ファミリーオフィスの設立方法と外部専門家の支援内容を詳しく解説!

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監修者 辻・本郷 ファミリーオフィス株式会社 広報担当

「ファミリーオフィスの設立って実際どうなんだろう?」

「自分たちにとって本当に必要なのかな?」

ファミリーオフィスは、大きな資産を持つ一族が永続的に繁栄していくために重要な仕組みです。

一部の富裕層向けの概念であるため「自分たちにとって必要なのかどうか判断できない」という人もいると思います。

結論からお伝えすると、一定の目安として50億以上の資産を持つ一族であればファミリーオフィスは必ず導入すべきです。

せっかく築いた資産が世代交代のたびに目減りしてしまったり、創業者の想いや一族の価値観などを後世に残すことができなくなったりしてしまうからです。

しかし内部の調整を身内だけでやろうとすると対立が生まれやすいため、ファミリーオフィスを設立する場合は外部の専門家のサポートが必須となります。

また、実際に設立する上での注意点を把握し、さらに設立後に意識すべき成功ポイントもきちんと押さえておかなければ、せっかく設立しても思うような結果が得られないということも考えられます。

そんな事態を避けるためこの記事では、ファミリーオフィスの設立に関心がある人に向けて以下の内容を解説していきます。

この記事でわかること
・ ファミリーオフィス設立の形態
・ ファミリーオフィスの外部サポートが行うこと
・ ファミリーオフィスを設立するときの注意点
・ ファミリーオフィス設立を成功させるポイント

設立時の注意点や成功のポイントを知ることで、自分に合ったファミリーオフィスの立ち上げを実現できるようになるでしょう。

それでは、ファミリーオフィスの設立について詳しくお伝えしていきます。


1.ファミリーオフィスの設立は一族の永い繁栄に不可欠!

ファミリーオフィスを設立すると、一族の事業や資産を永く繁栄させていくことができるようになります。

設立することで一般的に下記のメリットがあります。

ファミリーオフィスを設立するメリット
・ 資産管理・運用を一元管理できる
・ 総合的な目線で相続対策が行える
・ 資産家ならではの問題を事前に防止できる
・ 一族に合ったサービスを提供してもらえる
・ 将来を見据えた一族の繁栄をサポートしてもらえる

資産運用や相続対策などの部分はイメージしやすいと思いますが、ファミリーオフィスによって得られる恩恵はそれだけではありません。

大きな一族だからこそ生じやすい家族間のトラブル防止や、子供に受けさせる適切な教育内容の選定、最先端の医療を受けられる施設のアレンジなど、一族が繁栄し続けるために必要なことは全てカバーされます。

また、個々の持つ資産や能力、経験などを見える化して管理し、未来の一族のために大切に守って引き継いでいくことで、金融資産のような有形資産はもちろんのこと、人脈やノウハウといった無形資産もきちんと継承できるようになります。

「今保有している資産を守る」という点にとどまらず、「一族が資産を安定的に受け継げる仕組みを作り、将来にわたって繁栄し続けられるようにしたい」という場合は、ファミリーオフィスを設立すべきだといえるでしょう。

多額の資産を保有している一族はとくに重要
特に多額の資産を保有している一族の場合、何世代も資産や事業を受け継いでいく中で以下のような問題が発生することがあります。  

・ 一部の人の投資ミスや不十分な節税対策などによって、一族全体の資産が減ってしまう
・ 事業を行っている場合にその方向性について親子や兄弟間でもめてしまい経営に悪影響が出る
・ 株式の管理が不十分で、事業を他者に乗っ取られる
・ 人脈などの無形資産をうまく引き継げず、次世代がその恩恵を得られなくなる
・ 離婚に伴う財産分与によって、多額の資産を失う

このような問題が生じると、創業者たちの築いた大切な資産をきちんと受け継ぎ、繁栄し続けることができなくなってしまいます。

これまで日本では、「法務は弁護士」「財務、税金は税理士」「投資は金融機関」というように、部分的にしかサービスが提供されていませんでした。

しかし、欧州最大のコンサルティングファームである「キャップジェミニ」の調査によると、「富裕層の7割は『次世代が適切に遺産を管理できない』ことを懸念している」という結果も明らかになっています。

