
デューデリジェンス(DD)は、M&Aにおいて重要な役割を果たします。やりがいのあるデューデリジェンス業務に興味がある方も多いことでしょう。
一方で、デューデリジェンス業務を行う転職先に疑問があるかもしれません。デューデリジェンスに関わるための転職を検討している方向けに、M&Aにおけるデューデリジェンスの転職についてご紹介します。
それぞれの特徴を知り、満足できる転職につなげていきましょう。
目次
1.M&Aにおけるデューデリジェンスの転職先といえばFAS
M&Aにおけるデューデリジェンスの専門家といえば、まずFAS(Financial Advisory Service)の専門会社です。一方で、コア業務ではないもののデューデリジェンスを行う会社等もあります。まず、FASとそれ以外の転職先の概要は次の通りです。

※デューデリジェンスには複数の種類がありますが、本記事では重要度の高い財務・税務デューデリジェンスを念頭に置いています。
1-1.FASはデューデリジェンスに特化した専門家
FASを専門で扱う会社は、M&Aや事業再生といった局面でデューデリジェンス(調査・分析)を行います。M&Aや事業再生において、適切な意思決定をするための材料を提供することが主なサービスです。
FASのなかにはコンサルタント的な立ち位置でアドバイスまで行う会社もありますが、コア業務は調査分析です。M&AのデューデリジェンスといえばFASが7-8割を占めるため、デューデリジェンスに興味があるなら、FASへの転職が基本の選択肢でしょう。
1-2.FAS以外のデューデリジェンスに携わる転職先
FAS以外にコア業務ではなく、顧客サービスの一環や関連業務としてデューデリジェンスを行う会社や法人があります。デューデリジェンスを行う会社等は次の通りです。なお、一般的にこれらの会社等は、デューデリジェンスをメインで行うわけではありません。
- コンサルタント会社(経営コンサルタントや事業再生コンサルタント)
- 税理士法人/監査法人等
※デューデリジェンスは専門業務であるため、外注するケースもあります
内製でデューデリジェンスを行う場合は社内に「FAS部門」を設けていることが多いです。つまりFAS以外の会社等は、FAS部門に配属されない可能性もあり、デューデリジェンス以外の業務に就くかもしれない転職先です。デューデリジェンス以外の業務にも興味がある場合に、検討対象となる選択肢でしょう。
2.デューデリジェンスに関連する転職先の特徴
M&Aにおけるデューデリジェンス業務に就きたいなら、基本的な転職先はFASです。FASの特徴を確認するとともに、FAS以外の転職先についても見ていきます。
※特徴はあくまで一般的なものです。転職先を検討する材料として参考にしてください。
2-1.デューデリジェンスに特化したFASの特徴
M&Aや事業再生といった局面でデューデリジェンス(調査・分析)を行います。デューデリジェンス以外に、バリュエーション、経営統合、PPAなどの業務までカバーすることも多いですが、どれもデューデリジェンスと関連する業務です。
FASの特徴は次の通りです。
| 業務の特徴 | 向いている方 | |
| FAS | 多様な会社の本質に触れることができる | ・調査・分析力に加え、強調性、柔軟性、マネジメント力など幅広いスキルを伸ばしたい方 ・デューデリジェンス・バリュエーション業務を極めたい方 |
仕事内容とやりがい
M&Aにおけるデューデリジェンスは、経営者の意思決定を左右するもので、重要な意思決定に影響する調査・分析は、責任感が高い分やりがいも大きいでしょう。
ただし、単に調査・分析力が優れているだけでは評価されにくく、次のような能力も求められます。
- メンバーとデューデリジェンスを進めていくための強調性
- 状況に応じて作業の深度や割り振りを調整する柔軟性
- チームをリードしてパフォーマンスを最大化するマネジメント力
デューデリジェンス業務に従事することで、幅広いスキルを伸ばしていけるでしょう。
