死亡後の手続き|死亡当日から1年後までの行動リスト

家族・親族が亡くなったら、どのような手続きをすればいいの?
「家族・親族が亡くなった直後から、ずっと手続きに追われている…。手続きはいつまで続くのか、目安を知っておきたい。」
本記事をご覧の方は、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

本記事は、死亡当日から1年後までの行動をリスト化したものです。
税理士法人における相続業務の経験、実際に親の死亡後の手続きを行った時の体験をもとに執筆しています。

手続きの全体像を把握することで、計画的に準備を進めることができます。
本記事が死亡後の手続きを行っているみなさんの一助となれば幸いです。

目次


1.死亡当日に行う手続き

死亡当日は次のような手続きが必要になります。

1-1.死亡診断書(死体検案書)を受け取る

死亡診断書(死体検案書)を受け取ります。

死亡診断書(死体検案書)とは、人の死亡を医学的・法律的に証明するために医師が交付する文書です。

死亡診断書は、医師が生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合に、死体検案書は、それ以外の場合に交付されます。

かねてより患っていた傷病のために病院でお亡くなりになった場合は、死亡を確認した医師がその場で死亡診断書を書いて遺族に手渡します。
ご自宅でご臨終を迎えた場合は、かかりつけ医に連絡し、かかりつけ医が死亡診断書を記入するケースが多いです。

また、事故死や変死、自死の場合は、通報をうけた警察がご遺体を警察署へ移送して検視などを行った後に、死亡診断書を遺族に渡します。

【死亡届・死亡診断書の見本】

法務省HP『死亡届 記載要領・記載例』より引用

1-2.近親者へ連絡する

近親者へお亡くなりになったことを連絡します。

故人と縁が深く葬儀に参列して欲しい方には、このタイミングで伝えましょう。
葬儀の日取りや会場が決まる前に、まず一報を入れることで、葬儀に参列してもらえる可能性が高まります。

1-3.清拭・身繕い・死装束への着替え・死化粧を見守る

病院スタッフの方が、清拭・身繕い・死装束への着替え・死化粧をしてくださるので、見守りましょう。

遺族が行うことは基本的にはなく、病院スタッフの方が行うのを見守ります。
ただし、病院スタッフから、「遺族の方にもお手伝いをお願いしたい」などの指示があった場合は、指示に従いましょう。詳しいやり方は病院スタッフが教えてくれます。

また、ご自身で死化粧を施したいなどの強い希望がある場合は、病院スタッフの方にお伝えしてもよいでしょう。

清拭・故人の体を拭き清めること
・近年はガーゼにアルコールを含ませて全身を拭いてあげる方法が一般的
身繕い・ご遺体に傷があれば処置を施す
・ご遺体の内部にたまっている老廃物を出させて口や鼻・肛門などへ脱脂綿を詰める
死装束への着替え

・以前は死装束の定番は白装束だったが、近年は故人が生前好んで着ていた衣服を着せるケースも増えている

死化粧

・男女によって内容に差があるが、髪を整えて爪を切り、軽く化粧を施す
・痩せて頬がくぼんでしまっている場合は、口の中に脱脂綿を詰めて元気だった頃の表情に近づけたりもする

※清拭・身繕い・死装束への着替え・死化粧は病院で行わず、納棺の前までに葬儀会社のスタッフや納棺師が行うこともあります

1-4.ご遺体の安置場所を決める

ご遺体の安置場所を決めます。
安置場所とは、葬儀までの間、ご遺体を置いて置く場所のことです。

ご遺体は病院の霊安室に葬儀まで安置されるイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
霊安室は一時的な安置場所であり、本来の安置場所に搬送するまでの間、仮に保管しておく場所です。

主なご遺体の安置場所は、以下の2つです。

  • 自宅
  • 斎場に併設されている安置室

以前は自宅に搬送することが一般的でしたが、近年では住宅事情の変化などによって、斎場に併設されている安置室に安置するケースが増えています。

自宅に安置する場合は、棺を置くスペースを確保する必要がありますし、火葬を行うまでご遺体の状態を保つための環境を用意する必要があります。
故人のご自宅の状況を踏まえて、遺族の方でよく相談して決めてください。

