
日本において、一定以上の財産を承継した際に発生する「相続税」に対し、疑問や不満をお持ちの方もたくさんいらっしゃることでしょう。本記事では相続税の役割について、財務省の見解をもとに、「なぜ相続税は存在するか?」を解説していきます。
また、記事の後半で解説していますが、相続税を納めることは法律で定められた「義務」です。納めるならば納得感のある納税となるように事前準備をすることが大切になってきます。
本記事を通して、相続税の役割を理解していただければ幸いです。
目次
1.相続税の役割と財務省の見解
相続税の役割について、日本の財政や税制全般を企画・立案する財務省は以下のような見解をHP上でしています。
相続した財産の一部を国に納めていただき、広く社会のために使うことになるので、相続税には、資産を再分配する機能があります。また、相続した財産が大きいほど相続税額は大きくなるので、生まれた家庭の経済状況による差を縮小させ、格差の固定化を防止する機能もあります。
■財務省HP「身近な税」「Q 相続税について教えてください。」の回答より抜粋
つまり、相続税には、以下の2つの役割があると財務省は考えています。
- 冨の再分配:相続した財産の一部を国納め、広く社会のために使うこと
- 格差の固定化防止:生まれた家庭の経済状況による差を縮小させること
インターネット上では様々な税理士法人が相続税の見解について解説していますが、財務省の見解によると相続税の役割は上記の2つとなります。
2.相続税を支払うことは法律で定められた「義務」
相続税の役割について疑問を持っている方もいらっしゃると思いますが、相続税を支払うことは法律で定められた「義務」です。
国の最高法規である憲法の第30条では以下のように定められています。
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
また、具体的な内容は相続税法で定められています。
第1条の3で納税義務者、第11条で相続税等により取得した財産に課税すること、第68条と第69条で相続税の課税を逃れた場合の罰則について定められています。
3.相続税の役割についてよくある質問
相続税の役割についてよくある質問を解説します。
Q.所得税を納めているのに、相続税も納めるのは二重課税ではないか
A.所得税は「稼いだ本人」への課税、相続税は「財産を譲り受けた人」への課税のため、納税者が異なります。
生前の所得の中には、土地や株式の値上がり益のように、売却しない限り課税されないものがあります。これらに課税しないまま次世代へ引き継ぐことは、格差の固定化に繋がる恐れがあるため、相続税を課税し富の再分配をしています。
Q.相続税の税率は重すぎないか
A.相続税の税率は最高で55%(所得税は45%)と高くなっていますが、税率は累進税率となっており、全ての人が高い税率が適用される訳ではありません。
また、相続税は遺産全体に課税される訳でなく、「基礎控除」によって一定額までは非課税です。
さらに、相続人が複数人いれば、各人の遺産は少なくなり税率も下がります。
その他にも配偶者の生活を守るための配偶者の税額軽減や、自宅の宅地の評価額を最大80%減額できる小規模宅地等の特例など、税負担を軽減できる様々な特例があります。
筆者の個人的な見解ですが、富の再分配、格差の固定化防止のために税を徴収しつつも、残された家族の生活基盤はしっかりと守るよう配慮されていると言えると思います。
4.まとめ
相続税の役割について疑問を持っている方もいらっしゃると思いますが、相続税を支払うことは法律で定められた「義務」です。相続税の課税対象となる可能性がある方が納得感のある納税をするためには、事前の準備が大切です。
亡くなった後にできる相続税対策は限られています。
納得感のある相続を迎えるためには、生前から資産の状況と家族の想いを確認し、計画的な贈与や特例の適用を検討することで、税負担を適切に軽減する必要があります。
辻・本郷 税理士法人では、お客様の大切な財産を次世代へ円滑につなぐためのサポートを行っています。相続税試算、生前対策コンサルティング、遺言作成など生前対策に特化したサービスも取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。

