窓口現金が合わない!歯科クリニックがとるべき対策とは?

author-avatar
監修者 宇都宮健太

「また、窓口現金が合わない」

そんなお悩みをお持ちではありませんか?

歯科クリニックは、窓口での現金の取扱いが多く、日々の管理に頭を悩ませていることも少なくありません。
窓口現金の差異が発生した場合はもちろん、その状況が頻発しているとしたら、どう対処すればいいのでしょうか。

本記事では、窓口現金が合わない場合の考えられる原因と対処法を解説しています。


1.歯科クリニックの窓口現金が合わない5つの原因

窓口現金が合わない原因のほとんどが人為的なミスによるものです。その原因として、以下の5つのケースが考えられます。

  • 会計作業のミス
  • 窓口負担額を徴収しなかった
  • 過去の診療費の返金や追加の支払があった
  • 経費をレジから支払った
  • 従業員による盗難

1-1.会計作業のミス

窓口現金の管理は、患者様との受け渡しやレセコンの操作ミスに注意が必要です。

患者様との現金の受け渡しは、受け取ったお金やお渡しするおつりの数え間違い、レジに表示された会計金額の見間違いなどの人為的なミスが起こりやすいポイントです。
オープン間もないクリニックや新しいスタッフが入った場合は、レセコンの操作ミスにも注意しましょう。

1-2.窓口負担額を徴収しなかった

身内やスタッフを治療する自家診療を行なったり、何らかの事情により患者様から診療費を徴収しなかった場合に窓口現金に差異が生じる可能性があります。

窓口現金が合わなかった場合は、すべての患者様から診療費を受け取っているかを確認しましょう。診療費を受け取らなかった、もしくは徴収できなかったケースのルールが決まっていない場合は、注意が必要です。

1-3.過去の診療費の返金や追加の支払があった

何らかの理由により、過去の診療費を現金で返金したり、追加の支払いがあった場合、適切な処理が行われていなければ、窓口現金には、差異が生まれます。

1-4.経費をレジから支払った

窓口現金が合わない場合、診察費や薬代などの患者様の診療にかかわる本来の窓口現金と、そのほかの経費を混同しているケースがあります。

消耗品などの現金支払いの経費をレジから出した場合、本来の窓口現金の額と差異が生まれます。経費と窓口現金とは分けて管理するか、窓口現金から経費を支払った場合は、減額する作業が必要です。

1-5.スタッフによる盗難

可能性のひとつとして、スタッフによる盗難も考えられます。

院長先生からすれば、信頼するスタッフを疑いたくないという気持ちもあるかと思います。しかし、可能性としてスタッフによる盗難の可能性を念頭に置いておくことは必要です。


2.窓口現金が合わなかった場合のNG行動

歯科クリニックの窓口現金が合わなかった場合、次の2つの行動は絶対に避けましょう。

  • 窓口現金が合わなかった原因を曖昧にする
  • 過不足を調整して会計処理する

2-1.窓口現金が合わなかった原因を放置する

窓口現金が合わない原因を放置すると、原因究明がより困難になります。

窓口現金が合わなかった場合、その原因を追究することなく放置すると、同じミスが繰り返され、金額も積み重なっていきます。時間が経つほどに状況の記憶や記録が曖昧になり、原因の特定が困難になっていくはずです。

その結果、税務調査で指摘される可能性があるほか、院長やスタッフが盗難を疑い疑心暗鬼になり、経営にも影響が出る可能性もあります。

2-2.過不足を調整して会計処理する

窓口現金が足りなかったり、逆に多かった場合に、少額でもお金を補充したり、抜いて調整するなど、つじつまを合わせることは絶対に避けましょう。

会計処理が不正確になるほか、多かった場合に抜く行為は、所得隠しや横領と解釈されるリスクもあります。歯科クリニックの税務調査では、窓口現金の管理はチェックされるポイントのひとつです。
無理につじつまを合わせるのではなく、正しく適切な会計処理を行いましょう。