FASは多くの会社のデューデリジェンスを行うため、バリュエーション業務を極めたい方にとってまず考えたい転職先です。また、多様な業界・業種の財務や商流を見ることができます。多様な会社の本質に触れることができるのも、FASの魅力といえます。
転職で有利な資格や経験
FASに転職する場合に有利な資格は次の通りです。
- 税理士(科目合格でも評価される可能性あり)
- 日商簿記2級
- USCPA(米国公認会計士)
- TOEIC 800点以上(グローバルな案件を扱う場合)
また、会計事務所での勤務経験、一般企業の経理部門経験など、会計や財務関連の業務経験者は有利になるでしょう。
転職の場合、未資格・未経験での採用は基本的に難しいといえます。現在の仕事が会計・財務に関連していない場合は、資格取得を目指すことが堅実かもしれません。
給与水準
給与水準の全体像は次の通りです。
- 当初は600~700万円程度
- 中堅クラスになると平均年収は1,000万円近く
- ポジションが上がれば年収2,000万円以上も期待できる
また、ポジジョンごとの給与水準もご紹介します。ただし、あくまで目安です。また、一般的に、給与は固定給と成果報酬の合算となる点にも注意します。
- アソシエイト 600万円〜
- シニアアソシエイト 700万円〜
- マネージャー 800万円~
- ディレクター 900万円~
- パートナー 1300万円~
キャリアパス
デューデリジェンスの経験を積むことで財務・会計・経営・M&Aといった汎用性の高い知識を得られるため、キャリアパスの選択肢も広いです。主に次のようなキャリアパスが考えられます。
- M&A・ファイナンス系企業への転職
M&A仲介、M&Aアドバイザー、PEファンド、 - 一般企業への転職
経営企画部、M&A推進部、財務部門、内部統制部門等への配属、もしくはCFO職 - コンサルタント系への就職
経営コンサルタント、事業再生コンサルタントなど
2-2.FAS以外のデューデリジェンスを行う転職先の特徴
FAS以外にデューデリジェンス業務を行う転職先として、ここでは「コンサルタント」「税理士法人」「監査法人」を挙げます。
前提として、デューデリジェンスがコア業務ではない点に注意します。それぞれの特徴は次の通りです。
| FAS業務との関り | 向いている方 | |
| コンサルタント | 事業再生やM&A関連のアドバイスや、経営アドバイスの精度を高めるためにデューデリジェンスを行う | ・デューデリジェンスの結果を直接的にクライアントに反映させたい方 ・コンサル力も鍛えたい方 |
| 税理士法人 | 税務の専門家としてM&Aの税務デューデリジェンスを行う | ・税務・会計面に特化した専門家を目指す方 |
| 監査法人 | 財務の専門家として、M&Aの財務デューデリジェンスを行う | ・財務面の包括的な専門家を目指す方 |
なお、デューデリジェンス業務に就くために有利なスキルは2-1.デューデリジェンスに特化したFASの特徴で述べた「転職で有利なスキルや経験」と、キャリアパスについては「キャリアパス」と概ね同様です。
ここでは、各転職先の「仕事内容とやりがい」、「給与水準」をご紹介します。
仕事内容とやりがい
コンサルタント会社(経営コンサルタントや事業再生コンサルタント)
一般的にコンサルタントはクライアントの経営を理解し、積極的なアドバイスを行うのがコア業務です。一方で、事業再生やM&A関連のアドバイスや、経営アドバイスの精度を高めるためにデューデリジェンスを行うケースがあると考えられます。
調査・分析にとどまらず経営面への積極的なアドバイスをできるのが大きな強みで、デューデリジェンスの結果を直接クライアントの経営に反映させたいと考える方にとって、やりがいのある選択肢でしょう。また、コンサル力も鍛えたい方にも向いているといえます。
税理士法人
一般的に税理士法人は税務・会計の専門家で、会計処理や決算のサポートがコア業務です。一方で、税務の専門家としてM&Aの税務デューデリジェンスを行うケースもあります。
