個人事業主になるメリット・デメリットとオススメできる5つのケース

働き方の多様化が進む中、「個人事業主」として独立を考える人が増えています。

個人事業主は会社員と違い、働く時間や場所を自由に選べるだけでなく、自分の裁量で事業を進められる点が大きな魅力です。一方で、「個人事業主になると得するの?」「どんなメリットがあるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

個人事業主には働き方の自由度だけでなく、税制面においても利点があります。しかし、それらのメリットを最大限に生かすには、基礎知識が必要です。

この記事では、個人事業主の具体的なメリットについて詳しく解説します。また、副業として事業を営む方や、会社員の方との違いについても触れていきます。

「独立に興味はあるけれど、不安がある」という方も、この記事を読むことで、自分らしい働き方を見つけるヒントを得られます。ぜひ最後までご覧ください。


目次

1.個人事業主の具体的なメリット10選

個人事業主として事業を運営することには、法人の運営とは異なるメリットがあります。この章では、主なメリット10選をご紹介します。

1-1.働き方の自由度が高い

個人事業主は、働く場所や時間を自由に決められます。

会社員の場合、勤務時間や勤務地が固定されていることが多いですが、個人事業主であればライフスタイルに合わせて柔軟に働けます。

例えばカフェや自宅、旅行先など、仕事をする場所を選ばない点や、深夜や早朝でも仕事ができる点などが自由度の高さを象徴します。これにより、事業主はワークライフバランスを調整しやすくなります。

この自由度の高さは、効率的かつストレスの少ない働き方を実現する大きなメリットです。

1-2.開業手続きが簡単で費用がかからない

個人事業主は、法人に比べて開業手続きが簡単で、費用もほとんどかかりません。

法人設立には定款の作成や登記などが必要ですが、個人事業主は税務署に「開業届」を提出するだけで事業を始められます。

開業届は無料で提出でき、数十分程度で手続きが完了するため、すぐに事業をスタートできます。現在はe-Taxでも開業届を提出することができます。

手続きの手軽さは、スピーディーにビジネスを始めるうえで大きな利点です。

1-3.税務申告が簡単

個人事業主は、法人の運営よりも税務申告が簡単です。

法人を運営するとなると、決算報告書や税務書類が複雑ですが、個人事業主は確定申告を行うだけで済みます。

特に、小規模な事業の個人事業主であれば、会計ソフトなどを使って収支を記録して帳簿を付け、確定申告するだけなので、税理士を雇わなくても対応できます。

手続きの簡単さは、経理の負担を減らし、本業に集中するための大きなメリットになります。

1-4.所得が少ないと税負担が小さく済む

個人事業主は、所得が少ないうちは税負担を抑えられます。

法人は一定の法人税がかかりますが、個人事業主は所得に応じた「所得税」と「住民税」を支払う仕組みです。

例えば、年間の所得が少ない場合、基礎控除や経費計上により、所得税や住民税に関しては、実際に納める税金がほとんどゼロになることもあります。

事業が軌道に乗るまでの期間、税負担を抑えられる点は大きなメリットです。

1-5.経理などの事務負担が少ない

個人事業主は、法人に比べて経理の負担が軽いです。

法人は決算報告や株主総会など、さまざまな手続きが必要ですが、個人事業主は確定申告を行うだけで済むためです。

例えば、会計ソフトを使えば、収支の記録など自力で経理事務作業を進められ、申告まで終えることも比較的易しいです。

このように、事務負担が少ないと本業に集中しやすくなるため、個人事業主は比較的フットワークの軽い事業運営が可能です。

1-6.節税効果の高い青色申告の特別控除を受けられる

個人事業主が確定申告の際に青色申告を選択すると、大幅な節税効果を得られます。

青色申告をすると、最大65万円の特別控除を受けられ、所得税の負担を大幅に減らせます。
例えば、売上が300万円で経費が100万円の場合、通常は200万円に課税されますが、青色申告ならそこから65万円が控除され、課税対象が135万円になります。

