決算とは?意味・時期・流れ・必要書類をわかりやすく解説

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監修者 宇都宮健太

「決算」という言葉について、「具体的に何をするものなのか」「決算書とはどう関係するのか」と聞かれると、うまく説明できない方も多いのではないでしょうか。

決算とは、一定期間の会社の取引を整理・集計し、その期間の経営成績や決算日時点の財政状態を明らかにするための一連の手続きです。

決算では、日々の取引を集計するだけでなく、決算整理仕訳を行ったうえで決算書を作成し、その後の税務申告・納税にもつなげます。

この記事では、「決算とは何か」という基本的な意味から、決算を行う目的、決算の時期や具体的な流れ、決算整理仕訳、決算書の種類まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

決算で何をどのような順番で行うべきなのかわからない、という方は、ぜひ参考にしてください。


1. 決算とは「一定期間の会社の経営状態を明らかにするための手続き」を指す

決算とは、一定期間における会社の経営成績や、決算日時点の財政状態を明らかにするための一連の手続きです。

会社では日々、商品を販売したり、仕入れをしたり、従業員に給与を支払ったりするなど、さまざまな取引が発生します。これらの取引を記録・集計したうえで、決算時に必要な調整を行い、その期間にどれだけ利益や損失が発生したのか、また会社がどのような資産や負債を抱えているのかを明らかにします。

例えば、1年間で売上高が5,000万円、費用が4,000万円だった場合、単純計算では1,000万円の利益が生じています。ただし、実際の決算では、まだ支払っていない費用や翌期に対応する費用、減価償却費なども考慮して、その事業年度に対応する正確な利益を計算します。

このように、決算は単に1年間の売上や支出を合計する作業ではありません。一定期間の取引を整理し、その期間の経営成績と決算日時点の財政状態を確定させるための重要な手続きです。

1-1. 決算を行う4つの目的

決算を行う主な目的としては、任意のものと義務のものを含めて大きく4つがあります。

会社の利益や損失を確定すること(会社法で定められた義務)、経営状況を把握すること、税金を計算・申告すること(義務)、株主や金融機関などに経営状況を報告すること(株主への報告は義務)の4つです。順に見ていきましょう。

1-1-1. 会社の利益や損失を確定するため

決算には、一定期間に会社がどれだけ利益を得たのか、または損失が発生したのかを確定する目的があります。

日々の取引を記録しているだけでは、その事業年度の利益を正確に把握できない場合があります。決算日時点でまだ支払っていない費用や、すでに支払っているものの翌期に対応する費用などがあるためです。

そこで決算では、決算整理仕訳などを行い、収益と費用を適切な期間に対応させます。

例えば、3月決算の会社が3月分の電気代を4月に支払う場合、支払いが4月であっても、3月までの事業年度に発生した費用として処理する必要があります。このような調整を行うことで、事業年度ごとの利益を適切に計算できます。

したがって、決算はその事業年度に対応する収益と費用を整理し、正確な利益や損失を確定するために必要な手続きといえます。

1-1-2. 会社の経営状況を把握するため

決算には、会社が現在どのような経営状態にあるのかを把握する目的もあります。

売上高や利益だけでなく、保有している現金・預金、売掛金、商品などの資産や、借入金・買掛金などの負債を確認することで、会社の財政状態を把握できます。

例えば、売上高が前年より増えていても、売掛金ばかりが増えて現金が十分に確保できていなければ、資金繰りに注意が必要です。一方で、利益が大きく増えていれば、事業の収益性が改善している可能性があります。

このように決算によって会社の数字を確認すれば、「売上は伸びているか」「利益は出ているか」「資金に余裕があるか」などを客観的に判断できるようになります。

1-1-3. 税金を計算・申告するため

決算には、法人税や消費税など、会社が納める税金を計算して申告するための基礎となる数値を確定する目的があります。

法人の場合、事業年度が終了すると、その期間の所得や消費税額などを計算し、原則として決算日の翌日から2カ月以内に法人税などの申告・納税を行います。

例えば、3月31日が決算日の会社であれば、原則として5月31日までに法人税の確定申告と納税を行います。

税務上の所得は会計上の利益と必ずしも一致するわけではないため、決算で確定した会計上の利益をもとに、税務上必要な調整を行って税額を計算します。

つまり、決算は税金を正しく計算・申告するための重要な基礎となる手続きと言えます。

1-1-4. 株主や金融機関などに経営状況を報告するため

決算には、株主や金融機関などの利害関係者(ステークホルダー)に、会社の経営状況を報告する目的もあります。

会社の経営者だけでなく、株主や金融機関なども会社の財務状況を確認する必要があります。決算で作成された決算書は、こうした関係者が会社の収益性や財政状態などを判断するための重要な資料となります。

