
「財産目録って何?」
家族が亡くなり、相続をするために財産目録を作らなければならないと耳にしたが、
必ず作らなければいけないのだろうか?
どのように作ればいいのだろうか。
この記事をお読みの皆さまはそんな考えをお持ちではないでしょうか。
そこで本記事では、
・財産目録とは何か
・財産目録を作るメリット
・財産目録の作り方
・財産目録を作る際の注意点
について分かりやすく解説していきます。
本記事が、財産目録についての疑問解消のお役に立てば幸いです。
目次
1.財産目録とは?
財産目録とは、財産を相続したり分割する際に役立つもので、財産の種類や所在、金額などが明記されている書類です。財産目録を見れば所有財産がひと目でわかります。
財産目録に記載されるものは現金、預貯金、有価証券、土地や家屋などの不動産、ゴルフ会員権、美術品、自動車などです。また、財産目録に記載するのはプラスの財産だけでなく借入れなどのマイナスになる財産も含みます。
2.財産目録を作るメリット
財産目録を作ることによるメリットは以下の3つです。
2-1節税対策を行いやすくなる
財産目録を作ることによるメリットの一つ目は、節税対策をスムーズに行いやすくなることです。故人から相続した財産には相続税がかかることがありますが、財産目録があることで自分の財産構成が明確になり、節税対策として何から手をつければ良いかがわかりやすくなります。
2-2.相続税申告をスムーズにできる
財産目録を作ることによるメリットの二つ目は、相続税申告をスムーズにできることです。故人(被相続人)の遺産の詳細がわかれば、相続人は遺産の把握に時間や労力をかけることなく相続税の申告ができます。また、財産もれによる誤った申告をすることも防げます。
2-3.財産所有者が認知症になった際などに財産の把握ができる
認知症などになった後の財産管理や、亡くなった後の遺産分割の際にも財産目録があれば安心できます。財産所有者との意思疎通が難しくても、財産目録があることでどこにどのような財産があるのかなどが一目瞭然だからです。
3.財産目録の作成は義務ではない
2章では、財産目録を作成するメリットについて解説してきましたが、財産を残す人や相続する人に、作成義務はありません。ただし、遺産相続時、節税対策時、あらゆる場面で財産目録があると、財産の把握に、余計な時間や労力を使うことがないため、財産目録があったほうが便利といえます。
特に遺言執行者は、すみやかに相続したい財産の目録を作り、法廷相続人や包括受遺者(遺言によって財産をもらう人のこと)に配る義務があります。また、遺言執行者は法定相続人や包括受遺者に財産目録の開示を求められることもあります。
4.財産目録の作り方
財産目録を実際に作る方法についても知っておきましょう。
財産目録は手書き、エクセルなどのツールを利用する方法と2通りの作り方があります。
どちらも記載方法は変わりませんが、一般的に財産目録は記載する項目が多くなるため、手書きだと大変です。エクセルが使えるのであればエクセルなどのツールを使うのが良いでしょう。書き方を以下に紹介するので、記入の際にお役立てください。
- 預貯金:保管や預けている金融機関情報(銀行名、支店名、口座番号、貯金種別)/現在の残高/備考
- 不動産:区分(土地、建物、借地権)/面積(持ち分や所有割合)/相続開始時の評価額/利用状況(本人の自宅や賃貸など)
なお、財産の確認については、預貯金は金融機関が発行する残高証明書で、不動産は登記簿謄本や課税明細書で詳細を把握することができます。
財産目録が作成できるテンプレート(フォーマット/ひな型)は無料のものもたくさんあります。これらを使うと早く簡単に財産目録を作ることが可能です。テンプレートのなかには各財産の種類をプルダウンメニューから選んで記入できる便利なタイプもあります。
エクセルのテンプレート例はこちらです。エクセルファイルとしてダウンロードしてお使いください。
財産目録のPDFファイルはこちらです。
5.個人が財産目録を作る際の注意点は4つ
最後に、個人が財産目録を作る場合に気をつけたい4つの点を紹介します。皆さんが財産目録を作る際の参考にしてください。
5-1.財産がどこにあるのかを示す
財産目録を作るには「相続する財産の所在」を明記することが欠かせません。財産の所在が書かれていない場合、財産分割をするにも財産を探すことから始めなければいけません。各財産がどこにどれくらいのかを把握するのは時間も手間もかかって大変です。このような苦労を防ぐためにも、財産目録には各財産の所在を正しく記載しておく必要があります。
5-2.各財産の金額や価値を正確に記載する
財産目録作成において「各財産の金額や価値」を正確に記載することも欠かせません。なお、各財産の金額や価値には現金や預貯金以外にも不動産や美術品などの価値(評価額や査定額)も含まれるので注意しましょう。
特に不動産の評価額は相続税評価額、固定資産税評価額や実際の市場価額など様々な価格があるので、財産目録上、備考欄にどの評価額を利用したかと記載するのが良いでしょう。
5-3.プラスの財産だけでなくマイナスの財産も明記する
財産を残す人が故人であるなら「プラスの財産」だけでなく、「マイナスの財産」もすべて記載する必要があります。マイナスの財産とは、たとえば借入れやクレジットカードの未払い分などです。
多額の借金などマイナスの財産があることを知らなかった場合、相続した人が後々困ることもあります。このように相続人が困らないためにも、財産目録にはマイナスの財産も必ず明記する必要があります。
5-4.早めに作成する
財産目録は早めに作成しましょう。というのも、いざ財産分割をしようとしても財産目録がなかったり未完成だったりすると相続人が困ることになるからです。
財産分割をするのに、どのような財産がどこにあるのか、いくらあるのかなどを調べることから始めるのはなかなか大変です。そのため、スムーズな財産分割がおこなわれるためにも財産目録は期間に余裕を見て作りましょう。
6.まとめ
本記事では、「財産目録」についてを解説してまいりました。
財産目録の作成が難しい場合には、専門家によるサービスを使うことも考えましょう。皆さんが財産相続や遺産分割をする際にぜひ財産目録を役立ててください。