
「受取配当金とは何ですか?」と尋ねられたとき、一言で説明できるという方は多くありません。
「決算書を見ていて『受取配当金』という勘定科目が出てきたものの、売上とは何が違うのか分からない」、「仕訳は理解しているつもりでも、なぜ法人税で『益金不算入』になるのか説明できない」、「税理士から言われたとおり処理はしているが、理屈までは腹落ちしていない」といったような状態の方もいらっしゃることでしょう。
受取配当金とは、他の会社や法人などに出資していることに対して受け取る配当金(利益や剰余金・収益の分配)を仕訳するための勘定科目のことを指します。
ただし、受取配当金は、企業会計上は、損益計算書では営業外収益として処理される収益科目であり、法人特有の勘定科目として用いられます。個人の配当所得とは異なるため、注意が必要です。
この記事では、受取配当金の基本的な意味や該当するお金の種類から、具体的な仕訳方法、そして、実務で必ず押さえておくべき「益金不算入」の仕組みまでを整理していきます。ぜひご一読ください。
目次
1.受取配当金とは、投資している会社から支払われる配当を記録するための「収益の勘定科目」
受取配当金とは、投資先の会社から支払われる配当を記録するための「収益の勘定科目」です。つまり、法人が株式や出資持分を保有していることにより受け取る利益分配を、帳簿上で整理するための科目が受取配当金です。
このような勘定科目がある理由は、配当は本業の売上とは性質が異なる収益であるためです。
※また、7章でお伝えしますが、受取配当金は「益金不算入」という、法人税のかからない特殊な扱いになるためでもあります。
法人会計では、商品やサービスの提供によって得る対価は売上高として処理されますが、配当は「出資という資本参加」に対して生じるリターンです。そのため、損益計算書では営業外収益に区分され、本業以外で発生した収益として表示されます。区分を分けることで、企業が本業でどれだけ稼いでいるのかと、資産運用によって得た収益とを明確に分離できるのです。
例えば、上場株式や非上場株式からの配当金、中間配当、信用金庫や信用組合からの剰余金の分配、投資信託の収益分配金などは、いずれも「出資に対する利益分配」という共通点を持っています。これらは売上ではなく、出資という資本関係に基づいて受け取る収益であるため、受取配当金として処理されます。
したがって、受取配当金とは配当という経済的実態を、法人の帳簿上で適切に分類するための収益科目です。本業の成果とは切り分けて把握するために会計上整理している、という理解が必要です。
2.「受取配当金」と「配当金」との違い
受取配当金と配当金の違いは簡単で、「配当金」は経済的な実体を指す言葉であり、「受取配当金」はそれを帳簿に記録するための勘定科目名であるというだけです。
「配当金」という言葉は、会社が株主に対して利益を分配する行為や、その金額そのものを指す一般用語であり、会社法、税法、経済ニュースなど幅広い場面で使われます。一方で「受取配当金」は、その配当を受け取る側の法人が、会計帳簿に記録するときに使用する専門的な勘定科目です。つまり、前者は経済的事実、後者は会計処理上の名称という位置づけになります。
例えば、A社がB社の株式を保有しており、B社から10万円の配当を受け取ったとします。このときの経済的事実は「A社が配当金10万円を受領した」という出来事です。しかし、A社の会計帳簿上では、この出来事を「普通預金/受取配当金」という仕訳で処理します。ここで初めて「受取配当金」という勘定科目が登場します。
したがって、「配当金(実体)」を「受取配当金(勘定科目)」として計上する、という関係にあると整理できます。言葉は似ていますが、経済概念と会計上の分類名称という役割の違いがある点を押さえることが重要です。
3.「受取配当金」に該当する条件
受取配当金に該当するかどうかの判断基準は、「出資に対する利益分配かどうか」です。お金を受け取ったかどうかという点ではなく、そのお金が「出資の見返りとして分配された利益や剰余金かどうか」がポイントになります。
これは、受取配当金は「出資」という資本関係に基づいて生じる収益を処理するための勘定科目であるためです。したがって、
①相手に出資していること
②そのお金の性質が利息や値引き、返戻ではなく、利益または剰余金の分配であること
この二つの条件を満たす必要があります。
具体例として最も典型的なのが、上場株式・非上場株式を問わず株主として受け取る利益配当や中間配当です。また、信用金庫や信用組合に出資している場合の出資配当や剰余金の分配も該当します。さらに、株式投資信託からの収益分配金や、REIT(不動産投資法人)など投資口に対する分配のうち、会計上「配当等」として扱われるものも含まれます。企業組合や協同組合に対する出資に基づく分配金も同様です。
つまり、「株式・持分・投資口などの出資をしているか」、そして「その見返りとして利益や剰余金が分配されているか」が判断軸になります。この視点を押さえておけば、受取配当金に該当するかどうかを実務上迷うことは少なくなります。