例えば、金融機関が会社に融資を行う場合、決算書を確認して「きちんと利益を出しているか」「借入金を返済できる状態か」などを判断します。株主にとっても、会社がどの程度利益を上げているのかを確認することは、投資判断や配当などを考えるうえで重要です。

このように、決算は、会社内部の経営管理だけでなく、会社と関係する外部の人や組織に経営状況を示すためにも重要な役割を果たしています。

1-2. 決算をすると「決算書」が作成される

決算を行うと、一定期間の経営成績や決算日時点の財政状態をまとめた「決算書」が作成されます。

決算では、日々の取引を整理・集計し、必要な決算整理仕訳などを行います。その結果をもとに、会社の利益や資産、負債などをまとめた書類を作成します。これらの計算書類が一般に「決算書」と呼ばれるものです。

一般的な決算書には、会社の利益や損失を示す「損益計算書(P/L)」、資産・負債・純資産の状態を示す「貸借対照表(B/S)」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」があります。上場企業など一般投資家を対象に株式や社債の募集を行う企業については「キャッシュ・フロー計算書(C/F)」などの財務諸表も、金融商品取引法で作成が義務付けられています。扱いが少々異なりますが、必要な場合には決算書として作成することになります。

決算が会社の取引を整理して経営状態を明らかにする一連の手続きであるのに対し、決算書はその結果をまとめた書類という関係になります。

ここでは、それぞれの決算書が何を表しているのか、また、それらがなぜ重要なのかを簡単に解説します。

1-2-1. 損益計算書(P/L)

損益計算書(P/L)は、一定期間に会社がどれだけ売上を上げ、どれだけ費用を使い、その結果としていくら利益または損失が生じたのかを示す書類です。いわば会社の「1年間の成績表」といえるものです。

売上高だけを見ても会社の収益性は判断できません。損益計算書を見ることで、売上に対してどれだけ利益を確保できているのか、費用構造は適切か、といった経営の質を確認できます。

さらに、前年の損益計算書と比較することで、

  • 売上は増えているのか

  • 利益率は改善しているのか

  • 費用が増えすぎていないか

など、会社の経営状況の変化を把握できます。

このように、損益計算書を正しく作成し分析することで、会社の収益力や経営改善の方向性が明確になります。したがって、損益計算書を作成するための決算は、企業の実態を正確に把握するうえで極めて重要なのです。

1-2-2. 貸借対照表(B/S)

貸借対照表(B/S)とは、決算日時点で会社がどのような資産を持ち、どのような負債を抱えているのかを示す書類です。損益計算書が「一定期間の成績」を示すのに対して、貸借対照表は「決算日時点の会社の状態」を表します。

貸借対照表を見ることで、単に利益が出ているかどうかだけではなく、会社がどのような財産を保有し、それを自己資本や借入金など、どのような資金でまかなっているのかを確認できます。また、自己資本比率や借入金の状況を把握することで、会社の財務的な安定性や支払能力を判断する材料にもなります。

このように、会社の安全性や財務基盤を客観的に評価するためには、貸借対照表を正しく作成することが不可欠です。したがって、貸借対照表を作成するための決算は、企業の実態を正確に把握するうえで非常に重要なのです。

1-2-3. 株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書とは、一定期間における純資産の変動内容を示す書類です。会社の純資産は、事業年度中に利益が発生したり、配当を行ったりすることで増減します。株主資本等変動計算書では、こうした純資産の増減がどのような要因によって生じたのかを確認できます。

例えば、会社が当期に利益を上げれば利益剰余金が増加し、株主への配当を行えば利益剰余金が減少します。このような変動を体系的にまとめることで、貸借対照表だけでは把握しにくい「純資産がなぜ変化したのか」という背景を明確にできます。

つまり、純資産の変動理由を正しく理解し、会社の財務状態を総合的に判断するためには、株主資本等変動計算書を作成する決算が欠かせないのです。

1-2-4. 個別注記表

個別注記表とは、決算書だけでは伝えきれない会計上の重要事項を補足するための書類です。決算書には多くの数字が記載されていますが、その数字がどのような会計方針や前提条件にもとづいて計算されたのかは、数字だけでは判断しにくい場合があります。