安置場所についてこだわりがないという場合は、葬儀会社へ連絡すれば、安置場所も同時に手配してくれます。

1-5.葬儀会社へ連絡する

葬儀会社へ連絡します。

葬儀会社の電話窓口は24時間365日対応していることが多いです。
電話をして、お亡くなりになったことをオペレーターへ伝えてください。

オペレーターから以下のような内容について案内されます。
基本的にはオペレーターの質問に対して、1つずつ回答していけば、滞りなく進みます。
落ち着いて対応してください。

  • 病院などへお迎えに行く目安
  • 故人のご遺体の搬送先
  • お葬式の概略・費用

1-6.退院の手続きをする

病院でお亡くなりになった場合は、退院の手続きをします
葬儀会社へ連絡し、ご遺体の搬送スタッフがいらっしゃるまでの間に行うのが一般的です。

書類の記入をしたり、病院にある故人の荷物をまとめたりします。
基本的には病院スタッフの指示通りに行動すれば問題ありません。

また、医療費や入院費の請求は後日に行う病院が多いです。
急なことで持ち合わせがない場合もあると思いますので、不安な場合は病院スタッフへ伝えるとよいでしょう。

1-7.ご遺体を搬送する

ご遺体を搬送します。

葬儀会社へ連絡し、お亡くなりになった場所を伝えると、ご遺体をお迎えに行く時間の目安を教えてくれます。その時間に葬儀会社のスタッフをお迎えできるように準備しておきましょう。

葬儀会社のスタッフの方がいらっしゃったら、病院のスタッフの方と安置場所へご案内してください。
搬送するための準備や、搬送は全てスタッフの方が行ってくださいます。

また、ご自宅へ搬送する場合などは、先導を依頼されることもあります。
その際は落ち着いて対応していきましょう。

近年はどこからみても霊柩車とわかるような車ではなく、傍からみたらご遺体を搬送しているとはわからないような車でご遺体を搬送することが多いようです。

1-8.ご遺体を安置する

ご遺体を安置します。

1-4 ご遺体の安置場所を決めるで決めた場所へ、葬儀会社のスタッフの方が安置してくださいます。
葬儀までの間、ご遺体はその場所で安置されます。


2.死亡日から2日目に行う手続き

死亡日から2日目は次のような手続きが必要になります。

2-1.葬儀会社と打ち合わせをする

葬儀会社と打ち合わせをします。

場所は故人の安置場所で行うことが多いです。
自宅安置の場合は自宅で、斎場に併設されている安置室に安置されている場合は斎場の控室で行います
所要時間は1~2時間程度です。

生前の事前相談などで葬儀の詳細を決めていない場合は、限られた時間の中で、多くのことを確認・決定する必要があります

葬儀会社との打ち合わせで確認・決定する主な内容は以下の通りです。

  • 通夜・告別式の日時と場所
  • 会葬者の範囲と人数
  • 宗教者と連絡を取り、都合を確認
  • 式場・宿泊施設に宿泊する人を確認
  • 式場と火葬場の空き状況を調べて予約
  • 訃報通知の作成
  • 費用を確認しながら、サービス・物品を選ぶ
    (遺影、祭壇、骨壺、霊柩車、返礼品、宿泊費、お料理、看板、会葬礼状など)

2-2.死亡届を提出する

死亡届を提出します。

死亡届は1-1.死亡診断書(死体検案書)を受け取るで受け取った死亡診断書(死体検案書)と一対になっています。

記載例は以下の法務省のページに掲載されているので、ご自身で記載例を見ながら記載してください。
■法務省HP 死亡届 記載要領・記載例

記入方法で迷った際は、葬儀会社に尋ねるとよいでしょう。
死亡届を提出する時に市区町村役場の窓口の担当者に質問しても回答してくれます。

死亡届の提出についての詳細は、死亡届の提出先|どこの役所の何係に提出するか解説をご覧ください。

提出期限死亡を知った日から7日以内
提出先以下のいずれかの市区町村役場の戸籍担当
・死亡した人の本籍地
・届出人(死亡届に署名する人)の所在地(住民登録地)
・死亡地
提出できる人※提出は葬儀会社のスタッフが代行することが一般的

