源泉所得税の4つの納付方法|手順や注意点をわかりやすく解説

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監修者 宇都宮健太

源泉所得税の納付は、会社の経営者や個人事業主にとって避けては通れない重要な業務です。しかし、納付書の書き方やe-Taxの設定など、不慣れな方にとっては複雑に感じられる部分も多いでしょう。

本記事では、窓口での現金納付から、自宅やオフィスで完結するキャッシュレス納付まで、源泉所得税の納付方法を網羅的に分かりやすく解説します。ご自身の状況に合った最適な方法を見つけてください。

源泉所得税の納付方法は、大きく分けて以下の4つに分類されます。それぞれの方法には、手軽さや利用できる金額の上限、手数料の有無などの違いがあります。まずは以下の比較表で、自分にとって最も効率的な方法を確認してみましょう。

納付方法具体的な手段手間(利便性)特徴・注意点
1. 窓口納付金融機関・税務署の窓口多い・銀行や税務署へ行く必要があり、待ち時間が発生
・領収証書が即時発行される
2. e-Tax納付①ダイレクト納付非常に少ない・事前登録でクリックのみ、または指定日に自動引落が可能
②ネットバンキング少ない各金融機関のサイトからPay-easy(ペイジー)等で支払い
③クレジットカード少ない・24時間決済可能
・ポイントが貯まるが、決済手数料がかかる
3. コンビニ納付QRコード作成による現金払普通30万円以下限定
・納付期限を過ぎた「告知分」などが主
4. スマホアプリPayPay、d払い等少ない30万円以下限定
・使い慣れたアプリで手軽に決済可能

1.方法1:源泉所得税を窓口で納付する

窓口での納付は、インターネット操作に不慣れな方や、その場で確認しながら手続きを進めたい方に適した方法です。

1-1.税務署・金融機関窓口で現金納付する

窓口納付は、紙の納付書と現金を持参するだけで手続きが完了します。管轄の税務署、日本銀行の歳入代理店となっている金融機関(銀行、信用金庫など)、郵便局(簡易郵便局を除く)の窓口で納付できます。

窓口で記入済みの「所得税徴収高計算書(納付書)」と納税額を提示すれば、その場で受理され、領収証書が交付されます。領収証書は納付の証明となるため、必ず保管してください。

1-2.納付書の入手方法

納付書は、「給与支払事務所等の開設届」を提出した事業者に対して、税務署から毎年送付されます。送付された納付書には所轄税務署名、整理番号、納期区分などがあらかじめ印字されているため、該当箇所を記入するだけで使用できます。納付書が不足した場合は、管轄の税務署窓口で受け取れます。

1-3.源泉所得税の納付書の書き方

窓口納付には、専用の納付書(所得税徴収高計算書)が必要です。記載ミスがあると税務署側で内容が確認できず、納付の遅延とみなされたり、不納付加算税や延滞税が課される可能性があるため注意しましょう。

▼実際の納付書(上:毎月納付用 下:納期の特例用)

源泉所得税の納付書は、支払いの種類ごとに複数の用紙が用意されています。

主な納付書の種類

  • 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用):従業員への給与・賞与、退職金から源泉徴収した税額
  • 報酬・料金等の所得税徴収高計算書:税理士・弁護士等への報酬、講師謝金、原稿料、デザイン料など
  • 利子等の所得税徴収高計算書:預金利息など
  • 配当等の所得税徴収高計算書:株主配当など

支払内容に応じた納付書を使用しないと受理されない可能性があるため、正しい用紙を選びましょう。

1-3-1.項目別の記入ポイント

納付書を記入する際は、以下のポイントを確認しましょう。

​※納付する税額が0円(源泉所得税が発生しない)場合でも、納付書(徴収高計算書)の提出は必要です。その際は、税額欄に「0」と記入して提出してください。

  • 年度:会計年度(4月1日〜翌3月31日)を記載しま​す。例えば、2026年1月10日に納付する場合は「令和7年度(2025年度)」です。
  • 税務署名:管轄の税務署名を記入します(送付された納付書には印字済み)。
  • 整理番号:納税者を特定するための8桁の番号です(送付された納付書には印字済み)。
  • 支払年月日:実際に給与や報酬を支払った日付を記入します。
  • 人員:給与等を支払った対象者の延べ人数を記入します。(例:6ヶ月間2人に支払い続けた場合、人員は12人)
  • 支給額:社会保険料等を差し引く前の「総支給額」を記入します。
  • 税額:計算した源泉所得税の合計額を記入します。
  • 本税合計額:納付する税額の合計を記入します。金額の先頭には必ず「¥」マークを記載してください。
  • 徴収義務者欄:自社の所在地、名称、電話番号を記入します(送付された納付書には印字済み)。

