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相続放棄しても財産の管理が必要?令和5年に改正された相続放棄のルール

公開日:2023.07.06
その他
相続放棄しても財産の管理が必要?令和5年に改正された相続放棄のルール

空き家の発生問題が全国的な課題であるとして議論されるなか、京都市では空き家発生の対策新税として「非居住住宅利活用促進税」が令和8(2026)年以後に導入される予定です。

この税は、空き家を所有している場合にさらにプラスで税金がかかるという制度です。今後も空き家発生問題解決のために様々な施策が行われることでしょう。

相続が発生した際にも所有者が不明な土地をなくそうという動きが高まり、令和3(2021)年に民法の改正が行われ、令和5(2023)年4月から施行されることとなりました。そのなかで、相続財産の管理に関する制度が整備されましたのでご紹介します。

同じ流れのなかで同年4月から施行された「相続土地国庫帰属制度」については過去の記事『相続した土地を国に引き取ってもらう制度が創設されました』にまとめています。相続したけれど不要な土地や、空き家でお悩みの方は参考にしてください。

新宿ミライナタワー事務所

相続放棄をしても相続財産の管理をしなければならない?

従来、相続放棄をした人は、放棄したことによって相続人になった人が相続財産の管理を始める態勢ができるまで、財産の管理をしなければならないとされていました。

しかし、このような曖昧な規定では、相続放棄をしたにもかかわらずいつまで財産を管理するのかがわかりません。

相続人となり得る人が全員相続放棄をした場合には誰が財産を管理するのか、また、財産の管理ができないため相続放棄をしたのに管理し続けなければならないのか? といった問題が生じていました。

改正民法では相続放棄時に「占有している相続財産だけ」を管理することになった

そこで令和5年の改正民法では、相続放棄の際に占有している相続財産に限り、相続財産を相続人等に引き渡すまでの間、自分の財産に対する注意と同じだけの注意をもって管理しなくてはならない、とされました。

ほかに相続人がいる場合には、その相続人に財産を引き渡すまでの間に管理義務があります。

全員が相続放棄をして自分が最後の相続人であり放棄する場合には、裁判所に相続財産清算人の申立てを行うことになりますが、相続財産清算人が選任され、相続財産清算人に相続財産を引き渡すまでの間は管理義務があることを明確にしました。

今回の改正により、管理について明確かつ終期のある義務となったことで、相続放棄をした方にとっては負担が軽減されるケースが多くなると思います。

令和5年の民法改正で相続放棄にかかる負担が軽減された

相続財産清算人の申立てはどんな流れ? 誰に依頼することになる?

相続財産を他の相続人に引き渡したり、自分が最後の相続人となり、放棄したりした場合には、自らが裁判所に相続財産清算人の申立てを行い、相続財産清算人に財産を引き渡すなど、さまざまな手続きが必要です。

相続財産清算人の申立ては、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対して行います。
申立てには、以下の費用がかかります。

  • 収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手
  • 官報公告料5,075円
  • 相続財産清算人が相続財産を管理するために必要な費用

相続財産清算人は被相続人との関係や利害関係の有無などを考慮して、相続財産を清算するのに最も適任と認められる人が選任されます。なお、弁護士や司法書士が選任された場合には、報酬も発生します。
これらの費用は相続財産から支払われますが、不足が生じる可能性がある場合には、相当額の予納金を申立人に納付する必要があります。

相続財産清算人の申立てに必要な書類

相続財産清算人の申立てにあたっては、以下の書類が必要です。

(1)申立書
(2)標準的な申立添付書類

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 代襲者としてのおい・めいで死亡している方がいらっしゃる場合、そのおいまたはめいの死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)
  • 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等)
  • 相続財産清算人の候補者がある場合にはその住民票または戸籍附票

これらの手続きはご自身で行うこともできますが、専門家に依頼することも可能です。
弁護士に申立てを代理で行ってもらったり、司法書士に必要書類の収集を依頼して申立てのみ自分で行ったりもできますが、別途報酬がかかります。

おわりに

相続は、一生に何度も経験することはないからこそ大変な手続きです。
辻・本郷 相続センターでは、皆さまにとって最適な選択ができるようお手伝いいたします。お気軽にお問い合わせください。

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