自分に合う良いオンライン税理士の選び方と具体的な料金相場とは?

author-avatar
監修者 宇都宮健太

確定申告の時期が近づき、税理士への相談を考えているものの、「オフィスに行く時間が取れない」「コロナ禍でも安心して相談したい」といった悩みをお持ちではないでしょうか。
近年、スマートフォンやパソコンを通じて、場所や時間を問わず税務相談ができる「オンライン税理士」のサービスが注目を集めています。特に個人事業主の方々などから、その利便性の高さが支持されています。

しかし、「対面でないことへの不安」「料金相場がわからない」「信頼できる税理士の選び方」など、オンライン税理士への相談を検討する際には、いくつかの疑問点も出てくるでしょう。

この記事では、オンライン税理士のメリット・デメリットから、具体的な選び方、料金相場まで、これから税理士にオンラインで相談したい方に向けて、必要な情報を徹底的に解説していきます。記事を読むことで、あなたに最適なオンライン税理士を見つけるためのポイントが明確になり、効率的な税務相談への第一歩を踏み出すことができます。ご参考になさってください。


目次

1.オンライン税理士の対応してくれる主な業務内容

近年、オンライン税理士というサービスは、便利で効率的な方法として多くの企業や個人に利用されています。

特に、インターネットを活用した税務申告や財務報告のデジタル化が進んでいるため、税理士と顧客間のやり取りもオンラインで簡素化されています。

オンライン税理士の対応してくれる業務については、まず、以下の表をご覧ください。

業務内容詳細メリット
税務申告のオンライン対応e-Taxを利用した税務申告紙の書類不要、迅速・正確な申告
財務報告のクラウド会計処理クラウド会計ソフトを活用し、財務データを管理どこからでもアクセス可能、データ喪失リスク低減
法定申告書類のオンライン提出e-Taxを通じて法人税・消費税申告書を提出期限内提出が容易、ペナルティ回避
会計・経理サポートクラウド会計ソフトの導入・運用サポート会計業務の効率化、記帳代行・月次決算支援
経営・税務アドバイスチャットツールを活用し、節税・経営相談対応迅速な相談対応、資金調達や法人化支援
その他のサポート相続税・贈与税の相談、オンライン面談対応など専門家のアドバイスを場所を問わず受けられる

この章では、オンライン税理士が対応する主な業務内容について詳細に解説していきます。

1-1.税務申告のe-taxを用いたオンライン対応

オンライン税理士は、e-taxを使用して税務申告を行うことができ、これにより迅速かつ正確な申告が可能になります。

なぜなら、e-taxは国税庁が提供するインターネットを利用した税務申告システムで、紙の書類を郵送したり、税務署に出向く必要がなくなり、時間と手間を省くことができるためです。

税理士は顧客の税務データを安全に受け取り、申告内容をチェックした後、e-taxを通じて申告を完了します。これにより、税務申告のミスや遅延を防ぐことができ、効率的に申告が進められます。

このように、e-taxを活用することで、税務申告が迅速かつ正確に行えるため、時間と手間を大幅に削減することができます。

1-2.財務報告のクラウド会計を用いたデジタル処理

オンライン税理士は、クラウド会計ソフトウェアを使用して財務報告をデジタルで処理します。

これにより、顧客の会計データがインターネット上で管理され、どこからでもアクセスが可能になるためです。

例えば、税理士はクラウド会計を通じて、顧客の取引をリアルタイムで確認し、財務状況を把握します。よって顧客は常に最新の財務報告を受け取ることができ、経営判断を迅速に行えるようになります。また、会計データはクラウド上でバックアップされるため、データの喪失リスクも低減します。

このように、クラウド会計を用いた処理をすることより、データ喪失のリスクも減らせる上、利便性が向上します。

1-3.法定申告書類のe-taxシステムを用いたオンライン提出

オンライン税理士は、法定申告書類(例えば、法人税申告書、消費税申告書など)をe-taxシステムを通じてオンラインで提出することができます。

なぜなら、オンライン提出にすることで法定期限内に確実に申告書類を提出でき、税務署からのペナルティを回避できるためです。

オンラインで提出することで、申告書類の遅延や誤りを防ぎ、税務署とのやり取りが効率的に行えます。また、オンラインシステムを使用することで、顧客に対する税理士のサポートがより迅速に行えるため、顧客満足度が向上します。