1-4.納付書を書く際の注意点

複写式の納付書を使用する場合は、下の用紙にもしっかり写るよう筆圧を意識して記入してください。記入を間違えた場合は二重線を引き、余白に正しい内容を記載します。訂正印は不要です。ただし、修正箇所が多いと受理されない可能性があるため、できるだけ正確に記入しましょう。


2.方法2:源泉所得税をe-Taxを活用して納付する

e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すれば、オンライン上で納付情報の作成から支払いまで完結できます。窓口に出向く必要がなく、ペーパーレス化によって書類管理の負担も軽減されます。

本章では、クレジットカード、ダイレクト納付、インターネットバンキングの3つの納付方法と、e-Taxでの事前準備・データ作成手順を解説します。

2-1.e-Tax(電子納税)での納付情報の作成方法

e-Taxでオンライン納付を行うには、事前準備として「所得税徴収高計算書データ」を作成・送信する必要があります。これは、紙の納付書に記入していた情報をデジタル化する作業です。一度データを作成すれば、過去の送信データを再利用して翌月以降の入力を簡略化できます。

2-1-1.ステップ1:利用開始のための事前準備

はじめてe-Taxを利用する場合、開始届出書の提出が必要です。

国税庁ホームページからe-Taxソフト(WEB版)で開始届出書を提出すると、利用者識別番号が発行されます。この番号はe-Tax利用時に納税者を特定するためのもので、取得後に各種手続きが可能になります。マイナンバーカードがあれば、よりスムーズに手続きを進められます。

なお、e-Taxソフト(WEB版)はブラウザ上で利用できるため、パソコンへのインストールは不要です。スマートフォンやタブレットからも納付手続きができます。

​ただし、過去に取得済みの場合、過去のIDに紐づいた通知等が参照できなくなる場合があるため注意が必要です。​

2-1-2.ステップ2:徴収高計算書データの作成・送信

利用者識別番号と暗証番号でe-Taxソフト(WEB版)にログインし、徴収高計算書データを作成します。「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を選択し、支払人数や支給額、税額などを入力して税務署へ送信すれば完了です。電子データで送信するため、紙の納付書を郵送したり窓口へ持参したりする手間がかかりません。

データ送信後、e-Taxのメッセージボックスに「納付区分番号通知」が届きます。この通知から納付方法を選択し、支払い手続きを行います。納付期限内にデータを送信していても、納付自体が期限を過ぎると延滞税や不納付加算税が発生する場合があるため、データ送信後は速やかに納付手続きを完了させましょう。

今後も紙の納付書が不要な場合は、データ送信時に「所得税徴収高計算書用紙の送付の要否」欄で「送付不要」を選択すると、次回から納付書の郵送を止められます。

2-2.クレジットカードでオンライン納付する

クレジットカード納付は、「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて行う方法です。24時間いつでも手続きでき(メンテナンス時間を除く)、オフィスや自宅から納付が完了します。カードの支払いサイクルに応じて実質的に支払いを先延ばしにできる点や、ポイントが貯まる点もメリットです。

ただし、納税額に応じた決済手数料がかかります。手数料は1万円ごとに約99円(税込)で、例えば納税額30万円の場合は約2,970円です。

納付区分番号通知の「クレジットカード納付」ボタンをクリックすると、国税クレジットカードお支払サイトに遷移し、納付金額等の情報が引き継がれた状態で手続きを進められます。

2-3.ダイレクト納付で口座から引き落とし納付する

ダイレクト納付は、事前に届け出た銀行口座から即時または指定日に引き落としを行う方法です。一度登録すればクリック操作だけで納付が完了し、手数料もかかりません。

利用するには、事前に税務署へ「ダイレクト納付利用届出書」を提出する必要があります。書面での提出は受理まで約1ヶ月かかりますが、e-Taxから提出すれば約1週間で利用可能です。個人事業主がe-Taxから提出する場合は、金融機関届出印や電子証明書が不要です。

