
税務署から突然届く「不納付加算税の通知書」。
「不納付加算税とは何か?」「いつ、どんなときに課されるのか?」「延滞税とは何が違うのか?」といった疑問を抱え、不安に駆られてこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
不納付加算税は、税金を期限までに納めなかったときに課される「ペナルティ」の一種ですが、その名称や仕組みがわかりづらいため、初めて通知を受けた方にとっては理解が難しく、心理的負担も大きいものです。
この記事では、不納付加算税の意味や対象となるケース、具体的な計算方法、そして課税された場合の対応方法まで、必要な知識をわかりやすく整理して解説します。
不安や疑問をひとつずつ解消し、今後の対応や再発防止のために何をすべきかが明確になる内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.不納付加算税とは、源泉所得税の支払いが遅れたときに課される税金
不納付加算税とは、源泉所得税の納付義務がある事業者に対して、納付遅れがあった場合に課される税金です。
具体的に言うと、源泉徴収義務者が源泉徴収した所得税を法定納期限までに納付しなかった場合に課されるペナルティ的な加算税となります。
源泉所得税とは、給与や報酬の支払いをする事業者が納税者に変わって納付する所得税のことで、1月1日〜12月31日までの1年間に個人が得た所得に対して課されます。
従業員への給与などからあらかじめ事業者が天引きし、それを翌月10日までに毎月税務署へと納付します(従業員が常時10人未満の小規模事業所で、年2回納付の「納期の特例」が認められている場合は7月10日と翌年1月10日が期日)。
こうした源泉所得税の納付期日までに納付していなかった場合に課されるのが、不納付加算税なのです。
1-1.不納付加算税が課されるときには、同時に延滞税も課される
源泉所得税の納付が遅れた場合には、「不納付加算税」と「延滞税」の両方が課税されるのが原則です。
不納付加算税は、納付期限を守らなかったことに対する罰則的な意味合いで課税されますが、延滞税はその遅れによって生じた利息としての性質を持ちます。この2つは性質が異なるため、併せて課税されることになります。
例えば、納付期限が7月10日の源泉所得税を8月に支払った場合、不納付加算税が課され、さらに遅れた日数に応じて延滞税が上乗せされます。延滞税は1日単位で加算されるため、納付が遅れるほど金額も増えます。
納付が遅れると、単に納付額を支払えば済むというわけではなく、2つの追徴課税が発生するため、源泉所得税の納付の際には必ず期限を守るようにしましょう。
2.不納付加算税の税率と計算方法
不納付加算税の計算は、納めるべき税額(=本税)に対して税率をかけることで算出されます。
その税率は、税務署からの告知を予知しているかどうかによって変わります。
この章では、不納付加算税がいくら課されるのかについて解説します。
2-1.予知している場合には本税の10%
源泉所得税の納付が期日より遅れてしまい、税務署の調査や指摘によって納付が行われた場合、原則的に不納付加算税は本税の10%となります。
例えば、源泉徴収税を長期間納付せず、税務調査で発覚し指摘を受けて納付した場合の不納付加算税の計算例は以下のとおりです。
納付すべき源泉所得税額が10万円だとした場合、
不納付加算税 = 100,000円 × 10% = 10,000円(延滞税別途)
税務署の指摘後に納付する場合、加算税の税率が高くなるため、日ごろから納期限を意識し、遅れがあった場合には速やかな自主納付を心がけることが重要です。
2-2.自主的に納付した場合には本税の5%
納付期限を過ぎていても、自主的に税金を納めた場合には、不納付加算税は本税の5%に軽減されます。
これは、税務署による調査や指摘を受ける前に、自ら納税義務に気づき、自主的に納付したことが評価されるためです。法的にはすでに納期限を過ぎていても、誠実な対応として取り扱われ、罰則が軽くなります。
例えば、源泉所得税の納付をうっかり忘れてしまい、納期限から1か月後に気づいて納付した場合、税務署からの指摘を受ける前であれば、不納付加算税は通常の10%ではなく5%が適用されます。
納付すべき源泉所得税額が10万円だとした場合の不納付加算税の金額は以下の通りです。
不納付加算税 = 100,000円 × 5% = 5,000円(延滞税別途)
2-1で計算した金額と比較してもお分かりになるかと思いますが、この差は本税が高額な場合ほど大きく、早期対応が経済的にも有利になります。
したがって、仮に納期限を過ぎてしまった場合でも、税務署の調査が入る前に自主的に納付することで、不納付加算税の負担を最小限に抑えることが可能です。
3.不納付加算税が課されない3つのケース
不納付加算税は原則として課されるものの、すべての遅延納付に対して一律に課税されるわけではありません。法律や通達では、一定の条件を満たすことで不納付加算税が「課されない」ケースが明確に定められています。
この章では、3つの不納付加算税が免除されるケースについて、背景や要件を具体的に解説します。
