
「過剰な債務をどうすればいいのか悩んでいる」
そんなお悩みを抱える経営者に知っていただきたいのが、DESとDDSです。
財務リストラクチャリングの中でも、特に過剰な債務を解消するために用いられる手法です。比較されることが多い2つの手法ですが、具体的にはどうのように違うのでしょうか。
本記事では、この2つの手法の違いについて分かりやすくまとめました。
過剰債務を解消するヒントになれば幸いです。
目次
1.過剰な債務を解消するDESとDDSとは?
DESとDDSは、ともに過剰な債務を解消するための手段として用いられる手法です。次の方法で過剰な債務を解消します。
| 正式名称 | 解消の方法 | |
| DES | デット・エクイティ・スワップ | 債務を株式化し、債務超過を改善する |
| DDS | デット・デット・スワップ | 債務の種類を交換し、返済条件を変更する |
次章では、DESとDDSの違いをよりくわしく解説します。
2.DESとDDSの違い5つの視点
DESとDDSの違いを、次の6つの視点から解説します。
●仕組みの違い |
2-1.DESとDDS:仕組みの違い
DESは債務と株式を交換するのに対し、DDSは債務を異なる条件の債務と交換する方法です。その仕組みをくわしく解説します。
DESの仕組み
DES(現物出資型)では、債務者(会社)が債務の時価と同額の株式を発行し、債権者は、債務と株式を交換します。

DESでは、債務者は債権者から、株式相当分を出資を受けたことになります。
債務は負債、株主資本は純資産に分類されるため、DESを行なったことで負債が減り、純資産が増加します。バランスシートが健全化することで会社の信用力が高まり、さらなる資金調達も可能です。
なお、金融機関には、銀行法等により、5%ルールが適用されます。原則として国内事業会社の議決権の5%を越える株式の保有をすることができません。
DESには、現物出資型と現金出資型があり、現金を介在させるか否かが、その違いとなります。
現物出資型=債務を債権者から債務者(会社)に対する出資金とし、出資額と同等の株式の発行をする。
現金出資型(疑似DES)=債権者が債務者(会社)に対して、現金を払込み、債務者は株式を発行する。払込んだ現金は債務の返済に充てる。
DDSの仕組み
DDSでは、返済期間が長いものや低金利などの条件が異なる債務に借り換えたり、一定の条件を備えた劣後ローンなど資本性が高い債務に借り換えます。

返済期間が長いものや低金利の債務に借り換えることにより、当面の返済の負担を軽減し、資金繰りの改善が可能です。
また、一定の条件を備えた劣後ローンのような資本性が高い債務に借り換えた場合、債務がみなし資本として認識されることがあります。

