
「亡くなった人の預貯金にも相続税がかかるの?」
本記事をご覧の皆さまは、こんな疑問をお持ちではないでしょうか。
お亡くなりになった方の預貯金は相続税の課税対象です。
本記事では、預貯金の相続において、気を付けたい4つのポイントについても、初心者でもわかりやすく解説します。
本記事が、預金の相続税についてのお悩み解決の一助となれば幸いです。
1.預金は相続税の課税対象
預金は相続税の課税対象です。
亡くなった方の預金は、相続税を計算する際に「相続財産」として評価・計上する必要があります。
相続税は「被相続人の所有していた全ての財産に課せられる税金」です。
相続税法第2条「相続税の課税財産の範囲」には以下のように記載されています。
第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
なお、相続税が課税されるかどうかは、預金の残高だけでは判断できません。
相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額を上回るときのみ相続税が課税されます。相続税の課税対象になるのは、現金や土地・建物など、金銭に見積もることができる全ての相続財産です。
詳細は下記をご覧ください。
■辻・本郷相続ガイド 相続税の基礎控除とは|控除額や計算方法について解説
■辻・本郷相続ガイド 相続財産の範囲 ~どんな財産に相続税はかかるの?
2.相続税の課税対象となる預金の種類
相続税の課税対象となる主な預金の種類について解説します。
相続税の課税価格は、相続税評価額で計算します。
本章では、相続税の課税対象となる預金の種類と、その相続税評価額の算出方法について解説します。
| 相続税評価額の算出方法 | |
|---|---|
| 普通預金 | 亡くなった日の残高 |
| 定期預金 | 定期預金の元本 +( 亡くなった日までの経過利息 - 源泉所得税相当額 ) |
| 外貨預金 | 亡くなった日の残高をTTB(対顧客直物電信買相場)で円換算した金額 |
2-1.普通預金
1つ目は、普通預金です。
普通預金の相続税評価額は亡くなった日の残高です。
正確な残高を確認するために、金融機関で「残高証明書」を発行してもらいましょう。
通帳の最終記帳日と亡くなった日が異なる場合や、最終記帳日のあとに自動引き落としなどが発生している場合、通帳の記載金額と実際の残高がズレてしまうことがあるためです。
2-2.定期預金
2つ目は定期預金です。
定期預金は元本だけでなく「経過利息」も課税対象となります。
経過利息とは、亡くなった日に定期預金を解約したと仮定した場合に受け取れる「税引き後の利息」のことです。普通預金は亡くなった日の「残高」だけで評価しますが、定期預金は、経過利息を、元本の残高に足して申告する必要があります。
相続財産に定期預金が含まれている場合は、残高証明書の発行の際に、経過利息計算書の発行手続きも併せて依頼しましょう。
2-3.外貨預金
3つ目は外貨預金です。
外貨預金は亡くなった日の残高をTTB(対顧客直物電信買相場)で円換算した金額です。
日本国内の銀行にある円建ての預金だけでなく、外貨での預金(外貨預金)や、海外にある金融機関の口座に預けている資産も、相続税の課税対象ですから、漏れのないようにしましょう。
これら外貨建ての預金がある場合は、日本円に換算して相続財産に計上する必要があります。日本円への換算には、原則として「亡くなった日(相続開始日)」の為替レート(TTB)を使用します。
■国税庁 第1章 総則(邦貨換算)
3.預金を相続する時に気を付けたい4つのポイント
預金の相続について、知っておきたい4つのポイントについて解説します。
税務調査においても指摘されやすいポイントでもありますので、相続税申告の際には十分に注意しましょう。
3-1.亡くなる直前の引き出しは「手許現金」として課税対象となる
亡くなる直前の引き出しは「手許現金」として相続税の課税対象となることがあります。
葬儀費用や入院費用の支払いに備えて、亡くなる直前に口座から現金を引き出すことはよくあります。しかし、引き出したお金のうち「亡くなった日時点で使い切れずに手元に残っていた現金」は、「手許現金」として相続財産に含めなければなりません。
税務署は過去の出金履歴を調査できます。直前の多額の引き出しは特に確認されることが多い項目です。
■辻・本郷相続ガイド タンス預金は申告が必要?相続税申告における「現金」の取り扱い
3-2.家族名義の口座でも「名義預金」として相続税の課税対象となることがある
家族名義の口座でも「名義預金」として相続税の課税対象となることがあります。
名義預金とは、「口座の名義は子どもや配偶者だが、実質的な所有者は亡くなった方」とみなされる預金のことです。たとえば、配偶者名義のいわゆる「へそくり」や、親が子どもの名義で勝手に口座を作ってお金を貯めていた場合などが該当します。
通帳の名義が誰であっても、実質的な所有者が亡くなった方であれば、その預金は相続税の課税対象となります。
■辻・本郷相続ガイド 名義預金とは?相続税の対象になってしまうケースや対策を徹底解説
3-3.長年放置している「休眠口座」も相続税の課税対象となる
長い間使っていない休眠口座であっても、亡くなった方の財産であることに変わりはありません。
通帳やキャッシュカードが見当たらない場合でも、残高証明書を取得して相続財産に含める必要があります。申告漏れとならないよう注意しましょう。
3-4.相続手続きをせずに、亡くなった人の預金をおろすことは危険
相続手続きをせずに、亡くなった人の預金をおろすことは危険です。
キャッシュカードと暗証番号さえあれば、銀行口座を凍結せずに預金をおろすことは物理的に可能です。
そのため、「口座を凍結する前に、葬儀費用としてお金をおろそう。」「銀行の相続手続きは面倒だから、銀行に死亡の事実を伝えずに、預金の全額をおろしてしまおう。」とお考えになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、相続手続きをせずに預金をおろすことには、以下のリスクが伴うため危険です。
- 他の相続人から不当利得返還請求や損害賠償請求を受ける可能性がある
- 相続放棄できなくなるリスクがある(民法921条)
詳細は下記をご覧下さい。
■辻・本郷相続ガイド 死亡した人の銀行口座はいつ凍結される?解除手続きや注意点も解説
4.まとめ
本記事では、預金の相続税について解説してきました。
預金は相続税の課税対象です。
しかし、相続税が課税されるかどうかは、預金の残高だけでは判断できません。
相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額を上回るときのみ相続税が課税されます。相続税の課税対象になるのは、現金や土地・建物など、金銭に見積もることができる全ての相続財産です。
預金の相続税申告は、直前の引き出しや名義預金の判断など、注意すべきポイントがあります。少しでも不安がある場合は、早めに税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
本記事が、預金の相続手続きに直面している皆様の一助となれば幸いです。
