前妻の子に相続する権利はある?相続させたくない時の対応も解説

前妻の子にも相続する権利はあるの?
と疑問をお持ちではありませんか。

亡くなった方に離婚歴があり、前の配偶者との間に子供がいた場合、前妻の子に相続する権利があるのか疑問に思われる方は多数いらっしゃいます。

結論から申し上げますと、前妻の子にも遺産を相続する権利があります。

また、前妻の子と現在の配偶者は疎遠な場合が多く、現在の配偶者の中には「前妻の子には遺産を相続させたくない」と考える方も少なからずいらっしゃいます。
しかし、現在の配偶者の方には気の毒ですが、前妻の子に遺産を相続させないことは基本的にできません。

本記事は相続税専門税理士監修のもと、前妻の子の相続する権利について解説します。
ご覧いただければ、前妻の子には遺産を相続する権利があり、前妻の子に遺産を相続させずに相続手続きを終えることはできないと理解していただけると思います。


1.前妻の子にも、遺産を相続する権利がある

前妻の子にも、遺産を相続する権利があります。

前妻の子であっても、被相続人の子供であることに違いはありません。
そのため、前妻の子は第1順位の法定相続人として遺産を相続する権利を持ちます。

また、「現配偶者の子」と「前妻の子」の相続する権利の割合に差はありません。
どちらも被相続人の子供であるため、第1順位の法定相続人です。

■法定相続人について詳細に知りたい場合はこちら
法定相続人とは誰なのか?迷いやすい10の事例つき

※注意

前妻は法定相続人ではありません。
そのため、前妻には遺産を相続する権利はありません。


2.前妻の子に遺産を相続させないことは、できないケースが多い

前妻の子に遺産を相続させないことは、難しいケースが多いです。

現在の配偶者と、前妻の子とは疎遠な場合が多いでしょう。
また、お互いにプラスの感情を抱いているとは限りません。
そのため、「前妻の子に遺産を相続させたくない」と考える現在の配偶者やその子供も少なからずいらっしゃいます。

しかし、残念ながら前妻の子に遺産を相続させないとすることは難しいケースが多いため、相続が発生した場合は、速やかに前妻の子にも連絡することをおすすめします。

※被相続人の生前であれば、遺言書の作成や生命保険・生前贈与の活用などで、前妻の子の相続する財産を少なくすることはできます。ただし、前妻の子には遺留分があるので、生前対策を行ったとしても、遺産を全く相続させないということはできません。

2-1.前妻の子も遺産分割協議に参加しなければならない

前妻の子も遺産分割協議に参加しなければなりません。
そのため、前妻の子に被相続人が亡くなったとの連絡をせずに相続手続きを進め、前妻の子に遺産を相続させずに相続手続きを終えることはできません。

万が一、前妻の子を含めずに遺産分割協議を行ったとしても、前妻の子が署名押印していない遺産分割協議書では、不動産の名義変更や預貯金の払い戻し等を行うことはできません

2-2.相続放棄に応じるかどうかは前妻の子次第

​​相続放棄に応じるかどうかは前妻の子次第​です。

確かに前妻の子が相続放棄をすれば、前妻の子が遺産を相続することはなくなります。
しかし、どんなに現在の配偶者やその子供が「あなたは被相続人とずっと疎遠だったでしょ。相続放棄して!」と言ったとしても、相続放棄するかどうか判断するのは前妻の子です。

現在の配偶者が自由にコントロールすることはできません。


3.前妻の子と連絡を取る方法

前妻の子と連絡を取る方法を紹介します。

2章で解説した通り、前妻の子に遺産を相続させないことは、基本的に不可能です。
相続が発生した場合は、速やかに前妻の子にも連絡することをおすすめします。

3-1.戸籍の附票で住所を確認する

前妻の子の住所を知っている場合は話が早いのですが、知らない場合は​戸籍の附票を確認​しましょう。

戸籍の附票には住所の変遷が記録されているので、前妻の子の現住所を調べるのに役立ちます。

3-2.手紙で連絡する

前妻の子の現住所が判明したら、​手紙で連絡をしましょう​。

面識のない人が急に家に訪問してきたり電話したりしてきた上に、自分の父親が亡くなったと話し出されれば、前妻の子は冷静に話を聞くことが難しい場合が多いでしょう。また、怪しいと思われて今後の話し合いも難しくなるリスクさえあります。

まずは手紙を送り、前妻の子に落ち着いて事情を理解してもらった上で、電話やメールなどで顔合わせの日程を決めるのが無難な進め方です。

3-3.連絡が取れない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立て

前妻の子に連絡をしても、連絡がつかない場合は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。

前妻の子が「もう父親とは一生関わりたくない」と考えている場合、亡くなった父親の遺産相続について連絡が来ても無視するケースが考えられます。このような場合は、まず無視したらどんな不利益があるのか等を前妻の子に説明する手紙を送るなどして、なんとか連絡を取ることを試みましょう

それでも連絡が取れない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて話し合いを進めるしか方法がありません。調停を申し立てると、家庭裁判所が前妻の子に対して呼び出し状を送ってくれます。調停でも話し合いが成立しない場合には「遺産分割審判」となり、裁判所が遺産分割の方法を決定します。


4.まとめ

「前妻の子にも相続する権利はあるの?」と疑問をお持ちの方を対象に、前妻の子の相続する権利について解説してきました。

最後に本記事の大切なポイントをもう一度振り返ります。

  • 前妻の子にも、遺産を相続する権利がある
    (前妻には遺産を相続する権利はない)

  • 前妻の子に遺産を相続させないことは、できないケースが多い
    ・被相続人の生前であれば、遺言書の作成や生命保険・生前贈与の活用などで、前妻の子が相続する財産を少なくすることはできるが、前妻の子には遺留分がある。
  • 前妻の子と連絡を取るには、戸籍の附票で住所を確認して、手紙で連絡する
    連絡がとれない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

本記事が被相続人に前妻の子がいた場合の、相続手続きを行う一助となれば幸いです。

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