オンライン融資とは?メリットデメリット、受ける際の注意点まで解説

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監修者 篠田 佳希

会社を経営していると、様々な理由によって急ぎで資金が必要になるケースは起こりうるものです。

例を挙げると、開発費・人件費が先行しキャッシュフローが不安定で一時的に資金不足になる、売上の波が激しく今月の仕入れや家賃を支払うために早急な資金が必要になるなどが考えられます。

急ぎで資金は必要だけど、銀行の融資は手続きが面倒で時間がかかりそうだ」
「融資手続きのために銀行に行く時間がない」
「オンラインで手間なく受けられるような融資はないだろうか」

このように、急ぎで資金が必要だけど融資の手続きに手間や時間がかけられないという方にご検討いただきたいのがオンライン融資(オンラインレンディング)です。

オンライン融資(オンラインレンディング)とは、オンライン上で融資の手続きができる融資サービスです。提出する書類が少なく審査も即日~数日のため、手間や時間をかけずに融資が受けられます。一方で銀行融資と比べると金利が高く融資額は低めに設定されているため、長期や大規模な融資を受けたい方には不向きです。

この記事では、オンライン融資(オンラインレンディング)とはどのような融資なのか、銀行融資との違い、メリットデメリット、オンライン融資(オンラインレンディング)を受ける際の注意点まで詳しく解説していきます。ぜひ、ご一読ください。


1.オンライン融資とは

オンライン融資(オンラインレンディング)とは、オンライン上で申し込みから資金の入金まで完結する融資サービスです。融資担当者と対面でやり取りをすることなく、すべての手続きがパソコンやスマートフォンで行えます。オンライン融資(オンラインレンディング)には、主に銀行が提供するものと金融機関以外の企業が提供するものがあります。

銀行が提供するオンライン融資(オンラインレンディング)では、入出金・振込・口座残高など、銀行が保有する取引データをもとに、AIが自動で融資可否や金利・限度額を算出します。一般的な銀行融資で求められる決算書などの資料提出は必要ありません。

近は金融機関以外の企業融資を行う事業に相次いで参入しています。金融機関以外の企業が提供するオンライン融資(オンラインレンディング)では、ECサイトの売上データや決済データ、クラウド会計ソフトから確認できるデータなど、借り手側が保有するオンライン上のデータをもとに、AIが自動で融資可否や金利・限度額を算出します。金融機関以外の企業が提供するオンライン融資(オンラインレンディング)でも、一般的な銀行融資で求められる決算書などの資料提出は必要ありません。


2.オンライン融資(オンラインレンディング)と通常の銀行融資との違い

それでは、オンライン融資(オンラインレンディング)と一般的な銀行融資ではどのぐらい違いがあるのでしょうか。一覧表で見てみましょう。

オンライン融資一般的な銀行融資
審査方法入出金データ、決済データ・取引データ、会計データなどのAIによる分析決算書や確定申告書、事業計画書などの書類をもとに対面と書類での審査

審査にかかる時間即日~数日数週間〜1ヶ月以上
融資額の目安数十万〜数千万円数百万〜数億円
金利高め 3%~15.0%程度低め 1%~3%程度 
必要書類本人確認書類など最小限決算書・事業計画書など
担保や保証人不要求められることが多い

2-1.審査方法

オンライン融資(オンラインレンディング)での審査方法は、銀行が保有する取引データやECサイトの売上データや決済データ、クラウド会計ソフトから確認できるデータをAIが分析し、融資の可否を判断します。AIが審査をするため、対面でのやり取りが必要ありません。

一般的な銀行融資での審査方法は、決算書や確定申告書、事業計画書などの書類を人の手で審査し、融資の可否を判断します。たくさんの書類を提出し、対面でのやり取りで審査を行うため、手間がかかります

2-2.審査にかかる時間

オンライン融資(オンラインレンディング)の審査にかかる時間は、早ければ即日かかっても数日です。AIが自動で審査を行うため、時間がかかりません。

一般的な銀行融資の審査にかかる時間は、数週間〜1ヶ月以上です。たくさんの書類を人の目で審査し、対面でのやり取りも必要なため、ある程度の時間が必要です。

2-3.融資額の目安

オンライン融資(オンラインレンディング)での融資額の目安は、数十万〜数千万円です。オンライン融資(オンラインレンディング)では、貸し手側は短期的なデータを基に融資審査を行うため、融資額を低めにすることで与信リスクに備えています。