3.歯科クリニックが窓口現金のトラブルを回避するための3つの対策

歯科クリニックで窓口現金が合わないというとトラブルを回避するためには、原因を究明し、再発防止策を取ることが大切です。

  • ルールを設定する
  • 環境の整備
  • 顧問税理士のアドバイスを受ける

3-1.ルールを設定する

ルールを明確に設定することで、人為的なミスを防ぐことにつながります。

①患者様との現金の受け渡し方法

患者様との現金の受け渡し際は、目視での確認と読み上げを徹底します。

患者様から現金を受け取ったとき、またお釣りをお渡しするときは、他のスタッフや患者様からみえるようにお札を数える、小銭はトレーを使って確認するほか、金額を声に出すことで、ミスを防ぐために効果的です。

②現金は用途ごとに分けて管理をする

窓口で取り扱う現金は、窓口現金、小口経費、院長先生が使う費用など、用途ごとに区別して管理します。

レセコンでは、患者様の診療費・薬代、物品販売の売上管理はできますが、経費の処理はできません。そのため、レジから経費などの現金を出した場合は、現金を減らすための会計処理が必要です。

現金で経費が必要になったときに、「とりあえずレジ現金を使う」ことをやめ、あらかじめ準備してある小口経費からの出金するなど、用途別の管理を徹底しましょう。

③窓口現金と日計表と付け合わせる

毎日のレジの締め作業の際、必ず日計表を作成し、入力された金額と実際の金額に差異がないかを確認しましょう。

もし、金額が合わなかった場合は、その原因を特定することが必要です。合わなかった場合はその事実をごまかしたり埋め合わせをすることなく、日計表に記載します。

④銀行に毎日入金する

窓口現金の売上は、診療日ごとに銀行に入金・記帳を行いましょう。客観的な記録を残すことで、原因の特定につながります。

発生した直後に窓口現金に差異が生まれた原因がわからなくても、客観的な事実を記帳し、記録を残すことで発生するパターンを把握することが可能です。また、あとから原因を追究する場合でも、差異が発生した日が明確になるため、原因を特定しやすいというメリットもあります。

⑤自家診療の会計方法を明確にする

従業員や家族に対し、窓口負担金を徴収しない自家診療を行った場合、適切な会計処理が必要です。
会計処理のルールを徹底しましょう。

自家診療の会計処理方法は、以下の通りです。
なお、自家診療を行っても、窓口負担金を徴収した場合は一般の患者様と同じ処理をします。

  • 個人開業の院長の家族を診療した場合

医師国保に加入しているケース

医師国保に加入している場合、自家診療の保険請求はできないため、会計処理は不要です。
ただし、診療で発生した棚卸資産(医薬品や歯科材料など)を使った場合、自家消費に相当する額を収入として計上します。

借方貸方
事業主貸2,000自家消費(売上)2,000

※自家消費額=一般の患者様に請求する金額の70%、もしくは仕入れ金額のいずれか大きい額。

社会保険に加入しているケース

借方貸方
事業主貸2,000
社保険窓口収入(売上)
2,000

社会保険に加入している場合の棚卸資産の消費

社会保険に加入している場合も、家族に対する診療で発生した棚卸資産を使った場合は、医師国保で行った処理と同様に、自家消費に相当する額を収入として計上します。

  • 医療法人が理事長の家族を診療した場合
借方貸方
役員貸付金2,000窓口診療収入(売上)2,000
  • 医療法人が従業員を診療した場合
借方貸方
福利厚生費2,000窓口診療収入(売上)2,000

※徴収しなかった窓口負担金の額が大きい場合は、福利厚生費ではなく給与で仕訳することがあります。

3-2.環境の整備

環境を整備することにより、窓口現金の差異を防ぐことは、スタッフの負担を軽減することにもつながります。

①セミセルフレジやキャッシュレス決済を導入する

現金の数え間違えなどの人為的ミスを防止するために効果的なのが、セミセルフレジやキャッシュレス決済を導入し、現金のやり取りを無くすことです。

患者様自身が機械で会計ができるセミセルフレジやキャッシュレ決済を導入することにより、現金のやり取りを無くすことが可能です。それにより、現金の数え間違いやおつりの渡し間違いを防ぐことができます。

②盗難を防ぐ環境をつくる

スタッフによる盗難の可能性が否定できない場合は、「盗難をさせない」環境を構築しましょう。

時間ごとにスタッフの担当業務をローテーションし、会計を一人の人が担当しないようにするほか、必要に応じて防犯カメラを設置したり、現金チェックをする頻度を増やすことも考えられます。