【死亡届を記入できる人】
・親族(同居または同居していない配偶者、子、両親、兄弟姉妹)
・親族以外の同居者(同居している内縁関係の方)
・家主、家屋管理人
・地主、土地管理人
・後見人、保佐人、補助人、公設所の長、任意後見人

必要書類・死亡届(右側に医師が作成した死亡診断書もしくは死体検案書の原本)
・登記事項証明書(後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者が届出人の場合必要)

 

法務省HP『死亡届』に記載されている記載要領・記載例より引用

2-3.死体埋火葬許可申請書を提出する

死体埋火葬許可申請書を提出します。

死体埋火葬許可申請書とは、ご遺体を火葬・埋葬するために必要な埋火葬許可証を交付してもらうための申請書類です。
埋火葬許可証がなければ火葬を行うことができません。

死亡届を市区町村役場に提出した際に、埋火葬証明願という書類を窓口担当者から渡されます。
その埋火葬証明願をその場で記入すると、市区町村役場の窓口で埋火葬許可証が交付されます。

また、死亡届の提出を葬儀会社が代行した際は、葬儀会社が埋火葬許可申請書を記入し、埋火葬許可証の取得まで代行してくれます。

埋葬許可証とは?発行から納骨までの流れ、再発行の方法も解説

提出期限死亡を知った日から7日以内
(一般的には死亡届と同じタイミングで提出)
提出先死亡届を提出した市区町村役場
提出できる人実情としては葬儀会社のスタッフが代行
届出人となることができるのは以下の方々
 ご家族、ご親族、同居人
 家主・地主
 家屋管理人、土地管理人
 後見人、保佐人、補助人、任意後見人
必要書類・死亡届(死体検案書)
・火葬許可申請書(不要の場合もある)
・届出人の印鑑(不要の場合もある)
・身分証明書

 

■川崎市HP『死体埋火葬許可申請書(PDF形式, 145.48KB)』より引用

2-4.納棺する

納棺します。

納棺とは故人を棺にお納めする儀式です。
通常、通夜の数時間前に行います

ご遺体が自宅に安置されている場合は自宅で、斎場に併設されている安置室に安置している場合は安置室で行います。

具体的には以下のようなことを行います。
死化粧や死装束に着替えるなどを病院で既に行っている場合は、その工程は省きます。

  • 末期の水をとる(唇を湿らせる)
  • 清拭(身体を洗い清める)
  • 死化粧をする
  • 死装束を着せる
  • 棺に納める
  • 副葬品を納める(故人の愛用品を棺に入れる)
  • 棺にふたをして合掌

自宅で納棺した場合は式場へ搬送するまでの間、そのまま安置し、霊柩車などで葬儀会社が搬送します。
斎場で納棺した場合は、祭壇前に移動して安置します。

2-5.戒名を依頼する

戒名を依頼します。

戒名とは仏の弟子になり、戒律を守る証として与えられる名前です。
戒名は仏教徒としての名前なので、他の宗教にはありません。
しかし、戒名に近いもので、神道の場合には「諡(おくりな)」、キリスト教の場合には「洗礼名」があります。

菩提寺がある場合、菩提寺につけてもらうのが基本です。菩提寺に問い合わせましょう。
菩提寺がない場合は、葬儀会社から紹介された葬儀を執り行う寺院につけてもらうことが多いです。

2-6.通夜を行う

通夜を行います

通夜はもともとご家族や近しい方々が、葬儀の前夜に一晩中故人を見守り、別れを惜しむ儀式でした。
しかし、近年では、仕事の関係で夜間の方が出席しやすいという理由から、告別式よりも通夜に参列する会葬者が増えています。