一般的な銀行融資での融資額の目安は、数百万〜数億円です。銀行は決算書・事業計画・税務申告書など、過去数年分の財務データをもとに企業の返済能力を総合的に判断しリスクを正確に把握できるため、高額な融資が可能になります。

2-4.金利

オンライン融資(オンラインレンディング)での金利は、3%~15.0%程度と高めに設定されていますオンライン融資(オンラインレンディング)では、提出書類や審査が簡素化されている分、貸し手側の抱えるリスクが大きくなるため、金利を高くすることで与信リスクに備えています。

一般的な銀行融資での金利は、1%~3%程度と低めに設定されています。一般的な銀行融資は、不動産担保や信用保証協会の保証を付けることが多くリスクが低いため、低金利での融資が可能になります。

2-5.必要書類

オンライン融資(オンラインレンディング)に必要とされる書類は、身分証などの本人確認書類など最小限なことが多いです。オンライン融資(オンラインレンディング)では、書類の代わりにデータで融資審査を行うため、書類の提出は少なくなります。

一般的な銀行融資に必要とされる書類は、決算書や確定申告書、事業計画書、資金繰り表などかなり多くなります。一般的な銀行融資では、利益構造・キャッシュフロー・負債状況を細かく分析し与信リスクに備えるため、提出を求められる書類が多くなります。

2-6.担保や保証人

オンライン融資(オンラインレンディング)では担保や保証人は不要です。オンライン融資(オンラインレンディング)では様々なリアルタイムの経営データで信用力を判断しているため、担保や保証人は重視され​ません。

一般的な銀行融資では担保や保証人が求められることが多いです。返済が滞っても確実に融資を回収できる体制を作ることを重視するため、担保や保証人が必要となります。


3.オンライン融資のメリット・デメリット

では実際に、オンライン融資(オンラインレンディング)にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それぞれ見ていきます。

3-1.オンライン融資(オンラインレンディング)のメリット4つ

まずはオンライン融資(オンラインレンディング)のメリットから見ていきます。

■オンラインで融資が完結する

■審査期間が短い

■必要書類が少ない

■担保や保証人も不要な場合が多い

■オンラインで融資が完結する

オンライン融資(オンラインレンディング)の最大のメリットは、融資に関わる全ての手続きがオンライン上で完結することです。契約書も電子契約書が導入されています。

オンライン融資(オンラインレンディング)では、全てのやりとりがパソコンやスマートフォンでできるため、時間や場所に制約されることなく融資の手続きができます。

■審査期間が短い

オンライン融資(オンラインレンディング)では、AIが自動で融資可否や金利・限度額を算出するため、最短でその日のうちに融資審査の結果が出ます。資金調達を急いでいる場合にはとても有効です。

■必要書類が少ない

オンライン融資(オンラインレンディング)では、銀行が保有する取引データやECサイトの売上データ、決済情報、クラウド会計ソフトから確認できるデータをもと融資審査をするため、一般的な銀行融資で求められる決算書などの資料提出は必要ありません。資料を準備する手間や時間を取られずに融資の手続きができます。

■担保や保証人も不要な場合が多い

オンライン融資(オンラインレンディング)では、銀行が保有する取引データやECサイトの売上データ、決済情報、クラウド会計ソフトから確認できるデータなどリアルタイムの経営データが融資審査の基準となるため、担保や保証人を求められません。担保となる不動産を持っていない中小企業や個人事業主でも資金調達がしやすくなります。

3-2.オンライン融資(オンラインレンディング)のデメリット2つ

次にオンライン融資(オンラインレンディング)のデメリットを見ていきます。

■金利が高い

■借入限度額が低い

■金利が高い

オンライン融資(オンラインレンディング)では、担保や保証人を不要とする代わりに貸し倒れのリスクに備えるため、金利は高めに設定されています。オンライン融資(オンラインレンディング)の金利は3%〜15%程度、一般的な銀行融資の金利は1%~3%程度で、かなりの差があります。オンライン融資(オンラインレンディング)は、短期的な資金調達には有効な手段となりますが長期的な借り入れには不向きと言えます。金利の負担を考えた上での返済計画が必要です。

■借入限度額が低い

オンライン融資(オンラインレンディング)では、AIが短時間で行う融資判断では、多くの資料と対面での融資審査を慎重に行う従来の銀行融資と比べて借り手の返済能力を慎重に見極める必要があるため、借りられる上限額が低く設定されています。多額の融資を受けたい場合には不向きといえます。