ファミリーオフィスのように総合的なサポートができる仕組みを取り入れることは、多くの資産を持つ一族にとっては非常に重要だといえるでしょう。


2.ファミリーオフィス設立の形態は4つ

ファミリーオフィスを設立すべき意義についてはご理解いただけたと思います。

そこでここからは、ファミリーオフィスの設立について関心がある人が知っておくべきことを、より詳しく見ていきましょう。

基本的に「ファミリーオフィス」とは、「一族の永続的な繁栄や成長のために、資産を管理・運営する体制のこと」を指します。

そのため「一族の中でそれぞれの家族から代表者を出して年に1回話し合う会を設ける」というだけでも「ファミリーオフィスを設立した」ということになります。

ただし、やはり自分たちだけでできることには限りがあるため、より一族の資産管理状況や関係性を良いものにしたいという場合は、外部の専門家の力を借りるのが一般的です。

その主な種類は以下のように4つに分かれます。

規模や目的に応じて、自分たちに合った形態を選ぶため、まずはそれぞれの特徴を学んでいきましょう。

2-1.特定の一族のためだけの専属組織:シングル・ファミリーオフィス

「シングル・ファミリーオフィス」は、特定の一族が自分たちの資産を管理するためだけに設立する組織のことを指します。

一族が巨大で関係者の数が多かったり、多額かつ多数の資産を保有していたりして対処すべき問題が複雑化している場合は、このようなシングル・ファミリーオフィスという形態が選ばれます。

自分たちのためだけに優秀な専門家を多数雇わなければならない分、運営には大きなコストがかかるため、資産規模が1,000億円を超えるような大きな一族ほど、この手法を選ぶ傾向があります。

実際に、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏のシングル・ファミリーオフィスの場合、運用資産額は12兆円を超え、その従業員数は100人以上にものぼるとされています。

2-2.複数の一族を管理する組織:マルチファミリーオフィス

「マルチ・ファミリーオフィス」は、単独の一族の資産だけを管理するのではなく、複数の一族の資産を管理する仕組みのことをいいます。

シングル・ファミリーオフィスが必要になるほどは家族や抱えている問題が複雑化しておらず、資産も数百億円規模の場合は、こちらの形態が選ばれます。

自分たちの一族専属の組織ではない分管理コストを抑えることができるため、最もコスト効率の良い方法だといえるでしょう。

資産の目安は100~1,000億円とされていますが、50億円規模の資産でも活用できる「マルチ・ファミリーオフィス」もあります。

2-3.金融機関などが資産運用を行う:コマーシャル・ファミリーオフィス

「コマーシャル・ファミリーオフィス」は、プライベートバンクや金融機関が、資産家個人の資産運用部分をサポートするものです。

その機能は資産運用に限られるため、厳密にいうと「ファミリーオフィス」ではありません。

「一族の永続的な繁栄を求める」というよりは、

「自分の代の資産運用をプロに任せたい」

「親族は少なくて問題も生じないので資産管理だけをしてほしい」

というようなニーズを持つ人に利用されることの多いサービスです。

2-4.持株会社が資産運用を行う:エンベデッド・ファミリーオフィス

最後の「エンベデッド・ファミリーオフィス」は、個人や家族の設立した持株会社に資産運用を担わせるというものです。

比較的資産の少ないファミリービジネスで利用されることの多い方法で、こちらも資産運用のみを業務範囲とすることから、厳密には「ファミリーオフィス」に該当しません。

本業として事業を営んでいる場合に、それとは別の持株会社に資産運用を行わせることで、本業に対するリスクヘッジをしながら資産を運用できるというメリットがあります。


3.ファミリーオフィスの外部サポートが行うこと6つ

ファミリーオフィスを設立するときは外部の専門家の力を借りたほうが良いということと、その形態の種類についてはご理解いただけたと思います。

次に気になるのは、「実際にファミリーオフィスで外部の専門家がやってくれることって何なんだろう?」という点ではないでしょうか。

これを知らないままでは、ファミリーオフィスの設立について結局よくわからないまま、設立すべきかどうか判断できない…と悩むことになってしまうでしょう。

そこでこの章では、ファミリーオフィスで受けられる外部サポートの内容として以下の6点を解説していきます。

ファミリーオフィスの外部サポートが行うこと6つ
・ ファミリーの中核(中心人物)へ情報収集を実施する
・ ファミリー内のルール(ファミリーガバナンス)を作る
・ 資産管理・運用を行う
・ 事業経営や資本政策のアドバイスを行う
・ 相続・事業承継対策のアドバイスを行う
・ 上記以外のあらゆるファミリーのニーズに答える

ファミリーオフィスの外部サポートでは、上記のように一族の事業戦略や資本政策の策定、ファミリー資産の管理・運用・承継を行うとともに、計画的に後継者を育成するなどの支援を行っていきます。