M&Aは売買であるため、税金が発生します。また、会計基準の種類やM&Aの手法ごとの会計処理方法、のれんに代表されるPPAも重要です。税務・会計面に特化した専門家を目指す方にとってやりがいのある選択肢でしょう。
監査法人
一般的に監査法人はクライアントの会計監査がコア教務です。一方で、財務の専門家として、M&Aの財務デューデリジェンスを行うケースもあります。M&Aのデューデリジェンスを請け負うときは財務の専門家として、バリュエーションまで対応可能でしょう。
また、財務は税務領域との関連性も高いため、税務デューデリジェンスとのスムーズな連携も期待できます。ただし、監査とデューデリジェンスは同じ財務面の調査・分析でも、異なる視点が必要です。
M&Aにおけるデューデリジェンス、会計監査など、財務面の包括的な専門家を目指す方にとってやりがいのある選択肢でしょう。
給与水準
コンサルタント会社、税理士法人、監査法人の一般的な給与水準をご紹介します。国内中堅規模の会社(法人)を想定します。
コンサルタント会社(経営コンサルタントや事業再生コンサルタント)
コンサルタントの平均年収は会社、専門、ポジジョンによって異なります。コンサルタント会社における、中堅以降の平均的な給与水準は次の通りです。
- 中堅ポジション 700万円~
- マネジメントポジジョン 900万円~
- パートナーポジション 2000万円~
業績連動型の給与体系が多く、成果をあげれば高い給与が期待できます。一方で、クライアントからの評価や結果によっては思うような給与が得られないかもしれません。
税理士法人
資格の有無や実績、専門性によって平均年収は大きく変わります。税理士法人における、中堅以降の平均的な給与水準は次の通りです。
- 中堅ポジション 600万円~
- マネジメントポジジョン 700万円~
- パートナーポジション 1500万円~
税理士試験の科目合格や実務経験など、資格以外の要素も考慮されますが、順調にポジションをあげるには税理士資格を持っていることが望ましいです。
監査法人
資格の有無や実績、専門性で平均年収は大きく変わります。監査法人における中堅以降の平均的な給与水準は次の通りです。
- 中堅ポジション 500万円~
- マネジメントポジジョン 700万円~
- パートナーポジション 1800万円~
公認会計士資格が給与に直結するため、上記は有資格者を前提にしています。資格の有無で転職時の給与水準が変わるので注意します。
FASの給与体系やキャリアパスについては「M&AにおけるFASとM&A仲介の違い!業務領域や適応人材の差をご紹介」もご覧ください。
3.辻・本郷 FAS株式会社なら、プレデューデリジェンスからポストM&Aまで幅広い業務経験が積める
デューデリジェンスやバリュエーションをコア業務としている辻・本郷 FAS 株式会社は、初期のプレデューデリジェンスはもちろん、PPAや経営統合支援まで対応可能です。辻・本郷 グループを通じた依頼や、面識のある金融機関からの紹介など、安定してデューデリジェンス案件を獲得している実績があります。
デューデリジェンスに特化した専門人材を目指すなら、辻・本郷 FAS株式会社にご応募ください。
また、辻・本郷 グループの一員として、辻・本郷 税理士法人、辻・本郷 監査法人、などとの連携することで、顧客のさまざまなニーズに応えています。

4.まとめ
M&Aにおけるデューデリジェンスの専門家といえばFASです。それ以外にもデューデリジェンスを行う会社等がありますが、コア業務ではない点に注意します。
| FAS | FAS以外(コンサルタント会社・税理士法人・監査法人) |
|---|---|
| デューデリジェンスがコア業務 | 顧客サービスの一環や関連業務としてデューデリジェンスを行う |
デューデリジェンスを行うならば、基本的にはFASをおすすめします。一方で、保有する資格や興味のある分野によってはそれ以外の選択肢もあるでしょう。本記事で、ご自身にとって最適な転職先を見つけてください。