4.「受取配当金」に当てはまらないケース
ここまで、受取配当金に該当する条件を整理してきました。名称に「配当」と付いていても、その性質が出資に対する利益分配でなければ、受取配当金として処理すべきではありません。この点を誤ると、会計区分だけでなく税務処理にも影響が及びます。
この章では、特に受取配当金と混同しやすい代表例を整理します。
4-1.保険の配当金
保険会社から受け取る「配当金」は、原則として受取配当金には該当しません。これは出資に対する利益分配ではないためです。
なぜなら、生命保険や損害保険の配当付保険における配当金は、保険契約の収支が予定より良好だった場合の割戻しという性質を持つからです。これは株式のような資本参加に対するリターンではなく、保険料の精算に近いものです。したがって、経済的実態は「出資の成果」ではなく「保険料の一部返還」と考えるのが適切です。
実務上は、契約者配当金を保険料の戻りとして処理し、前払費用や保険料の減額として処理するケースが一般的です。少額であれば雑収入として処理されることもありますが、いずれにしても受取配当金は使用しません。
「配当」という名称にとらわれず、そのお金が何の対価なのかを見極めることが重要となってきます。
4-2.預金・債券などの利息
銀行預金の利息や公社債・社債の利息も、受取配当金には該当しません。
これらは「利息収入」であり、利益分配ではないためです。利息は、資金の貸付に対する対価です。預金や債券は、相手に資金を貸している関係にあり、その見返りとして受け取るのが利息です。これは債権者としての立場に基づく収益であり、株主のような資本参加とは性質が異なります。
したがって、会計上は「受取利息」「有価証券利息」「受取利子」などの科目で処理します。もし利息収入を受取配当金に含めてしまうと、受取配当金に関する益金不算入の計算や、税務上の判定で誤りが生じる可能性があります。
つまり、出資か貸付かという関係性の違いが、勘定科目を分ける決定的なポイントになります。
4-3.値引き・リベート・ポイント等
取引先から受ける仕入割戻しや販売奨励金、ポイント還元なども、受取配当金ではありません。
これらは取引条件に基づく値引きやリベートであり、出資関係とは無関係であるためです。これらは、売買契約や取引量に応じて発生するものであり、資本参加の見返りではありません。
実務では、「仕入割戻し」「売上値引き」「雑収入」などの科目で処理します。そのため、受取配当金を使う場面ではありません。
以上のように、受取配当金に該当するかどうかは、「出資に基づく利益分配か」という点で判断できます。名称ではなく経済的な実態を見るようにしましょう。
5.受取配当金の仕訳
受取配当金の処理では、金額は決定された総額で認識するのが基本的な考え方になります。
この章では、受取配当金の仕訳について説明します。
5-1.基本形の仕訳(税引き前の金額がそのまま入金されるケース)
配当金がそのまま満額入金される場合、仕訳は非常にシンプルです。結論として、入金額と同額を受取配当金として計上します。
なぜなら、配当金の総額と実際の入金額が一致している場合、調整項目が存在しないためです。この場合、資産が増加し、同時に収益が発生したという事実をそのまま帳簿に反映させるだけで良いのです。
例えば、配当金10万円が普通預金に入金された場合は、借方に普通預金100,000円、貸方に受取配当金100,000円と仕訳します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 普通預金 | 100,000 | 受取配当金 | 100,000 |
これは、資産の増加と収益の発生を同額で認識している形です。
つまり、税金の控除などがなければ、受取配当金は「入金額=計上額」と理解して差し支えありません。
5-2.源泉税が差し引かれて入金されるケース(上場株式など)
源泉徴収がある場合でも、受取配当金の計上額は「手取り額」ではありません。貸方には「決定された配当金の総額」を計上します。
なぜなら、源泉徴収された税金は配当金の一部が消えたわけではなく、法人が納付すべき税金をあらかじめ差し引かれたにすぎないためです。収益の発生額自体は、決議された総額であるという考え方に基づいています。
例えば、配当金10万円のうち2万円が源泉徴収され、8万円が普通預金に入金された場合、借方に普通預金80,000円と法人税、住民税及び事業税20,000円を計上し、貸方に受取配当金100,000円を計上します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 普通預金 | 80,000 | 受取配当金 | 100,000 |
| 法人税、住民税及び事業税 | 20,000 |
ここで重要なのは、受取配当金はあくまで100,000円であるという点です。