また、通夜と並行して、喪主や遺族は葬儀会社スタッフと、翌日に執り行われる葬儀・告別式の打ち合わせを行います。

通夜は一般的に以下の流れで進んでいきます。

16:30喪主・遺族が式場に到着
17:00一般会葬者が到着し、受付開始
17:30住職到着
17:45喪主・遺族、式場内に着席
18:00通夜会式
 読経
 焼香
 喪主あいさつ
19:00通夜閉式
20:00通夜ぶるまい
20:30告別式の打ち合わせ
21:00全て終了、帰宅

3.死亡日から3日目に行う手続き

死亡日から3日目は次のような手続きが必要になります。

3-1.葬儀・告別式をする

葬儀・告別式をします

本来、葬儀と告別式は別々の儀式でしたが、近年では「葬儀・告別式」として、続けて行われることが一般的になりました。

また、葬儀・告別式と一緒に初七日法要も繰り上げて執り行われるケースが増えています。

一般的な葬儀・告別式の流れは以下の通りです。

9:30一般会葬者・住職到着
9:45喪主・遺族着席
10:00葬儀・告別式会式
 読経
 弔辞・弔電
 焼香
11:00葬儀・告別式閉式・出棺
 最後の対面
 釘打ち(棺のふたを釘で閉じる儀式)
 棺を運ぶ
 出棺のあいさつ

3-2.火葬する

火葬をします

告別式が終わると、喪主は位牌、遺族は遺影を持ち、火葬場へと移動します。

火葬場に着いたら、死体埋火葬許可証を提出し、以下の流れで火葬を進めていきます。

納めの式棺が炉の中に入れられたら、住職により読経が開始
読経の間に喪主から順に焼香
荼毘(だび)火葬を待つ間に控室で住職と会葬者に茶菓や酒、軽食をふるまう
拾骨(しゅうこつ)骨を拾い骨壺に納める
火葬場出発喪主が骨壺、近親者が位牌・遺影を持ち、葬儀・告別式の会場へ戻る

また、火葬が終了すると、埋葬許可証が発行されます。

3-3.初七日法要・精進落としをする

初七日法要・精進落としをします。

火葬場から戻ったら遺骨を後飾り祭壇に安置し、骨迎え・初七日法要・精進落としを行います。

本来、初七日法要は死亡した日を含めた7日後に行われるのですが、親族や関係者にまた集まってもらうことになり、負担が大きいので、最近は初七日の法要も葬儀・告別式と同時に行うことが多いようです。


4.死亡から4日目に行う手続き

死亡日から4日目は次のような手続きが必要になります。

4-1.葬儀費用を支払う

葬儀費用を支払います。

葬儀会社から届いた請求書と見積書を照らし合わせ、内容を確認した上で、精算をしましょう。

4-2.世話役などにお礼をする

世話役やお世話になった方々にお礼をします。

世話役代表へは1万~3万円程度の礼金を贈ることが一般的です。
また、受付係や案内係を勤めてくださった方には、3,000~5,000円程度の礼金が一般的となっています。

また、世話役に任せていた会葬者芳名録・香典・香典帳・供物記帳簿・弔辞・弔電・会計書類・残金などはこのタイミングで確認をしましょう。
世話役の立替金があれば、このタイミングで精算することをおすすめします。

4-3.初七日法要について打ち合わせをする

初七日法要について葬儀会社と打ち合わせをします。

3-3.初七日法要・精進落としで、初七日の法要を葬儀・告別式と同時に行わなかった場合にのみ、このタイミングで打ち合わせを行います。


5.死亡から7日目に行う手続き

死亡日から7日目は次のような手続きが必要になります。

5-1.初七日法要を行う

初七日法要を行います。

近年では参列者の負担を考えて、初七日法要は葬儀・告別式と同時に行うことが多いようです。(3-3.初七日法要・精進落としを参照ください。)

