
会社経営者の中には、節税のために自宅を社宅扱いにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
役員社宅の制度を利用すれば、会社の税負担を減らすことができるだけでなく、役員本人の手取りも増やすことができるので、住宅手当を支給するよりもメリットが大きくなります。
一方、役員社宅による節税が認められる最低限の要件は、①家主との賃貸契約や家賃の支払いを法人が行っていること②役員が家賃の一部を適正に負担していることの2点です。
これらの要件を満たしておらず、税務調査の際に役員社宅の経費が否認されてしまい、多額の追徴課税をされるケースは後を絶ちません。
本記事では、税務調査で役員社宅が否認される原因や、否認のリスクを下げる対策などを解説しています。
税務リスクを抑えながら、上手に役員社宅を活用して節税を行いましょう。
目次
1.役員社宅の経費が税務調査で否認される原因
税務調査で役員社宅の経費が否認される原因は、主に次の7点です。
- 役員の負担する家賃がタダまたは安すぎる
- 役員の個人名義で家主との契約や家賃支払いをしている
- 一般の住宅に比べて豪華すぎる
- もともと役員が住んでいる住宅を後から社宅扱いにしている
- 役員個人の別荘やセカンドハウスとして利用されている
- 社宅の社内規定に問題がある
- 光熱水費や駐車場代などを経費計上している
役員社宅として認められる条件が整っていないか、もしくは税務上認められる範囲を超えて役員が経済的な利益を得ている場合は、経費が否認される傾向があります。
次から、具体的に見ていきましょう。
1-1.役員の負担する家賃がタダまたは安すぎる
役員が負担する家賃が安すぎるか、あるいは役員が家賃を負担しないケースでは、役員社宅の経費が否認される可能性が高いです。
役員社宅の経費が認められるためには、役員が適正な賃料を負担する必要があります。
役員の賃料負担が少なすぎたり、全くなかったりすると、適正賃料との差額やそれ以外の費用が「会社から役員への実質的な報酬」とみなされてしまい、給与として課税されてしまうのです。
なお、役員が負担すべき賃料の計算方法は、国税庁が具体的に定めています。詳しくは、「4-1.適正な家賃を設定する」で解説しています。
1-2.役員の個人名義で家主との契約や家賃支払いをしている
役員社宅を第三者から借り上げている場合、家主との契約や家賃の支払いが役員名義で行われていると、税務調査で役員社宅の経費を否認される傾向があります。
役員の自宅家賃の一部を会社が負担していても、家主と役員個人との間で自宅の賃貸契約が行われていたり、役員から家主に直接家賃が支払われていたりすると、その住宅は役員社宅ではなく役員個人の住居と判断されやすくなります。
この場合、会社が負担した費用は給与とみなされ、課税されてしまいます。
1-3.一般の住宅に比べて豪華すぎる
一般的な住宅と比べて面積が広すぎる住宅や、豪華な設備のある住宅は社会通念上「社宅」として認められず、税務調査で指摘を受けがちです。
そのような場合、会社が支払った費用は役員への給与として取り扱われ、課税の対象となります。
特に、次のような住宅は、豪華な住宅とみなされやすい傾向があります。
- 床面積が240㎡を超えている
- 一般の社宅には設置されていないような豪華な設備がある(例:プール、スポーツジム)
- 役員個人の好みを著しく反映した設備がある
1-4.もともと役員が住んでいる住宅を後から社宅扱いにしている
もともと、役員個人で賃貸契約や所有を行っていた物件を、後から社宅扱いにして引き続き住んでいる場合も、役員社宅としての適切性を疑われる可能性が高くなります。
このようなケースでは、役員が負担する家賃の設定や、社宅の賃貸契約書の内容が不適切である場合が多く、税務署に目をつけられやすいためです。
役員が住んでいる住宅を社宅化する場合は、適切な家賃を設定したり、住宅の賃貸契約を法人名義に変更したりするなど、役員社宅として認められるための条件を整備する必要があります。
1-5.役員個人の別荘やセカンドハウスとして利用されている
役員社宅が、役員個人の別荘やセカンドハウスとして利用されていると、税務調査で否認されやすくなります。
役員社宅の費用が経費として認められているのは、役員が業務を行う上で必要な居住環境を確保するためです。そのため、別荘やセカンドハウスは業務上の必要性が低く、「社宅」として認められない可能性が高いのです。