顕在化している目の前のリスク(資産形成や節税など)から、潜在的な問題の防止(家族間の対立や離婚など)までワンストップで対応してもらえるため、多額の資産を保有する一族にとっては必要不可欠なサポートだといえるでしょう。

早速詳しく見ていきましょう。

3-1.ファミリーの中核(中心人物)へ情報収集を実施する

まず外部の専門家が行うことは、一族の中核にいる人を中心に、情報収集を行うことです。

「資産総額」や「家族の人数」、「事業を営んでいるのかどうか」などによって、一族が課題だと感じているポイントや要望は異なります。

一族のリーダーを中心としてその家族や兄弟・子供などにもヒアリングを行います。

その結果、どのような方向性でファミリーをサポートしていくべきかを決めて、提案を実施します。

3-2.ファミリー内のルール(ファミリーガバナンス)を作る

次に行うのは、一族内のルールとしてファミリーガバナンスを構築することです。

ファミリーガバナンスとは、一族がバラバラにならないように価値観を統一し、不要な対立を防ぎ、将来向かうべき方向性をすり合わせるための仕組みのことを指します。

ファミリーガバナンスとは
・ ファミリー内の価値観の統一や利害関係の調整・統治を行う仕組み。ルール作りや定期的な会議の開催などを行う。

もしも一族内に何のルールもなく、話し合いもなされていない状態だと、意見の相違や対立が生まれやすくなります。

すると、経営方針の違いでファミリービジネスが崩壊して世間から「お家騒動」と取り沙汰されてしまったり、自分だけが得をするような行動を取る人が出てきて、遺恨が残ったり…というような事態を招いてしまうでしょう。

そんな事態を避けるためにファミリーオフィスでは、最初に行った情報収集を元に、一族のメンバーが納得するようなルールを定めてそれを文書化します。

これは「ファミリー憲章」と呼ばれ、一族が守るべき事柄が記載された文書として、メンバー全員に対して世代を超えて効果を発揮することになります。

ファミリー憲章とは
・ ファミリーにおける最上位の規範を文書化したもの。理念や価値観、行動規範、運営の指針、資産承継の指針、トラブル発生時の対処法、婚姻や教育の方針等を明記する。
・ 同族会社などを営んでいる場合には、家族と事業の関係を明確にしたルールも盛り込む。

上記のように、ファミリー憲章に記載された内容は非常に重要な一族の指針となります。

そのため制定する際には、権力の強い人や声の大きな人にだけ有利な内容になってしまうことがないよう、外部の専門家が適切に携わることが非常に重要だといえるでしょう。

3-3.資産管理・運用を行う

ファミリーオフィスの外部サポートの担う役割としては、「資産管理やその運用」も非常に重要になってきます。

具体的に実施する内容としては以下のようなものがあります。

資産管理・運用サポートの例
・ 一族の保有する資産を集約して管理する
・ スケールメリットを活かし、中長期的な目線に立った資産運用を行う
・ 一族に対して資産管理や運用に必要な知識を提供する
・ 外部の専門家を雇う場合はその選定とマネジメントを行う
・ 後の世代にもわかるよう、資産管理や運用の履歴を記録して管理する

大きな一族の場合、保有している資産は、現金・株式・債券・不動産・美術品というように様々な品目に及ぶことが多いでしょう。

しかしそれらを個人が自由に管理していると、一族全体としてどのような資産を保有しているのかが見えにくくなり、知らないうちになくなったり、価値が減ってしまうこともあります。

そんなことにならないよう、こういった資産を全て集約して管理するというのも、外部からのサポートの大切な役割です。

そうすると、以下のような便益を受け取ることができます。

外部から資産管理・運用をしてもらうことによる一族のメリット
・ 保有する資産が適切に管理され、流出を防止できる
・ 一族の資産を有効活用しながら効果的に利益を積み上げられる
・ 誰かの誤った管理や運用で資産が減るのを防止できる
・ 管理や運用の内容を見える化し客観的な立場の人間が実行するため、一族内の不平等感が払拭される

