借入金の勘定科目は何か?仕訳方法からよくある疑問まで詳しく解説

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監修者 宇都宮健太

会社が融資を受けた際、経理担当者は意外と手が止まることがあります。

「入金されたお金は借入金?」
「毎月の返済は全部経費?」
「短期借入金と長期借入金ってどう分けるの?」

など、仕訳で迷うポイントが多いからです。

この記事では、借入金はどんなものか、借入金の種類や勘定科目、借入金は経費にできるのか、仕訳例、よくある質問まで詳しく解説していきます。ぜひ、ご一読ください。


1.借入金とは会社や個人事業主が他者から借りたお金のこと

借入金とは、会社や個人事業主が金融機関や関連会社、個人などから返済を約束して借りたお金のことです。会計上は負債に分類され、将来返済する義務があります。

借入金の取引相手は、金融機関のほかにも関連会社・親族・知人などを含みますが、借入金の一般的な取引相手は、金利や契約条件が明確で融資制度が整っている銀行や信用金庫などの金融機関になります。


2.借入金の返済は経費にできるか

借入金の元本部分である借りたお金は、会社の収益にはなりません。そのため、借入金の元本部分の返済も借りたお金を返しているだけにすぎず、会社の利益を生み出すための費用ではないため経費には計上できません。

一方で、借入金に対して支払う利息の部分は、資金を借りるという金融サービスに対して支払った対価(コスト)であり、会社の利益を生み出すための必要経費として国税庁に認められているため、経費に計上できます。

そのため、借入金を返済する際は、元本部分と支払利息を分けて仕訳する必要があります。


3.借入金に使う勘定科目

借入金の勘定科目には主に短期借入金と長期借入金、支払利息を使います。それぞれ見ていきます。

3-1.短期借入金と長期借入金

借入金の勘定科目は、返済期日までの長さにによって短期借入金と長期借入金を使い分けます。短期借入金と長期借入金では、貸借対照表での区分も異なります。

返済期日貸借対照表での区分
短期借入金返済期日が1年以内流動負債
長期借入金返済期日が1年を超える固定負債

長期借入金は、決算時に決算日の翌日から1年以内に返済予定の元本返済額を固定負債から流動負債へ振り替える必要があります。これは会計のワンイヤールール(一年基準)によるものです。詳しい仕訳方法は4章4-3で見ていきます。

会計のワンイヤールール(一年基準)とは

資産や負債を、決算日から1年以内に回収・支払されるものは流動(流動資産や流動負債)、1年を超えるものは固定(固定資産や固定負債)にするという会計ルールです。

3-2.支払利息

借入金の返済時に利息が生じた場合は支払利息を使います。支払利息は損益計算書の営業外費用に区分されます。


4.借入金の仕訳例

ここからは、借入金の実際の仕訳について見ていきましょう。借入金の仕訳は次の3つのタイミングで発生します。

①借入金が入金された時

①借入金を返済した時

③決算で長期借入金を短期借入金へ振り替える時

4-1.借入金が入金された時

期首に銀行から融資を受けた7,500,000円が普通預金口座に入金された時(5年で返済予定)の仕訳例です。

普通預金という資産が増え、借入金という負債が増えます。1年以内に返済期日がくる1,500,000円を短期借入金とし、残りの6,000,000円は長期借入金として計上します。

