
「クレジットカードの名義人が亡くなった。どんな手続きをすればいいの?」
「そのままにしておいてはいけないの?」
本記事をご覧になられている方は、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
クレジットカードの名義人が死亡したら、解約手続きを行う必要があります。
名義人の死亡後もクレジットカードを解約せずに放置することは、不正使用のリスクが伴い、年会費がかかり続ける可能性もあるため、おすすめできません。
本記事ではクレジットカードの名義人が死亡した際の手続きを解説しています。
また、クレジットカードに未払い金があった場合の対応や、解約する時の注意点も合わせて解説しています。
本記事がクレジットカードに関する相続手続きを進めている方の一助となれば幸いです。
目次
1.クレジットカードの名義人が死亡したら、解約手続きが必要
クレジットカードの名義人が死亡したら、解約手続きをする必要があります。
名義人が死亡したら、そのクレジットカードは使えなくなります。
なぜなら、クレジットカードの規定には、名義人が死亡した時にクレジットカードが失効すると定められているからです。
しかし、カード会社は自ら名義人の死亡を把握する仕組みを持たないため、実際は遺族などがカード会社に名義人の死亡を連絡し、解約の手続きを行う必要があります。
また、名義人の死亡後もクレジットカードを解約せずに放置することには、以下のリスクが伴いますのでおすすめできません。
- クレジットカードの年会費がかかり続ける
- クレジットカードを不正使用される
名義人が死亡したクレジットカードは放置せず、解約の手続きをしましょう。
2.クレジットカードの未払金は相続人が支払う義務あり
クレジットカードの未払い金は、故人の債務として相続人に承継されます。(民法896条)
なぜなら、クレジットカードの未払い金は、故人が遺した債務であり、相続財産の一部だからです。
民法896条により、被相続人の債務は相続人が承継すると明記されています。
クレジットカード決済は以下のような仕組みになっています。
まず、クレジットカードの名義人が、お店で商品・サービスを購入します。(この時点では、お金のやり取りは発生しません。)その後、クレジットカードを利用したという情報がカード会社に届くと、カード会社はお店に対して、購入代金を立替払いします。そして最後に、名義人がカード会社へ、口座引き落としなどの方法で購入代金を支払います。
名義人がクレジットカード決済を利用して買い物をしたものの、購入代金の支払い前に亡くなった場合、名義人はカード会社に対して債務を遺したということになります。
債務は相続財産です。そのため、相続人はクレジットカードの未払い金を支払う義務があるのです。
2-1.未払い金の清算方法
では、クレジットカードの未払い金は、どのように清算すればよいのでしょうか。
未払い金の清算方法を解説します。
未払い金の清算方法は、故人の銀行口座が凍結されているかどうかで変わります。
まずは故人の銀行口座が凍結されているかどうか確認してください。
故人の銀行口座が凍結されていなければ、クレジットカードの引き落とし口座で未払い金を清算するケースが多いです。
一方で故人の銀行口座が凍結されている場合、所定の口座への振り込みや、相続人の口座から未払い金を引き落とすことが多いです。
ただし、未払い金の清算方法はクレジットカード会社ごとに取り扱いが異なります。
詳しくは解約する時にクレジットカード会社のスタッフに確認してください。
2-2.未払い金は、相続税申告の時に相続財産から差し引ける
クレジットカードの未払い金を相続人が支払った場合、相続税申告の時に相続財産から差し引くことができます。(債務控除)
そのため、「クレジットカードの未払い金を支払った」という記録になる振込用紙等は大切に保管しましょう。
3.故人のクレジットカードを解約する方法
故人のクレジットカードを解約する方法をステップ形式で紹介します。
3-1.【ステップ1】故人が所有していたクレジットカードを特定する
まず、故人が所有していたクレジットカードを特定します。
特定する具体的な方法は以下の通りです。
- 自宅や財布の中にクレジットカードがないか探す
- 郵送されてきたクレジットカードの利用明細がないか探す
- 預金通帳を見て、クレジットカードの引き落とし情報を探す
※信用情報機関に問い合わせるのも方法の一つ
クレジットカードを利用していた形跡はあるが、カードの現物が見つからない場合、把握している以外のクレジットカードがないか確認したい場合などは、信用情報機関に個人情報の開示請求を行ってもよいでしょう。
主な信用情報機関はCIC、JICC、全銀協の3社です。
所定の手続きを済ませれば、契約していたカード会社や利用残高を調べることができます。
3-2.【ステップ2】クレジットカード払いしているものを特定する
次にクレジットカード払いしているものを特定しましょう。
支払い方法を変更する前にクレジットカードを解約すると、サービスの利用が停止される恐れがあります。
以下のようなものがクレジットカード払いになっていないか確認し、解約または支払い方法を変更しましょう。
- 公共料金
- 携帯電話利用料金
- インターネット契約
- 日用品の定期購入契約
- サブスクの利用料金
- 習い事や趣味の会費
3-3.【ステップ3】クレジットカード会社に電話で連絡する
クレジットカード会社に電話で連絡をします。
名義人が亡くなったことを伝えれば、クレジットカード会社が手続き方法を案内してくれます。