お金が絡むことは、どうしてもトラブルのもとになりやすいものです。

そのため、外部の目線で公平かつ安全に管理・運用することは、効果的に資産を増やすという点だけでなく、一族内の不和防止にも有効だといえるでしょう。

3-4.事業経営や資本政策のアドバイスを行う

事業を営んでいる一族の場合は、事業経営や資本政策に関するアドバイスも受けることができます。

一族が永続的に繁栄するためには、事業を順調に成長させていくことが肝となるため、ここは特に重視すべき点だといえるでしょう。

そのサポート内容の例は以下の通りです。

事業経営や資本政策サポートの例
・ 一族の中で不満が生じないような事業への関与ルールの作成をサポートする
・ 事業上の役割やリスク分担などを明確にするサポートを行う
・ 必要に応じて事業戦略の見直しやM&Aなどを提案し、実行をサポートする
・ 市場の動きに応じて、経営方針や新施策に関するアドバイスを行う

経営幹部が身内だけであったり、権力を持つ人間がよく知った家族の一員だったりすると、どうしても経営方針の違いや感情的な問題でトラブルが生まれ、収束しにくくなってしまいます。

しかし、外部専門家が入り客観的な目線でルール決めを行ったり、話し合いの際には調整役になったりすると、不公平感が生まれないため余計な揉め事を防ぐことができます。

また、経営や施策の方針自体に関するコンサルティングやアドバイスも、専門家から受けられる重要なサポートです。

市場環境や競合企業を把握した上で、差別化のために取り入れるべき施策や、新規で採用すべき人材に関する提案を行ってもらうことで、自分たちだけでは気が付かなかった視点のアイディアを得ることができるでしょう。

3-5.相続・事業承継対策のアドバイスを行う

多くの富裕層の悩みの種である、相続や事業承継に関するアドバイスを受けることもできます。

例えば以下のようなサポートが行われることが多いでしょう。

相続・事業承継サポートの例
・ 後継者を公平に選定し、一族メンバーの合意をとれるようサポートを行う
・ 後継者の育成方針についてのアドバイスを行う
・ 結婚や養子縁組をする際のルールの作成および運用についてのサポートを行う
・ 相続に役立つ具体的な方策を提示し、実行のサポートを行う

中でも、兄弟が多かったり、事業を営んでいたりする一族の場合は、「誰を後継者にするべきか」という問題が生じるものです。

特に一族のメンバー間で「長男が継ぐべきだ」「いや、経営の能力が高いから次男が継ぐべきだ」というように、考え方に相違があるとスムーズに後継者を決めることはできなくなります。

また、結婚や養子縁組などは財産分与に関わる問題であるため、事前に「離婚した場合」や「親が死去した場合」の財産の分け方について、契約を結んでおいたほうが後々のトラブルを防止できるでしょう。

多額の財産を保有しているとこういった課題に直面するケースが多いですが、身内だけでは全員の納得する落としどころが見つからなかったり、ルールや契約という形式で明文化するのは気が引けてしまったりするものです。

そのため、専門家に入ってもらって公平なルールを作ったり、話し合いの場を設けて調整を行ったりすることが重要なのです。

3-6.上記以外のあらゆるファミリーのニーズに応える

これまで解説してきたこと以外にも、一族のためになることであればどのようなサポートでも行うのがファミリーオフィスの真髄です。

例えば以下のようなサポートも、ニーズがある限り専門家が全力でサポートしていきます。

その他のサポートの例
・「健康維持のために運動を行いたい」→ 最高のジムやトレーナーを選定し、運動プログラムを提案
・「子供にリーダーシップを身につけさせたい」→ 最適な教育機関を選定し、受験支援等を行う
・「検診で引っかかったため精密検査を受けたい」→ 優れた技術を持つ医療機関や医師を探し、受診の手配を行う
・「一族に対するネットなどでの誹謗中傷を防ぎたい」→ SNSパトロールや適切な対応ができるサービスを選定して提案する

このようにファミリーオフィスでは、一族が豊かで安定した生活を送れるようにするため、様々なサポートを提供します。

その他、下記のようなサービスを提供しているケースもあります。

・子供たちに富や慈善活動に対する責任感を教え込む
・一族の情報機密を管理する
・自宅の防犯セキュリティーを強化する
・超一流レストランやホテルを予約する
・自宅や庭園の環境を維持管理する

このように多くの資産を持つ富裕層の場合は、ファミリーオフィスを作って外部の専門家から質の高いサポートを受けることが、未来の一族の繁栄のための最重要事項だといっても過言ではないでしょう。


4.ファミリーオフィスを設立するときの2つの注意点

ファミリーオフィスの外部サポートが行うことについて詳しく解説してきましたので、「具体的にどのような支援を受けられるのか」という点についてはイメージが湧いてきたと思います。

