遺言執行者と相続人は同一人物で大丈夫?専門家に依頼すべき理由とは

本記事をご覧の方は、遺言書の作成を検討しており、遺言執行者を選任することをお考えのことと思います。遺言執行者について調べるうちに、遺言執行者は専門家に依頼することもできるし、相続人の中から選ぶこともできることを知り、

遺言執行者と相続人は同一人物でも大丈夫?同一人物の場合、何かデメリットはあるのか?」と疑問に思い、さらに検索を続ける中で、この記事に出会われたと思います。

最初に結論を申し上げます。

  • 遺言執行者は相続人と同一自分でも、法律上なんら問題はない
  • しかし、遺言執行者と相続人を同一人物とすることはおすすめできない

本記事は、上記の結論に至る理由について、弁護士監修のもと解説します。
遺言執行者の選任を検討している方の一助になれば幸いです。

■遺言執行者について詳しく知りたい方はこちら
 遺言執行者とは何をする人?選任すべき5つのケースを紹介


1.遺言執行者と相続人が同一であっても法律上問題はない

遺言執行者と相続人が同一であっても、法律上問題はありません。
遺言書に「長男〇〇〇〇を遺言執行者に指定する」と明記すれば、相続人でもある長男は遺言執行者になることができます。

現在の相続制度について定めている民法には、遺言執行者に選任できる人は明記されておらず、第1009条に遺言執行者になることができない人として、未成年者・破産者が挙げられています。

(遺言執行者の欠格事由)
第千九条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
                 
e-Gov法令検索|民法より引用

つまり、法律上、未成年者や破産者でない限り、誰でも遺言執行者になることができるのです。
よって、相続人であっても、未成年・破産者でなければ、遺言執行者となることに、法律上なんら問題はありません。


2.遺言執行者と相続人を同一人物にすることはおすすめできない

法律上問題がないからといって、相続人を遺言執行者に指定することはおすすめできません

なぜなら、遺言執行者と相続人を同一人物にすると、以下のようなトラブルが起こる可能性があるからです。

【遺言執行者を相続人と同一人物にすることで起こり得るトラブル】

  • 遺言執行者に指定されなかった相続人が不満に思い、遺言執行者との間に​確執が生まれる
  • 遺言執行者が「遺産の一部をこっそりと自分のものにしたのではないか」と他の相続人に疑われる
  • 不慣れな相続手続きに時間がかかり、相続手続きが遅れる
  • 遺言執行者が自分で相続手続きを終えることができず、結局専門家に依頼するはめになる

3.遺言執行者は専門家に依頼することがおすすめ

遺言執行者は専門家に依頼することをおすすめします。

なぜなら、専門家であれば公平中立な立場から遺言執行者としての職務を行うことができる上に、相続手続きにも精通しているため、2章で紹介したトラブルが起こる可能性をほぼゼロにすることができるからです。

また、遺言執行者を「とある相続人」という個人にしてしまった場合、その個人が亡くなってしまう可能性があります。一方で「〇〇弁護士法人」「〇〇税理士法人」などの法人を遺言執行者とすれば、亡くなるリスクはありません。

【遺言執行者を専門家に依頼するメリット】

  • 公平性が保たれ、​相続人間でトラブルになる危険性を軽減できる
  • 相続手続きに不慣れな相続人が、​煩雑な相続手続きを行うことを回避できる
  • 遺言執行者に選任された相続人が、​精神的・時間的負担を感じることがなくなる

3-1.遺言執行者に指定することができる専門家

遺言執行者に指定することができる専門家は、弁護士・司法書士・行政書士・信託銀行などです。
弁護士・司法書士・行政書士は、遺言執行者として十分な知識と経験があると言えるでしょう。

また、遺言書を一緒に作成した専門家に遺言執行者を依頼すれば、遺言者の状況をよく理解しているため、よりスムーズに相続手続きを行うことができます。

専門家おすすめすべき人
弁護士相続財産について揉めるリスクがある場合
遺言書において「非嫡出子の認知」「相続廃除」を行いたい場合
司法書士相続財産に不動産が多数あり、相続登記も合わせて行いたい場合
行政書士遺言執行の手続きのみを依頼したい場合
信託銀行遺言者に日頃から付き合いのある信託銀行がいる場合

3-2.専門家に遺言執行者を依頼した場合の報酬

専門家に遺言執行者を依頼した場合、報酬の相場は「遺産総額の0.5~1%」前後です。

遺言執行者の報酬は法的に基準が定められているわけではありませんが、相場は「遺産総額の0.5~1%」ほどです。各専門家によって、報酬に多少のばらつきがあるので、契約を結ぶ前にしっかりと確認する必要があります

また、報酬の支払は、遺言執行者が生前に契約した金額を、遺言者の死後、引き継いだ遺産の一部から相続人が支払うことが一般的です。


4.まとめ

「遺言執行者と相続人は同一人物でも大丈夫?同一人物の場合、何かデメリットはあるのか?」と疑問に思われていらっしゃる方を対象に、遺言執行者や相続人と同一人物で大丈夫かどうか解説してきました。

最後に本記事の大切なポイントをもう一度振り返ります。

  • 遺言執行者は相続人と同一人物でも、法律上なんら問題はない
  • しかし、遺言執行者と相続人を同一人物とすることはおすすめできない
  • 遺言執行者は専門家に依頼することをおすすめする

本記事がみなさんの相続手続きの一助となれば幸いです。

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