青色申告を行うためには、事業を開業して2ヶ月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出しなければならないため、手間は増えますが、青色申告は節税効果が高いので、個人事業主にとっては青色申告を選ぶことで、利益を多く手元に残せます。

個人事業主の節税に関しては、以下のURLの記事も参考にしてみてください。

知らないと損することも!個人事業主の節税方法18選

1-7.赤字の繰り越しができる

個人事業主は、青色申告をしている場合、その年度に生じた赤字分を最大3年間繰り越せます。白色申告を選んだ場合でも、変動所得や被災事業用資産などに関しては赤字の繰越が可能です。

事業の赤字が発生した場合、翌年以降の黒字と相殺できるため、税負担を軽減できます。

例えば、1年目に50万円の赤字が出て、2年目に100万円の利益が出た場合、赤字と相殺して課税対象金額を50万円に抑えられます。

このように、個人事業主の赤字繰越は新規事業の立ち上げ時など、赤字が発生しやすい場面で特に役立つ仕組みで、資金繰りの安定に貢献します。

1-8.家賃や通信費を経費計上できる

個人事業主では、事業に関係する家賃や通信費の一部を経費として計上できます。

個人事業主が自宅を事務所として使っている場合、家賃や光熱費の一部を経費にでき、課税所得を減らせます。

例えば、月10万円の家賃で、自宅の30%程度の範囲を仕事用に使っている場合、3万円を毎月経費として計上でき、年間36万円の所得控除が可能になります。

このように、個人事業主は家賃などを経費計上することで、固定費を削減しながらより多くの利益を残せます。

1-9.屋号をつけることで取引を増やせたり、融資を受けやすくなる

個人事業主でも、屋号をつけることで、法人ほどではありませんが、ある程度事業の信頼性を高めることができます。それにより、金融機関からの融資を受けやすくなったり、取引自体を受けやすくなる効果が見込まれます。

個人名だけではなく、事業専用の名前(屋号)をつけることで、法人のように事業のイメージを取引先に持たせることができます。

例えば、「辻本太郎」ではなく「辻本デザインオフィス」と名乗ることで、取引先から、ブランディングができており、広告宣伝などにも力を入れている事業だと信用を得やすくなります。

屋号を活用することで、ブランド力を向上させ、ビジネスチャンスを広げられます。

1-10.定年がないためいつまでも現役として活躍できる

個人事業主には定年がなく、自分のペースで生涯現役として働き続けられます。

会社員には定年退職の制度がありますが、個人事業主は年齢に関係なく、体力や気力が続く限り事業を続けられます。

例えば、ライターやデザイナーなどの仕事であれば、年齢を重ねてもスキルを活かして長く活動できます。

このように、事業主として生涯現役を目指せるのは、個人事業主ならではの魅力です。


2.令和7年度税制改正により新たに見込まれる個人事業主のメリット

令和7年度には、大幅な税制改正が行われます。個人事業主のメリットに関しても変更点がいくつか生じるため、この章ではその新たなメリットについて解説します。

2-1.基礎控除の引き上げによる税負担の更なる軽減が見込まれる

令和7年度の税制改正により、所得税の基礎控除額が48万円から58万円(+10万円)に引き上げられ、個人事業主の税負担が軽減される見込みです。

基礎控除額の増加により、課税対象となる所得が減少し、結果として個人事業主は納める税額が少なくなります

例えば、年間所得が500万円の個人事業主の場合、従来の基礎控除48万円では課税所得が452万円でしたが、改正後は基礎控除58万円となり、課税所得が442万円となります。これにより、所得税の負担が軽減されます。