従来通り、初七日法要を死亡した日を含めた7日後に行うのであれば、このタイミングで行います。
その場合の流れは以下の通りです。

  1. 僧侶入場
  2. 喪主挨拶
  3. 読経・焼香
  4. 僧侶による法話
  5. 僧侶退場
  6. 喪主挨拶
  7. 会食

6.死亡日から10日以内に行う手続き

死亡日から10日以内には次のような手続きが必要になります。

6-1.年金に関する手続きをする

年金に関する手続きをします。

年金に関する主な手続きは、以下の3つです。

  1. 受給者死亡届(報告書)を提出する
  2. 未支給年金の受取手続きをする
  3. 遺族年金等を受け取る

①年金受給者死亡届(報告書)を提出する

年金受給者死亡届(報告書)を提出します。

年金を受けている方が亡くなると、年金を受ける権利がなくなるため、「受給者死亡届(報告書)」の提出が必要です。
ただし、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)を登録されている方は、手続きは不要です。

この書類を提出することで、亡くなった方への年金振込がストップします。

万が一、受給停止の手続きが遅れ、故人の口座に引き続き国民年金が振り込まれてしまった場合は不正受給となり、後日年金事務所より返還請求の連絡がきて、返還する必要があります。

■日本年金機構HP 全国の相談・手続き窓口

手続き期限14日以内:第1号被保険者の方(国民年金加入者)
10日以内:第2号被保険者の方(厚生年金または共済年金加入者)
手続き先 年金事務所または街角の年金相談センター

■最寄りの事務所は日本年金機構HP『全国の相談・手続き窓口』より検索可能

必要書類受給権者死亡届(報告書)
・亡くなった方の年金証書
・死亡の事実を明らかにできる書類(下記のいずれかの書類)
  ・住民票除票
  ・戸籍抄本
  ・市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書)のコピー
   または死亡届の記載事項証明書

■日本年金機構HP『年金を受けている方が亡くなったとき受給権者死亡届(報告書)(PDF 289KB)より引用

②未支給年金の受取手続きをする

未支給年金の受取手続きをします。

年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち亡くなった月分までの年金については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。

■未支給年金の手続き方法の詳細は日本年金機構HP『年金を受けている方が亡くなったとき』をご覧ください。

手続き期限5年以内(しかし、年金受給者死亡届(報告書)の提出と同時に行うことを推奨)
手続き先 年金事務所または街角の年金相談センター

■最寄りの事務所は日本年金機構HP『全国の相談・手続き窓口』より検索可能

必要書類未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票)
・亡くなった方の年金証書
・亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)
・亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類(亡くなった方の住民票の除票および請求する方の世帯全員の住民票の写し)
・受け取りを希望する金融機関の通帳
・亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書

日本年金機構HP『亡くなった方の未払い年金を受け取れるとき』未支給年金・未支払給付金請求書・死亡届(報告書)(PDF 2,644KB)より引用

③遺族年金等を受け取る

遺族年金等を受け取ります。

亡くなった方に一定の条件が当てはまる遺族がいる場合、遺族年金等を受け取ることができます。
遺族給付金の種類・金額はさまざまで、加入していた年金の種類と遺族の状況によって給付の内容が異なります。年金事務所または街角の年金相談センターに赴き、相談の上、記入する書類をもらって必要な添付書類を用意するようにしましょう。


7.死亡日から14日以内に行う手続き

死亡日から14日以内には次のような手続きが必要になります。

7-1.香典返しをする

香典返しを行います。

香典返しとは、香典をいただいた葬儀の参加者に対して、感謝の気持ちと法要が無事に終わったことを伝えるため品物を贈ることです。
金額は「半返し」という習慣にもとづいて、香典の1/3~半分程度の金額が目安となります。

最近では香典返しを葬儀当日に行う「即日返し」というパターンも増えています。
参加者それぞれに合わせた品を選ぶ必要がなく、香典を手渡したり、郵送したりする手間が省けるなど、即日返しは喪主の負担を減らすことができます。

即日返しをしない場合は、死亡日から14日以内を目安に香典返しの品を手渡しまたは郵送することをおすすめします。

また、香典返しの商品や金額に迷った際は、葬儀会社のスタッフに相談すると良いでしょう。

7-2.介護保険被保険証を返却し、介護保険の資格喪失の手続きをする

介護保険被保険者証を返却し、介護保険の資格喪失届を提出します。

お亡くなりになった方が65歳以上の場合、または40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合は、14日以内に介護保険被保険証を返却する必要があります。
各市区町村役場の介護保険担当窓口に介護保険被保険証を返却しましょう。

