連絡の取れない相続人がいた場合の対処方法6選

あなたの周りに“連絡の取れない相続人”はいますか?

「相続の話し合いをしたいのに、連絡が取れない」

「今どこに住んでいるか分からないし、連絡先も知らない」

「知らない間に電話番号が変わっていて、連絡が取れない」

このような問題にお悩みの方は、とても不安だと思います。

この記事では、こんな時はどうしたら良いのか、誰に相談したら良いのかを解説しています。
是非参考にしてみてください。


1.相続人とは、必ず連絡を取らなければいけない

相続手続きを進める時には、必ず相続人同士で連絡を取らなければいけません。なぜなら、相続手続きに「遺産分割協議書」が必ず必要になるからです。

遺産分割協議書は、相続人全員の押印が必要になります。もちろん、話し合いも全員で行ないます。

連絡が取れないからと言って、そのまま分割協議をすすめてしまうと遺産分割協議が「無効」となってしまいます。このような理由から“相続人同士は、必ず連絡を取らなければいけない”のです。


2.相続人と連絡が取れない場合の対策方法6選

どうしても、相続人と連絡がとれない場合は、下記の通りできることがあります。

1から容易な順番で並べておりますので、順番に試してみましょう。

相続人と連絡が取れない場合の対策方法
1住所を調べる
2手紙を送る
3訪問する
4不在者財産管理人の選任を申立てる
5遺産分割調停を申立てる
6失踪宣告を行う

2-1.住所を調べる

相続人の連絡先も、住所も分からない場合は、まず戸籍の附票を取り寄せましょう。

戸籍の附票とは、下記の様な書類で、丸印の欄に住所の記載があります。

戸籍の附票には、今までの住所が記録されています。ただし、転籍等により本籍を他の市町村に変更していると、現在の附票には現在の本籍にした日以降の住所しか記録されていませんので、注意しましょう。

2-2.手紙を送る

前章で、住所の確認が取れたら手紙を送りましょう。住所が変わっておらず、無視されなければ連絡が取れるでしょう。

相手が受け取ったか分かる「特定記録郵便」等を利用すると良いでしょう。詳しくは下記HPをご覧ください。
引用:日本郵政(株)HP「特定記録」​​​

2-3.訪問する

手紙は届いているようだが、連絡を無視された場合は、調べた住所のところへ訪問してみましょう。

時間と、労力と、勇気が必要ですが試してみる価値はあるでしょう。

2-4.不在者財産管理人の選任を申立てる

住所を調べて、手紙を送ったが宛名不明で帰ってきてしまったり、訪問してみたが別人が住んでいたり、空き家だった場合は、「不在者財産管理人の選任の申立て」をしましょう。

この方法は、生きている可能性の高い、連絡の取れない相続人へ有効的です。

不在者財産管理人の職務は主に下記の通りです。

・行方不明者の財産調査
・行方不明者のために財産管理を行う
・財産目録を作って家庭裁判所へ報告する

不在者財産管理人はあくまでも「本人のために」財産を管理する役割であり、不正に財産を使ってしまうと「業務上横領罪」となってしまいます。

不在者に代わって遺産分割協議、不動産の売却等に参加したい場合は、「権限外行為の許可」を申請しなければなりません。

家庭裁判所が不在者財産管理人による遺産分割を許可してはじめて、遺産分割協議に参加できます。

選任には3カ月以上かかる場合もありますので、速やかに申立てを行いましょう。
こちらの手続きは、難しいためご自身で行う方は少ない印象です。まずは、弁護士や司法書士へ相談しましょう。

引用:裁判所「不在者財産管理人」

2-5.遺産分割調停を申し立てる

前章と同じように連絡が取れない場合は、遺産分割調停という方法があります。

こちらの方法も、生きている可能性の高い、連絡の取れない相続人へ有効的です。

遺産分割調停を家庭裁判所へ申立てると、家庭裁判所から相手の住所へ“呼び出し状”を送ってくれます。
裁判所からの手紙となりますので、連絡を無視していた相続人も仕方なく連絡に応じてくれることもあります。

また、遺産分割調停は、あくまでも話し合いの場となりますし、裁判ではないので必ず分割協議がまとまるわけではありません。ここでまとまらない場合は、「遺産分割審判」を行い裁判所が遺産分割方法を決定します。

遺産分割調停は自分でも可能ですが、弁護士に依頼しないと不利になる可能性が高くなりますので、悩まずに弁護士へ相談しましょう。

引用:裁判所「遺産分割調停」

2-6.失踪宣告を行う

前章と同様に、連絡を無視される場合や、連絡が取れない場合は、失踪宣告という方法があります。

失踪宣告とは、「生死不明の相続人を死亡扱いにする手続」のことです。
家庭裁判所へ申立てをすると、家庭裁判所の調査が始まります。調査しても見つからない場合は、審判が行われ、審判が確定すると失踪=死亡扱いとなります。

また、失踪宣告が認められると同時に複数の相続が発生していることになりますので、手続きに注意しましょう。
引用:裁判所「失踪宣告」


3.注意!相続人と連絡が取れないままだと、遺産分割ができない

ここまで、相続人と連絡が取れない場合の対処法を紹介してきました。なぜ、連絡を取る必要があるのかというと「遺産分割協議」のためです。

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。一人でも欠けてしまうと、無効になってしまうので手続きを進めることはできません。必ず、相続人全員で遺産分割協議を行いましょう。


まとめ

相続手続きにおいて、相続人間で必ず連絡を取る事が必要ということと、対処方法について解説させていただきました。もしも、連絡の取れない相続人がいる場合は速やかに弁護士へ相談しましょう。できるだけ早く対策方法を考える必要があります。その上で、相続税申告書の作成が必要になった場合は税理士へ相談しましょう。

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