みなし資本は、金融機関によっては資本として扱われる可能性があるため、新規融資が受けやすくなったり、融資を受ける際の金利が下がるなどの効果が期待できます。
なお、借り換えたとしても、債務であることは変わりません。DDSでは、必ず返済が必要です。
2-2.DESとDDS:債務の額の違い
DESとDDSでは、債務の扱いがどう変わるのでしょうか。
- DES=株式に変更した分は、債務がなくなる
- DDS=債務は変わらない
DES:債務は、株式に変わります。つまり、株式化した分の債務がなくなるため、元金を返済する必要がなくなります。
DDS:債務から債務に変更するので、実際の債務の額は変わりません。
2-3.DESとDDS:経営に与える影響の違い
次にDESとDDSが債務者に与える影響を比較します。
- DES=債権者(株主)から、経営に干渉される可能性がある
既存の株主の権利が希薄化 - DDS=特約事項や個人保証を求められる可能性がある
DES:債権者は、株主に変わります。そのため、経営に干渉され、経営の自由度が低下することが懸念されます。また、既存の株主の権利が希薄化する可能性もあることにも注意が必要です。
DDS:債権者にとってDDSにおける債務不履行は、大きなリスクです。そこで、債務者に対し、定期的な経営状況の報告や意思決定に関する約束事、赤字決算の回避などの条件が付けられるというような、特約事項が設定されることがあります。
債権者から個人保証を求められる可能性にも注意が必要です。債務不履行に陥った場合、経営者が個人の資産で負債を返済を負わなければいけないケースもあります。
2-4.DESとDDS:債権者に与える影響の違い
DESやDDSを実施すると、債権者にとってはどのような影響があるのでしょうか。
- DES=経営に関与できる
将来的に株式売却益や配当を受け取れる可能性がある
利息による収入が減少 - DDS=債務不履行のリスクがある
DES:前項の「2-3.経営に与える影響の違い」で申し上げた通り、債権者が株主になることで、経営に直接関与することが可能になります。当該会社の新たな可能性を見出すことにも可能かもしれません。
会社の業績が向上すれば、配当を受け取れるようになったり、株式売却益を得られることも期待できるでしょう。
ただし、債務がなくなるため、利息を受け取ることができなくなります。
DDS:債権者にとって最も懸念されるのが、債務不履行のリスクです。債権者にとっては、慎重な検討が必要である手法といえるでしょう。万が一、債務不履行になった場合の対策を検討することも必要になります。
2-5.DESとDDS:金銭面の違い
DESとDDSの違いを金銭面から解説します。
- DES=利息の負担がなくなる
税金負担が増える可能性がある
株価が変動することが考えられる - DDS=債務返済の負担が軽減できる
融資を受けやすくなる可能性がある
DES:債務者にとって、利息の負担がなくなるのは、大きなメリットです。
一方で、債務の時価と株式の差額に債務消滅益が発生する可能性があるほか、資本金が増えることによる税金の負担が増えることも考えられます。
また、新たな株式の発行による株価の変動にも注意が必要です。
DDS:経営危機にある会社に対する融資は、利息が高く設定されたり、融資そのものを受けることが難しいものです。その結果、資金繰りが厳しくなっていくという悪循環が生まれます。
DDSを実施することにより、月々の債務返済の負担が軽減することが可能です。
また、劣後ローンなどの資本性が高いローンに借り換える方法により、融資を受けやすくなることも考えられます。
ただし、最終的には債務は返済しなければならないため、長い目で見た返済計画が必要です。
3.DESとDDSを選択する基準は?
自社にとって、DESとDDSのどちらが適切かは、その目的や会社の状況や規模を鑑みて客観的な判断が必要です。
DESとDDSを選択する判断の例を紹介しましょう。
- 経営への介入を避けたい=DDS
※金融機関によっては条件がつくことがあります。 - 債務超過の状態から、信用を回復したい=DES、DDS
- ビジネス上の問題(公的入札等)で債務超過を解消したい=DES
- 黒字転換する可能性が高いが、当面の資金繰りが厳しい=DDS
実際には、DESとDDSが組み合わせて用いられることもあります。どちらを選択すべきかは、財務や事業再生に強いコンサルタントや顧問税理士、公認会計士などの専門家に相談することをおすすめします。
4.財務体質のお悩みは辻・本郷FASにご相談ください
事業再生はもちろん、M&Aにおいても会社の財務体質の改善は欠かせません。
辻・本郷FAS株式会社では、DES、DDSはもちろん、御社に最適な方法で、財務体質改善のサポートをさせていただきます。
辻・本郷 FASのスタッフは、税理士や会計士、金融機関出身者などのプロフェッショナルで構成されており、それぞれの分野に精通したスタッフが業務を担当します。
さらに辻・本郷 税理士法人をはじめとする、辻・本郷グループの幅広いサポートが可能です。

DES、DDSを含む財務体質に関するお悩みは、ぜひ辻・本郷FAS株式会社にご相談ください。
5.まとめ
本記事では、過剰な債務を改善するDESとDDSの違いについてまとめました。
もう一度振り返ってみましょう。
【仕組みの違い】
- DES(デット・エクイティ・スワップ)は、債務者(会社)が債務の一部と同額の株式を発行し、債権者は、債務と株式を交換します。
それにより、バランスシート上では、純資産が増加し、負債が減少します。

- DDS(デット・デット・スワップ)は、条件が異なる債務に借り換えます。

一定の条件を備えた劣後ローンなどの資本性が高い債務に借り換えた場合は、債務がみなし資本として認識される可能性があります。

債務の借り換えを行なっても、債務であることは変わらないため、必ず返済が必要です。
【債務の額の違い】
- DES=株式に変更した分は、債務がなくなる
- DDS=債務は変わらない
【経営に与える影響の違い】
- DES=債権者(株主)から、経営に干渉される可能性がある
既存の株主の権利が希薄化 - DDS=特約事項や個人保証を求められる可能性がある
【債権者に与える影響の違い】
- DES=経営に関与できる
将来的に株式売却益や配当を受け取れる可能性がある
利息による収入が減少 - DDS=債務不履行のリスクがある
【金銭面の違い】
- DES=利息の負担がなくなる
税金負担が増える可能性がある
株価が変動することが考えられる - DDS=債務返済の負担が軽減できる
融資を受けやすくなる可能性がある
【DESとDDSを選択する基準】
DESとDDSのどちらが適切であるかは、目的や会社の状況や規模を鑑みて客観的な判断が必要です。
財務や事業再生に強いコンサルタントや顧問税理士、公認会計士などの専門家に相談することをおすすめします。
以上、過剰な債務解消の方法として、DESやDDSをご検討の参考になれば幸いです。