そのため「早速この先の世代のためにファミリーオフィスを設立したい!」と感じた人もいるのではないでしょうか。

しかし、ここでいきなり設立に踏み切ってはいけません。

ファミリーオフィスは日本ではまだあまり一般的なサービスではないため、サポート提供者も玉石混交です。

質の低いサービスに依頼してしまうと、設立後に「思っていたようなサポートを受けられなかった」と後悔してしまうかもしれません。

そこでこの章では、ファミリーオフィスを設立するときの注意点として以下の2点を解説します。

ファミリーオフィスを設立するときの2つの注意点
・ 一族の望みを深く考えない専門家は避ける
・ 短期的な成果にとらわれない

一族の未来をより良いものにするため、まずは設立時の注意点をきちんと把握していきましょう。

4-1.一族の望みを深く考えない専門家は避ける

まず気を付けるべきなのが「一族の望みを深く考えない専門家に依頼するのは避ける」という点です。

目先の富を増やしたり資産防衛したりすることだけに終始してしまう人ではなく、「一族が将来どのようになりたいのか」をきちんと理解した上で、未来の繁栄のことを心から考えて全面的に寄り添ってくれる専門家を選ぶことが重要だからです。

先ほどもお伝えしたように、ファミリーオフィスという概念はまだ日本ではそれほど一般的ではありません。

そのため、ファミリーオフィスと言いつつも実質的には資産運用しかカバーしてくれなかったり、画一的なサポートを行うだけだったりするケースもあるかもしれません。

しかしそれだけでは、「一族の文化や価値観が引き継がれない」「家族のコミュニケーションが疎かになり対立のもとになる」といった状況を引き起こしてしまいます。

それでは、一族が永続的に繁栄することは難しくなってしまうでしょう。

4-2.短期的な成果にとらわれない

ファミリーオフィスの意義がきちんと理解されていない場合に陥りやすいのが「短期的な成果に捉われてしまう」というパターンです。

多くの資産を保有する一族にとっては、「自分たちやその次の世代でどれだけ資産が増えているか」というような短期的な成果ではなく、「未来永劫、一族が繁栄を保てるか」という長期的な目線を持つことが非常に重要となります。

そのため、「この先の20年で資産をこんなに増やします」とアピールする専門家よりも、「100年先でも一族が安定的に栄え続けるためにこんな施策を行いましょう」と提案してくれる専門家を選ぶべきです。

特に金融資産は結果が数字で現れるため、判断基準にしやすいでしょう。

ですが、ファミリーオフィスの考え方の中では、それと同じくらい下記の視点が大切になってきます。

「家族の絆が強固か」

「創業者の想いを継承する仕組みができているか」

「今後の方向性についてメンバー間で合意できているか」

短期的な資産の増減に気を取られずに、長期的な目線で「何が一族にとって必要なのか」を考え、そういった観点で施策を講じてくれる専門家にサポートしてもらうようにしましょう。


5.ファミリーオフィス設立を成功させるポイント3つ

ファミリーオフィスを設立するときの注意点についてはご理解いただけたと思いますので、最後はファミリーオフィスを成功させるためのポイントを確認していきましょう。

ここまで把握しておけば、ファミリーオフィス設立の上で残念な失敗を招くことなく、一族にとって本当にためになる形でファミリーオフィスを導入できるでしょう。

具体的にお伝えするポイントは以下の3点です。

ファミリーオフィス設立を成功させるポイント3つ
・ 目的を明確にして一族で共有しておく
・ 無形資産の保護を重視する
・ 複数の専門家チームを入れる

設立だけで満足するのではなく、この新しい施策を成功させるため、重要なポイントを学んでいきましょう。

5-1.目的を明確にして一族で共有しておく

まず重要なのが「一族の間で目的を明確にして共有する」という点です。

同じ一族の一員といっても、加わったきっかけ(血縁なのか婚姻なのか)や保有資産、置かれている環境などが異なると、ファミリーオフィスに対する考え方も異なる場合があります。

例えば、以下のような意見の相違が見られることもあるかもしれません。

ファミリーオフィスに対する意見の違いの例
・「とにかく先代から引き継いだ資産を失いたくない」
・「過去の財産に捉われず、今後の時代に合った資産形成の方法を採用していきたい」
・「資産のことよりも一族の意識や価値観の統一を重視したい」
・「一族の起源や想いを子孫に継承することが大切だと思う」
・「外部の人に自分たちの個人情報を共有するのは嫌だ」
・「自分たちだけが富を肥やすのではなく社会貢献に注力したい」