このように、オンライン税理士はe-taxシステムを用いたオンライン提出を活用して、確実な申告サポートを行っています。

1-4.会計・経理に関するクラウド会計ソフトを用いたサポート

オンライン税理士は、クラウド会計ソフトを導入し、運用のサポートをしながら日常的な会計・経理サポート業務を行います。

例えば弥生会計、freee、マネーフォワード クラウド会計などのクラウド会計ソフトを導入し、スムーズに運用できるようサポートします。

ソフトの選定から初期設定、使い方の指導までをトータルで支援し、会計業務の効率化を実現します。

その上で、記帳代行、記帳チェック、月次決算、試算表の作成などを行います。

1-5.経営コンサルティングや税務に関するチャットツールを用いたアドバイス

オンライン税理士は、セキュリティに配慮されたチャットツールを活用して、経営や税務に関するアドバイスを行います。

そのため、例えば、節税アドバイスや経営計画策定サポート、法人化や開業の支援、融資・資金調達コンサルティングといったサポートが受けられるようになります。

また、給与計算代行や社会保険手続きサポートなどの社内労務などのサポートも同様に、チャットを中心に受けられます。

1-6.その他のサポート

オンライン税理士は、そのほかにも、従来の顧問税理士が行っていたサポートの大半を引き継いでくれます。
例えば、相続税や贈与税に関する相談、オンラインでの税務や経営などに関する相談内容へのレスポンスや面談などの対応をしてもらえます。

