社債とは?仕組みや種類、メリット・デメリットを紹介

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監修者 宇都宮健太

「社債はどのような仕組みになっているのか分からない」

「株式や国債とは何が違うの?」

そう疑問に思ったことはありませんか。

また企業の資金調達方法として社債の発行を検討している方もいるでしょう。

社債は投資家にとっては資産運用の選択肢の一つであり、企業にとっては資金調達の手段の一つです。

本記事では、社債の仕組みや種類、購入・発行それぞれのメリット・デメリットなどをわかりやすく紹介します。


1.社債とは企業がお金を借りるために発行するもの

社債とは、企業が投資家から資金を調達するために発行する債券です。

まずは、社債による資金調達の基本的な仕組みを以下で解説します。

1-1.投資家が社債を購入すると企業にお金が渡る

企業は、社債を発行して投資家に購入してもらうことで資金を調達できます。

たとえば、企業が10億円を調達するために1口100万円の社債を発行したとします。複数の投資家に社債を購入してもらい、合計10億円の資金調達を目指します。

 

ある投資家が1口100万円分の社債を購入すると、その100万円が企業の資金となります。このように多くの投資家から資金を集められるのが社債による資金調達の仕組みです。

企業は調達した資金を、設備投資や新店舗の開設、事業拡大などに活用できます。

1-2.企業は利息を支払い満期にお金を返す

社債を発行した企業は、投資家に利息を支払い、満期には原則として元本を返します。

たとえば、額面100万円・期間5年・年利2%の社債なら、投資家は年間2万円の利息を受け取れます。企業は5年間にわたって契約で定めた利息を支払い、5年後の満期には原則として100万円を返します。

投資家にとって社債の購入は、一定期間企業にお金を貸し、その対価として利息を受け取る仕組みです。


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2.社債と株式・国債・銀行融資の違い

社債と株式・国債・銀行融資は、いずれも資金に関係するものですが、仕組みや資金を提供する相手などが異なります。主な違いは以下のとおりです。

社債株式国債銀行融資
資金を出す人投資家投資家投資家銀行など
発行・調達する主体企業企業国企業
資金の返済義務あり原則なしありあり

それぞれの違いについて、以下で詳しく確認します。

2-1.社債と株式の違いは返済義務の有無

社債は企業が返済する必要があるのに対し、株式で調達した資金には原則として返済義務がありません。

社債は投資家から資金を借りる仕組みであり、企業は利息を支払い、満期には元本を返済します。

一方、株式は投資家から出資を受ける仕組みです。株主に対して出資金を返済する義務はありませんが、株主には保有する株式に応じた議決権などが認められます。

2-2.社債と国債の違いは発行する主体

社債は企業が発行するのに対し、国債は国が発行します。

どちらも購入した投資家が利子を受け取り、満期には原則として元本が償還される点は共通しています。

ただし、社債と国債では、利息や元本が支払われなくなるリスクにも違いがあります。社債を購入する際は、発行する企業の経営状況などを確認する必要があります。

2-3.社債と銀行融資の違いはお金の貸し手

社債と銀行融資は、企業にお金を貸す相手が異なります。

銀行融資では、銀行などの金融機関から企業が直接資金を借ります。一方、社債では、企業が発行した社債を投資家に購入してもらい、資金を調達します。

銀行融資では銀行に利息を支払いながら借入金を返済します。社債では社債を保有する投資家に利息を支払い、満期を迎えた時に元本を返済するのが基本です。


3.社債の種類

社債には、一般的な社債のほか、株式に関する権利が付いたものや外国の通貨で発行されるものなどがあります。主な5種類とそれぞれの特徴は、以下のとおりです。

種類特徴
普通社債一般的な社債
CB社債を株式に転換できる
ワラント債株式を一定価格で取得できる権利が付く
劣後債返済順位が低い
外貨建て社債外貨で発行される

それぞれの特徴について、以下で詳しく紹介します。

3-1.普通社債

普通社債は、あらかじめ決められた利息を受け取り、満期になると原則として元本が返ってくる一般的な社債です。

たとえば、100万円で期間5年、年利2%の普通社債を購入した場合、年間2万円の利息を受け取れます。5年後の満期には、発行企業が問題なく償還できれば100万円が返ってきます。

