
運送業では自社の車両やドライバーだけでは対応できない配送が発生することがあります。
その際、協力会社や個人ドライバーに輸送を依頼するケースも少なくありません。
こんな時に発生する費用は、会計上「傭車費(ようしゃひ)」として処理することが一般的です。しかし、
- 外注費との違いが分からない
- 運送費とどう区別すればいいか
- 仕訳の仕方が分からない
といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、傭車費の基本的な意味、外注費と運送費との違い、具体的な仕訳例を分かりやすく解説します。
目次
1.傭車費とは他社に運送を委託した際の費用を処理する勘定科目
傭車費とは、自社以外の運送会社やドライバーに輸送業務を委託した際に発生する費用を処理する勘定科目です。
例えば、次のようなケースが該当します。
- 繁忙期に協力運送会社へ配送を依頼した。
- 自社のトラックが不足しているため、他社車両で配送してもらった
- 個人ドライバーへスポットで運送を委託した
このように、運送業務そのものを外部に依頼した場合の費用が傭車費です。
運送業では、配送量の増減や突発的な案件に対応するため、協力会社へ輸送を依頼することがよくあります。そのため、傭車費は多くの運送会社で発生する代表的な費用の一つと言えます。
会計上は必ずしも「傭車費」という勘定科目を使わなければならないわけではありません。運送業では一般的に傭車費として管理することが多いため、実務でもよく使われます。
2.傭車費と外注費・運送費の違い
傭車費と混同されやすい勘定科目として、「外注費」や「運送費」があります。
それぞれの違いは以下の通りになります。
| 勘定科目 | 内容 | 具体例 |
| 傭車費 | 他社に運送業務そのものを委託した際の費用(外注費の中でも、運送業務を区分して管理したい場合に使用) | 協力運送会社に配送を依頼した費用 |
| 外注費 | 自社の業務の一部をへ委託した際の費用 | 車両修理の委託、システム開発、事務作業の委託など |
| 運送費 | 荷物や商品の配送にかかる送料 | 宅配便の送料、郵送費など |
傭車費は運送会社が配送業務そのものを協力会社に委託した場合の費用です。自社のトラックドライバーが不足している時に、協力運送会社へ配送を依頼した場合などが該当します。
外注費は運送業に限らず、業務の一部を外部へ委託した場合に使われる勘定科目です。車両修理を整備会社へ依頼した場合や、システム開発を外部企業に委託した場合などがこれに当たります。
運送費は商品や荷物を配送するために支払う送料を処理する勘定科目です。商品を顧客へ発送する際の宅配便の送料等が該当します。
なお、傭車費と外注費のどちらかを使用するかに明確なルールはなく、自社でどのように費用を管理したいかによって使い分けるのが一般的です。
例えば、
- 運送業務の外注コストを把握したい場合⇒傭車費として区分
- 外注費としてまとめて管理したい場合⇒外注費に含める
といったように、管理目的に応じて勘定科目を選びます。
運送業では傭車費として独立した科目で管理しても、外注費としてまとめて処理しても問題はありません。
重用なのはどちらの科目を使うかではなく、同じ基準で継続して処理し、費用の内容を把握できる状態にしておくことです。
3.傭車費の仕訳例
以下に、実務でよくある傭車費の仕訳例を紹介します。
3-1.協力運送会社からの請求書を後払いで処理する場合
協力運送会社から配送業務の請求書が届き、後日支払うケースです。
配送業務を依頼し、傭車費として100,000円の請求を受けた場合の仕訳は次のようになります。
請求書を受け取ったとき
| 借方 | 貸方 | ||
| 傭車費 | 100,000 | 買掛金 | 100,000 |
後日、銀行振り込みで支払ったとき
| 借方 | 貸方 | ||
| 買掛金 | 100,000 | 普通預金 | 100,000 |
このように、請求書ベースで処理する場合は、いったん買掛金として計上し、支払い時に処理する方法が一般的です。
3-2.ドライバーが現金で立替払いし、後日精算する場合
現場のドライバーが協力会社へ運送費を立替え払いし、後日会社が清算するケースもあります。
ドライバーが傭車費50,000円を立替払いした場合は次のように処理します。
立替えが発生したとき
| 借方 | 貸方 | ||
| 傭車費 | 50,000 | 未払金 | 50,000 |
後日ドライバーへ清算したとき
| 借方 | 貸方 | ||
| 未払金 | 50,000 | 普通預金 | 50,000 |
このように立替払いが発生した場合は、未払い金などの勘定科目を使って処理することが一般的です。
4.傭車費の管理に課題がある場合は、専門家である辻・本郷 税理士法人のサービスをご活用ください
傭車費は、運送業における重要なコストの一つです。そのため、適切に管理できていないと、利益構造の把握が難しくなることもあります。
辻・本郷 税理士法人では、運送業に特化した税務顧問サービスを提供しており、傭車費を含めた会計処理のサポートを行っています。
傭車費の管理や税務処理に課題を感じている場合は、専門家への相談を検討してみるのも一つの方法です。
5.まとめ
傭車費とは他社の運送会社やドライバーに輸送業務を委託した際に発生する費用を処理する勘定科目です。
主なポイントは次の通りです。
- 傭車費は、運送業務を外部へ委託した際の費用
- 外注費は業務委託全般、運送費は配送送料
- 傭車費と外注費の使い分けに明確なルールはなく、管理目的に応じて選択する
- 協力会社への支払いは買掛金で処理するケースが多い
- 立替払いの場合は未払金などで処理する
運送業では傭車費の金額が大きくなることもおおいため、正しい勘定科目で処理し、適切に管理することが重要です。
会計処理に不安がある場合は、運送業に詳しい専門家へ相談することで、より適切な管理体制を整えられるでしょう。