京都市情報館HP『被保険者証の見方について』より引用

また、同時に介護保険の資格喪失の手続きをします。

手続き期限死亡後14日以内
手続き先死亡した方の住所地を管轄する市区町村役場
必要書類・介護保険資格取得・異動・喪失届(市区町村役場またはHPで入手)
・介護保険被保険者証
・介護保険負担割合証(要介護または要支援認定を受けていた方)
・介護保険負担限度額認定証(負担割合証の発行対象者で、交付申請していた方)

※未納保険料・納めすぎた保険料がある場合

未納保険料があれば相続人に請求されます。
また、納めすぎの場合には相続人に対して還付されます。

未納保険料・納めすぎた保険料がある場合は、お知らせの書類が、手続きから2〜3ヶ月後に郵送されてきます。書類を見て手続きを進めてください。

7-3.世帯主変更届を提出する

世帯主変更届を提出します。

世帯主変更届とは、世帯主が死亡した際などに、新しい世帯主を届け出る書類のことです。

世帯主変更届は全員が提出すべき書類ではありません。
提出する必要があるのは、「故人が世帯主であった場合で、残された世帯員(住民票に一緒に記載されている人)が2名以上いる場合」のみです。
「次の世帯主となる人が明確な場合」は、提出する必要はありません。
具体的には、残された世帯主が1人だけの場合や、残された世帯員が15歳未満の子どもとその親権者(妻など)のみである場合などです。

世帯主変更届は必ず必要?不要な場合や提出方法も解説

提出期限世帯主の死亡日から14日以内
提出先居住地の市区町村役場
届出人新しい世帯、主または同一世帯の人
必要書類・世帯主変更届(市区町村役場の窓口・HPで入手可能)
・届出人の本人確認書類
・届出人の印鑑
・委任状(代理人が提出する場合のみ)
・国民健康保険被保険者証(加入している場合のみ全員分)

■小城市HP『世帯主変更届(世帯主・世帯員に変更があったとき)』より、『住民異動届(世帯主変更届)記載例(PDF:446.2KB)※世帯主死亡に伴うもの』を引用


8.死亡日から1ヶ月以内に行う手続き

死亡日から1ヶ月以内には次のような手続きが必要になります。

8-1.国民健康保険証を返却する

故人が国民健康保険に加入していた場合は、国民健康保険証を返却しま

国民健康保険は、職場の健康保険(健康保険組合や共済組合など)に加入している方とその被扶養者、生活保護を受けている方を除いた方が加入しています。

死亡届を提出した時点で、国民健康保険の資格は喪失しますが、保険証も速やかに亡くなった住所地の市区町村役場の保険年金担当へ返却しましょう。

8-2.埋葬料・葬祭費を申請をする

埋葬料・葬祭費を申請します。

名称は異なりますが、いずれも被保険者の埋葬や葬儀の補助として受け取れる給付金です。

埋葬料は国民健康保険以外の健康保険から支給されるので、故人が生前、会社員や公務員として勤めていた場合に受け取ることができます。
一方で葬祭費は国民健康保険から支給されるので、故人が生前、自営業や個人事業主として働いていた場合に受け取ることができます。

埋葬料とは?申請方法や税金のポイント、混同しやすい費用を解説

埋葬料葬祭費
支給元国民健康以外の健康保険国民健康保険
故人の死因業務外の事由
支給される金額一律5万円3~7万円
請求できる人埋葬を行った人葬祭を行った人
申請先健康保険組合市区町村役場
申請期限死亡日から2年以内葬儀日から2年以内

8-3.金融機関へ死亡の連絡をする

金融機関へ死亡の連絡をします。

法的な期限はありませんが、目安は死亡日から1ヶ月以内です。

銀行に亡くなったことを伝えず、故人の口座を放置しても、法的なペナルティがあるわけではありません。しかし、特定の相続人が預金を引き出し、相続トラブルに発展したり、相続放棄ができず借金を抱えてしまったりする可能性があります