3-1.法定の納期限から1か月以内に納付しており、かつ過去1年以内に期限後納付がない場合
今回の納付が法定期限から1か月以内で、かつ、過去1年間に期限後納付の事実がないようであれば、不納付加算税は課されません。
国税通則法では、納税者が「納付する意思」を有していた場合には加算税を課さないという趣旨の規定があります。この「意思がある」とみなされるのは、過去1年以内に税務署からの納税告知や他の期限後納付がなく、今回の遅延も1か月以内に自主的に納めたようなケースです。これにより、軽微な手違いやうっかりによる遅延を加重に罰することがないよう配慮されています。
例えば、源泉所得税の納付を5日遅れてしまったが、税務署からの指摘を受ける前に自ら納付し、かつ過去1年以内に同様の遅れがなかった場合、このケースは「納付意思あり」とされ、不納付加算税の課税対象にはなりません。
不納付加算税の免除には「納付する意思」が法的にも重視されており、その判定基準が「過去1年以内に問題がなかったか」と「1か月以内の納付かどうか」で決まります。
3-2.不納付加算税の金額が5,000円未満の場合
不納付加算税が計算上5,000円未満になる場合には、その金額は切り捨てられ、結果として課税されません。
国税通則法第119条第4項には、加算税の金額が5,000円未満であるときは、その全額を切り捨てると定められています。つまり、金額的に軽微な違反については、加算税そのものを課さないという制度的判断です。
例えば、納付遅れに対する本税が3万円だった場合、原則10%の加算税は3,000円となります。これは5,000円未満のため、不納付加算税は課されません。
不納付加算税の額が5,000円に満たない場合には、自動的に加算税は課税されず、納付は本税のみとなります。小規模なミスに対する救済規定といえます。
3-3.大規模災害や通信網の断絶など正当な理由があった場合
大規模災害や通信・交通の途絶などによりやむを得ず納付が遅れた場合には、不納付加算税は課されません。
国税通則法では、「正当な理由」がある場合には加算税を課さない旨が明記されています。
この「正当な理由」には、地震・台風・豪雨等の自然災害や、停電・ネットワーク障害によって電子納付が困難だったケースなどが含まれます。納付意思はあっても、物理的に不可能であったと認定されれば、課税は免除されます。
不可抗力による遅延には厳格な責任を問わないという制度設計になっているため、自然災害等の被害に遭った際は税務署に事情説明を行うことで、不納付加算税が課税されない場合があります。
4.不納付加算税と他の加算税との違い
加算税には「不納付加算税」以外にも、「過少申告加算税」や「無申告加算税」など、状況ごとに異なる種類が存在します。これらはいずれも「税金を正しく納めなかったことに対するペナルティ」ですが、対象となる行為や課税率、免除条件が異なります。
以下の表は、不納付加算税を含む主な加算税の違いについてまとめたものです。
加算税制度の比較表
| 項目 | 不納付加算税 | 過少申告加算税 | 無申告加算税 |
| 対象となる行為 | 納期限までに国税を納付しなかった | 申告した税額が、実際の税額より少なかった | 申告期限までに申告しなかった |
| 基本税率 | 原則:10% | 原則:10%(※1) | 原則:15%(※3) |
| 軽減税率 | 自主納付:5% | 修正申告が税務調査の事前通知前:5%(※2) | 税務調査の事前通知前に期限後申告:10%(※4) |
| 免除 | 正当な理由あり/一定の要件を満たした上で期限後1ヶ月以内に納付/加算税が少額の場合など | 加算税が少額な場合など | 正当な理由あり/一定の要件を満たした上で期限後1ヶ月以内に申告 /加算税が少額な場合など |
| 重加算税の適用 | 仮装・隠蔽があれば35%の税率で適用される | 仮装・隠蔽があれば35%の税率で適用される | 仮装・隠蔽があれば40%の税率で適用される |
| 課税対象の税金種別 | 主に源泉所得税に対する納付義務型の税金 | 法人税・所得税・消費税などの申告納税方式による税金 | 法人税・所得税・消費税などの申告納税方式による税金 |
※1:過少申告加算税は、増加税額が50万円を超える場合には、50万円を超える部分に対して15%の税率が適用されます。一定要件で税金への加算有。
※2:修正申告書の提出が税務調査の事前通知前の場合、かつ、増加税額が50万円を超える場合には、50万円を超える部分に対して10%の税率が適用されます。一定要件で税金への加算有。
※3:50万円を超える部分は20%。
※4:50万円を超える部分は15%。
4-1.不納付加算税は「納めるべき税金を払っていない」ことに対するペナルティ
不納付加算税は、源泉所得税のように、「申告よりも納付」が主な義務となる税金に対して適用されます。納期後すぐに自主的に納付すれば5%に軽減される場合があるため、早期対応が非常に重要です。
4-2.過少申告加算税は「申告はしたが少なかった」場合に発生