そこで、個別注記表では、重要な会計方針や貸借対照表・損益計算書に関連する事項など、決算書を正しく理解するために必要な情報を補足します。例えば、採用している会計処理の方法や、特定の取引に関する注記を確認できるため、決算書の数字の意味をより正確に把握できます。

つまり、決算書の数字を正しく読み解き、会社の財務状況を誤りなく理解するためには、個別注記表を作成する決算が欠かせないのです。

※個別注記表に記載する項目は、会社の規模や機関設計などによって異なります。

1-2-5. キャッシュ・フロー計算書(C/F)

キャッシュ・フロー計算書(C/F)は、一定期間における現金や現金同等物の増減を示す書類です。

損益計算書で利益が出ていても、必ずしも会社の手元に現金が十分にあるとは限りません。

例えば、商品を販売して売上を計上していても、代金の入金が翌月以降であれば、その時点では現金は増えていません。

そのため、キャッシュ・フロー計算書では、会社の現金が「営業活動」「投資活動」「財務活動」のどの活動によって増減したのかを確認します。これを見ることで、利益だけでは把握できない会社の資金繰りの実態が明らかになります。

つまり、利益と現金の動きを総合的に確認し、会社の本当の経営状態を判断するためには、決算を正確に行うことが不可欠なのです。

※キャッシュ・フロー計算書の作成・開示が必要となる範囲は、会社の種類や適用される会計基準などによって異なります。


辻・本郷の税務顧問

2. 決算の時期

決算を行う時期は、法人の場合は会社が定めた決算日に、個人事業主の場合は原則として12月31日に決まります。

このように、法人と個人事業主では決算日の決め方が異なるため、自社がいつ決算を行うのかを確認することが重要です。

2-1. 法人の決算期は会社が自由に設定できる

法人の決算期は、会社が一定のルールに従って自由に設定できます。

法人の事業年度は、原則として1年以内であれば会社が任意に設定できます。そのため、3月決算だけでなく、6月決算、9月決算、12月決算など、さまざまな決算期の会社があります。

例えば、4月1日から翌年3月31日までを事業年度とする会社であれば3月決算、10月1日から翌年9月30日までを事業年度とする会社であれば9月決算が一般的です。

決算期は会社の繁忙期や業種の特性などを考慮して決められるため、「会社の決算は必ず3月」というわけではありません。

2-2. 「3月決算」「9月決算」などの意味

「3月決算」「9月決算」とは、それぞれ3月31日、9月30日を事業年度の最終日として決算を行う会社を指す言葉です。

例えば、「3月決算の会社」といった場合、一般的には4月1日から翌年3月31日までを1事業年度としている会社を意味します。「9月決算」であれば、10月1日から翌年9月30日までが1事業年度となります。

決算期を確認すると、その会社がいつ1年間の取引を締め、決算処理を行うのかを把握できます。

なお、決算日と決算月は厳密には同じ意味ではありません。「3月決算」と表現する場合は3月31日が決算日となるケースが一般的ですが、会社の定款などで定めた事業年度を確認することが重要です。

2-3. 個人事業主の決算は12月31日

個人事業主は、原則として1月1日から12月31日までが1年間の事業年度となるため、12月31日に決算を行います。

(※所得税の申告・納付期限は原則として翌年3月15日、個人事業者の消費税の申告・納付期限は原則として翌年3月31日です。)

法人の場合は会社ごとに決算期を設定できますが、個人事業主は所得税の計算期間が原則として1月1日から12月31日までと定められています。そのため、法人のように「9月決算にする」といった自由な設定はできません。

例えば、2026年1月1日から12月31日までに発生した売上や経費などを集計し、2026年分の所得を計算します。その結果をもとに確定申告を行い、所得税などを納めます。

したがって、個人事業主の場合は「12月31日で1年分の事業を締め、その結果を確定申告につなげる」と考えるとわかりやすいでしょう。

2-4. 決算後の申告・納税期限

法人の場合、法人税などの確定申告・納税は、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に行います。

例えば、3月31日が決算日の法人であれば、原則として5月31日までに法人税の確定申告を行い、納税します。ただし、申告期限の延長が認められる場合などもあるため、すべての法人が必ず同じ期限になるわけではありません。

