不動産・株式の売却は令和8年内に検討を!令和8年度税制改正「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」とは

令和8年度税制改正により、所得全体が分離課税(15%)の場合、所得が約3.4億円から追加負担が生じることになりました。その結果、令和8年内に不動産を売却した場合と、令和9以降に売却した場合では、税負担に差が出て、手元に残る金額が変わります

本記事では、令和8年度税制改正「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」の内容を解説した上で、誰が、いつから、どの程度、この改正の影響を受けるのかをシミュレーションを交えながら解説しています。

本記事が不動産・株式の売却を検討している皆様の一助となれば幸いです。


1.令和8年度税制改正「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」とは?

自由民主党・日本維新の会から令和7年12月19日(金)に令和8年度税制改正大綱が公表されました。
その中の個人所得課税の改正項目の1つに「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」というものがあります。

総合課税の給与所得等は所得が増えるほど税率が高くなる累進課税ですが、申告分離課税である上場株式の配当(大口株主を除く)、株式等の売却益、長期保有不動産の売却益に対する課税は、どんなに多額の利益が出ていても、一律15.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%)です。

こうしたことから、株式や不動産の譲渡で多額の所得を得ている富裕層ほど、所得税の負担割合が下がるという現象が起こっていました

これを是正すべく、令和5年度税制改正により、いわゆる「ミニマムタックス」と呼ばれる制度が令和7年から導入されています。今回の令和8年度税制改正においては、さらに課税が強化され、令和9年より追加納税の対象者が広がりました。

~令和6年12月31日通常の所得税金額(一律15%)
【現行】
令和7年1月1日
  ~令和8年12月31日
① 通常の所得税額
② (合計所得金額 – 特別控除額3.3億円)× 税率22.5%
③ ②-①を追納課税(②が①を超える場合)
【令和8年度改正】
令和9年1月1日~
① 通常の所得税額
② (合計所得金額 – 特別控除額1.65億円)× 税率30%
③ ② – ①を追納課税(②が①を超える場合)

2.令和8年度税制改正の影響を受ける可能性がある主なケース

令和8年度税制改正の影響を受ける可能性がある主なケースを4つご紹介いたします。
以下のケースに該当する場合は、税負担について事前に税理士へ相談することをおすすめします。

ケース1不動産を売却する場合
ケース2含み益が大きい有価証券を売却する場合
ケース3M&Aにより、多額の株式売却代金等を受け取る場合
ケース4相続税納税のために不動産や自社株式を売却する場合

※令和9年以降、ふるさと納税の特例控除も見直しが行われます。
 住民税の特例控除額について193万円(寄付額438万円)が上限となり、年収1億円以上の人が制限の対象となります。


3.【シミュレーション】令和8内と令和9以降に不動産・株式を売却した場合の所得税額の差

令和8年度税制改正において、令和8年内と令和9年以降に不動産・株式を売却した場合、所得税額がいくら変わるのかシミュレーションをしてみます。

所得全体が15%分離課税の方を想定してシミュレーションを行うと、所得約3.4億円程度から、令和8年度税制改正による追加負担が生じることがわかりました。

令和8年中に売却※1令和9年以降に売却※2差額
所得金額4億円6,000万円7,050万円(17.6%)+1,050万円
所得金額5億円7,500万円1億50万円(20.1%)+2,550万円
所得金額10億円1億5,075万円2億5,050万円(25.1%)+9,975万円

※1 10億円までは一律15%となります。10億円超は追加的な負担があります。
※2 ()内の数字は所得金額に対する負担率です。

また、令和8年度税制改正において、追加負担が生じる対象者の見込みは約2,000人です。


4.不動産・株式を売却するなら令和8内がおすすめ

税負担の観点から考えると、高額な不動産や株式の売却は2026年(令和8年)内に完了させることをおすすめします。

3章のシミュレーションの通り、所得約3.4億円程度を超える場合は、令和8年度税制改正「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」の対象となり、実質的な増税となります。

本改正は2027年(令和9年)分以後の所得から適用されるため、多額の売却益が見込まれる不動産については、令和8年中の売却を検討されることを強くおすすめします。


5.不動産の売却に関する税金のご相談は、辻・本郷 税理士法人にご相談ください

不動産の売却に伴う税務のご相談は、ぜひ辻・本郷 税理士法人にご相談ください。

辻・本郷 税理士法人では税制改正の解説資料を作成しHP上で公開しているほか、税理士・会計士などを対象とした税制改正のセミナーを随時開催するなど、税制改正の内容をいち早くキャッチアップし発信しております

税制改正を考慮し、お客様にとって最適な売却タイミングや税務シミュレーションをご提案いたします。

辻・本郷 税理士法人の相続税申告サービス
一律45万円(税込)の相続コミコミプラン

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