納付区分番号通知から「今すぐに納付される方」または「納付日を指定される方」を選択して手続きを進めます。納付日を指定する場合は、前日までに口座残高を確認しておきましょう。徴収高計算書データの送信時に「自動ダイレクトを利用する」にチェックを入れると、法定納期限当日(または翌取引日)に自動で引き落としが行われるため、納付忘れを防げます。

2-4.インターネットバンキング(Pay-easy等)で納付する

インターネットバンキングを利用している場合、Pay-easy(ペイジー)の仕組みを使って源泉所得税を納付できます。取引先の金融機関が「税金・各種料金払込みサービス」に対応している必要があるため、事前に確認しておきましょう。

納付区分番号通知から「インターネットバンキング」ボタンをクリックすると、取引先金融機関のインターネットバンキングに遷移し、納付情報が自動で表示されます。内容を確認して納付すれば完了です。


3.方法3:源泉所得税をコンビニでQRコードを使って現金納付する

コンビニ納付(QRコード)は、納付期限を過ぎて税務署から納税告知書が届いた場合に利用できる方法です。コンビニの営業時間内であれば土日祝日も納付でき、身近な場所で手続きを完了させられます。

なお、毎月の給与や報酬から天引きした源泉所得税の期限内納付には、QRコードによるコンビニ納付は利用できません。期限内の納付には、税務署・金融機関窓口での現金納付、e-Taxによる電子納税、クレジットカード納付、スマホアプリ納付を利用しましょう。

参照:国税庁「コンビニ納付(QRコード)のQ&A」

3-1.QRコードの作成方法

源泉所得税(告知分)のQRコードは、以下の2つの方法で作成できます。

方法1:国税庁ホームページから作成する

国税庁ホームページの「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」にアクセスし、住所・氏名・納付税目(「源泉所得税及復興特別所得税(告知分)」を選択)・納付金額などの必要情報を入力してQRコードを作成します。

方法2:e-Taxから作成する

e-Taxで申告データを送信した後、納税額が30万円以下の場合は、メッセージボックスに届く「納付区分番号通知」からQRコードを作成できます。

3-2.QRコードでの納付手順

作成したQRコードをスマートフォンに表示するか、印刷して持参します。対応コンビニ(ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ、ファミリーマート)に設置されているキオスク端末(Loppi、マルチコピー機)でQRコードを読み取らせると、バーコード付きの納付書が出力されます。このバーコードと現金をレジで提示し、払込金受領証を受け取れば手続き完了です。

3-3.QRコードでのコンビニ納付の注意点

納付できる金額は1回あたり30万円までです。30万円を超える場合は、税務署・金融機関窓口またはe-Tax等を利用しましょう。また、支払いは現金のみで、クレジットカードや電子マネーは利用できません。

コンビニで受け取る「払込金受領証」が納付の証明となるため、必ず保管してください(税務署や金融機関が発行する領収証書は発行されません)。なお、納付後は納付受託者が国税の納付を完了するまで納税証明書の発行に時間がかかる場合があるため、すぐに納税証明書が必要な場合は税務署や金融機関窓口での納付を検討しましょう。


4.方法4:源泉所得税をスマホアプリで納付する

PayPayやd払いなどのスマホ決済アプリを利用して、源泉所得税を納付できます。

利用するには、e-Taxの利用開始手続き(利用者識別番号の取得と初期設定)を完了させ、利用したいPay払いアプリをインストールしてアカウント登録と残高チャージを済ませておく必要があります。

2026年1月時点で利用可能なアプリは、PayPay、d払い、au PAY、LINE Pay、メルペイ、楽天ペイです。

4-1.スマホアプリ納付の具体的な手順

まず、e-Taxにログインして源泉所得税徴収高計算書データを作成・送信します。送信後、メッセージボックスに届く「納付区分番号通知」から「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスします。

サイトで利用したいスマホ決済アプリを選択し、画面の案内に従って支払いを完了させれば手続き終了です。

4-2.スマホアプリ納付の注意点

納付できる金額は1回あたり30万円までです。30万円を超える税額を分割して複数回納付することは控えるよう国税庁が明記しているため、30万円を超える場合はダイレクト納付やインターネットバンキングなど他の方法を利用しましょう。

Pay払いアプリによっては独自の上限金額が設定されており、30万円以下でも納付できない場合があるため、事前に確認しておきましょう。

領収書は発行されないため、必要な場合は税務署や金融機関窓口で現金納付してください。納付後は納税証明書の発行に時間がかかる場合があるため、すぐに納税証明書が必要な場合は他の納付方法を検討しましょう。

参考:国税庁「G-2-5 スマホアプリ納付の手続」


5.源泉所得税の納付に関するよくある質問

納付に際して、多くの方が抱きやすい疑問をまとめました。

5-1.源泉所得税の納付期限はいつですか?

