一人旅

2019年3月13日 投稿者:

一人旅が好きだ。でも昔からそうだったわけではない。

二人の息子がとうとう成人してしまったのだが、それ以前から、いかにその寂しさをまぎらわし子離れするかを模索し、ようやく見つけた趣味である。

一人旅の楽しみの一つは、色々な感情をゆっくり味わえるところにある。涙が出るほど美しい夕景の感動も、電波の届かない山中での恐怖も、言葉なくただかみしめる。日常では得られない、手先足先いっぱいにまで広がるあの感覚がたまらなく好きだ。

そしてもう一つの楽しみは、人との出会いにある。常連のいそうなカウンターだけの店に勘を頼りに入る。初対面にも関わらず、もう二度と会わないであろう安心感とお酒の力からか、自分のことを語ってくれる人がいる。若者も歳を重ねた方もそれぞれただ一つの人生を生きているのだと、聞きながらしみじみ思う。そして、結局はみな独りなのだと再確認できたときの、あの少し温かな感覚も好きだ。

こうした内省の時間を過ごし、にぎやかな家族の元に戻っていく。帰る場所があるからこその、わがままな楽しみであるのはわかっている。もちろん、放浪母のレッテルも貼られている。