また、法人税だけでなく、消費税などについても申告・納税が必要になる場合があります。税目によって申告期限や制度が異なるため、決算後に必要となる手続きをあらかじめ確認しておくことが大切です。

決算日は「会社の1年間の取引を締める日」であり、申告・納税はその後に行う手続きです。決算日と申告期限を混同しないように注意しましょう。


3. 決算の種類

決算には、本決算(年次決算)、中間決算、四半期決算、月次決算などがあります。

会社の1年間の経営成績や財政状態を確定させるために行うものが本決算です。一方、中間決算や四半期決算、月次決算は、年度途中の経営状況を確認するために行われます。

本決算が年に1回なのに対して、四半期決算では3カ月ごと、月次決算では毎月の経営状況を確認します。それぞれ目的や実施頻度が異なるため、言葉の意味を区別しておきましょう。

3-1. 本決算

本決算とは、企業が1事業年度(1年間)の取引をすべて締めて、正式な財務諸表を作成・報告する最終決算のことです。企業の経営成績・財政状態を確定し、株主総会や税務申告、金融機関への報告などの基礎となります。

2章でご紹介したのは、この本決算を行う時期についてです。

1年間の経営成績と財政状態を総括する決算で、通期決算(年度決算)とも呼ばれるこの本決算は、事業年度末に実施し、貸借対照表・損益計算書などの計算書類を作成することが必要になります。

3-2. 中間決算

中間決算とは、1事業年度の途中で、その時点までの経営成績や財政状態を確認するために行う決算です。

本決算は年度末に行われますが、それだけでは経営状況を把握するまでに時間がかかります。そこで、年度の途中でも一定期間の売上や利益、資産・負債などを確認することで、経営計画の進捗状況を把握できます。

3月決算の会社が9月末時点で中間決算を行えば、4月から9月までの業績を確認できます。その結果、売上が計画を下回っていれば、下期の営業戦略や予算を見直すといった判断につなげられます。

このように中間決算は、年度途中の経営状況を確認し、必要に応じて今後の経営判断を修正するために役立ちます。

3-3. 四半期決算

四半期決算とは、1年間を4つの期間に分け、3カ月ごとに経営状況を確認するための決算です。

1年間を4月〜6月、7月〜9月、10月〜12月、1月〜3月のように4つの期間に分け、それぞれの期間における売上や利益などを確認します。

特に上場会社では、投資家が企業の業績を定期的に確認できるよう、四半期ごとの情報開示が行われています。ただし、すべての会社が同じ形で四半期決算を行うわけではなく、会社の規模や上場区分、適用される制度などによって必要な対応は異なります。

四半期決算を行うことで、本決算を待たずに短い期間で業績の変化を把握できるというメリットがあります。

3-4. 月次決算

月次決算とは、1カ月ごとに会社の経営状況を集計・確認するために行う決算です。

本決算のように年度全体を確定させることが目的ではなく、毎月の売上や費用、利益などを確認し、経営判断に役立てることを目的としています。

例えば、毎月の売上高と利益を確認していれば、「今月は売上が前年同月より10%減少している」「広告費が予算を上回っている」といった変化を早期に発見できます。問題があれば翌月以降の施策を見直せるため、年度末になってから問題に気付くケースを減らせます。

毎月の取引や残高を整理しておくことで、本決算時に処理をまとめて行う必要がなくなり、決算業務の負担軽減にもつながります。

そのため、月次決算は会社の経営状況を継続的に把握し、本決算をスムーズに進めるためにも役立つ管理方法の一つといえます。


辻・本郷の税務顧問

4. 決算の流れ・やり方を6ステップで解説

決算は、決算日になってからすべての作業を始めるわけではありません。日々の記帳内容を確認し、残高を照合し、決算整理仕訳を行ったうえで決算書を作成し、最終的に税務申告・納税へと進むのが基本的な流れです。

ここでは、決算の一般的な流れを6つのステップに分けて解説します。

Step1. 日々の取引を記帳・確認する

最初のステップは、事業年度中に発生した取引を正確に記帳し、入力漏れや誤りがないか確認することです。

決算書は、日々の取引を記録した帳簿をもとに作成されます。そのため、売上や仕入、経費、給与、預金の入出金などが正しく記録されていなければ、正確な決算書を作成できません。

