
ご家族が国外へ拠点を移されるのを機に、海外へまとまった資金を送りたいというご相談をいただくことが増えています。
「もらう人が海外にいるから日本の贈与税は関係ない」という思いこみから、思わぬ税務トラブルが生じるケースがあります。
1.全世界の財産に課税される原則
日本の税法では、財産を贈与する人が日本国内に住んでいる場合、もらった人の住む場所や送金先の国にかかわらず、すべての財産が日本の贈与税の対象となります。
将来「親子ともに海外へ移住する(両者とも10年超の海外在住)」または「日本国籍のない親族へ贈与する」ことで、日本の贈与税が免除されるのは「国外財産」の贈与に限られます。
したがって、日本の居住者から海外の家族へ送金を行う場合には、その財産の性質や送金手順について慎重な検討が必要です。
2.非課税になるための条件と注意点
ただし、扶養義務者相互間の「生活費」や「教育費」のサポートであれば、贈与税は非課税となります。
(1) 「必要な都度」の原則
非課税となるのは、必要なタイミングで直接その費用に充てられたものに限られます。
数年分の生活費や学費を一度にまとめて送金した場合、その資金が消費されず現地の口座に滞留していると、「生活費ではなく資産の贈与」と認定されるリスクが生じます。
(2) 財産転用のリスク
生活費として送った資金であっても、結果的にお子さんが現地の「株式投資」や「不動産の購入」に回した場合、その時点で全額が贈与税の課税対象となります。
3.国外送金等調書への対応
1回あたり100万円を超える海外送金を行うと、銀行から税務署へ「国外送金等調書」が自動的に提出され、資金移動は把握されます。また、送金後に口座にプールされた資金の残高は、自動情報交換基準である「CRS(共通報告基準)等」を通じて国税庁に通知されます。
海外の家族へ送金する際は捕捉を前提とし、必要なタイミングで都度送金することが鉄則です。
さらに、万が一の税務調査に備え、現地の学費の請求書や領収書、生活費の使途がわかる明細などの「客観的な証拠書類」を必ず保管しておくといった実務的な防衛策を講じることが重要です。
4.まとめ
国際資産税に関するご相談は、辻・本郷 税理士法人までお気軽にお寄せください。
担当:立川 祐子
【参考】国税庁HP
タックスアンサー No.4432「受贈者が外国に居住しているとき」
タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない財産」