このスタートラインで意見が全く異なっていると、ファミリーオフィスを導入してもその後何かを実施しようとしたときに反対意見が生じて、効果的な施策を採用できなかったり、何もできないまま時間だけが過ぎたりしてしまいます。

「一族として何を目的としてどのような未来を目指していきたいのか」という点については、最初にきちんと腹を割って議論し、不満が残らないように全体方針を決めておくことが重要です。

そうすることで、その後ルールを設けたり何かの施策を実行したりする際に、迷わず有効な案を選べるようになるでしょう。

5-2.無形資産の保護を重視する

「無形資産の保護を重視する」というのも重要なポイントです。

もちろん、株や債券、不動産などといった金融系の有形資産は重要な財産ではありますが、大きな一族の場合は、それらを生み出すもとになっているのが、個人の保有している無形資産であるというケースもあります。

そのため、目に見えないものではありますが無形資産も軽んじることなくきちんと保護して、次の世代、またその次の世代と脈々と受け継げるような仕組みを作っていきましょう。

無形資産の例としては以下のようなものがあります。

無形資産の例
・ 人脈
・信用、名声
・ スキルや知識、ノウハウ、資格
・ 経験

徹底した資産管理によって子孫に金融資産を引き継いでいくことができたとしても、彼ら自身の能力が乏しかったり、人脈を維持するノウハウなどを理解できていなければ、その後人生を豊かに過ごしたり、資産を保持し続けることは困難になります。

子孫が高い能力を持ち、多額の資産を保有する一族の一員として恥ずかしくないスキルを身に着けることができるよう、今の世代から無形資産もきちんと見える化して継承していくことが重要なのです。

5-3.複数の専門家チームを入れる

最後のポイントは「複数の専門家チームを入れる」という点です。

前半でもお伝えしたように、ファミリーオフィスは極端な話一族のメンバーのみでも運用できます。

ただしそれでは、一族が繁栄し続けるために必要な対策を完璧に講じることは難しいでしょう。

また、一族だけでは不充分なのはもちろんのこと「一族+1人の専門家」というように少人数で運営しようとするのも良くありません。

なぜかというと、ファミリーオフィスを成功させるためには「法務・税務・会計・投資・事業・関係性の維持」などの様々な分野において対策をする必要があるのですが、1人の専門家ではこれら全ての要素をカバーするのは困難だからです。

さらに客観的な視点が複数介入しないと、一族のなかの一部の人間の希望に忖度した施策になったり、1人の専門家の意見だけに偏ったやり方を採用したりしてしまうため、「一族にとって本当に有効な施策」が生まれにくくなります。

そのため、「分野ごとに専門家を入れる」「会計や投資部門は2名以上の体制にする」というように、複数人の専門家を入れたチームで運用するようにしましょう。

チームになっていると、専門家はそれぞれが互いの役割や業務内容を共有できるため、改善案が生まれやすくなったり、内部統制の機能が働いたりします。

より質の良い施策を生み出していくため、チームは複数人の専門家で構成するということを意識しておきましょう。

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6.まとめ

お伝えしてきたように、「一族が資産を安定的に受け継ぎ、未来の子孫たちも発展し続け、豊かな人生を送れるようにしたい」という場合は、ファミリーオフィスを設立することが重要です。

そのために知っておくべき知識としてこの記事では、外部の専門家から受けられるサポートの例を6つ紹介しました。

ファミリーオフィスの外部サポートが行うこと6つ
・ ファミリーの中核(中心人物)へ情報収集を実施する
・ ファミリー内のルール(ファミリーガバナンス)を作る
・ 資産管理・運用を行う
・ 事業経営や資本政策のアドバイスを行う
・ 相続・事業承継対策のアドバイスを行う
・ 上記以外のあらゆるファミリーのニーズに答える

そして設立時の注意点として、以下の2点もお伝えしました。

ファミリーオフィスを設立するときの2つの注意点
・ 一族の望みを深く考えない専門家は避ける
・ 短期的な成果にとらわれない

さらに、成功のポイントとして3つの項目を解説しました。

ファミリーオフィス設立を成功させるポイント3つ
・ 目的を明確にして一族で共有しておく
・ 無形資産の保護を重視する
・ 複数の専門家チームを入れる

多額の資産を保有する一族の場合は、それに応じた対策を取っていかなければなりません。

未来の子供たちのために、今の世代が道筋を作っておくことで、大切な財産を守り引継ぎ、家族の想いや価値観なども継承して一族の安定した繁栄を目指していきましょう。

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