基礎控除の引き上げは、個人事業主にとって直接的な税負担の軽減につながる重要な改正です。

2-2.事業承継税制の見直しによる事業承継の円滑化が見込まれる

令和7年度の税制改正により、個人事業主の事業承継がより円滑に行えるよう、事業承継税制の要件が緩和されます

改正前は、贈与の日まで引き続き3年以上事業に従事していることが要件でしたが、改正後は「贈与の直前において事業に従事していること」となり、要件が緩和されます。

例えば、後継者が事業に従事してから間もない場合でも、贈与直前に事業に携わっていれば、相続税や贈与税の納税猶予措置を利用できるようになります。

この改正により、個人事業主の事業承継がスムーズになり、後継者への負担が軽減されることが期待されます。


3.個人事業主の具体的なデメリット10選

ここまでは個人事業主のメリットについて解説してきましたが、個人事業主を営むことにはデメリットも存在します。この章でご紹介する主なデメリット10選についても触れて、個人事業主として自分がやっていけるかどうかの判断基準としてください。

3-1.厚生年金、雇用保険、労災保険に加入できない

個人事業主は、会社員のように厚生年金や雇用保険、労災保険に加入できません。

こうした、特定の条件に該当したときの保証となる保険や年金の仕組みは、個人事業主には適用されません。

例えば、会社員であれば、雇用保険により失業時の給付を受けられますが、個人事業主にはその保障がないため、事業が続かなくなった際に収入が途絶えてしまうというリスクがあります。

ただし、個人事業主でも、「一人親方」や「特定作業従事者」であれば、特別加入団体を通じて、業務中や通勤中のケガや病気を補償するための労災保険には特別加入できます。

よって、個人事業主は将来のリスクに備えるため、会社員以上に、自分で民間の保険や貯蓄を活用する必要があります。長期的な資金計画を立て、必要に応じて小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)などを活用することも対策として役立つでしょう。

3-2.保険料・年金が全額自己負担になる

保険料や年金の支払いが個人事業主ではすべて自己負担になるため、収入が減った年などには、特に負担が大きくなってしまいます。

会社員であれば、厚生年金や健康保険の半分を会社が負担してくれますが、個人事業主は保険料や年金はすべて自分で支払う必要があります。

たとえば、国民年金の保険料は月額約17,510円(2025年度)ですが、これは収入が減った年でも他の年と同様に支払い義務があるため、経済的な負担を感じることがあります。

このように、個人事業主は保険料や年金を全額自己負担で支払う必要があります。

3-3.帳簿の記録が必要になる

個人事業主は、収支を正確に記録するために自分で、あるいは税理士に依頼して、日々帳簿付けを行う必要があります。

青色申告を選択すると、節税メリットは大きくなりますが、その分「複式簿記」による記帳が求められます。白色申告でも単式簿記による記帳が必要です。

例えば、個人事業主が会計ソフトなどを用いない場合には、売上や経費を手作業で記録し、簿記の知識を用いて記帳したり、それに基づいた決算書を作成しなければならず、事務負担が増えます。

このように、個人事業主では自分で、日々事業に関する仕訳内容を帳簿に記録することが必須となります。このデメリットに関しては、会計ソフトや税理士のサポートを活用すると、負担を軽減しやすくなります。

3-4.一定の所得を超えると法人より税負担が大きくなる

個人事業主は、一定の所得を超えると法人よりも税負担が重くなります。

個人の所得税は累進課税(所得が増えるほど税率が上がる仕組み)ですが、法人税は一定の税率で計算されるため、ある程度の利益を超えると法人のほうが税負担が軽くなるからです。

例えば、個人事業主の所得が900万円を超えると、所得税と住民税の合計で33%程度の税率になります。一方、法人税率は、900万の所得に対しては、中小企業なら23%程度となるため、法人のほうが有利になります。

