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ホームnavigate_next相続税コラムnavigate_next「特別受益」「寄与分」に相続開始後10年までの期限が設けられました

「特別受益」「寄与分」に相続開始後10年までの期限が設けられました

公開日:2023.04.05
遺産分割
「特別受益」寄与分に相続開始後10年までの期限が設けられました

2021年(令和2年)4月の民法改正により、早期の遺産分割を促進するためいくつかの制度に期間制限が設けられました。
改正の施行時期は2023年(令和5年)4月1日となっており、その影響をご紹介します。

四日市事務所

2023年4月から「特別受益」と「寄与分」に期間制限が設けられた

今回の改正で期間制限が設けられたのは「特別受益」と寄「与分」です。どちらも相続開始後10年以内に主張することとなりました。

特別受益とはどんなもの?

特別受益とは、被相続人(亡くなられた方)から相続人への遺贈や生前贈与により、特別な利益を受けたことをいいます。
例えば、被相続人から生前に住宅資金を受け取っていれば、生前贈与による特別受益を受けたことになります。

このような場合に相続時の財産のみで遺産分割を行うと、生前贈与を受けていた相続人と、何も受け取っていない相続人との間に不公平が生まれてしまいます。
その不公平を解消するため、生前贈与を受けていた相続人の法定相続分を減額する制度です。

特別受益を主張できる例

寄与分とはどんなもの?

寄与分とは、相続人が被相続人の財産の形成に貢献をしたと認められる場合に、その相続人の法定相続分を増額する制度です。

例えば、被相続人の事業を手伝ったり、資金を援助したり、被相続人の介護をしたり、生活費を渡していることなどが「財産の形成に貢献をした」ことに該当します。
生前に被相続人に対して貢献していたことに対して考慮するものです。

被相続人の子どもであれば本来は均等に財産を分けることになりますが、子どもの間で貢献度に差がある場合、全員が同額の相続財産を得るのは公平とは言えません。
寄与分は、こうした不公平感を解消するものです。

特別受益を主張できる例

このように特別受益と寄与分を考慮することで、公平な遺産分割が行なえるようになります。

期限を過ぎた場合は特別受益も寄与分も主張することができない

2023年4月から施行される民法改正で設けられた期限によって、相続開始から10年を経過すると特別受益も寄与分も主張することができなくなります
法定相続分にしたがって遺産分割を行なうことになるため、特別受益や寄与分を主張すれば本来は多くの財産を相続できたはずの相続人も、相続財産が少なくなってしまいます。

ただ、10年が過ぎたからといって諦めることはありません。次に例外をご紹介します。

期限を過ぎても特別受益と寄与分を主張できる場合がある

もしも相続人全員の合意があれば、10年経過後でも特別受益や寄与分を考慮した遺産分割は可能です。

相続人全員の合意を得られない場合は、家庭裁判所へ遺産分割請求をすることにより特別受益や寄与分を主張できるようになります。

参考 裁判所「遺産分割調停

権利の主張ができる期間の猶予がある

また、今回の改正では特別受益と寄与分を主張する場合に、相続開始から10年が経過する日か、あるいは法改正施行時から5年が経過する日のいずれか遅い日までに遺産分割調停が申し立てられたときは、権利の主張ができる期間の猶予が設けられています。

権利の主張ができる期間の猶予

おわりに

相続は、一生のうちで何度も経験するものではありません。そのため、非常に体力を使うことになると思います。できるだけ公平に相続人全員が納得できる遺産分割を行なうために、まずは早めに話し合うことを強くおすすめします。
辻・本郷相続センターではそのためのお手伝いを行なっておりますので、お気軽にご相談ください。

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