場所を問わず専門家のアドバイスを受けられるため、効率的かつ迅速な問題解決が可能になります。


2.オンライン税理士のメリット

オンライン税理士は、オンラインでほとんどの業務を完結させられるため、いくつかのメリットを持ちます。以下で解説していきます。

2-1.デジタルツールを活用するため手間暇を減らせる

オンライン税理士は、クライアントとのやり取りや税務処理にかかる手間を大幅に減らすことができます。

これは、デジタルツールを駆使して業務を行うため、通常よりもクライアントの元へ赴いて書類を受け取るといった手間を省くことができるからです。

例えば、クラウド会計ソフトやe-taxを活用することで、書類の準備や申告作業がスムーズに進み、時間の節約になります。

オンライン税理士では、このようにリモートで業務を処理するため、日常の事務的な負担が軽減され、効率的な業務運営が実現します。

2-2.訪問や紙面のコストを減らせる

オンライン税理士は、交通費や印刷、郵送などのコストを削減できます。

これは、サービスを利用する際に物理的な訪問や紙の書類を使うことがないためです。

これにより、顧客にとっては低コストで税理士サービスを受けることができ、経済的なメリットが生じます。

また、税理士の業務運営の効率化にも繋がるため、結果的にオンライン税理士の活用はコスト面での負担が軽くなると言えます。

2-3.リーズナブルな顧問費用で活用できる

オンライン税理士は、従来の税理士に比べてリーズナブルな料金でサービスを提供できる場合が多いです。

デジタルツールを活用して効率的に業務をこなすことができ、税理士側としても負担が減ることが理由です。

例えば、小規模な企業や個人事業主でも手頃な価格で税理士のサポートを受けやすくなり、より経営の安定に寄与します。

したがって、オンライン税理士には費用面でのメリットもあると言えます。


3.オンライン税理士のデメリット

オンライン税理士は、クライアントの支払うコストを軽減させるだけではなく、税理士側の負担も軽減させることができて、とても便利に活用できます。

しかし、もちろんデメリットも存在していることは知っておくべきです。以下で詳しく解説していきます。

3-1.対面でないことによるコミュニケーション面の制限

オンライン税理士の性質上、直接対面でコミュニケーションを取ることが少ないため、情報共有や意思疎通に制限が生じる可能性があります。

例えば、対面でのやり取りに比べ、言葉やニュアンスが伝わりにくくなることがあり、誤解が生じるリスクも考えられます。

そのため、オンラインでの打ち合わせに慣れていない顧客にとっては、コミュニケーションにストレスを感じることがあるかもしれません。

3-2.クライアントの用いる通信環境への依存

オンライン税理士のサービス提供には、クライアントのインターネット環境や使用しているデバイスに依存する部分があります。

これは、オンラインでほとんどのサービスを提供する性質のためです。

例えば、通信環境が不安定な場合、オンラインミーティングやデータのやり取りに支障が生じる可能性があり、スムーズな業務進行が難しくなることがあります。

このため、オンライン税理士サービスを利用するには、適切な通信環境が整っていることが前提となります。

3-3.セキュリティ面のリスク

オンライン税理士の業務にはセキュリティ面でのリスクが伴います。

顧客の情報をオンライン上で取り扱う以上、税理士やクライアントの用いているツールのセキュリティ環境によっては情報漏洩のリスクなどが生じるためです。

例えば、小規模なオンライン税理士の事務所で、LINEなど、無料のコミュニケーションツールを活用している場合があります。

しかし、そういった無料のツールを活用することは、セキュリティ上の危険をはらんでいます。

※サーバーなど、セキュリティに多額の投資をしている事務所と、一見して同じような内容のサービスを謳っている小規模な事務所があったとしても、事務所によってどれだけセキュリティに力を入れているかについては大きな違いが生じます。

そのため、セキュリティにどの程度投資しているかは、オンライン税理士を選ぶ上での重要な観点の一つとなります。

また、特に、顧客の個人情報や財務データなど重要な情報に関しては、適切なセキュリティ対策が施されていない場合、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。

税理士側がしっかりとセキュリティ対策を講じている事務所を選ぶことが重要ですが、オンライン税理士を用いる際にはクライアント自身もデータ保護に十分注意する必要があります。


4.オンライン税理士の活用に向いているケース

便利なオンライン税理士サービスですが、ここまででお伝えしたように、メリットとデメリットがあります。そのため、オンライン税理士の活用が向いているケースと、向いていないケースがあります。

