
「会社が倒産してしまうかもしれない……」
この記事を読まれている方の中には、そんな不安に苛まれている方もいるのではないでしょうか。
そんな状況で、選択肢のひとつとなるのが民事再生です。
民事再生は、法的整理の手法のひとつで、裁判所の介入により倒産を回避し、債務の減額を受けることで事業の再生を目指します。
本記事では、民事再生の手続きについて、10段階のステップで解説しています。
目次
1.民事再生の流れ10のステップ
民事再生は、10のステップで手続きを行います。

なお、各手続きにかかる期間は、裁判所によって大きく異なります。手続きの際は、それぞれの裁判所に確認するようにしましょう。
1-1.民事再生の流れ:準備~開始決定
民事再生の準備から開始決定までは、4つのステップに分けられます。
STEP1:専門家や弁護士に相談
法人の民事再生は、事業再生等の専門家や民事再生にくわしい弁護士に相談するところからスタートします。
法律上は、経営者が民事再生を申立てることが可能です。しかし、手続きが煩雑であるほか、法的な知識が求められる交渉が少なくありません。代理交渉は弁護士のみが認められているため、実務上は弁護士が必須であると考えたほうがいいでしょう。
そのため、まずは民事再生に強い弁護士、もしくは弁護士と連携が取れる事業再生等の専門家に依頼することが現実的です。
ただし、専門家などの相談の上、「そもそも自社の状況に民事再生が適切か」という検討は、充分に行うことが必要です。
【STEP1:あなたがすべきこと】
- 民事再生に強い専門家や弁護士に相談する
- 専門家・弁護士と自社に最適な選択肢が「民事再生」であるかを検討する
- 専門家や弁護士の費用を含めた依頼条件を確認をする
STEP2:民事再生申立ての準備
民事再生の申立てには、主に次の書類が必要です。多くの場合、弁護士は、裁判所と事前協議を行い、スムーズな申立ての準備をします。
|
民事再生の申立ては、法人の本店所在地を管轄する地方裁判所で行います。置かれている状況や管轄する地方裁判所によって必要な書類や申立書の様式が異なるので注意が必要です。
一般的に弁護士は、裁判所と事前協議し、必要な書類の不足などがないように準備を行います。これにより、スムーズな申立てが可能になります。
手続きを開始するためには、民事再生手続きに必要な費用である予納金や申立手数料などを裁判所に納めなければなりません。申立書類と並行して、予納金などの準備をしておきましょう。
※法人の予納金は、200万円~1300万円程度(東京地方裁判所の場合)で、負債額や裁判所によって金額が決まります。
必要に応じて、保全処分命令申立書も準備します。
【STEP2:あなたがすべきこと】
- 弁護士の指示のもと、必要な書類の準備
- 予納金などの費用を用意する
STEP3:民事再生の申立て・保全処分
法人の本店所在地を管轄する地方裁判所に申立書や必要書類などを提出し、民事再生の申立てを行います。同時に保全処分命令申立書を提出し、財産を保全します。
財産の保全とは、債権者からの取立てや強制執行を禁止するとともに、債務者からの弁済も禁止する処分です。
民事再生の申立て後、裁判所は、債務者の財産や業務を監督する監督委員を選任し、監督命令により、財産の保全を行います。これ以降、債務者が財産の処分や借入れをするためには監督委員の同意が必要です。
ただし、申立てから監督委員選任まではタイムラグがあります。その間の債権者からの取立てや債務者による不平等な弁済を防ぐために、民事再生の申立てと同時に保全処分命令申立書を提出するケースが多くなっています。
【STEP3:あなたがすべきこと】
- 弁護士の指示のもと、適切な財産の保全を行う
- 債権者からの返済の強要など、トラブルが起こった場合は、すみやかに弁護士に相談する。
STEP4:民事再生開始決定
裁判所に民事再生の申立て後、書類を精査し、開始決定、もしくは棄却の判断が行われます。補正(不備などの修正)があれば、適切に対応します。
必要に応じて、債務者は債権者説明会を開催します。
会社の現状や再建計画の概要などを説明し、債権者の理解を得ます。必ずしも開催する必要はありませんが、民事再生には債権者の協力が欠かせません。債権者の理解を得るためには、非常に重要な機会といえるでしょう。
【STEP4:あなたがすべきこと】
- 専門家、弁護士と相談の上、債権者説明会を開催する
- 補正の指示があったら、適切な対応をする
1-2.民事再生の流れ:手続き開始~確定
裁判所から民事再生開始の決定がされると、いよいよ民事再生の手続きの開始です。
ここでは、事業再生計画案が確定するまでを5つのステップで解説します。