過少申告加算税は、売上の計上漏れや経費の計上に誤りがあった場合などに適用されます。原則は本税の10%ですが、税務調査の前に修正申告を行えば、加算税は5%に軽減される場合があります。
4-3.無申告加算税は「そもそも申告していない」場合に発生
無申告加算税は、期限を過ぎても申告を行わなかった場合に課され、原則として15%という高い税率の加算税が課税されます。さらに仮装・隠蔽があれば、無申告加算税に代わって重加算税が税率40%で課税されるため、非常に重いペナルティといえます。
このように、加算税は「何を怠ったか」によって課される種類や税率が変わります。
いずれの加算税も、自主的な修正や早期対応によって税率が軽減される余地があります。税金に関するミスに気づいたら、すぐに行動を起こすことで、損失を最小限に抑えることができる可能性があります。
5.不納付加算税の会計上の勘定科目は租税公課
不納付加算税が発生した場合、その会計上「租税公課」として処理します。また、法人税の計算上は「損金不算入」となるため、注意が必要です。
◎ポイント
利益計算上では経費になるが、税金計算上は経費(損金)にならない費用があります。税金計算の際に、こうした費用を省く行為を「損金不算入」といいます。通常、経費を払うほど税金は安くなりますが、損金不算入に該当する費用を支払った際は税金が安くなりません。
不納付加算税は、納税義務の履行が遅れたことによるペナルティとして課される税金です。ペナルティを払えば払うほど、税金が安くなるという事態を防ぐためにも、損金不算入という方法で調整される仕組みになっています。
例えば、不納付加算税として1万円を納付した場合、会計処理では借方に「租税公課」、貸方に「現金」と記載します。仕訳は以下のようになります。
借方:租税公課 10,000円
貸方:現金 10,000円
このように仕訳を行ったうえで、決算時には別表調整により、税務上は損金不算入の処理が必要となります。
不納付加算税は「租税公課」で処理しますが、損金不算入の対象であることを忘れず、法人税申告時には忘れずに調整を行いましょう。決算書作成における経理処理と、申告書作成における税務処理をきちんと切り分けることが、誤りのない対応につながります。
6.不納付加算税などの税務リスクを回避したい場合は辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご活用ください
不納付加算税は、たとえ一時的な手続きミスであっても課税対象となり、重加算税の対象となってしまうと多額の負担となってしまいます。
こうした不納付加算税が課されないよう、税務リスクを未然に防ぐには、税理士による日常的な会計チェック体制が効果的です。
税理士は税務に関する専門知識を持ち、適切な会計処理についても豊富な見識を持っています。
依頼することで、納付期限の管理体制の整備や、納付漏れを防ぐための具体的な施策(スケジュール管理やチェックリスト作成、納付手続きの適切なタイミング管理など)の提案等、不納付加算税のリスクを大幅に下げるアドバイスを受けることが期待できます。
また、税務システムや会計システムの導入・活用を指導し、人為的なミスを自動化で防止することも可能になります。
辻・本郷 税理士法人では、源泉所得税を含めた幅広い税務処理のサポートをしてくれる税務顧問サービスを提供しており、ミスの予防はもちろん、万が一の発生時にも迅速に対策を講じることが可能です。
国税庁OBが90名以上在籍しているプロのサポートを受けることで、不安を軽減し、適切な税務手続きや対応が可能になります。
お悩みの際は、辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご検討ください。
7.まとめ
不納付加算税は、源泉徴収税の納付遅延に対して課されるペナルティであり、原則として本税額の10%が課税されます。ただし、一定の要件を満たした上で期限後1ヶ月以内に納付した場合は、課税対象外となることがあります。
また、期限から遅れた日数に応じた延滞税が同時に課されたり、税務署から指摘を受ける前に自主的に納付した場合には税率が5%に軽減される措置があるため、早期の対応がカギとなります。
仮装や隠蔽行為と見なされた場合は35%の重加算税が適用される場合もあるため、日々誠実な対応を心がけましょう。
不納付加算税の概要
| 項目 | 内容 |
| 課税対象 | 源泉徴収等による国税を、法定納期限後に納付した場合 |
| 原則税率 | 本税額の10% |
| 免除 | 正当な理由がある場合/一定の要件を満たした上で期限後1ヶ月以内に納付した場合/加算税が少額の場合など |
| 重加算税の適用 | 仮装・隠蔽など悪質な行為があった場合は、35%の重加算税が不納付加算税の代わりに課される |
| 調査通知前の納付 | 納税通知を受ける前に自主納付した場合には、軽減され、5%の税率となる |
| 関連する加算税制度 | 納期限翌日から納付した日までの日数に応じた延滞税も、同時に課税される |
不納付加算税のリスク管理には、税理士との連携が欠かせません。専門的な知識と経験を持つパートナーとともに、適切な納税体制の構築を目指しましょう。