この章で解説するようなケースに当てはまる場合には、ぜひオンライン税理士を積極的に活用していくことをおすすめします。

4-1.地理的制約がある場合

オンライン税理士サービスでは、物理的に近くの税理士を探す必要がなくなります。

なぜなら、オンライン税理士は地理的な制約を受けず、遠隔地に住んでいる、または移動が難しい場合でもインターネットを通じて税理士とやり取りができるためです。

例えば地方に住んでいる方や、出張が頻繁な方、また、移動することが難しいといった事情の方にとって、非常に便利なサービスだと言えます。

このように、オンライン税理士は、地理的な制約がある方に適したサービスです。

4-2.コストを抑えたい場合

オンライン税理士サービスは、一般的にリーズナブルな料金で提供されることが多いです。

これは、対面の税理士サービスに比べて、物理的な移動や事務所維持費がかからないためです。

例えば個人事業主や小規模企業、スタートアップ経営者の方など、コストを抑えたい方にとっては大きなメリットとなります。

オンライン税理士は、対面の税理士サービスよりもリーズナブルに活用したい方におすすめできます。

4-3.単純な税務処理をしてほしい場合

オンライン税理士は、記帳代行や確定申告など、標準的な税務処理業務に非常に適しています。

これらは比較的複雑でない作業なので、オンラインでのやり取りやデジタルツールを駆使することで効率的に対応できるためです。

例えば、記帳代行のみ、あるいは申告のみを普段税理士に依頼しているという方にとっては適したサービスです。

オンライン税理士は、標準的な税務処理を依頼したい方には理想的な選択肢です。

4-4.柔軟な対応が必要な場合

オンライン税理士サービスは柔軟な対応が可能です。

これは、オンライン税理士の性質上、場所や時間に縛られることなくサービスを提供できるためです。

例えば、忙しい経営者やフリーランスの方にとって、オンラインでスケジュール調整ができるため、時間を有効活用しやすくなります。

オンライン税理士は、時間や場所を選ばず利用可能なため、柔軟に対応してほしい方に適しています。

4-5.リモートワークやデジタル化が進んでいる事業者の場合

リモートワークやデジタル化が進んでいる事業者にとって、オンライン税理士は非常に便利です。

これは、オンラインでほとんどの業務が完結するオンライン税理士と、デジタルツールの活用に慣れている事業者との相性が非常に良いためです。

例えば、クラウド会計ソフトやオンラインシステムを活用している事業者であれば、税理士とのやり取りも非常にスムーズに行えます

このように、デジタルツールに慣れている場合、オンライン税理士の活用が一層効果的です。

4-6.忙しい経営者やフリーランスの場合

オンライン税理士は多忙な方にも適しています。
オンライン税理士ならメールやオンラインミーティングで簡単に相談できるためです。

例えば、経営者やフリーランスの方は日常的に忙しく、税理士との対面の打ち合わせに時間を割くのが難しいことがあります。そのような場合でも、オンライン税理士ならば時間の調整がしやすく、業務に集中することができるようになります。

よって、多忙なクライアントの方にも、オンライン税理士は適しています。


5.オンライン税理士の活用に向いていないケース

オンライン税理士に適していないケースももちろん存在します。この章では、あまりオンライン税理士を活用するには向かないケースについて解説していきます。

5-1.複雑な税務相談をしたい場合

オンライン税理士は、一般的な税務処理には適していますが、複雑な税務相談や高度な専門知識が必要な場合には不向きです。
これは、ほとんどオンラインのみの対応では、サポートにも限界があるためです。

例えば、国際税務や事業再編、相続税など、複雑な内容に関しては対面で詳細な相談を行うことが求められます。

5-2.直接のコミュニケーションが必要な場合

税理士との対面でのコミュニケーションが必要な場合、オンライン税理士は向いていません
オンライン税理士のサービスには制限があるためです。

例えば、特に長時間の面談や細かいニュアンスを確認したい場合には、直接会って話すほうが効果的なことが多いです。
対面での相談を重視する場合には、オンラインサービスは不向きかもしれません。

5-3.デジタルツールの利用が難しい場合

デジタルツールが利用できない、操作が難しいといったケースでは、オンライン税理士には向いていません。

オンライン税理士サービスはクラウド会計ソフトやe-taxなどのデジタルツールを使用することが前提となるためです。

これらのツールに慣れていない場合、操作に困難を感じることがあり、税理士とのやり取りがスムーズに進まない可能性があります。

よって、デジタルツールの利用が難しい方にとっては、オンライン税理士は不便に感じることがあるでしょう。


6.オンライン税理士の料金相場

オンライン税理士サービスの料金は、提供する業務内容や依頼の種類によって異なります。

以下に、一般的な料金相場を示します。どのようなサービスがいくらで提供されるかの目安を知っておきましょう。

業務内容料金相場
個人事業主の確定申告(単発依頼)10〜30万円程度
法人の決済や申告(単発依頼)30〜50万円程度
月額顧問料2〜10万円程度
記帳代行のみ(単発依頼)5,0003万円程度

6-1.個人事業主の確定申告の単発依頼では10〜30万円程度

個人事業主がオンライン税理士に依頼する確定申告は、一般的に10万円から30万円程度の料金が相場です。申告内容が比較的簡易であれば、料金は下限に近くなりますが、複雑な場合や追加の相談が必要な場合は、料金が上限に達することがあります。

6-2.法人の決算や確定申告の単発依頼では30〜50万円程度

法人の場合、決算や確定申告の依頼料金は30万円から50万円程度が相場です。
法人の規模や業務内容、取引の複雑さにより、料金が変動するため、依頼する前には詳細な見積もりをもらっておきましょう。特に複雑な税務処理や多くの取引がある法人の場合、高額な料金が発生することがあります。

6-3.月額顧問料は2〜10万円程度

オンライン税理士の月額顧問料は、一般的に2万円から10万円程度です。

顧問契約を結んで税務相談や日常的な税務管理を依頼する場合、月額顧問料が必要になります。このときの顧問料は、事業規模や依頼内容によって異なり、小規模な事業者であれば2〜5万円、大企業であれば10万円程度になることがあります。