したがって、このような場合、手取り額で収益計上してしまうと誤りになります。総額主義で処理することが原則です。
※益金不算入制度は「法人税計算上の課税所得をどれだけ減額できるか」という、あくまで税務調整の話になります。会計上は一旦、受取配当金を全額収益に計上したうえで、申告時に別表四・別表八で益金不算入額を算定し、税務上の所得から減算します。したがって、「益金不算入だから最初から手取りでしか収益認識しない」というような処理は誤りです。
6.受取配当金の計上のタイミング(いつ受取配当金を立てるか)
受取配当金は、法人の場合、原則として配当の効力を生ずる日(株主総会決議で定められた効力発生日)、つまり配当が決議され権利が確定した時点で計上します。
なぜなら、企業会計の基本は発生主義であり、収益は現金の受領時ではなく、権利が確定した時点で認識するのが原則であるためです。配当の場合は、株主総会などで配当が正式に決議された日がその基準になります。
※ただし、支払期間内の通常配当で、継続的に支払を受けた日の属する事業年度に収益処理を行っている場合、現金基準(入金日)での計上が認められるという例外はあります。
例えば、決議日に未収配当金100,000円/受取配当金100,000円と仕訳し、その後入金日に普通預金80,000円、法人税等20,000円/未収配当金100,000円と振り替えます。
①決議日(配当が確定した日)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 未収配当金 | 100,000 | 受取配当金 | 100,000 |
②入金日(源泉税2万円控除、8万円入金)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 普通預金 | 80,000 | 未収配当金 | 100,000 |
| 法人税、住民税及び事業税 | 20,000 |
ポイント
・収益認識は決議日(発生主義)
・入金時には未収配当金を取り崩す処理をする
この方法であれば、収益発生のタイミングと資金回収のタイミングを明確に区別できます。
※一方で、中小企業の実務などでは入金ベースで簡便的に処理するケースもあります。ただし、法人税申告との整合性や決算の正確性を重視する場合には、権利確定ベースで考えておくほうが望ましい場面も多いです。
以上のように、受取配当金の計上タイミングは発生主義で判断することが基本原則です。
7.受取配当金の一定割合は法人税などの計算に含めない
受取配当金を理解するうえで避けて通れないのが、受取配当金のうち一定割合は法人税などの計算に含めないという「益金不算入制度」です。
この制度は「同じ利益に法人税が二重にかかること」を防ぐための調整のルールです。会計と税務の違いがはっきり現れる部分でもあります。
7-1.受取配当金の益金不算入制度とは
受取配当金の益金不算入制度とは、法人が他の法人から受け取る配当金等のうち、一定割合を法人税の課税対象となる益金に算入しないという制度です。
この制度は、配当支払を行う法人の段階で既に法人税が課税されていることによる二重課税を防ぐために設けられています。
※配当の原資となる利益は、すでに配当を出した法人側で法人税が課されています。もし受け取った側の法人でも同額に課税すると、同じ企業グループ内の利益に対して二重に法人税が課されることになります。そこで、その調整として設けられているのが「受取配当等の益金不算入制度」なのです。
そのため、受取配当金は、会計上は当然「収益」として計上されますが、税務上は必ずしも全額が課税対象になるわけではありません。一定の条件を満たす配当は、法人税計算上「益金に算入しない」処理が認められています。
制度の内容は、配当の全部または一部を法人税計算上は益金に算入しない、つまり実質的に非課税扱いにするというものです。会計上は収益計上しつつ、税務申告で調整をかけるという構造になっています。
実務では、法人税申告書の別表八(一)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」において区分ごとの不算入額を計算し、課税所得を減額するかたちで調整します。こうすることで初めて、会計上の利益と税務上の所得との差異が整理されます。
7-2.区分ごとの益金不算入割合
益金不算入の割合は一律ではありません。持株割合に応じて4区分に分かれ、それぞれ不算入割合が異なります。
なぜなら、持株割合が高いほど「実質的に自社グループ内の利益移転」に近くなり、二重課税になる傾向が強くなるためです。逆に、単なる少数投資に近い場合は、投資収益としての性格が強まるため、不算入割合は小さくなります。
①完全子法人株式等(100%保有)
親会社が子会社株式を100%保有している場合の配当では、配当金額の全額が益金不算入となります。
これは、子会社で課税済みの利益を親会社へ内部移転しているにすぎないという性質が極めて強いためです。したがって、負債利子控除などの調整も不要で、100%がそのまま不算入となります。