例えば、売上を計上していない、経費の領収書を処理していない、銀行口座の入出金と帳簿の金額が一致していないといった状態では、決算数値も正しくなりません。

そこで決算前には、会計ソフトや帳簿を確認し、取引の入力漏れや二重計上などがないかを確認します。

正確な決算は、正確な日々の記帳から始まると考えておきましょう。

Step2. 預金・売掛金・買掛金・在庫などの残高を確認する

次に、帳簿上の残高と実際の残高が一致しているかを確認します。

決算では、帳簿に記録されている金額が実際の会社の状況と合っているかを確認する必要があります。対象となるものには、現金・預金、売掛金、買掛金、借入金、棚卸資産などがあります。

例えば、銀行口座の残高が帳簿では500万円になっているにもかかわらず、実際の残高が490万円しかなければ、その差額が生じた原因を調べなければなりません。

また、商品を扱う会社では、決算日に実際の在庫を数える「棚卸」を行い、帳簿上の在庫数量と実際の数量を確認します。

このように、帳簿上の数字と実際の残高を照合することで、決算書に反映する数字の正確性を高めます。

Step3. 決算整理仕訳を行う

残高の確認が終わったら、決算日時点の正確な利益や資産・負債の金額を確定するために、決算整理仕訳を行います。

日々の取引を記帳しただけでは、その事業年度に対応する収益や費用、資産・負債の金額が適切に反映されない場合があります。

そこで、減価償却費の計上、未払費用や前払費用の計上、売上・仕入の期間対応、貸倒引当金の計上、棚卸資産の計上など、決算時に必要となる仕訳を行います。

例えば、3月分の費用を4月に支払う場合、支払いが翌事業年度になっていても、その費用が3月までの事業年度に対応するものであれば、決算で適切に処理する必要があります。

このように、決算整理仕訳は、事業年度に対応する正確な利益や決算日時点の財政状態を決算書に反映させるために重要な作業です。

Step4. 決算書を作成する

決算整理仕訳まで完了したら、その結果をもとに決算書を作成します。

決算書には、損益計算書や貸借対照表などがあり、それぞれ異なる情報を示しています。

損益計算書では、その事業年度にどれだけ売上や費用が発生し、最終的にどれだけ利益または損失が生じたのかを確認できます。貸借対照表では、決算日時点の資産・負債・純資産の状況を確認できます。

例えば、損益計算書で年間の売上高や営業利益を確認し、貸借対照表で現金・預金や借入金などの残高を確認することで、会社の経営成績と財政状態を把握できます。

したがって、決算書は、決算で整理・確定した会社の数字を一定の形式にまとめ、経営状況を確認できるようにしたものです。

Step5. 株主総会などで決算を確定する

株式会社では、作成した計算書類について、会社法上必要となる手続きを行い、決算内容を確定させます。

株式会社では、原則として定時株主総会を事業年度終了後に開催し、計算書類について承認を受けるなど、会社法に基づいた手続きを行います。

※会社の機関設計や計算書類の内容などによって必要な手続きは異なります。

例えば、定時株主総会では、事業年度の業績や財政状態などを株主に報告し、必要に応じて計算書類の承認などを行います。

このため、決算は経理部門だけで完結する作業ではなく、会社法上の手続きも含めて適切に進める必要があります。

Step6. 税務申告・納税を行う

最後に、決算で確定した数値をもとに税額を計算し、必要な税務申告と納税を行います。

法人の場合、決算で確定した会計上の利益をもとに、税務上必要な調整を行ったうえで所得金額や税額を計算します。そして、法人税や消費税など、必要な税目について申告・納税します。

例えば、3月31日が決算日の法人であれば、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に法人税の確定申告と納税を行います。

注意点として、税目によって申告・納税のルールや期限は異なるため、決算が終わったからといってすべての税務手続きが自動的に完了するわけではありません。税務に関しては、個別に必要な対応をするようにして、不明点があれば税理士へ相談するようにしましょう。


5. 決算をスムーズに進める3つのポイント

決算では、1年間の取引をまとめて確認するため、多くの作業が発生します。特に、日々の記帳や残高確認を後回しにしていると、決算期に作業が集中し、入力漏れや処理ミスが発生する可能性があります。

ここでは、決算業務の負担を減らし、正確性を高めるための3つのポイントを紹介します。

5-1. 月次決算で日頃から数字を整理する

決算の負担を減らすには、毎月の取引や残高を確認する「月次決算」を行うことが効果的です。

決算期に1年分の取引をまとめて確認すると、入力漏れや残高の不一致などを見つけるだけでも時間がかかります。また、問題が発生してから時間が経っていると、原因を特定することも難しくなります。