なお、別荘の費用を福利厚生費として経費にするケースもあります。その場合は、全従業員が平等に利用できるようにするなど、別荘を会社全体の福利厚生施設として運用することが必要です。
1-6.社宅の社内規定に問題がある
役員社宅に関する社内規定に不備がある場合や、規定そのものが整備されていない場合は、税務調査で問題になります。
役員社宅は、従業員向けの社宅とは家賃の考え方が異なるため、別に規定を設ける必要があります。
特に、会社と役員との間での家賃負担の比率などが明確に定められていない場合は、役員社宅の経費を否認される可能性が高いです。
なお、社内規定がある場合は、社宅の利用実態が規定内容からかけ離れていないかどうかも税務署のチェックポイントになります。
1-7.光熱水費や駐車場代などを経費計上している
役員社宅にかかる費用のうち、光熱水費や駐車場代などは原則として経費に計上できず、役員への給与として課税される可能性があります。
役員社宅にかかる経費として認められるのは、あくまで社宅そのものの契約や維持管理に直接必要な費用に限られるためです。
なお、駐車場代については、次のいずれにも該当する場合は例外的に家賃の一部として経費計上することができます。
- 一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合
- 家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合
(出典:国税庁 タックスアンサーNo.6226 「住宅の貸付け」より抜粋)
2.役員社宅が税務調査で否認された場合の影響
役員社宅が税務調査で否認された場合、会社が負担した家賃やその他の費用は役員の給与とみなされます。
これに伴い、次のような影響が考えられます。
- 会社が法人税を追徴される
- 役員個人の所得税が増える
- 会社と役員それぞれの社会保険料が増える
役員社宅にかかる費用が役員の給与とみなされることで、会社と役員個人それぞれに大きな金銭的影響が及びます。
次から、具体的に確認していきましょう。
2-1.会社が法人税を追徴される
役員社宅について、会社が負担した費用が役員の給与とみなされると、法人税を追徴されるおそれがあります。
役員給与のうち、会社の経費にできるものは法令で制限されています。税務調査で役員社宅が否認された場合、社宅にかかる費用は役員給与として経費計上することが認められないため、法人税の追徴課税につながるのです。
なお、法人税の追徴課税に伴い、別途修正申告や延滞税などのペナルティも発生します。
2-2.役員個人の所得税が増える
役員社宅の費用が役員への給与とみなされれば、役員個人の所得税も増加します。
所得税は所得額に応じて税率が高くなるため、役員社宅の否認によって所得税が大きく増加することがあります。特に、役員社宅を活用することで役員給与を低く抑えていた場合は、税負担が予想以上に重くなる可能性があります。
なお、所得税は本来、会社が源泉徴収すべきものです。そのため、増加した所得税やペナルティの支払いは会社が行うことになります。
2-3.会社と役員それぞれの社会保険料が増える
役員社宅の費用が給与とみなされることで、会社と役員双方が負担する社会保険料の金額も大きくなります。
役員給与の増加に伴って、社会保険料の算定基準となる標準報酬月額も増えるためです。
なお、社会保険料が追徴される際も、延滞金などのペナルティが課されるおそれがあります。
3.税務調査で役員社宅が否認された事例
実際に、税務調査で役員社宅の制度利用が否認された次のような事例があります。
この事例は、宗教法人がその代表者に対してマンションや家具を低額または無償で貸したことによる利益が、法人から代表者への給与とみなされたケースです。最終的には、源泉所得税と不納付加算税(源泉所得税の不納付に伴うペナルティ)の追徴課税が行われています。
事例の概要 | ・宗教法人が所有するマンション(221㎡)を、法人の代表者に月額15万円で貸与 ・あわせて、マンション内の家具(カーテン、じゅうたん、照明器具など)も法人から代表者に貸与 |
---|---|
事例の詳細 |
・代表者が負担するマンションの家賃は、国税庁が定める賃貸料相当額より低額であった
|