STEP5:債権者が債権届を提出・債務者の財産評定
民事再生手続きに参加する債権者は、裁判所から指定された債権届出期間内(概ね3週間から4カ月程度)に債権届の提出が必要です。また、債務者は、すべての財産の価額を評定します。
民事再生では、保全処分が出され、弁済禁止となることが一般的です。そのため、債権者は期限内に債権届を提出しないと、債務の弁済を受けられない可能性が高くなります。
一方で債務者は、民事再生手続の開始日が評価基準日として、すべての財産の価額を評定します。
財産評定は、会社の状況を明確にし、債権者や裁判所が再生計画案の可否の判断基準のひとつです。
なお、財産評定の実務上の対応は、各地方裁判所によって異なるので注意しましょう。
【STEP5:あなたがすべきこと】
- 民事再生手続の開始日を評価基準日とした財産評定を行う
STEP6:債務者が債権認否書を提出
債務者は、債権者が提出した債権届を受け、その認否を債権認否書にまとめて、裁判所に提出します。
弁済計画は、債権認否書の内容をもとに立てます。債務者は、債権届を帳簿などと照らし合わせ、事実と相違があった場合は、否認や一部認定を行うのが債権認否書です。
否認を受けた債権者は、その結果を受け入れるか、調査期間の末日から1ヵ月以内に査定の申立てを行い、裁判所の判断を仰ぎます。
査定の結果に不服がある場合は、さらに所定期間内に異議の訴えを提起することが可能です。
【STEP6:あなたがすべきこと】
- 債権者が提出した債権届を帳簿などと照らし合わせ、債権認否書を作成する
STEP7:再生計画案の策定・提出
債務者は、弁済率(債務総額のうち返済する割合)のほか、返済方法や期間、事業改善策を明確にした再生計画案を策定、裁判所に提出します。
再生計画案は、債権者の決議を受け、裁判所の認可を得て確定します。つまり、債権者が「再生をさせたい」と思えることが重要です。
再生計画案に記載する弁済率は、債務者側が決めることができます。ただし清算価値保障原則があり、会社を清算した場合に債権者に配当される金額(清算価値)を上回ることが必要です。
再生計画案は、再生後の事業の運転資金も踏まえ、専門家と相談しながら、慎重に策定することが必要です。
裁判所は、提出された再生計画案について付議決定(決議を受ける決定)し、債権者による決議に進みます。
【STEP7:あなたがすべきこと】
- 専門家や弁護士のサポートを受け、再生計画案を策定する
STEP8:債権者による再生計画案の決議
付議決定を受けた再生計画案は、裁判所主催の債権者会議か書面による投票、もしくはこの2つの方法の併用により、決議されます。
再生計画案が可決されるためには、議決権者の過半数および、議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する債権者の同意が必要です。
これに満たない場合、再生計画案は不認可となり、民事再生による債務の減額を受けることができません。
【STEP8:あなたがすべきこと】
- 裁判所主催の債権者会議に出席し、状況の説明のほか、謝罪や協力の依頼をし、決議を受ける
(書面決議の場合は、再生計画案とともに送付する説明資料を作成するほか、必要に応じて任意の債権者会議を開催する)
STEP9:再生計画案の認可・確定
債権者から可決された再生計画案は、裁判所で法律上の問題の有無などの審査を受け、許可決定されます。官報で公告が行われたのち、一定期間内に利害関係者からの不服申し立てによる即時抗告がなければ、再生計画の確定です。
【STEP9:あなたがすべきこと】
- 債権者のほか、取引先や従業員などから問い合わせがあった場合は、適切に対応する
- 万が一、不服申し立てがあった場合は、弁護士と相談の上、対応する
1-3.民事再生の流れ:再生計画の遂行
再生計画案が確定したら、いよいよ計画を遂行します。

STEP10:再生計画の実施・監督
債務者は、再生計画に則り、債権者に対する弁済を開始します。
原則として弁済期間は3年です。
※特別な場合は、5年まで延長されることがあります。
弁済が完了、もしくは再生計画認可決定確定後3年間経過すると再生手続は終結します。それに伴い、裁判所からの監督は終了します。その時点で弁済すべき債務が残っている場合は、引き続き弁済を行います。
【STEP10:あなたがすべきこと】
- 再生計画に則って、確実に債務の弁済を行う
- 事業再生に向けて、継続的に計画を実行していく
- 必要に応じて、裁判所や監督委員に事業報告をする
2.事業再生のお悩みは辻・本郷FASにご相談ください
辻・本郷 FAS株式会社は、御社の事業再生に対し、これまでの実績や経緯を踏まえ、財務や経営など多方面から検討した早期再生を図るために最適なご提案をいたします。
辻・本郷グループのバックアップにより、弁護士をはじめとする各種士業と綿密に連携が取れるほか、事業再生を成功させた後も、辻・本郷 税理士法人による経営サポートが可能です。

事業再生にお悩みの方は、辻・本郷 FAS株式会社にお問い合わせください。
3.まとめ
本記事では民事再生の流れについて解説しました。
民事再生は、次の10のステップで手続きをします。

法律上は、債務者である経営者でも手続きが可能です。しかし、法的な交渉も多いことから、実務上は民事再生に強い弁護士もしくは、弁護士と連携がとれる事業再生等の専門家のサポートが欠かせません。
民事再生をご検討の方の参考になれば幸いです。
