
「開業資金を借りたいけれど、銀行はハードルが高そう」「自己資金だけでは心もとない」といったときに多くの起業家や個人事業主の味方になってくれるのが日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫は、民間金融機関では融資を受けにくい方でも利用しやすい、政府系の金融機関です。
しかし、「申込方法が分かりづらい」「何から準備すればいいのか不安」と感じる方が多いのも事実です。
この記事では、日本政策金融公庫への申込はいつ、どこから申し込みをするべきなのか、どのような準備が必要なのかなどを、わかりやすく解説します。
これから融資を検討するあなたが、安心して一歩を踏み出せるように丁寧にご紹介します。
「公庫の融資は難しそう」と感じている方でも、読み終える頃には「自分にもできそうだ」と実感できる内容になっています。どうぞ最後までお読みください。
目次
1.日本政策金融公庫の融資申込はどこで行う?
起業や事業の運営に必要な資金を日本政策金融公庫から借りる際、最初に気になるのが「申込はどこでできるのか」という点です。
日本政策金融公庫ではオンラインでも支店窓口でも申込が可能であり、自分の状況や希望に応じて方法を選べます。
この章では、まず、それぞれの申込方法について解説します。
1-1.インターネット上でオンライン申込
日本政策金融公庫の融資は、インターネットを使って24時間365日いつでも申し込むことができます。
忙しい起業家や個人事業主にとって、時間を気にせずに申込手続きを進められる点は大きなメリットです。さらに、オンライン申込では書類の入力や添付がスムーズで、初めての方でも分かりやすい動画の操作ガイドなどが用意されています。
これにより、日中は事業の準備で忙しい方でも、夜間に自宅から申込を完了させることができます。
日本政策金融公庫の公式サイトには「事業資金インターネット申込操作ガイド」があり、画面の流れに沿って進めるだけで申込できる仕組みとなっています。
時間や場所に縛られず申込を進めたい方には、オンライン申込が最も効率的でおすすめの方法です。
1-2.最寄りの支店で直接申込
もうひとつの方法は、全国152ヶ所にある最寄りの支店で直接申込を行うことです。
窓口で担当者と相談しながら申込できるため、不安や疑問をその場で解消できる安心感があります。
特に初めて融資を申し込む方や、事業計画に不安を感じている方には有効です。ただし、窓口申込は公庫の営業日・営業時間に限定される点に注意が必要です。
例えば、資金計画の作成に不安がある方は、支店の担当者に相談しながら申込書類を整えることができます。その結果、より確実に融資審査を進めることが可能になります。
「直接アドバイスを受けたい」「自分の計画に自信がない」という方は、最寄りの支店での直接申込を選ぶと安心です。
2.日本政策金融公庫の融資申込はいつ行うべきか?
融資を申し込む際に「いつ頃動き出せばよいのか」というタイミングは非常に重要です。
資金が必要な時期に着金が間に合わなければ、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。そのため、日本政策金融公庫への申込は資金が実際に必要になる時点から逆算し、余裕を持って行うことが欠かせません。
この章では、融資申込をいつすべきかについて解説していきます。
2-1.日本政策金融公庫の融資申込は資金が実際に必要になる「2〜3ヶ月前」に余裕をもって行うのが望ましい
融資申込は、資金が実際に必要になる時期の「2〜3ヶ月前」に余裕をもって行うことが一般的には望ましいとされています。
これは、申込から審査、契約、入金までに早ければ1ヶ月半程度かかることに加え、書類の不備や面談日程の調整、申込が集中する時期などによって、さらに時間がかかる可能性があるためです。余裕をもって申込を行うことで、資金が必要な時期に遅れなく手元に届くことが期待できます。
例えば、4月に開業資金が必要な場合、遅くとも1月〜2月には申込を済ませておくと安心です。これにより、審査の過程で書類の追加提出や面談の再調整が必要になった場合でも、資金調達に支障が出るリスクを減らせます。
したがって、必要資金の到着時期から逆算し、「2〜3ヶ月前」には日本政策金融公庫に融資申込を行うと良いでしょう。
2-2.申込から融資実行(着金)までの期間は約1ヶ月半前後
日本政策金融公庫の融資は、申込から実際に資金が振り込まれるまでに、早ければ約1ヶ月半前後かかります。
これは、まず申込から約2週間程度で審査の可否連絡があり、その後、契約書のやり取りや入金処理に1週間ほどを要するためです。つまり、すぐに資金が必要だからといって即日融資を受けられるわけではありません。
例えば、4月に開業を予定している方が「開業日からすぐに資金を使いたい」と考える場合、遅くとも2月中には申込を行い、3月中に審査を通しておくことが望ましいのです。
したがって、資金を必要とする直前ではなく、最低でも1ヶ月半以上前から準備して申込を行うようにしましょう。
2-3.書類の不備・混雑期によっては申込〜着金に2ヶ月以上かかることもある
ただし、場合によっては1ヶ月半では足りず、2ヶ月以上かかることもあるため、さらに余裕を見て動く必要があります。
書類に不備があれば差し戻しで時間をロスしますし、面談日程の調整がスムーズにいかないこともあります。また、年度末や創業シーズンには申込が集中するため、審査や手続きが遅れるケースも少なくありません。
実際に、3月や9月といった繁忙期には申込から融資実行まで2ヶ月以上かかったという声もあります。こうした遅れに備えて、必要資金の「2〜3ヶ月前」には申込を済ませておくことが安心につながります。
想定外の遅れが発生しても事業に支障が出ないように、余裕を持って早めに申込を行うことが最善です。
3.日本政策金融公庫の融資申込の前に準備が必要な書類は何か?