結果 | ・マンションの家賃と、賃貸料相当額との差額が代表者の給与収入と認定された ・家具は無償貸与だったため、取得価額と法定耐用年数から算出された賃貸料相当額が給与収入と認定された |
(出典:国税不服審判所 平21.10.28、裁決事例集No.78 237頁 より作成)
以上の事例では、低額すぎる家賃設定や無償での家具貸出などによって、役員が法人から過度な利益を受け取っていました。
このように、役員社宅の制度運用に不適切な点がある場合は、税務調査で否認されて多額の追徴課税などを負うリスクがあるのです。
4.役員社宅の税務リスクを下げる6つの対策
役員社宅の税務リスクを下げるには、次の6つの対策が重要です。
- 適正な家賃を設定する
- 借上社宅の家主との契約や家賃支払いは会社が行う
- 「豪華社宅」とみなされないようにする
- 役員社宅に関する社内規定を整備する
- 賃貸契約書などの書類を整理しておく
- 役員社宅の経費に計上できるものを確認する
契約内容や社内規定をしっかり整備するだけでなく、役員に過剰な利益を与えないようにすることで、役員社宅が税務調査で否認される可能性を減らすことができます。
それぞれ、順番に見ていきましょう。
4-1.適正な家賃を設定する
役員社宅の税務リスクを下げるためには、役員が負担する家賃に適正な金額を設定することが非常に重要です。
役員が支払うべき家賃の下限額(賃貸料相当額)は、国税庁が次の通り定めています。
区分 | 条件 | 賃貸料相当額の計算式 |
---|---|---|
小規模な住宅 | ・法定耐用年数30年以下:床面積132㎡以下 ・法定耐用年数30年超:99㎡以下 | 以下3つの合計金額 ①建物課税標準額 × 0.2% ②12円 ×(建物の総床面積(㎡)÷ 3.3(㎡)) ③敷地課税標準額 × 0.22% |
小規模でない住宅(自社所有) | 小規模住宅に該当しない自社所有社宅 | ①、②の合計額の1/12 ①建物課税標準額 × 12%(※) ②敷地課税標準額 × 6% ※耐用年数30年超なら10% |
小規模でない住宅(借上げ) | 小規模住宅に該当しない借上社宅 | ①、②のいずれか高い方の金額 ①会社が負担する家賃の50% ②自社所有と同様の計算式 |
豪華社宅 | 次のいずれかに該当するもの ・床面積240㎡超 ・プール等特殊設備あり | 通常支払うべき使用料(実勢家賃ベース)に相当する額 |
※マンションなどの集合住宅の場合、上記の床面積は共用部分を含めて計算
(出典:国税庁 タックスアンサーNo.2600 役員に社宅などを貸したとき より作成)
賃貸料相当額の計算に用いる建物や敷地の課税標準額とは、固定資産税の課税標準額のことです。
課税標準額は原則として3年ごとに見直しが行われるため、それに合わせて役員社宅の家賃も見直しが必要です。次の方法で、最新の課税標準額を確認するようにしましょう。
- 借上げ社宅の場合:役員社宅のある市町村役場(東京23区の場合は都税事務所)で「固定資産課税台帳」を閲覧
- 自社所有社宅の場合:毎年春頃に不動産所有者へ送付される固定資産税の納税通知書に同封の「課税明細書」を確認
それでは、次から各タイプの社宅における家賃の計算方法を具体的に説明します。
4-1-1.小規模な住宅
次のような条件にあてはまる役員社宅は、「小規模な住宅」にあたります。
法定耐用年数 | 床面積 | 住宅の法定耐用年数の例 |
---|---|---|
30年以下 | 132㎡以下 | ・木造(22年) ・軽量鉄骨造で骨格材肉厚3㎜以上4㎜未満(27年) |
30年超 | 99㎡以下 | 鉄骨鉄筋コンクリート造(47年) |
また、小規模な住宅に該当する場合は、次の賃貸料相当額を上回るように家賃を設定する必要があります。
「小規模な住宅」の賃貸料相当額(以下3つの合計金額)
- 建物課税標準額 × 0.2%
- 12円 ×(建物の総床面積(㎡) ÷ 3.3(㎡))
- 敷地課税標準額 × 0.22%
築年数や立地条件がよい住宅だけでなく、高層マンションなど総床面積が大きい住宅の場合も賃貸料相当額が高くなる傾向があります。
4-1-2.小規模でない住宅
「小規模な住宅」に該当しない役員社宅については、次の賃貸料相当額を上回る家賃を設定しましょう。
社宅が自社所有の場合 | ①、②の合計額の1/12 ①建物課税標準額 × 12%(※) ②敷地課税標準額 × 6% ※耐用年数30年超なら10% |