6-4.記帳代行のみの依頼では5,000〜3万円程度

記帳代行のみを依頼する場合、料金は5,000円から3万円程度となります。
この場合も事業規模や取引量によって料金が変動しますが、記帳代行のみの依頼は比較的リーズナブルな料金で提供されることが多いです。


7.信頼できるオンライン税理士の選び方

オンライン税理士を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえることが大切です。
信頼できるオンライン税理士を選ぶことで、安心して業務を任せることができ、税務処理や経営において有益なサポートを受けることができます。

以下に、信頼できるオンライン税理士の選び方を紹介します。

7-1.税理士の資格などを確認する

オンライン税理士が持つ資格や、実務経験の実績、年数を確認することは重要です。具体的な数値とともに、以下で詳しく解説します。

7-1-1.法人顧問実績は100社以上が望ましい

法人の税務処理は個人事業主に比べて複雑であるため、法人顧問の実績が100社以上はある税理士が理想的です。法人向けに豊富な知識と経験を持つ税理士を選ぶことで、スムーズなサポートが受けられます。

7-1-2.税務調査の立会い経験は年間20件以上が理想である

税務調査に立ち会った経験が豊富な税理士は、万が一の税務調査時にも安心です。
年間20件以上の税務調査に立会った経験があると、複雑な問題にも適切に対応できる能力が一定以上あると考えられます。

7-1-3.確定申告の処理件数は年間300件以上が良い

確定申告の処理件数が多い税理士は、一般的なケースから特殊なケースまで幅広い経験を有しているため、信頼を置くことができます。
年間300件以上の確定申告を処理している税理士なら、経験に裏打ちされた安定した対応が期待できます。

7-2.料金体系が明確で、相場と合致しているか確認する

オンライン税理士のサービスを活用する際には、料金は事前に明確に説明され、相場と合致しているかを確認することが大切です。

料金体系が不明確なオンライン税理士だと、後々トラブルになる可能性があります。予算に応じたプランが提供されているかも確認しましょう。

7-3.オンラインサービスが充実しているか確認する

オンラインでサポートをすることが主となるオンライン税理士では、オンラインのサービス内容はもちろん重要となってきます。以下のようなサービス内容があるかを確認してみてください。

7-3-1.クラウド会計ソフトとの連携は取れているか

クラウド会計ソフトを使用している場合、そのソフトと連携して業務を進めることができるか確認しましょう。オンライン税理士によっては、会計ソフトの種類を合わせないと業務ができないというようなケースもあります。クライアント側で用いている会計ソフトとの連携が取れているかは必ず確認しておいてください。

7-3-2.オンライン面談システムは整っているか

オンライン面談ができるシステムが整っていることも確認項目のひとつです。
ZoomやMicrosoft Teamsなど、一般的に使いやすいシステムを導入している税理士であれば、クライアントにとって使いやすい環境が提供されます。

7-3-3.ファイル共有システムのセキュリティはしっかりしているか

ファイル共有システムのセキュリティがしっかりしているかについても確認してください。

税務情報には機密性が求められます。例えば、データが暗号化されているか、SSLやVPNなどの安全な通信手段が使用されているか、データ消失に備え、遠隔地での多重バックアップが行われているか、ウイルス対策ソフトやUTM(統合脅威管理)が導入されているかなどをチェックしましょう。

7-3-4.モバイル対応しており、リアルタイムで対応してもらえるか

モバイル端末でも対応してくれるオンライン税理士であれば、忙しい経営者やフリーランスにとって便利です。リアルタイムで対応してくれるかどうかを確認しましょう。

7-4.専門分野や得意な業界がニーズと一致しているか確認する

特殊な業界のクライアントの場合には特に、自身の分野、業界に強みを持つオンライン税理士を選ぶことをおすすめします。

以下のような業界の方は特に、オンライン税理士との親和性が高いため、オンライン税理士を活用する機会が多いと想定されます。活用の際にはぜひ、ニーズに最適な税理士であるかを確認しましょう。