借方貸方
普通預金7,500,000短期借入金1,500,000
長期借入金6,000,000

4-2.借入金を返済した時

短期借入金の1,500,000円と支払利息15,000円を会社の普通預金から返済した時の仕訳例です。

借入金という負債と支払利息という費用が減り、普通預金という資産が減ります。

借方貸方
短期借入金1,500,000預金1,515,000
支払利息15,000

4-3.決算で長期借入金を短期借入金へ振り替える時

決算時に、来年度に返済予定の長期借入金の元本1,500,000円を短期借入金に振り替える時の仕訳例です。

長期借入金という負債が減り、短期借入金という負債が増えます。

借方貸方
長期借入金1,500,000短期借入金1,500,000

5.よくある質問

最後に借入金でよくある質問について解説します。

5-1.銀行からの借入れは長期借入金、短期借入金のどちらになるか

銀行や信用金庫などの金融機関からの借入金は次の4種類があり、借入金の種類によって長期借入金になるものと短期借入金になるものがあります。

借入金の種類内容長期借入金か短期借入金か
証書貸付借手が貸手と金銭貸借契約を結び、金銭消費貸借契約書を作成して提出し、借り入れを行う
主に長期借入金
手形貸付借手が貸手に約束手形を発行し、その手形の金額分の資金を借り入れを行う
手形の満期が1年以内であれば短期借入金
手形割引取引先からの受取手形を、満期前に金融機関に売却し現金化する
手形の満期が1年以内であれば短期借入金
当座貸越金融機関の当座預金口座を開設している場合に、前もって設定された融資限度額の範囲内で自由に借入や返済を行う
契約期間が1年以内であれば短期借入金

■証書貸付

証書貸付では、借手が貸手と金銭貸借契約を結び、金銭消費貸借契約証書を作成して提出し、借り入れを行います。金融機関から資金を借り入れる方法のうち最も一般的です。証書貸付は主に長期の借入金に利用されます。必要に応じて不動産が担保となる場合もあります。

■手形貸付

手形貸付では、借手が貸手に「期日までに支払います」という約束の手形を発行し、その手形の金額分の借り入れを行います。手形貸付は、手形の満期が通常1年以内であるため、担保なしでの短期の借入金に利用されます。

■手形割引

手形割引では、取引先からの受取手形を満期前に金融機関に売却し現金化します。現金化する際には、満期までの期間に応じた利息相当分(割引料)が額面から差し引かれます。手形割引は、手形貸付と同様に手形の満期が通常1年以内であるため、短期の借入金に利用されます。

■当座貸越

当座貸越では、金融機関の当座預金口座を開設している場合に、あらかじめ金融機関と決めた限度額の範囲内で、必要なときに自由に借入や返済を行います。当座貸越の契約期間は1年以内のケースが多いため、短期の借入金に利用されます。

■その他の借入

銀行や信用金庫などの金融機関からの借入金以外にも、個人や企業から借りたお金も借入金に該当します。銀行以外の借入であっても、必要に応じて金銭貸借契約書や適切な利息を設定するように心がけましょう。

5-2.社長のポケットマネーを会社に入れた場合も銀行の借入金と同じ処理か?

銀行や信用金庫などの金融機関からの借入金は長期借入金や短期借入金の勘定科目を使って処理しますが、社長個人からの借入は一般的に役員借入金等の勘定科目で処理します。

銀行からの借入は第三者からの外部負債であるのに対し、社長個人から借入は会社の内部関係者からの資金であるため、会計基準では、役員・親族・関連会社などとの取引は一般の取引と区別して表示することが求められています。

5-3.借入金に消費税はかかるか?

借入金の元本は消費税不課税、支払利息、保証料などはすべて消費税非課税です。消費税は資産の譲渡やサービスの提供などの消費に対して課税される税金です。そのため、お金そのものの貸し借りは消費とは見なされず、課税の対象になりません。また、支払利息や保証料は金融サービスの対価にあたりますが、金融取引は消費税法により非課税と定められています。

国税庁|第3節 利子を対価とする貸付金等関係


6.まとめ

ここまで、借入金はどんなものか、借入金の種類や勘定科目、借入金は経費にできるのか、仕訳例、よくある質問まで詳しく解説してきました。

借入金は、正しく仕訳できないと財務諸表の数字が正しく表示されず、利益や資金繰りの状況を誤って判断してしまうおそれがあります。

借入金の会計処理は一見難しく感じますが、仕組みと考え方を理解すれば決して複雑ではありません。本記事を参考に、正しい仕訳を心がけ健全な財務管理につなげていきましょう。