亡くなった人の預金が少額の場合の正しい対応|勝手に引き出しOK?

亡くなった人の預金が数百円や数千円など少額だった場合、「相続手続きは面倒だし、勝手に引き出しても問題ないのでは?」と考える方も少なくありません。

しかし、亡くなった人の預金は少額でも相続財産であり、無断で引き出すことには法的リスクがあります。

本記事では、少額預金の正しい対応方法を税理士目線でわかりやすく解説します。


1.亡くなった人の預金を勝手に引き出してはダメ!

亡くなった人の預金を勝手に引き出していけません。

なぜなら、亡くなった人の預金は金額にかかわらず相続財産だからです。(民法896条)
相続手続きなしに勝手に引き出すと、以下のリスクがあります。

  • 他の相続人から不当利得返還請求や損害賠償請求を受ける可能性
  • 相続放棄ができなくなるリスク(民法921条)
  • 口座の不正利用とみなされ、金融機関とトラブルになる可能性

少額であっても、勝手に引き出すことは避けましょう。

■辻・本郷相続ガイド 遺産相続トラブルになりやすい10のケース|生前にできるトラブル解消方法も解説


2.亡くなった人の預金が少額の場合の正しい対応方法

亡くなった人の預金が少額の場合の正しい対応方法は以下の2つです。

方法1相続手続きを行い、預金を引き出す
方法2相続手続きを行わずに放置する

2-1.【方法1】相続手続きを行い、預金を引き出す

亡くなった人の預金が少額の場合の対応方法の1つ目は、相続手続きを行い、預金を引き出すという方法です。

繰り返しにはなりますが、相続手続きをせずに引き出してしまう行為には、リスクが伴いますので、おすすめできません。「預金を引き出したい」という意思があるのであれば、しかるべき相続手続きの上で引き出してください。

預金が少額だからといって、何か特別な手続きがあるわけではありません。
基本的には通常の相続手続きが必要です。

辻・本郷相続ガイド 死亡届を銀行に届け出る必要はある?死亡後の銀行手続きについて解説

ただし、ゆうちょ銀行の場合は、貯金総額が100万円以下の場合、代表相続人が1人で解約・払戻しができる簡易手続きがあります。

対象通常貯金、定期貯金、総合口座など、故人が保有していたすべてのゆうちょ銀行の口座の残高の合計が100万円以下
流れ①最寄りのゆうちょ銀行の窓口へ行く
②窓口担当者が簡易手続きの利用ができるか判断
③簡易手続きの実施
必要書類・貯金等相続手続請求書
・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
・被相続人と代表相続人の関係性がわかる戸籍謄本
・被相続人の通帳や証書
・代表相続人の印鑑証明書
・代表相続人の実印
・代表相続人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど)

※ゆうちょ銀行公式HPでは簡易手続きの詳細は掲載されていません。必ず窓口で確認しましょう。

2-2.【方法2】相続手続きを行わずに放置する

亡くなった人の預金が少額の場合の対応方法の2つ目は、相続手続きを行わずに放置するという方法です。

預金が数百円や数千円と極端に少額で、相続手続きにかかる時間や費用が見合わない場合は、あえて放置するという選択もあります。

相続手続きには戸籍や印鑑証明の取得費用、平日の窓口訪問などの手間がかかります。数百円~数千円程度であれば放置しても生活に影響はないでしょう。

10年間入出金がないと休眠預金として扱われ、民間公益活用に活用されます。

預金が数百円や数千円の場合、相続手続きをせずに「放置する」という選択を検討する方もいらっしゃることでしょう。

ただし、「放置する」という選択をする際は、よく考えた上で行いましょう。

将来、「やっぱり預金を引き出したい」と思った場合、別途手続きを行う必要があります。

相続手続きせずに放置する際は、「将来、預金を引き出したいと思うことはないか。」よく考えた上で行ってください。

■一般社団法人全国銀行協会 休眠預金ってご存じですか?  


3.まとめ

亡くなった人の預金が少額の場合の正しい対応方法をご紹介してまいりました。

亡くなった人の預金が少額の場合の正しい対応方法は以下の2つです。

  • 相続手続きの上、預金を引き出す
  • 相続手続きを行わずに放置する

亡くなった人の預金が少額であっても、相続手続きをせずに勝手に引き出すことは、リスクを伴うためおすすめできません。引き出すのであれば、きちんと相続手続きをした上で引き出すことをおすすめします。

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