7-4-1.IT業界

IT業界では、クラウド会計ソフトを活用した税務処理や、無形資産の管理に長けた税理士などが求められます。

また、IT業界では特に迅速な対応が求められることが多いため、IT分野を得意としている税理士を選ぶと良いでしょう。

7-4-2.建設業

建設業では、原価計算や減価償却の扱いに特化した税理士が必要です。
オンラインでまめに遠隔サポートができるオンライン税理士との相性が良いので、専門性の高い税理士を選ぶと、さらに効率的に税務対応が行えます。

7-4-3.製造業

製造業では設備投資や原価計算に関する専門知識が重要です。
オンライン税理士に対して頻繁に質問したりサポートを受けたりする場合、専門的な知識を持った税理士が望ましいです。

7-4-6.飲食・美容業

飲食、美容業においては特に、小規模事業者向けの税務戦略や経費削減のアドバイスを提供できる税理士が求められる傾向にあります。

規模感に合ったリーズナブルな料金設定を選ぶことが大切なため、オンライン税理士との相性が良いです。自身の分野に専門性のある税理士を選びましょう。

7-5.コミュニケーション能力を確認する

オンライン税理士に限らず、税理士との間のコミュニケーションの円滑さは重要です。正しく情報を伝達するために、以下の項目を満たす税理士かどうか確認しておきましょう。

7-5-1.定期報告の頻度が月1回以上はあることを確認する

定期的な報告が月1回以上ある税理士は、クライアントに安心感を与えます。定期報告が増えると、税務状況の確認やアドバイスを受ける機会が増えることになるため、定期報告はどの程度で受けられるか確認しておくと良いでしょう。

7-5-2.メールの返信速度が適当であるか確認する

税理士からの返信が遅いと、急を要する場合に困ります。必要なときに適切な返信速度で返事をしてくれており、かつスムーズなコミュニケーションが取れているかどうかは確認しましょう。

7-5-3.説明のわかりやすさを面談で調べておく

面談時に、税理士がどれだけわかりやすく説明できるかを確認しておきましょう。税務知識が豊富でも、クライアントに理解しやすく説明できない税理士では、契約後に困ってしまいます。

7-6.契約の条件について確認する

オンライン税理士を選ぶ際には、契約に関する条件をしっかりと確認することが重要です。
以下のポイントを確認しておくことで、後々のトラブルを避け、安心して税理士サービスを利用することができます。

7-6-1.契約内容にどこまでのサポートが含まれているか確認すること

契約を結ぶ前に、契約書の内容を細部までチェックし、どこまでのサポートが契約に含まれているのかを確認しましょう。

後から、サポートしてもらえると思っていた内容が別料金であったなど、認識と異なることが出てくることを防ぐためです。

例えば、サービスの範囲として、プランに会計ソフト利用料が含まれるか、標準プランとオプション(※給与計算、経費精算、マイナンバー管理などの業務がオプションである場合があります)の線引きがどこまでか、プランに含まれる仕訳数やユーザー数の上限がどの程度かなどは特に契約の段階でチェックしておきたい点です。

契約に関する不明点があれば、事前に質問して解消しておきましょう。特に、業務範囲が曖昧な場合や追加費用が発生する可能性がある場合は、事前に必ず確認が必要です。

7-6-2.解約条件の確認をすること

オンライン税理士の解約条件は必ず確認しておきましょう。

契約後に解約が必要になるということも往々にしてあるためです。

解約時の手続きや返金の有無、解約の条件(例:通知期間、解約金など)を事前に理解しておくことが重要です。万が一、税理士との契約がうまくいかなかった場合でも、スムーズに解約できるようにしておきましょう。

7-7-3.データセキュリティ対策が十分かどうか確認をすること

オンラインでのデータ共有ややり取りを行う際には、データセキュリティ対策が十分であることを確認することが必要です。

税理士に対して提供するデータには、個人情報や企業情報が含まれるためです。

データが暗号化されているか、セキュリティポリシーがしっかりと確立されているかを確認し、安全にデータを扱っている税理士を選びましょう。


8.オンライン税理士とうまく付き合うための注意点

オンライン税理士との契約を結ぶ際には、長期的に良好な関係を築くために、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。
以下の点を確認することで、税理士と良いパートナーシップを築くことができます。