②関連法人株式等(1/3超〜100%未満)
1/3超の持株割合を持ち、実質的な影響力を有する関係会社からの配当では、原則は全額益金不算入ですが、負債利子控除の調整があります。
その理由は、株式取得のために借入を行っている可能性があるためです。配当を非課税にしつつ、借入利息まで全額損金算入されると過度な節税となるため、一定額を益金算入に戻す仕組みが設けられています。
実務上は、「配当金額×4%」と「支払利息×10%」のいずれか少ない方などを基準として負債利子控除額を算定し、その分だけ不算入額を減らします。
つまり、この場合は原則、全額益金不算入なのですが、一部調整が入る区分となります。
③その他株式等(5%超〜1/3以下)
支配まではしていないものの、一定の安定株主に該当する水準の持株では、配当金額の50%が益金不算入となります。
この区分では、配当の半分は二重課税調整として非課税、残り半分は通常どおり課税対象になります。支配関係が弱まる分、非課税割合も縮小されるという構造となっています。
④非支配目的株式等(5%以下)
少数保有で、支配目的ではないポートフォリオ投資に近い株式では、配当金額の20%のみが益金不算入となります。
この場合、80%は通常の益金として課税されます。投資収益としての性格が強いため、二重課税調整は限定的にとどめられています。
以上のように、受取配当金の税務処理は「二重課税をどこまで調整するか」という視点と「持株比率による4区分」を押さえると理解しやすくなっています。資本関係の強弱に応じて設計された調整制度である点に注意しましょう。
8.受取配当金に関するよくある質問と回答
受取配当金について、特に質問が多い論点を、この章では整理していきます。
8-1.受取利息・雑収入・受取配当金の使い分けはどうしたら良い?
受取利息・雑収入・受取配当金の使い分けについては、名称ではなく「経済的実態」で判断します。判断基準となる軸は「出資の利益分配か、あるいは資金の貸付の対価や割戻しか」です。
・受取配当金は、他社株式や出資金、投資口などの出資に対する利益分配を処理する科目です。営業外収益に区分され、法人税では益金不算入制度の対象になり得ます。
・受取利息は、預金利息や貸付金利息、公社債利子など、資金の貸付や預け入れに伴う対価です。同じ営業外収益でも、益金不算入の対象ではなく、原則として全額課税されます。
・雑収入は、本業にも金融収益にも明確に分類できない一時的・例外的な収益です。保険の配当金やポイント還元の金銭化などが典型例です。ただし、継続的に発生する金融収益を雑収入で処理すると、営業外収益の実態が見えにくくなり、経営分析上も望ましくありません。
したがって、受取利息・雑収入・受取配当金の使い分けについては「出資の見返りかどうか」を起点に判断すると良いでしょう。
8-2.外国株式や投資信託の配当・為替換算・外国税額控除について知りたい。
外国株式や投資信託の配当・為替換算・外国税額控除については、国内株式と似ているようで税務上の取扱いが大きく異なります。
外国法人(子会社でない)からの配当は、原則として受取配当金で処理しますが、国内株式のような益金不算入制度の対象とはならず、全額が益金算入されます。現地で源泉徴収された外国所得税は、一定要件のもとで外国税額控除の対象になります。
一方、外国子会社からの配当は、一定要件を満たせば95%益金不算入の対象となります。この場合、外貨建てで受け取った配当額や源泉税額を所定の為替レートで円換算し、その金額を基礎に95%不算入額を計算します。ただし、この制度を適用する配当については、外国側で課された法人税は外国税額控除の対象外になるため注意が必要です。
外国籍の投資信託などは、組成形態や課税関係により扱いが異なります。配当等なのか、利息的性格なのか、譲渡益に近いのかを商品ごとに確認する必要があります。
為替換算のタイミングやレートの選択は、会計方針と税務通達の整合を取る必要があります。お悩みの際は税理士に相談することをおすすめします。
8-3.グループ会社間配当の会計処理・税務について知りたい。
グループ会社間配当の会計処理・税務では、持株比率の判定が最重要となります。
・100%子会社からの配当は、会計上は受取配当金として計上し、税務上は完全子法人株式等に該当し100%益金不算入となります。つまり、親会社側では実質非課税となります。
・少数持株のグループ会社間では、持株割合に応じて区分が変わります。関連法人株式等、その他株式等などの判定を誤ると、不算入割合を誤ってしまい、申告ミスのリスクにつながるため、注意が必要です。
・グループ通算制度を適用している場合は、関連法人株式等に係る受取配当等について負債利子控除の特例など追加論点が生じます。
このように、グループ内配当の場合には、制度を横断した理解が求められます。お悩みの際は税理士に相談することをおすすめします。
8-4.受取配当金にはどのようなメリットがあるか?