源泉所得税の納付期限は、給与や報酬を支払った月の翌月10日です。10日が土日祝日の場合は翌営業日になります。毎月源泉徴収を行う事業者は、原則として年12回の納付が必要です。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満の事業者は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出することで、納付を年2回にまとめられます。1〜6月分は7月10日まで、7〜12月分は翌年1月20日までの納付となり、経理業務の負担を軽減できます。

なお、納期の特例の対象は、給与・退職金と、税理士・弁護士報酬など一部の報酬から源泉徴収した所得税に限られます。デザイン料や原稿料などは対象外のため注意しましょう。また、従業員数が10人以上になった場合は届出書を提出し、毎月納付に戻る必要があります。

参照:国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」

5-2.源泉所得税の納付書はどこで手に入りますか?

給与支払事務所等の開設届を税務署に提出している事業者には、税務署から納付書が郵送されます。所轄税務署名や整理番号などが印字済みのため、必要事項を記入するだけで使用できます。

納付書が不足した場合は、管轄の税務署窓口で入手できます。窓口に出向く時間がない場合は、電話で郵送を依頼することも可能です。

e-Taxを利用してオンラインで納付する場合、紙の納付書は不要です。e-Tax上で所得税徴収高計算書データを作成・送信し、ダイレクト納付やインターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリで納付を完了できます。

なお、2026年9月下旬以降、税務署窓口で配付される納付書の様式が変更される予定です。現行の複写式からA4サイズの単票式になり、整理番号も8桁から13桁の「お問い合わせ番号」に変更されます。ただし、現行様式は2028年9月頃まで使用可能です。

参照:国税庁「所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた」

5-3.納める税金が0円でも納付書を提出する必要はありますか?

源泉所得税の納付額が0円の場合でも、所得税徴収高計算書(納付書)の提出は必要です。提出がないと、税務署は「支払いがないから0円なのか」「納付忘れなのか」を判断できず、確認の連絡や調査が行われる可能性があります。

0円の納付書を記入する際は、「本税」欄に「0」、合計額欄に「¥0」と記載します。その他の欄(年度、税務署名、納期等の区分、徴収義務者情報など)は通常どおり記入してください。

提出期限は、原則として給与支払月の翌月10日まで、納期の特例を受けている場合は7月10日と1月20日までです。​なお、税務署窓口に紙の納付書を提出する場合は、提出の証明となる日付入りの控えを受け取ることができますので、必ず保管しておきましょう。​

参照:国税庁「源泉所得税の納税手続」

5-4.源泉所得税の納付は本人以外でも代理でできますか?

納付方法によって対応が異なります。

窓口での現金納付の場合、従業員や家族などの代理人が納付書と現金を持参して納付することは一般的に行われています。代表者本人が窓口に出向く時間がない場合は、代理人に依頼することも可能です。ただし、納付書の記載内容が正確であることを事前に確認し、領収証書を必ず受け取るよう伝えておきましょう。

e-Taxによる電子納税の場合は、利用者識別番号と暗証番号を管理している納税者本人が行うのが原則です。ただし、税理士に税務代理を委任している場合は、税理士が代理送信を行えます。その際は「電子申告にかかる利用者識別番号等の利用同意書」を税理士に提出し、e-Tax上で委任関係を登録する必要があります。


6.まとめ

源泉所得税の納付方法には、窓口での現金納付から、QRコード、スマホアプリ、e-Taxによる電子納税まで、さまざまな選択肢があります。

最も重要な点は、「期限内に、正確な金額を納付すること」です。期限を過ぎてしまうと、延滞税などのペナルティが発生するおそれがあるため、余裕を持った手続きを心がけましょう。

最初は窓口納付から始め、業務の効率化を求める段階になったら、オフィスから一歩も出ずに完結する e-Tax(ダイレクト納付など)へ移行していくのが、無理のないスムーズな進め方です。本記事を参考に、ご自身にとって最も負担の少ない方法を選択してください。