一方、毎月の段階で売上や費用、預金残高、売掛金、買掛金などを確認しておけば、間違いを早期に発見できます。

例えば、銀行口座の残高と帳簿が毎月一致しているかを確認していれば、数カ月前の取引までさかのぼって原因を探す必要がなくなります。

このように、日頃から月次決算を行って数字を整理しておけば、本決算で確認すべき作業を減らし、決算業務をスムーズに進めやすくなります。

5-2. 会計ソフト・銀行連携などを活用する

会計ソフトや銀行口座との連携機能を活用することも、決算業務を効率化する方法の一つです。

決算では大量の取引を確認する必要があるため、すべてのデータを手入力すると時間がかかるだけでなく、入力ミスが発生する可能性もあります。

会計ソフトによっては、銀行口座やクレジットカードなどと連携して取引データを取り込んだり、過去の仕訳をもとに入力を効率化したりできます。

例えば、銀行口座の入出金データを会計ソフトに取り込めば、通帳を見ながら一件ずつ手入力する作業を減らせます。

5-3. 税理士などの専門家と早めに連携する

税務上の判断が必要な処理や、決算に不安がある場合は、税理士などの専門家に早めに相談することが重要です。

決算では、単純な仕訳だけでなく、減価償却、貸倒引当金、税務上の損金・益金、消費税など、専門的な判断が必要になる場合があります。

決算直前になってから相談すると、すでに処理を終えた取引を修正する必要が生じる可能性もあります。

高額な設備投資を予定している場合や、役員報酬・退職金など税務上の取り扱いに注意が必要な取引を行う場合は、事前に税理士へ相談しておくことで、決算時の修正や手戻りを防ぎやすくなります。

このように、決算直前にすべてを確認するのではなく、日頃から専門家と連携しておくことで、決算をより正確かつ効率的に進められます。


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6. 決算に関するよくある質問

決算は、会社の経営成績や財政状態を確定する重要な手続きなので、特に初めて担当する場合などにはさまざまな疑問が生じやすい分野です。

ここでは、決算について特に疑問を持ちやすいポイントをQ&A形式で解説します。

6-1. 赤字でも決算は必要ですか?

赤字の場合でも決算は必要です。

決算は、利益が出た場合だけ行うものではなく、事業年度の経営成績や決算日時点の財政状態を明らかにするための手続きです。

そのため、売上よりも費用が多くなり赤字になった会社でも、1年間の取引を整理し、決算書を作成する必要があります。

また、赤字であっても税金がすべてゼロになるとは限りません。法人税は会計上の赤字でも税務上の所得があれば課税される場合があり、法人住民税の均等割など、利益の有無にかかわらず納税が必要となる税金もあります。

したがって、「赤字だから決算や税務申告をしなくてもよい」と考えないことが大切です。

6-2. 決算は自分でできますか?

決算書の作成自体は、会社の規模や取引内容などによっては自社で行うことも可能ですが、税務申告まで含めてすべてを自社だけで行う場合は、専門的な知識が必要です。

日々の仕訳や帳簿作成、決算整理仕訳などには会計・税務に関する知識が必要となります。また、税務申告では税法上のルールにもとづいて所得や税額を計算しなければなりません。

特に、取引が複雑な会社や、税務上の判断が必要な処理が多い会社では、誤った処理によって申告内容を修正することになる可能性もあります。

そのため、自社で対応できる範囲を見極め、必要に応じて税理士などの専門家に依頼・相談することが重要です。

6-3. 決算にはどのくらいの期間がかかりますか?

決算にかかる期間は、会社の規模や取引量、経理体制、月次決算を行っているかなどによって大きく異なります。

取引量が少なく、日頃から帳簿を整理している会社であれば比較的短期間で完了できます。一方、取引件数が多かったり、複数の拠点や事業を抱えていたり、決算前に処理が集中したりする会社では、より多くの時間が必要になります。

例えば、毎月の段階で預金残高や売掛金、買掛金などを確認している会社であれば、決算時に行う作業を少なくできます。

このため、決算にかかる時間を短縮するには、決算期だけでなく日頃から経理処理を整理しておくことが重要です。

6-4. 決算が終わったら何をしたらよいですか?