8-1.オンライン会計ソフトに付属するオプションがどこまで料金に含まれているか確認する

オンライン税理士との契約の際に、会計ソフトのオプションがどこまで料金に含まれているかを確認しておきましょう。

なぜなら、オンライン税理士とのやりとりでは、クラウドベースの会計ソフトを活用することが多いですが、これには無料で使える機能だけでなく、有料のオプションがある場合があるためです。

例えば、マネーフォワード クラウド会計でのオプションには、仕訳数や操作ユーザー数の上限を増やすためのオプションや、給与計算機能、従業員の勤怠管理のついているオプション、請求書や経費、マイナンバーの管理のためのオプションなどがあり、これらはオンライン税理士の事務所によっては、基本料金とは別料金とされている場合があります。

税理士から提供される会計ソフトに付属するオプションや追加機能がどこまで料金に含まれているのか、また、追加料金が発生する可能性がある場合は、事前に説明を受けて、予算内で収まるかどうかについては把握しておきましょう。

8-2.セキュリティ対策がどうなっているかを確認する

オンライン税理士とのやり取りでは、データの取り扱いやセキュリティ対策がしっかりとされているかを確認することが非常に重要です。

なぜなら、税理士とのやり取りには、個人情報や企業情報などの機密データが含まれるためです。

例えば、在宅勤務環境における業務末端端末のエンドポイントセキュリティ、内部漏洩防止のための操作ログ追跡や二重管理、UTM(統合脅威管理)など、オンライン会計ソフトやファイル共有システムにおけるセキュリティ対策が十分に施されていることを確認しましょう。

オンライン税理士のセキュリティ対策が十分であるか確認することは、税理士と長く付き合う上で大切な要素です。

8-3.税務調査の際に税理士本人が訪問してくれることを確認する

税務調査に立ち会う場合、税理士本人が現地に訪問してくれるかどうかを事前に確認することは非常に重要です。

なぜなら、オンライン税理士に依頼している場合、必ずしも税理士本人が直接対応してくれるとは限らないからです。オンライン対応に特化している場合、税理士が現地に足を運ぶことは想定されていない場合もあります。

例えば、税務調査時にオンラインで対応している税理士が直接現場に来ない場合、調査の進行に支障が出たり、思わぬ問題が発生する可能性があります。

そのため、税理士が税務調査に際して直接対応してくれる保証がないと、調査時に困ってしまう可能性があるので、必ず事前に確認しておきましょう。


9.オンライン税理士なら辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご検討ください

オンライン税理士サービスをお考えの方には、辻・本郷 税理士法人のオンライン税務顧問サービスをおすすめします。

辻・本郷 税理士法人は、確かな実績と豊富な経験を持ち、個人事業主から法人まで、幅広いニーズに対応しています。オンラインでももちろんスムーズな対応が可能で、税務申告や経理業務、税務相談などをオンラインで効率よく行うことができます。

また、クラウド会計ソフトとの連携や、セキュリティ対策にも十分配慮されており、安全に利用できる環境が整っています。
税務調査においても、実際に税理士が現地に足を運んで対応することができ、安心して任せられるサービスを提供しています。

ぜひ、辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご活用ください。


10.まとめ

オンライン税理士は、税務申告のオンライン対応や、財務報告のデジタル処理、法定申告書類のオンライン提出などに対応した、ほとんどの業務内容をオンラインで完結させられるサービス内容です。
デジタルツールを活用することで手間を減らし、リーズナブルな顧問料で利用できるメリットがあります。特に、地理的に制約がある場合やコストを抑えたい場合、単純な税務処理を求める場合に最適です。

しかし、一方で、対面でのコミュニケーションが必要な場合や、複雑な税務相談をしたい場合には、オンライン税理士には向かないこともあります。

信頼できるオンライン税理士を選ぶためには、資格や経験年数、料金体系、セキュリティ対策、そして専門分野や得意な業界が自分のニーズに合っているかを確認することが大切です。
また、契約内容や解約条件、データセキュリティの対策を確認し、安心して利用できるオンライン税理士を選びましょう。