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相続人がいない場合は生前に準備を!相続財産が国庫帰属するまでの流れ

公開日:2023.06.20
相続手続き
相続人がいない場合は生前に準備を!相続財産が国庫帰属されるまでの流れ

亡くなられる方のなかには、法定相続人にあたる方がいないケースがあります。これを専門用語で「相続人の不存在」といいます。

相続人の不存在の場合、被相続人が所有していた財産は最終的に国に帰属することになりますが、そのためには一連の手続きが必要です。
この記事をご覧になっている方のなかには、きっと相続人の不存在に該当する方がいらっしゃるのではないかと思います。生前のうちに準備しておくためにも、どのような流れで財産が国庫帰属されるかを把握しておきましょう。

また、令和3(2021)年に民法が改正され、不存在の手続きに変更がありました。その影響についても解説します。

長門事務所

法定相続人がいない場合とはどんな状態か

法定相続人がいない場合とは、以下の場合をさします。

  • 配偶者がなく、第1順位から第3順位までの法定相続人とその法定相続人が亡くなっていた場合の代襲相続人がいない
  • すべての法定相続人が相続放棄した
  • すべての法定相続人が欠格や廃除した

※欠格とは、相続人の相続権がはく奪されることをさします。廃除とは、被相続人の意志で相続人から相続権を奪うことをさします。

相続人不存在が確定するまでの流れ

相続人がいない場合、本当に遺産をもらう人がいないかを確認することに加え、手続きが必要です。その流れは以下のとおりです。
この流れを経て「相続人不存在」が確定します。

  1. 相続財産管理人を選任する(家庭裁判所へ申立て)
  2. 相続財産管理人の選任公告(所要期間:2カ月)
  3. 相続債権者に対する債権申出の公告(所要期間:2カ月以上)
  4. 相続人の捜索の公告(所要期間:6カ月以上)
  5. 相続人不存在の確定
相続人不存在が確定するまでの流れ

特別縁故者への遺産分与

相続人不存在が確定しても、すぐには国に引き継がれません。
まずは特別縁故者に財産分与が行われます。

特別縁故者とは、被相続人と生計を一にしていた人(内縁関係)や被相続人の療養看護を尽くした親族等をいいます。
特別縁故者の方による家庭裁判所への申立期間は3ヶ月以内です。

特別縁故者には相続権はないものの、請求が可能であれば相続財産が受遺される場合があります。

ただ、家裁の審理のハードルは高いのが実情です。また、相続財産が共有不動産の場合には、他の共有者に帰属します。

特別縁故者については、過去のコラムへ詳しく記していますので参考になさってください。

最終的に財産は国庫へ帰属される

被相続人に相続人がいない場合、ここまでご案内した手続きを経て相続人不存在が確定します。
特別縁故者がいれば分与が行われ、いない場合には最終的に国庫に帰属することになります。

課税関係はどうなるか

やはり気になるのが、それぞれのケースで税金がかかるか・かからないかです。個別に見ていきましょう。

相続人が不存在の場合は課税なし

相続人が不存在の場合には、相続財産を取得する個人は存在しないこととなり、相続税が関わることはありません。

特別縁故者には相続税が課税される

特別縁故者が相続財産の中から財産分与を受けた場合には、分与を受けた時の時価に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したとみなされて相続税が課税されます。

財産が国庫に収められた場合は課税なし

相続財産が国庫に帰属した場合、どのような場合にも国が相続税の納税義務者とならないため、相続税の税務は関係しません。

令和3年の民法改正での変更事項

相続人不存在の手続きについて令和3年の民法改正により以下の変更がありました。

  • 相続財産管理人が相続財産清算人に変わりました
  • 清算人選任や相続人債権者捜索の公告期間が最短6ケ月に短縮されました

相続人がいない場合の対策

相続人がいない方の場合、国に財産が帰属されるまで時間や手間がかかり、特別縁故者がいても審理が厳しいなど大変です。
亡くなったあとの心配をしなくても済むよう、やはり生前のうちに対策をしておくのが肝要です。

対策1:公正証書遺言を用意しておく

とくに大切な人に対しては公正証書遺言を用意しておくことが安心安全に分けることが出来るのではないかと思います。

対策2:死後事務委任手続きを行っておく

死後のいろいろな事務手続きについても、生前のうちに約束しておけばもっと安心なのではないかと思います。これを死後事務委任手続きと言います。

この制度は、本人の死後に葬儀等の手続き、知人などへの連絡、死後未払金の清算、サービス等の解約などの遺産整理業務を生前に約束する委任契約です。
委任者は、懇意にしている一般の方でもよいのですが、多くの場合は法律の専門家である弁護士を筆頭に、司法書士や行政書士が請け負っています。

認知症など判断能力が欠けている場合に、本人に代わって不利な法律行為を行わないようサポートする後見人(成年後見制度)や、遺言があった場合に遺言に関する内容のみを実行する遺言執行人とは異なる制度です。

おわりに

ご自身が亡くなられたあと法定相続人が誰もいなく、どうしたらよいかわからないなどお困りの際には、辻・本郷 相続センターまでお気軽にお問い合わせください。

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