---|---|
社宅が借上の場合 | ①、②のいずれか高い方の金額 ①会社が負担する家賃の50% ②自社所有と同様の計算式 |
小規模でない住宅の場合、家賃を決める際は建物の課税標準額がより大きなファクターになります。
そのため、建物の課税標準額が高くなりがちな築浅の住宅や、設備が充実している住宅を役員社宅にしている場合は、家賃を高めに設定する必要があります。
また、借上社宅の場合は会社負担分の家賃設定にも注意が必要です。
4-1-3.豪華社宅
役員社宅が次のような条件に当てはまる場合は、いわゆる「豪華社宅」とみなされる可能性があります。
- 床面積が240㎡を超えている(この他、取得価額や家賃の金額などの要素を総合的に勘案)
- 一般の社宅には設置されていないような豪華な設備がある(例:プール、スポーツジム)
- 役員個人の好みを著しく反映した設備がある
豪華社宅とみなされると、税務上「社宅」とは認められず、役員社宅の制度の適用対象外となります。この場合、賃貸料相当額は「通常支払うべき使用料に相当する額」になるため、役員は実勢家賃と同等の金額を負担しなければなりません。
4-2.借上社宅の家主との契約や家賃支払いは会社が行う
借上社宅の場合、家主との間の契約や家賃支払いは必ず次の通りに行いましょう。
- 家主との賃貸借契約は、会社名義で行う
- 家主に対しては、会社から直接家賃を支払う
賃貸借契約を会社名義で行っていても、家主に対する家賃の支払いを役員が行っていると、「役員個人が住宅を借りている」とみなされて、会社が負担する分の家賃を「住宅手当」と判断されるおそれがあります。
役員がもともと個人で借り上げていた住宅を後から社宅扱いにする場合も、契約名義等の変更を必ず行うようにしましょう。
4-3.「豪華社宅」とみなされないようにする
一般的に、社宅として不相応な設備や広さの住宅を役員社宅にすることは避けましょう。
税務調査で「豪華社宅」にあたると判断されてしまうと、役員社宅の経費を否認されてしまいます。
なお、240㎡以下の住宅であっても、設備の充実したタワーマンションなどは豪華社宅とみなされる可能性があります。
4-4.役員社宅に関する社内規定を整備する
税務調査のリスクを考えると、役員社宅に関する社内規定も必ず整備しておく必要があります。
特に、次の項目は明確に規定しておく必要があります。
項目 | 内容例 |
---|---|
| ・社内で利用対象となる者の範囲 ・同居可能な親族などの範囲 |
役員の家賃負担 | ・月々の家賃や共益費などの金額 ・会社と役員それぞれの負担割合 ・家賃の計算根拠 |
家賃以外の経費負担 | 入居時の引っ越し代や鍵交換代など、会社負担とする経費の内容 |
入退去の条件・手続き | ・入居期間 ・入退去時の手続き ・契約更新の条件 |
なお、万が一の税務調査に備え、役員が負担する家賃の計算根拠に用いた資料(建物の課税標準額など)もあわせて備えておきましょう。
4-5.賃貸契約書などの書類を整理しておく
日頃から、賃貸契約書などの書類を整理しておき、万が一の税務調査に備えておくことも重要です。
特に、借上の役員社宅については、会社名義で賃貸借契約を行っていることを証明できなければ、税務調査で不利になってしまいます。
また、家主への家賃支払いが会社から行われていることを示せるよう、家賃の振込明細書などを保存しておくことも大切です。
4-6.役員社宅の経費に計上できるものを確認する
役員社宅にかかる費用のうち、会社が経費計上できるものを確認しておきましょう。
経費計上できる費用とできない費用は、次の通りです。
借上社宅 | 自社所有社宅 | |
---|---|---|
経費計上可能 | 入居にかかる初期費用 | 入居にかかる初期費用 |
経費計上不可 | ・水道光熱費 |
一般的に、水道光熱費や通信費などは役員個人で負担すべき費用と考えられているため、原則として経費にすることはできません。
なお、経費計上できる費用であっても、あらかじめ役員社宅の社内規定で会社負担を明確に定めておくと税務調査の際も安全です。
5.役員社宅に関する税務調査のQ&A
以下で、役員社宅に関する税務調査についてよくあるQ&Aをまとめました。
5-1.役員がもともと住んでいる住宅を役員社宅にすることはできる?