家族や親族が連絡すれば、電話のみで解約が認められる会社もあれば、必要書類の提出を求められる会社もあります、オペレーターの指示に従いましょう。
3-4.【ステップ4】必要書類を提出する
必要書類を提出します。
クレジットカード会社に連絡した際に、オペレーターに必要書類の提出を求められた場合は、その必要書類を収集し、提出しましょう。
提出を求められる主な書類は以下の通りです。
- カード利用者の死亡の事実が確認できる書類
ex)死亡診断書のコピー、戸籍謄本など - カード利用者と解約手続きを行う人物の関係がわかる戸籍謄本
- クレジットカード会社所定の退会届などの申請書
3-5.【ステップ5】未払いの利用残高を支払う
クレジットカードの未払い金がある場合は、未払いの利用残高を支払いましょう。
未払い金の支払いと解約手続きの両方が終わった時点でクレジットカードは解約となります。
未払い金の清算方法について、2-1.未払い金の清算方法で詳しく解説させていただきましたが、故人の銀行口座が凍結されているかどうかで変わります。
また、亡くなった名義人がリボ払いや分割払いを利用しており、未払い金を一括で支払うことが難しい場合は、カード会社に分割払いの相談をしましょう。
4.故人のクレジットカードを解約する時の注意点
故人のクレジットカードを解約する時の注意点を5つ解説します。
注意点1 | 家族カードも使用できなくなる |
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注意点2 | ETCカードも使用できなくなる |
注意点3 | ポイントは解約と同時に失効する可能性が高い |
注意点4 | 電子マネー一体型クレジットカードの場合は、解約前に電子マネーの取り扱いを確認 |
注意点5 | 条件を満たす場合は付帯されている傷害保険も請求 |
4-1.【注意点1】家族カードも使用できなくなる
家族カードも使用できなくなります。
死亡にともない解約したクレジットカードに紐づけて追加で作成したカードは、本会員の死亡によりクレジットカードが解約されると、自動的に利用が停止されます
家族カードでたとえ名義人が故人ではなかったとしても、利用できなくなります。
継続してカードを使用したい場合は、解約手続き後に、新たに本会員としての登録手続きが必要になります。
4-2.【注意点2】ETCカードも使用できなくなる
ETCカードも使用できなくなります。
クレジットカードに紐づけてETCカードを作成し、使用している場合、本会員の死亡によりクレジットカードが解約されると、ETCカードも自動的に使用できなくなりますので、注意しましょう。
4-3.【注意点3】ポイントは解約と同時に失効する可能性が高い
クレジットカードに溜まっているポイントは、解約と同時に失効する可能性が高いです。
クレジットカードのポイントが相続できる(故人から遺族などに引き継がれる)かは、カード会社の規約によります。多くのカード会社では、ポイントは相続の対象とならず、解約と同時に失効すると規約に記されています
- 楽天ポイント:楽天ポイント利用規約第11条
- Vポイント:V会員規約第3条
※【例外】マイルは相続の対象となる可能性が高い
航空会社のカードで貯まるマイルは相続の対象となる可能性が高いです。
国内大手の航空会社であるJALもANAも、特定の家族や親族に対してであればマイルを相続できると規約に定めています。
マイルを相続する際には、相続人が各会社のマイレージクラブのサービスカウンターに連絡し手続きをする必要があります。
4-4.【注意点4】電子マネー一体型クレジットカードの場合は、解約前に電子マネーの取り扱いを確認
電子マネー一体型クレジットカードの場合は、解約前に電子マネーの取り扱いを確認しましょう。
電子マネー一体型のクレジットカードを解約した場合、電子マネーの残高がどのように扱われるかはカード会社により異なります。
解約した後も電子マネーの残高はそのまま使い続けられる、もしくは残高を相続人に払い戻してもらえるのであれば問題ありません。
しかし、「契約者の死亡により失効」と規約で定めれれていた場合、クレジットカードを解約するとチャージ済みの残高の使用や払い戻しができない可能性があります。
電子マネーの残高がある場合は解約前に確認するようにしましょう。
4-5.【注意点5】条件を満たす場合は付帯されている傷害保険も請求
条件を満たす場合は付帯されている傷害保険も請求しましょう。
クレジットカードの中には、旅行中の傷害保険などの保険契約が付いているものがあります。
海外旅行に行き、不慮の事故で亡くなった場合など、死亡理由によっては保険金を受け取れる場合があります。
条件を満たしている場合、自分自身では条件を満たしているか判断することが難しい場合は、傷害保険を提供している保険会社に問い合わせてみましょう。
5.【参考】主なクレジットカード会社問い合わせ先一覧
参考として主なクレジットカード会社の問い合わせ先一覧を紹介します。
以下の一覧の中に故人が契約していたクレジットカード会社がある場合は、会社名をクリックすることで問い合わせ先を確認することができます。
一覧にないクレジットカードを故人がお持ちの場合は、「カード名 契約者死亡」などと調べると問い合わせ先を検索することができます。
6.まとめ
クレジットカードの名義人が死亡した際の手続きについて解説してまいりました。
クレジットカードの名義人が死亡したら、解約手続きを行う必要があります。
名義人の死亡後もクレジットカードを解約せずに放置することは、不正使用のリスクが伴い、年会費がかかり続ける可能性もあるため、おすすめできません。
本記事がクレジットカードに関する相続手続きを進めている方の一助となれば幸いです。