融資申込をスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を整えておくことも不可欠です。
書類が揃っていないと申込が遅れたり、審査が長引いたりすることがあります。
この章では、個人事業主の場合と法人の場合に分けて、具体的に準備すべき書類を解説します。
3-1.個人の場合の必要書類
個人事業主が融資申込を行う際は、事業状況や本人確認、資金用途を確認できる書類などを揃える必要があります。
日本政策金融公庫では、申込者の経営状況や返済能力を正確に把握するため、確定申告書や通帳などの書類提出が求められます。設備資金の場合は見積書、許認可が必要な事業の場合は証明書も必要です。
個人の場合の必要書類
・最近2期分の確定申告書(青色申告の方は青色申告決算書、白色申告の方は収支内訳書を含む。事業を初めて間もない方は提出不要。1期目が完了している方は、1期分の納税申告書)
・設備資金をお申し込みの方は見積書
・創業計画書か企業概要書
・預金通帳や領収書などお支払い状況のわかるもの(最近6ヶ月分以上)
・運転免許証またはパスポート
・許可・届出等が必要な事業を営んでいる方は許認可証
個人事業主は、事業状況、資金用途、本人確認をカバーする書類を事前に揃えておくことで、申込がスムーズに進みます。
3-2.法人の場合の必要書類
法人が融資申込を行う場合も、事業状況や資金用途、法人代表者の本人確認を示す書類を揃えることが必須です。
法人の場合は個人事業主よりも提出書類が増え、財務状況の確認や法人の法的情報の確認が重視されます。決算書や試算表の提出で事業の健全性を示し、履歴事項全部証明書で法人の登記状況を確認できるようにします。
法人の場合の必要書類
・最近2期分の確定申告書・決算書(事業を初めて間もない方は提出不要。1期目が完了している方は、1期分の納税申告書)
・最近の試算表(決算後6ヵ月以上経過している場合、または事業を始めたばかりで決算を終えていない方)
・設備資金をお申込の方は見積書
・履歴事項全部証明書
・創業計画書か企業概要書
・預金通帳や領収書などお支払い状況のわかるもの(最近6ヵ月分以上)
・代表者の運転免許証またはパスポート
・許可・届出等が必要な事業を営んでいる方は許認可証
法人の場合は、財務情報・資金用途・本人確認・法人情報を揃えることで、申込手続きを確実に進められます。
4.まとめ
日本政策金融公庫での融資申込をする際には、申込場所やタイミング、必要書類を事前に把握して準備しましょう。
オンライン申込や支店窓口のどちらを選ぶかによって手続きの手軽さや相談のしやすさが異なります。オンライン申込であれば夜間でも手続き可能ですし、支店窓口であれば担当者に直接相談しながら書類を整えることができます。
また、申込から融資実行までの期間を考慮して、資金が必要な 2〜3ヶ月前には申込を開始するなど、余裕をもったスケジュールで動くことが重要です。
個人・法人それぞれで求められる書類を事前に揃えておくことで、審査をスムーズに進めることができます。
これらをしっかりと準備することで、初めての方でも安心して融資申込を進めることができます。不安な点があれば、専門家へ相談する選択肢も視野に入れておきましょう。