
アメリカ・ハワイ州における国際税務や遺産相続について、現地在住の弁護士が具体的な事例をご紹介します。
1.はじめに
Guardianship、またはConservatorship(いずれも後見人制度)とは、自身で意思決定ができない状況になった際、任命された後見人に、金銭的、または個人的な事項等について判断する権限を与える制度です。
ハワイ州では、「Guardian」は判断能力が不十分な人、または未成年者の「医療等に関する決断」を下すために任命され、「Conservator」は判断能力が不十分な人、または未成年者の「経済的な事項に関する判断」を下すために任命されます。
「Guardian」または「Conservator」を任命する手続きは非常に負担が大きいため、こうした法的手続きを完全に回避できるトラスト(信託)を準備することをお勧めします。
2.「Guardian」や「Conservator」を任命するための手続きは困難
「Guardian」や「Conservator」を任命する手続きは、非常に時間と費用がかかります。
さらに、この制度の対象となる方は、自身の経済的、および個人的な事項に関し、決断をする権限を完全に失うことに至ります。
通常、「Guardian」や「Conservator」を要請するための申請書は、裁判所に提出されます。
その際、本人の判断能力が欠如していることを証明するために、医療記録や専門医の意見書を提出しなければなりません。この法的手続きが完了するまでに数か月掛かることもあります。
「Guardian」や「Conservator」が任命された後も、後見人は引き続き裁判所の監督下に置かれ、後見人制度の対象となる方の個人的な事項や資産の管理等について、定期的に報告することが求められます。
3.トラストは、後見人制度の回避に役立ちます
トラスト(信託)を利用すれば、後見人制度(Guardianship / Conservatorship)とは異なり、信託契約書(信託設定文書)で任命されている「後継受託者」に、速やかに意思決定権限を移譲することができます。
トラストのGrantor(委託者)が判断能力を失った場合でも「Guardian」や「Conservator」を任命するために裁判所が介入する必要はなく、トラストで任命されている後継受託者に、意思決定権限を移管することができるのです。
例えば、トラストのGrantor(委託者)に未成年の子供がいて、Beneficiary(受益者)となっている場合、その子供が18歳未満の間にGrantor(委託者)が判断能力を失ったとしても、後継受託者は裁判所の介入を必要とせず、その未成年が受取人として指定されている資産について、トラストの中の資産を分配することが可能です。
4.まとめ
裁判所の手続きによって「Guardian」や「Conservator」を任命するのは負担が大きいため、万が一ご自身が判断能力を失った場合でも、後継受託者によって資産が適切に管理される体制を確保できるよう、トラストを作成しておくことをお勧めします。
TH弁護士法人パートナー 米国弁護士 本郷 友香(ほんごう ゆか)