普通社債は株式への転換などの特別な条件が付いていない、基本的な仕組みの社債です。

3-2.転換社債型新株予約権付社債(CB)

転換社債型新株予約権付社債(CB)は、保有している社債を発行企業の株式に転換できる社債です。

社債を株式に転換するときは、あらかじめ「転換価額」が決められています。たとえば、100万円で購入したCBの転換価額が1株1,000円の場合、100万円÷1000円で1000株に転換できます。

その後、実際の株価が一株1,500円まで上昇した場合、1,000株の時価は150万円です。投資家は株価の動きをみながら、社債のまま保有するか、株式に転換するかを選択できます。

なお、株式に転換した分の社債はなくなるため、満期に社債の元本として返済を受けることはできません。

3-3.新株予約権付社債(ワラント債)

新株予約権付社債(ワラント債)は、社債とは別に、発行企業の株式をあらかじめ決められた価格で取得できる権利がついた社債です。

たとえば、100万円で購入したワラント債に「1株1,000円で100株を取得できる権利」が付いている場合、株価が1株1,500円まで上昇しても、10万円を支払えば100株を取得できます。市場で100株を購入するには15万円必要なため、有利な条件で株式を取得できます。

CBとは異なり、株式を取得しても100万円分の社債はそのまま残る点が特徴です。

3-4.劣後債

劣後債は、発行企業が倒産した場合などに、一般的な社債よりも元本などを返してもらう順位が低い社債です。

たとえば、企業が倒産してすべての債務を返済できなくなった場合、劣後債への返済は一般的な社債などへの返済より後になります。そのため、投資したお金を回収できないリスクが高くなります。

その分、一般的な社債よりも利率が高めに設定される傾向があります。

3-5.外貨建て社債

外貨建て社債は、米ドルなどの外国通貨で発行され、利息や元本も外貨で受け取る社債です。

たとえば、1ドル150円のときに1万ドル分を購入するには、単純計算で150万円が必要です。満期に1万ドルが返ってきても、その時点で1ドル130円になっていれば、円換算した金額は130万円になります。

外貨では同じ1万ドルが返ってきても、為替相場によって円に換算したときの金額が増減する点に注意が必要です。


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4.社債を購入する側が知っておきたいこと

社債を購入すると、利息を受け取れる一方で、元本割れなどのリスクもあります。

主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
定期的に利息を受け取れる発行企業の倒産などにより元本が返ってこない可能性がある
満期には原則として額面全額が返ってくる途中で売却すると元本割れする可能性がある
株式と比べて価格の変動が小さい傾向がある市場金利の変動によって社債価格が変わる
外貨建ての場合は為替変動によって損失が生じる可能性がある

4-1.社債を購入するメリット

社債を購入する主なメリットは、利息を受け取れることと、満期には原則として元本が返ってくることです。

社債は発行時に利率が定められており、保有している間はその条件に基づいて利息を受け取れます。たとえば、100万円で年利2%の社債を購入した場合、年間2万円の利息を受け取れます。

また、満期まで保有すると、発行企業が問題なく償還できる場合には額面金額が返ってきます。株式のように値上がりによる大きな利益を狙うものではなく、利息による収益を得やすい点が特徴です。

4-2.社債を購入するデメリット

社債には、発行企業の経営状況や市場の動きによって損失が生じるリスクがあります。

発行企業が倒産すると、利息が支払われなかったり、元本の全部または一部が返ってこなかったりする可能性があります。

また、満期前に社債を売却する場合は、金利の変動などによって購入時より価格が下がり、元本割れすることもあります。外貨建て社債では、為替相場の変動によって円換算した受取額が減る可能性もあります。