役員がもともと住んでいる住宅を後から社宅扱いにすることも可能です。
ただし、税務調査で指摘されないようにするには、次のポイントを押さえておく必要があります。
- 役員が負担する賃料を適切に設定する
- 賃貸借契約や家主に対する家賃の支払いは法人名義にする
- 240㎡を超える住宅や設備が豪華な住宅は避ける
- 役員社宅の家賃負担ルールなどを社内規定で定める
- 賃貸契約書などの書類を整理する
- 役員社宅の費用のうち、経費に計上できるものを確認する
5-2.タワーマンションを役員社宅にすることは認められる?
床面積や設備によっては、タワーマンションを役員社宅にすることもできます。
具体的には、次のようなポイントを押さえておく必要があります。
- 床面積が240㎡以下である
- 室内や共用部分の設備が豪華すぎず、役員個人の趣味を著しく反映していない
5-3.社宅に備付けの家具や家電はタダで貸してもよい?
社宅に備付けの家具や家電を無償で貸し出した場合、貸出による経済的利益は役員給与として課税の対象になる可能性があります。
カーテンや照明器具のように、建物に常時取り付けて使うものであっても、低額や無償での貸出は給与とみなされることがあります。
役員社宅の貸与に伴い、備付けの家具などを利用させる場合は、役員に適正な賃貸料を負担させることが必要です。過去の税務調査では、家具の取得価額と法定耐用年数から賃貸料相当額を算出されたケースもあります。
5-4.一人社長が役員社宅を活用する際のリスクは?
一人社長でも役員社宅の制度を活用することはできますが、次のようなリスクがあります。
- 役員社宅の契約名義や社内規定などが未整備になりがち
- 業務利用部分がある場合でもプライベート利用との線引きが曖昧になりがち
一人社長では、役員社宅の契約関係や社内規定などがおざなりになっているケースがしばしば見られます。一人社長の場合でも、家主と会社間での契約・家賃支払や、社内規定の整備などを怠らないようにしましょう。
また、一人社長で役員社宅を利用する場合、自宅の一部を事務所として業務利用するケースがよくあります。役員社宅の一部を業務利用している場合、そうでない場合より家賃を安く抑えることができ、効果的な節税対策にもなり得ます。
ただし、一人社長の場合は業務利用部分とプライベート部分との区分けが曖昧になりやすい傾向があります。税務調査の対象になっても問題がないよう、業務利用部分を明確に区別しておくことや、業務利用部分の使用記録などを残しておくことが大切です。
6.辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスなら税務調査も節税も強力サポート
節税のために役員社宅の制度を活用しつつも、「万が一税務調査に当たったら否認されるのでは」と不安を抱えている経営者の方も少なくないのではないでしょうか。
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7.まとめ
役員社宅の経費が否認されてしまう原因は複数考えられますが、対策を行うことで税務リスクを下げることができます。
否認される原因 | 対策 |
---|---|
役員の負担する家賃がタダまたは安すぎる | 適正な家賃を設定する →国税庁のルールに基づいて正しく計算する |
役員の個人名義で家主との契約や家賃支払をしている | 家主との賃貸借契約や家賃支払は会社名義で行う |
一般の住宅より豪華すぎる | 「豪華社宅」とみなされないようにする →床面積や設備に注意する |
社宅の社内規定に問題がある | 役員社宅に関する社内規定を整備する →利用対象者、家賃負担など |
役員宅を後から社宅扱いにしている(賃貸借契約が役員名義のままのケースも) | 賃貸契約書などの書類を整理する |
光熱水費や駐車場代などを経費計上している | 役員社宅の経費として計上できるものを確認する →光熱水費や駐車場などはNG |
税務調査で役員社宅の経費が否認されると、法人税・所得税や社会保険料の負担が増えるため、会社と役員双方に影響が及びます。
税務リスクを回避しつつ、役員社宅の節税メリットを最大限に活かすために、辻・本郷 税理士法人のように実績のある顧問税理士を活用しましょう。