3-3.顧問税理士のアドバイスを受ける

窓口現金の管理は、歯科クリニックに精通している顧問税理士に相談するのも効果的です。

医療機関の特殊な現金管理に精通しているだけでなく、他の歯科クリニックの窓口現金の管理方法も知っているため、効果的なアドバイスが期待できます。

また、お金の問題はアプローチを間違えると、院長先生とスタッフの間の信頼関係に影響を与えかねません。第三者の税理士のアドバイスであれば、受け入れやすいというメリットもあります。


4.窓口現金が合わなかった場合の会計処理は?

歯科クリニックで窓口現金が合わなかった場合、次の会計処理を行います。

4-1.窓口現金の過不足した場合の当面の仕訳

現金の過不足があり、原因が不明の場合は、当面は現金過不足の勘定科目を用いて処理します。

  • 窓口現金が1,100円少なかった場合
借方貸方摘要
現金過不足1,100現金1,100現金有高不足
  • 窓口現金が1,100円多かった場合
借方貸方摘要
現金1,100現金過不足1,100現金有高超過

4-2.原因が判明した場合の仕訳

後日、窓口現金の過不足原因が分かった場合は、適切な仕訳に振り替えます。

  • 窓口現金の不足理由がコピー用紙の購入だった場合
借方貸方摘要
消耗品費1,100現金過不足1,100コピー用紙代
  • 窓口現金が過剰の理由が、販売した物品の入力もれだった場合
借方貸方摘要
現金過不足1,100雑収入1,100物品販売

4-3.決算までに原因がわからなかった場合の仕訳

決算までに問題を解消できなかった場合、少額であれば現金過剰は雑収入、現金不足は雑損失として処理します。
雑損失や雑収入は消費税課税の対象外(不課税)となります。

ただし、基本的には原因を明らかにし、適切な勘定科目で処理することが求められます特に過不足の金額が大きい場合には、できるだけ原因の究明に努めましょう。

  • 窓口現金不足となった場合の仕訳
借方貸方摘要
雑損失1,100現金過不足1,100原因不明
  • 窓口現金過剰になった場合の仕訳
借方貸方摘要
現金過不足1,100雑収入1,100原因不明

5.歯科クリニックの税務顧問は辻・本郷 税理士法人にお任せください

辻・本郷 税理士法人では、歯科クリニック専門チームを組織し、税務顧問を担当してします。約1,000件(医科・歯科合計/2025年6月現在)の税務顧問の実績があります。

歯科業界特有の税務知識はもちろん、同業他社の動向も把握しているため、窓口現金の管理方法や、セミセルフレジなどの機器の導入の傾向などのアドバイスも可能です。

辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスは、きっと患者様の治療と歯科クリニックの経営にお悩みの先生方の強い味方になるはずです。

窓口現金の管理にお悩みの歯科クリニック様は、ぜひ辻・本郷 税理士法人にご相談ください。


6.まとめ

本記事では、歯科クリニックの窓口現金が合わない場合の対処法についてまとめました。
もう一度振り返ってみましょう。

●窓口現金が合わない理由として、6つの原因が考えられます。

  • 会計作業のミス
  • 窓口負担額を徴収しなかった
  • 過去の診療費の返金や追加の支払があった
  • 経費をレジから支払った
  • 従業員による盗難

窓口現金が合わないことが発覚したときに、やってはいけない行動が2つあります。

  • 窓口現金が合わなかった原因を放置する
  • 過不足を調整して会計処理する

●歯科クリニックが窓口現金のトラブルを回避するためには、3つの対策をとりましょう。

  • ルールを設定する
  • 環境の整備
  • 顧問税理士のアドバイスを受ける

●歯科クリニックで窓口現金が合わなかった場合は、その状況に応じた仕訳が必要です。

  • 窓口現金の過不足した場合の当面の仕訳
  • 原因が判明した場合の仕訳
  • 決算までに原因がわからなかった場合の仕訳

窓口現金の管理にお悩みの歯科クリニック様のご参考になれば幸いです。