4-3.社債を購入しても確定申告が不要な場合がある

社債から利益を得ても、確定申告が不要となる場合があります。

たとえば、一定の社債の利子は、支払いを受ける際に所得税などが源泉徴収されるため、原則として確定申告は不要です。

また、社債を売却して利益が出た場合でも、源泉徴収ありの特定口座を利用していれば、証券会社が税金を計算して納付するため、原則として確定申告は必要ありません。

ただしほかの株式や社債で生じた損失と利益を相殺して税負担を抑えたい場合などは、確定申告をした方がよいケースもあります。


5.社債を発行する側が知っておきたいこと

企業にとって社債は、銀行融資などと並ぶ資金調達の方法の一つです。社債を発行する主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
資金調達の選択肢を増やせる定期的に利息を支払う必要がある
株式と異なり経営権への影響を抑えられる償還期限にまとまった資金が必要になる
利率や償還期限などの条件を設定できる発行のための手続きやコストが発生する

5-1.企業が社債を発行するメリット

企業が社債を発行するメリットは、資金調達の選択肢を増やせることです。

銀行融資だけに頼らず、投資家からも資金を調達できるようになります。また、株式を発行する場合とは異なり、社債を購入した投資家に議決権は与えられないため、経営権への影響を抑えながら資金を調達できます。

利率や償還期限などの条件を設定できる点もメリットです。企業の資金計画に合わせて、調達条件を検討できます。

5-2.企業が社債を発行するデメリット

社債を発行すると、企業には利息の支払いや元本の返済が必要になります。

社債を発行して資金を調達した後は、決められた条件に沿って投資家に利息を支払います。満期には元本をまとめて返済する必要があるため、償還に必要な資金を計画的に準備しなければなりません。

また、社債の発行には社内での決議や書類の作成などの手続きが必要です。発行方法によっては、金融機関などへの手数料や保証料などのコストも発生します。

5-3.中小企業も私募債を利用して社債を発行できる

中小企業も、私募債を利用して社債を発行することができます。

私募債とは、広く一般の投資家を募集するのではなく、限られた投資家を対象に発行する社債です。公募債と比べて手続きの負担を抑えやすく、中小企業の資金調達にも利用されています。

私募債には、銀行などの金融機関が引き受けるものや、一定の要件を満たしたうえで少人数の投資家を対象とする「少人数私募債」などがあります。


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6.社債に関する税務や資金調達のご相談は辻・本郷税理士法人へ

社債は、購入する側・発行する側のどちらにも税務や資金面で検討すべきことがあります。

社債を購入した場合は、利子や売却益などに税金がかかることがあり、状況によって確定申告が必要です。また、企業が社債を発行する場合は、ほかの資金調達方法とも比較しながら、自社に適した方法を選ぶ必要があります。

辻・本郷税理士法人では、個人の確定申告から法人の税務・資金調達に関するご相談まで幅広く対応しています。社債に関する税務や資金調達でお悩みの方は、ぜひ辻・本郷税理士法人へご相談ください。


7.まとめ

社債について、本記事の要点を以下にまとめます。

項目要点
社債の仕組み企業が投資家から資金を調達するために発行し、利息を支払って満期に原則として元本を返す
社債の種類普通社債のほか、CBやワラント債、劣後債、外貨建て社債などがある
購入する側利息を受け取れる一方、発行企業の倒産や途中売却による元本割れなどのリスクがある
確定申告社債から利益を得ても確定申告が不要な場合がある
発行する側銀行融資以外の資金調達手段となる一方、利息の支払いや元本の返済が必要になる
中小企業私募債を利用して社債を発行する方法もある

社債は、投資家にとっては資産運用、企業にとっては資金調達の選択肢となります。購入・発行のどちらの場合も、メリットだけでなくリスクや必要な手続きなどを理解したうえで検討することが大切です。本記事が社債購入・発行の一助となりましたら幸いです。