一人社長でも株主総会は必要?開催方法や議事録の書き方

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監修者 宇都宮健太

「一人社長でも株主総会を開く必要があるの?」

「自分一人しかいない会社なら、株主総会は省略しても問題ないのでは?」

そう疑問に思う方もいるでしょう。

社長自身が唯一の株主であっても、株式会社である以上、原則として株主総会は必要です。また、役員報酬などを決めた際には、株主総会議事録の作成・保存が必要です。

本記事では、一人社長の株主総会の開催方法や、議事録の作成・保存について解説します。


1.一人社長でも株主総会の手続きは必要

一人社長の会社でも、株式会社である以上、株主総会の手続きは必要です。

株主総会とは、株式会社の重要な事項について株主が意思決定を行う機関です。会社法では、すべての株式会社に株主総会を置くことが定められているため、社長自身が唯一の株主である「一人社長」の会社でも株主総会は必要です。

株主総会には、毎事業年度の終了後に開催する「定時株主総会」と必要に応じて開催する「臨時株主総会」があります。たとえば、役員報酬や役員賞与など、株主総会で決議すべき事項を定める際には、適切に決議を行う必要があります。また、決議した内容については、株主総会議事録を作成し、保存しなければなりません。

一人社長であっても、株主総会に必要な手続きがなくなるわけではありません。


辻・本郷の税務顧問

2.一人社長の株主総会の開催方法

一人社長の株主総会には、実際に開催する方法と、開催を省略する方法があります。

株主が一人だけの場合でも、通常通り株主総会を開催できます。一方、一定の要件を満たせば、実際に株主総会を開かずに決議することも可能です。

ここではそれぞれの方法について解説します。

2-1.株主総会を招集して開催する

一人社長の場合でも、通常の株主総会と同じように、株主総会を開催できます。

株主総会を開催する際は、原則として取締役が日時や場所、議題などを決め、株主に招集通知を行います。

株主総会で決議した内容については、株主総会議事録を作成し、保存します。

2-2.株主全員の同意があれば開催を省略できる

株主全員が書面やメールなどで同意すれば、実際に株主総会を開催せずに決議することが可能です。これを「みなし決議」といいます。

具体的には、取締役が株主総会で決議する事項を提案し、議決権を持つ全員が書面やメールなどで同意すると、株主総会でその提案が可決されたものとみなされます。なお、定時株主総会を実際に開催しない場合、決議事項については、みなし決議の要件を満たす必要があります。また、事業報告などの報告事項がある場合は、取締役が報告内容をあらかじめ株主全員に通知し、株主全員が株主総会での報告を不要とすることについて書面または電磁的記録で同意すれば、その報告が株主総会で行われたものとみなされます。

一人社長が会社の唯一の株主である場合も、みなし決議を利用できます。そのため、実際に株主総会を開催することなく、必要な決議を行うことが可能です。

みなし決議の場合でも、株主総会議事録の作成・保存は必要です。


3.一人社長の株主総会議事録の作成と保存

一人社長の会社でも、株主総会で決議を行った場合は、株主総会議事録を作成する必要があります。

株主総会議事録には、開催日時や場所、議事の経過や結果など、会社法で定められた事項を記載します。また、作成した議事録は一定期間保存しなければなりません。

ここでは、株主総会議事録の記載事項や記載例、押印の必要性、保存期間について解説します。

3-1.株主総会議事録の記載事項

通常の株主総会を開催した場合には、株主総会で決まった内容だけでなく、開催日時や場所など、法令で定められた事項を記載する必要があります。

一方、みなし決議の場合は実際に株主総会を開催していないため、「開催日時・場所」ではなく、決議があったものとみなされた事項の内容、提案者、決議があったものとみなされた日、議事録作成を担当した取締役の氏名などを記載します。

主な記載事項は、以下のとおりです。

記載事項内容
開催日時・場所株主総会を開催した日時と場所
議事の経過・結果報告事項、審議の内容、決議結果
出席した役員等株主総会に出席した役員の名前
議長の氏名議長を置いた場合の氏名
その他法令で定められた事項株主総会で述べられた一定の意見や発言など

※実際に必要となる記載事項は、会社の機関設計、議案の内容、取締役会の設置状況などによって異なります。上表は一般的な項目であり、すべての会社で同じ内容を記載するとは限りません。なお、通常の株主総会を開催する場合も、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を記載します。

一人社長の場合でも、必要な記載事項がなくなるわけではありません。株主総会の内容が確認できるよう、必要事項を記載した議事録を作成しましょう。

3-2.一人社長の株主総会議事録の記載例

一人社長の場合でも、必要事項を記載した株主総会議事録を作成します。

たとえば、役員報酬を決定した場合の株主総会議事録の記載例は、以下のとおりです。

 

実際に作成する際は、株主総会の開催日時や場所、決議した内容など、自社の状況に合わせて記載します。議事録は実際に行った決議の内容が確認できるよう正確に作成しましょう。

3-3.株主総会議事録への押印は原則不要

株主総会議事録への署名や押印は、原則として必要ありません。

会社法や会社法施行規則では、株主総会議事録への署名・押印は義務付けられていないためです。そのため、一人社長の会社でも、通常は押印のない議事録を作成できます。

ただし、取締役会を設置していない会社が株主総会の決議によって代表取締役を定め、その就任による変更登記をする場合など、押印が必要になるケースもあります。

したがって、株主総会議事録への押印は原則不要ですが、登記手続きなどに使用する場合は、押印が必要か事前に確認しましょう。

3-4.株主総会議事録の保存期間

株主総会議事録は、株主総会の日から10年間、本店に保存する必要があります。

会社法では、株式会社に対して、株主総会議事録を本店に10年間備え置くことを義務付けています。また、支店がある場合は、原則として株主総会議事録の写しを支店にも5年間備え置く必要があります。ただし、議事録を電磁的記録で作成し、支店で閲覧等の請求に対応できる所定の措置を講じている場合は、この限りではありません。

たとえば、2026年6月に株主総会を開催した場合、その議事録は2036年6月まで本店で保存します。なお、みなし決議を行った場合は、株主総会議事録とは別に、株主の同意の意思表示を記載・記録した書面または電磁的記録も、決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置く必要があります。

一人社長の会社であっても保存期間は変わらないため、作成した株主総会議事録は適切に保管しましょう。


辻・本郷の税務顧問

4.一人社長の株主総会や会社運営を辻・本郷税理士法人がサポートします。

一人社長として会社を経営していると、株主総会や役員報酬、税務などについて、どのように手続きを進めればよいか迷うこともあるでしょう。

特に、役員報酬は税務上のルールも関係するため、適切な時期や方法で決定することが重要です。辻・本郷税理士法人では、税務・会計をはじめ、会社運営に関するさまざまなご相談に対応しています。

一人社長の株主総会や役員報酬など、会社運営についてお悩みの方は、ぜひ辻・本郷税理士法人をご活用ください。


5.まとめ

一人社長の会社でも、株式会社である以上、株主総会は必要です。本記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 一人社長の会社でも株主総会は必要
  • その事項について議決権を行使できる株主全員が書面やメールなどで同意すれば、株主総会の決議を省略できる
  • 株主総会で決議した内容は、議事録を作成する必要がある
  • 株主総会議事録への押印は原則不要
  • 株主総会議事録は、株主総会の日から10年間、本店で保存する

本記事が、株主総会の開催や議事録の作成に悩む一人社長にとって、会社運営を適切に進めるための一助となりましたら幸いです。