■返済期間が短い

オンライン融資(オンラインレンディング)では、短期回収でリスクを抑えるため、返済期間が半年~1年程度と短めに設定されています。融資を受けてもすぐに返済しなくてはならず、長期を見据えた資金計画を考えている場合には不向きといえます。


4.オンライン融資を受ける際の注意点

ここからは、オンライン融資(オンラインレンディング)を受けるにあたっての注意点を見ていきます。

4-1.サービスごとに満たさなければいけない条件がある

オンライン融資(オンラインレンディング)では、AIが銀行が保有する取引データやECサイトの売上データ、決済情報、クラウド会計ソフトから確認できるデータなどをもと融資審査をするため、一定期間の利用データが必要になります。

具体的には、銀行系のオンライン融資(オンラインレンディング)であればその銀行に口座を持ち、一定期間以上の取引があること、ECサイトでのECサイトの売上データをもとに行うオンライン融資(オンラインレンディング)であれば、そのECサイトでの販売実績があることなどです。

4-2.クラウド会計ソフトとの連携が必要な場合がある

クラウド会計ソフトから確認できるデータをもとに融資を判断するオンライン融資(オンラインレンディング)では、そのサービスが対応しているクラウド会計ソフトが限られている場合があります。

自社が利用しているクラウド会計ソフトが利用したい融資サービスに対応していない場合、クラウド会計ソフトの切り替えが必要になります。


5.主なオンライン融資(オンラインレンディング)サービス

最後に、主なオンライン融資(オンラインレンディング)サービスをいくつかご紹介します(2025年11月現在)。どのサービスも借り入れ期間は短く、独自の利用条件が設けられています。

サービス名利用条件審査に用いるデータ金利借入額借入期間
三菱UFJ銀行
「BizLENDING」
・三菱UFJ銀行に、一定期間以上入出金履歴がある口座(普通預金・当座預金)を持っていること
入出金データ0.8%~14.0%最大1,000万円・ 元金均等返済の場合は12ヶ月以内
・期日一括返済の場合は3ヶ月以内
住信SBI銀行
「事業性融資dayta」
・住信SBI銀行に口座を開設していること
・住信SBI銀行の所定の条件を満たしたお客さまにお知らせしている「借入条件のお知らせ」を受け取っていること
入出金データ最大3,000万円最長13月未満
GMOあおぞらネット銀行
あんしんワイド」
・GMOあおぞらネット銀行の法人口座があること
・GMOあおぞらネット銀行の法人口座または入出金明細サービス「freee入出金管理 with GMOあおぞらネット銀行」で2か月以上連続した入出金明細情報があること
入出金データ0.9%~14.0%
最大1,500万円1年間※契約期限の更新あり
GMOあおぞらネット銀行
「GMOあおぞらビジネスローン(freee会員向け)」
・GMOあおぞらネット銀行の法人口座があること
・freee資金調達および無料会員を含むクラウド会計ソフトfreee会計の会員の法人で、freee資金調達で7カ月以上連続した入出金明細情報を同期している法人であること
freee会計の入出金明細データ0.9%~12.0%最大1,500万円・返済回数6回(最長7月)
・返済回数12回(最長13月)
Amazon.co.jp
「Amazon レンディング」
 Amazonマーケットプレイスでのビジネスにおいて実績のある法人の販売事業者であることAmazonの売上データ、販売状況や在庫状況のデータ8.9% ~ 13.9%最大5,000万円
・3月(返済回数3回)
・6月(返済回数6回)
GMOペイメントゲートウェイ
「GMO-PG トランザクションレンディング」
GMOペイメントゲートウェイの決済サービスを利用の加盟店であること
ECサイトの決済データ2.00%~15.00%最大3,000万円・元金均等返済の場合は1年以内
・元金一括返済の場合は6ヵ月以内
UPSIDER
法人カード
「UPSIDER」
法人であること
(法人カード申込時に会社経営実績や事業継続年数、信用情報を審査)
法人カードの利用データや決済サービス「支払い.com」の決済データ最大10億円
・翌月一括後払い
・条件により最大60日、後払いも可(支払い.com経由)

6.まとめ

オンライン融資(オンラインレンディング)は、一般的な銀行融資と比べて提出する書類が少なく審査も即日~数日で、手間や時間をかけずに融資が受けられるため、多忙な中小企業の経営者や個人事業主にとってとても有用な融資サービスです。一方で、銀行融資と比べると金利が高く融資額は低めに設定されているため、長期や大規模な融資を受けたい場合には向いていません。

オンライン融資(オンラインレンディング)サービスの特徴を比較し、自社に合った選択を行うことが重要となります。