このように、個人事業主では一定以上の所得を得ると税負担が大きくなります。利益が大きくなった場合は、法人化を検討するのも一つの手です。

法人化を検討する目安については、以下のURLの記事も参考にしてみてください。

個人事業主の法人化目安は課税所得900万円以上!所得以外の目安も解説

3-5.確定申告を自分で行う必要がある

個人事業主は、基本的に毎年自分で、あるいは税理士に依頼をして確定申告を行わなければなりません。

会社員の場合、年末調整によって税金が自動計算されますが、個人事業主はすべて自分で計算し、申告書を作成する必要があります。

例えばこの際に、経費の記録や領収書の保管を怠ると、控除を受けられず、余計に税金を支払うことになる可能性があります。

個人事業主には必ず毎年確定申告が必要です。申告漏れやミスを防ぐために、日頃から帳簿をつける習慣を持つことが大切です。

3-6.収入の変動が大きい

個人事業主の収入は、市場や仕事の受注状況などに影響されやすく、月や年度によって大きく変動します。

会社員のように固定給があるわけではなく、仕事の量や景気に左右されるため、安定した収入を確保するのが難しくなります。

例えば、フリーランスのデザイナーやライター、イラストレーターなどがクライアントを失うと、翌月の収入がゼロになることもあります。

個人事業主は収入変動の危険性が高いため、リスクに備えて、複数の収入源を持つことが重要です。

3-7.赤字の繰り越しは3年まで

個人事業主の赤字は、青色申告を選んだとしても最大で3年間までしか繰り越せません。

法人の場合は最大10年の赤字繰越が可能ですが、個人事業主は3年しかできず、それ以降の赤字は相殺できません。

例えば、開業初年度から3年間赤字が出続けた場合、4年目に黒字にならないと、初年度分の赤字を控除できません。

このように、個人事業主の赤字繰越は最大3年までです。長期的な赤字のリスクがある場合には、法人化を視野に入れるのも手です。

3-8.高い自己管理能力が求められる

個人事業主は、事業を運営するために自分で時間や収支を管理しなければなりません。

上司や同僚がいないため、仕事の進捗やモチベーションなどは全て自分で管理する必要があります。

たとえば、スケジュールを立てずに過ごすと、納期に間に合わなくなったり、収入が不安定になったりしてしまう可能性もあります。

個人事業主には高い自己管理能力が求められます。セルフマネジメント能力を高める努力が必要となってきます。

3-9.法人より信頼性が低い

法人と比べると、個人事業主は取引先や金融機関からの信用度が低くなることがあります。

法人は登記されており、企業としての実態が明確ですが、個人事業主はそうではないため、取引を敬遠されることがあります。

例えば、企業が外注を検討する際、個人事業主よりも法人のほうが契約しやすいと判断されることがあります。

個人事業主は法人と比べると信頼性が低いです。信頼を高めるために、屋号を使ったり、実績を積み上げたりしていくことが重要です。

3-10.事業の債務は個人が責任を負う

個人事業主は、債務負担において責任範囲が無限であるため、事業で生じた借金を全て自分で返済する義務があります。

法人の場合は、個人保証による借り入れを除くと出資金の範囲内での有限責任となります。事業に失敗して借金が生じたとしても、出資額以上の支払い義務は発生せず、個人の資産は守られます。しかし、個人事業主は事業と個人の財産が区別されません。

例えば、事業資金として借りた500万円を返せなくなったという場合、個人の貯金や財産を持ち出したり、自己破産したりしてでもその返済処理を行わなければなりません。

個人事業主の債務負担は無限責任です。借入れの際は、慎重な計画が必要です。


4.個人事業主として開業することをおすすめできる5つのケース

ここまで、個人事業主として働くことのメリットについてお伝えしてきました。実際にどのようなケースの方が上記のような個人事業主のメリットを得られやすいのか、この章では、代表的な5つのケースをご紹介します。