受取配当金の存在は、本業以外の安定収益源になり得る点が最大のメリットと言えます。
受取配当金は営業外収益として経常利益に寄与します。特に子会社・関連会社・取引先株式などを通じた持株戦略は、景気変動に左右されにくい収益源の確保につながります。
本業が変動しても、配当収入が下支えすることで経常利益が安定するという効果があります。したがって、受取配当金は、財務体質の安定性を示す材料にもなります。
8-5.配当収入をどう経営・投資戦略に活かすべきか?
配当収入を経営・投資戦略に活かしたいときには、納税後のキャッシュフローの視点で考慮することが重要です。
受取配当金は持株比率によって益金不算入割合が変わるため、単に配当利回りを見るのではなく、納税後にいくら残るかを前提に持株戦略を設計する必要があります。
例えば、外国子会社の配当では、95%益金不算入や外国子会社合算税制などを踏まえ、どの国からどのタイミングで配当を還流させるかが資金戦略の論点になります。
また、投資目的株式や投資信託の配当は、本業利益の変動を補完するキャッシュフロー源になり得ますが、配当水準の変動に依存し過ぎると経常利益が不安定になります。
したがって、受取配当金を経営・投資戦略に活かすには、銀行や株主への説明責任も含め、収益構造のバランスを意識することが重要となってきます。
9.受取配当金の税務処理などにお悩みの方は辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご検討ください
受取配当金は、単純な会計処理に見えて、実際には次のような複雑な論点を含みます。
・益金不算入割合の判定(持株比率の区分による)
・負債利子控除額の計算
・外国子会社配当の95%益金不算入の適用可否
・外国税額控除との関係整理
・グループ通算制度との整合
・別表八(一)など申告書別表の正確な作成
これらを誤ると、過大申告・過少申告のいずれのリスクも生じます。また、配当政策や持株戦略は納税後のキャッシュフローにも直結するため、税務面で誤りをおかさないようにすることは、経営戦略そのものとも言えるほど重要になってきます。
辻・本郷 税理士法人では、上場企業・中堅企業・グループ企業に対する税務顧問サービスを通じて、受取配当金の区分判定・申告実務サポートや、グループ会社間配当の最適設計、外国子会社配当還流の税務戦略立案、税務調査対策など、制度についての解説だけでなく、企業が実行可能な戦略設計までを支援しています。
制度を正しく使えば、受取配当金は強力な資金戦略のツールになり得ます。実務でお悩みの方は、専門家への相談を検討することをおすすめします。
10.まとめ
本記事のポイントである受取配当金について、改めて整理します。
・「配当金」は経済的事実、「受取配当金」は会計上の勘定科目である
・受取配当金は会計上は収益でも、税務上は「益金不算入制度」により調整が行われる
・益金不算入割合は持株比率により100%・50%・20%などに区分される
受取配当金には、二重課税を調整する意味合いがあり、グループ経営の資金移動手段としての意味合いもあり、また、投資戦略としての側面を持つだけでなく、経常利益を安定させる収益源としても活用されるというように、多面的な性質を持っています。
受取配当金についての正確な理解、また、戦略的な活用によって、企業価値の向上にもつなげることができます。お悩みの際には、税理士にご相談ください。

