存在になるでしょう。
以下の表で、破産後の創業融資で直面しやすい課題と、支援により得られる効果を整理ました。
ご自身の状況と照らし合わせながら、必要な支援を見極めるヒントとして活用してください。
| 直面しやすい課題 | 支援によって得られる具体的な効果 | |
| 申請の タイミング | 申請すべき(できる)タイミングを判断できない… | 信用情報回復の目安に基づき、現実な視点で、適した申請時期や準備の進め方がわかる。 |
| 事業計画 | 事業計画の数字やストーリーに自信がない… | 融資担当者が納得する数値根拠に基づいた計画書作成の助言を受け、計画の妥当性を担保できる。 |
| 面談対策 | 過去の破産をどう説明すべきか自信がない… | 過去の破産を「教訓」として再構築し、融資担当者に納得されやすい説明ができるようになる。 |
| 書類準備 | 必要書類が多く、抜け漏れがありそうで不安… | 必要書類の整理・漏れ防止を体系的に進められるようになり、審査遅延や手戻りを防げる。 |
6.まとめ|段階に応じた着実な準備次第で、破産後でも創業融資を狙える
自己破産歴があることは、創業融資審査において不利ではありますが、道が閉ざされるわけではありません。重要なのは、金融機関がどこを見るのかを踏まえたうえで、自分にできる準備を着実に積み上げていくことです。時間が必要な局面もありますが、それは「挑戦の資格がない」という意味ではありません。信用の回復、事業計画の精度、日々の収支管理といった基礎が整えば、過去よりも現在の姿が評価されます。
そして、必要な条件を整えていけば、創業融資を活用した再挑戦は現実的な選択肢になります。