4-1.成果報酬型の働き方を求めるケース

事業主が成果に応じた収入を得たいという場合、個人事業主として開業することで収益を最大化できます。

会社員の場合、どれだけ成果を上げても給与は一定ですが、個人事業主なら成果次第で収入を大きく増やせます。

例えば、フリーランスのデザイナーやライター、イラストレーターは、案件ごとに報酬を設定でき、スキル次第で高単価の仕事を受けられます。

個人事業主は実力や努力に応じて収入を伸ばせるため、成果報酬型の働き方を望む人には最適です。

4-2.低コストで事業を始めたいケース

事業主が開業を考えていて、かつ開業費用を抑えたい場合、個人事業主としてスタートするのが適しています。

法人設立には登記費用や運営コストがかかりますが、個人事業主なら開業届を出すだけで、ほぼ費用ゼロで事業を始められるためです。

例えば、Webライターやプログラマーなら、パソコン1台で事業を始められ、初期投資を最小限にできます。

このように、資金に余裕がない方、低コストで事業を始めたい方にとって、個人事業主なら気軽に事業をスタートできます。

4-3.自由な働き方を求めるケース

働く場所や時間を自由に決めたい人は、個人事業主になることで柔軟な働き方ができます。

会社員は勤務時間や出勤場所が固定されていますが、個人事業主なら自分のペースで仕事ができるためです。

例えば、ノマドワーカーとして世界中を旅しながら仕事をするライターやプログラマーは、個人事業主だからこそ実現できます。

ワークライフバランスを重視したい方にとって、自由な働き方ができるのは個人事業主ならではです。

4-4.事業規模が小さいが、節税効果を最大限に活用したいケース

小規模な事業でも、個人事業主として開業すれば節税のメリットを最大限に受けられます。

青色申告を利用すれば、最大65万円の特別控除が受けられるほか、自宅の家賃や通信費を経費として計上できるためです。

例えば、副業として小規模なオンラインショップを運営している場合、家賃や光熱費の一部を経費にして税負担を軽減できます。

事業規模が小さいというケースでは、個人事業主として適切に申告することで、節税の恩恵を受けられます。

4-5.副業から始めて独立を目指しているケース

会社員のまま副業をスタートし、軌道に乗ったら独立することを考えているという方にとっても、個人事業主としての開業はベストな選択です。

いきなり法人として独立すると収入が不安定になりやすいのですが、副業として少しずつ実績を積んでいき、個人事業主として独立するという方法であれば、リスクを抑えて独立できるためです。

例えば、副業でブログ運営を始め、広告収入が安定してきた段階で個人事業主として本格的に活動するケースがあります。

まずは副業としてスタートし、リスクを抑えながら独立を目指す方にとっても、個人事業主としての開業は賢い選択となります。

いずれの場合においても、目的や状況に応じて、個人事業主として開業するようにしましょう。大きなメリットを得られるようになります。

個人事業主として独立するための​手順については、以下のURLの記事も参考にしてください。

独立するにはどうすればいい?実現させる手順や注意すべき点を解説

個人事業主として独立するために必要な資金については、以下のURLの記事もぜひ、参考にしてみてください。

独立資金はいくら必要?起業時の資金調達方法を解説


5.個人事業主のメリットを最大にするための開業のタイミング

個人事業主としてのメリットを最大にするためには、開業するタイミングを測る必要があります。
この章では、個人事業主として開業する、最適なタイミングについてご紹介します。ぜひご一読ください。

5-1.副業が「事業」として規模が拡大してきたタイミング

副業の収益が事業として安定してきたら、個人事業主として開業するのに最適なタイミングです。
収益が継続的に発生し、ある程度の規模になった時点で開業すると、節税のメリットを受けながら事業を本格化できるためです。

例えば、フリーランスのデザイナーとして副業を続け、月に10万円以上の売上が安定してきた場合、開業届を提出することで、デザイナー業に関連する経費計上の幅も広がり、事業の更なる発展を見込むことができます。

副業が、事業として成長の見込みが生じてきたタイミングでは、早めに開業して税制上のメリットを活用しましょう。

5-2.副業の所得の合計が58万円を超えたタイミング

副業の所得(売上-経費)が年間で58万円を超えたら、個人事業主として開業するのが有利です。

令和7年度の税制改正により、基礎控除が48万円から58万円に引き上げられる見込みです。よって、この金額を超えると課税対象になります。
そこで、年間所得が58万円を超える分についても、開業すれば、青色申告特別控除などを活用でき、税負担をさらに減らせるのです。