決算書を作成した後は、必要な会社法上の手続きや税務申告・納税などを行います。

法人の場合、会社の種類や機関設計などに応じて、株主総会での計算書類の承認や報告など、会社法上必要な手続きを行います。

その後、決算で確定した数値をもとに法人税や消費税などの税額を計算し、必要な税務申告・納税を行います。

必要に応じて決算書を経営分析に活用し、前年との比較や予算との差異などを確認することで、次年度の経営計画や予算策定にも役立てられます。

決算では、決算書を作成して終わりではなく、申告・納税や経営分析など、その後の業務につなげることが重要です。

6-5. 決算の期限に間に合わないとどうなりますか?

決算そのものに一律の「○日まで」という期限が定められているわけではありませんが、決算後に行う税務申告には原則として期限があるため、決算作業が遅れると申告・納税にも影響します。

法人の場合、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に法人税の確定申告と納税を行います。例えば、3月31日が決算日の会社であれば、原則として5月31日までに申告・納税を行います。

そのため、決算作業が遅れて申告期限までに税務申告ができないと、期限後申告となり、延滞税や加算税などのペナルティが発生する可能性があります。

したがって、「少し決算が遅れただけだから問題ない」と考えず、申告・納税期限を意識して決算作業を進めることが重要です。

決算作業が期限までに終わらない可能性がある場合は、できるだけ早く、税理士などの専門家に相談しましょう。

決算では、取引の確認や残高照合、決算整理仕訳など、多くの作業が発生します。作業量が多い場合、期限直前になってから対応すると、申告書の作成や納税資金の準備まで間に合わなくなる可能性があります。

災害等による期限延長の対象となる条件

・災害など納税者の責めに帰さないやむを得ない理由があること

・国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付等の期限までに、これらの行為をすることができないと認められること

法人税の確定申告については、一定の要件を満たす場合に申告期限の延長が認められる制度もあります(定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請)。

一方、災害などのやむを得ない理由で申告・納付等が期限までにできない場合は、国税通則法に基づく期限延長制度があります。地域指定・対象者指定による延長では個別の申請は不要ですが、個別指定による延長を受ける場合は、所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する必要があります。延長後の期限は、災害等の理由がやんだ日から2か月以内の範囲で指定されます。


7. 決算業務でお悩みの方は辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご検討ください

決算では、日々の記帳や残高確認だけでなく、決算整理仕訳、決算書の作成、税務申告など、さまざまな業務が必要になります。

特に、税務上の判断が必要な処理や、決算に慣れていない場合は、「この処理で合っているのか」「申告まで間に合うのか」と不安を感じることもあるでしょう。

決算業務や税務申告に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することで、適切な処理を進めやすくなります。

辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスでは、決算や税務申告をはじめ、企業の経理・税務に関するさまざまな相談に対応しています。

自社だけでは判断が難しい税務処理がある場合や、決算業務の負担を軽減したい場合は、税務顧問サービスの利用を検討してみてください。

決算を正確に行うだけでなく、決算で明らかになった数字を今後の経営に活かすためにも、専門家のサポートを活用することが大切です。


辻・本郷の税務顧問

8. まとめ

決算とは、一定期間の会社の取引を整理・集計し、その期間の経営成績や決算日時点の財政状態を明らかにするための一連の手続きです。

決算を行うことで、会社がどれだけ利益を上げたのか、どのような資産や負債を持っているのかなどを確認できます。また、決算で作成した書類や数値は、税務申告や経営分析にも活用されます。
決算の基本的な流れは、次の6ステップです。

①日々の取引を記帳・確認する

②預金・売掛金・買掛金・在庫などの残高を確認する

③決算整理仕訳を行う

④決算書を作成する

⑤株主総会などで必要な手続きを行う

⑥税務申告・納税を行う

また、決算書にはそれぞれ役割があります。損益計算書(P/L)は「どれだけ儲かったか」、貸借対照表(B/S)は「何を持ち、どれだけの負債があるか」、キャッシュ・フロー計算書(C/F)は「現金がどう動いたか」を確認するための書類です。

決算をスムーズに進めるには、決算期になってからまとめて作業するのではなく、月次決算などを通じて日頃から取引や残高を整理しておくことが重要です。会計ソフトなどを活用して経理業務を効率化し、判断が難しい税務処理については早めに税理士などへ相談するのも有効です。

決算は、会社の1年間の成績と現在の財政状態を数字で確認し、その結果を税務申告や今後の経営に活かすための重要な手続きです。

決算の意味や流れを理解したうえで、日頃から経理処理を適切に行い、余裕を持って決算に備えましょう。