例えば、副業で年間60万円の利益が出ている場合、開業して青色申告をすれば最大65万円の控除を受けられ、実質的に所得税をゼロにできます。
年間所得が課税対象になる前のタイミングで開業し、節税対策を整えるのが賢明な選択です。

5-3.継続的な事業所得を月額平均3~4万円以上得られるようになってきたタイミング

月3~4万円以上の事業所得が安定してきたら、開業を検討するべきタイミングです。
事業所得が月3〜4万円であれば、年間では所得額は40万円以上となるため、適切な経費計上や青色申告を活用することで、節税のメリットを得られます。

また、毎月一定額の所得があるということは、事業がある程度の安定性を持つようになってきた証拠でもあるため、開業するタイミングとして適しています。
例えば、YouTubeやブログなどの活動で毎月3~4万円の広告収入がある場合には、開業して経費を計上すれば、手元に残る利益を増やすことができます。

少額の利益でも継続的に得られるタイミングであれば、開業して税制上の恩恵を最大化するのが有利です。

5-4.青色申告承認申請書を開業日から2ヶ月以内に提出できるタイミング

青色申告承認申請書を開業日から2ヶ月以内に提出すると、青色申告により最大の節税効果を得られるので、提出準備が整ったタイミングで開業すると良いでしょう。

これは、青色申告の特別控除(最大65万円)を受けるには、事業開始から2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があるためです。開業後2ヶ月以内のタイミングを逃すと、翌年まで控除は適用されませんので、ご注意ください(※開業届は事業開始日から1ヶ月以内に、税務署への提出が必要です。青色申告を適用させたい場合、開業届も必須となるため、覚えておきましょう)。

例えば、2025年4月1日に事業を開始した場合、5月1日までには開業届を提出し、6月1日までに青色申告承認申請書を提出すれば、その年の確定申告から青色申告を行うことができます。

開業するときには、2ヶ月以内に青色申告承認申請書も同時に提出できるタイミングを選び、節税メリットを最大限に活用しましょう。


6.個人事業主として開業することに不安がある方は辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご活用ください

個人事業主としての税務や確定申告に不安がある場合は、専門家のサポートを受けると安心です。

税務や会計の知識が不足していると、確定申告でのミスや、節税対策の不足につながる可能性があります。しかし、辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスでは、開業サポートから節税対策まで幅広い支援を提供しており、初心者でも安心して事業を運営できます。

個人事業主としての開業に関する疑問や税務処理に不安がある場合は、税理士の力を借りることでスムーズに事業を進められます。ぜひお問い合わせください。
また、自分の場合に税理士が必要かどうかの判断基準として、以下のURLの記事も参考にしてみてください。

個人事業主に税理士は必要?必要な11のケース・不要な3つのケース


7.まとめ

個人事業主として開業することには働き方の自由度や税制上の利点など、多くのメリットがあります。
一方で、保険に加入できなかったり、税務処理の負担が大きくなるなどのデメリットもあります。

令和7年度の税制改正では、基礎控除の引き上げや事業承継税制の見直しが行われ、個人事業主にとって有利な環境が整いつつあります。
メリット、デメリットのどちらも加味して、自分が個人事業主として開業すべきかを判断してください。
特に、副業が軌道に乗ってきて、毎月3〜4万円の事業所得があるというタイミングや、事業所得が58万円を超えたタイミングで開業すれば、節税効果を最大限活用できます。開業後は青色申告を活用し、適切な経費計上を行うことで税負担を軽減できます。

ただし、個人事業主としての活動では、確定申告や適切な帳簿管理が必要となるため、税理士のサポートを受けるのも一つの方法です。
事業規模や収益状況を考慮しながら、最適なタイミングでの開業を検討しましょう。
不安があれば、辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスのご活用をご検討ください。

また、個人事業主の方向けの節税方法や税理士の必要性、法人化などに関する不安を解消するための記事が、以下のURLの辻・本郷 税理士法人の起業ガイドのページに掲載されています。個人事業主の方は、ぜひご一読ください。

個人事業主|辻・本郷 税理士法人の起業ガイド

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