亡くなったことを銀行へ連絡すると、故人が口座名義人であった口座は凍結されます。
銀行指定の相続手続きが終わるまで預貯金を引き出すことはできません。

手続き方法は金融機関ごとに異なりますが、相続に関する手続きは来店して窓口で行う金融機関がまだまだ多いようです。

死亡届を銀行に届け出る必要はある?死亡後の銀行手続きについて解説

※相続放棄・限定承認を検討している際は、預金を引き出してはいけない

故人に多額の借金があるなどの理由で相続放棄や限定承認を検討されている場合は、故人の口座から預金を引き出してはいけません。
預金を引き出すことで、故人の相続財産を単純承認したことになってしまいます。

相続放棄とは|選択すべきケース、自分で手続きを行う時の流れを解説
相続の限定承認とは|相続放棄と限定承認どちらを選ぶべきかも解説

8-4.故人が契約していた公共料金の名義変更・解約手続きをする

故人が契約していた公共料金の名義変更・解約手続きを行います。

各契約会社に連絡をして必要な手続きを行います。
そのため、まずは故人が契約していた会社を、料金明細書などから確認しましょう。

また、公共料金等の支払いが、銀行引き落としで、その口座が凍結されてしまった場合、引き落とし不能となり不払いの状態となります。
8-3で紹介した金融機関へ死亡の連絡をすると同じタイミングで、公共料金の名義変更・解約手続きも行いましょう。

【主な公共料金と手続き先の一覧】

電気毎月の支払明細に記載されている電気会社
水道住所地の水道局
ガス毎月の支払明細に記載されているガス会社
NHK受信料NHKふれあいセンター
・フリーダイヤル:0120-151515
・ナビダイヤル:0570-077-077
携帯電話最寄りの携帯ショップ
固定電話NTT東日本:NTT東日本HP『電話の休止・解約
NTT西日本:NTT西日本HP『解約・利用休止・一時中断
運転免許最寄りの警察署または運転免許センター
パスポート各都道府県の申請窓口
クレジットカード各クレジットカード会社

8-5.生命保険金を請求する

生命保険金の請求を行います。

生命保険金の請求期限は3年(かんぽ生命の場合は5年)です。
しかし、遺された家族の生活のためにも、葬式などがひと段落した、このタイミングで請求することがおすすめです。

また、生命保険金はみなし相続財産として、相続税の対象になります。
相続税申告の期限は10ヶ月と決まっているので、請求期限ギリギリではなく、このタイミングで請求することをおすすめします。

請求する人保険金受取人
(保険証券や契約内容のお知らせに記載されている)
請求する場所保険証券に記載されている連絡先へ連絡
Webで申請できる場合も多い
アドバイス死亡保険金だけでなく、未請求の手術保険金・入院給付金があれば同時に請求

また、保険料を負担していた契約者が誰か、死亡した被保険者が誰か、そして保険金の受取人が誰かによって、死亡保険金にかかる税金の種類は異なります。

以下は、契約者被保険者・受取人と課税される税金・相続税の非課税枠の有無の一覧表です。ぜひご活用ください。

被保険者
(死亡した人)
契約者
(保険料負担者)
受取人課税される
税金の種類
相続税の
非課税枠
AさんAさんBさん
(Aさんの相続人)
相続税あり
AさんAさんCさん
(Aさんの相続人以外)
相続税なし
AさんBさんAさん所得税
AさんBさんDさん贈与税

■生命保険と税金の関係について詳しく知りたい方は、生命保険金に相続税はかかる?生命保険と税金の関係について徹底解説をご覧ください。


9.死亡日から2ヶ月以内に行う手続き

死亡日から2ヶ月以内には次のような手続きが必要になります。

9-1.四十九日法要をする

四十九日法要を行います。

四十九日法要とは、命日から数えて49日目に行う追善法要です。

場合によっては、命日から数えて49日目が平日で、ご家族や親族の方が集まりにくいケースもあります。その際は実際の日よりも前の土日にずらして追善法要を行うことが一般的です。

四十九日法要の一般的な流れは以下の通りです。

  • 一同着席
  • 僧侶入場・開式の挨拶
  • 読経・焼香
  • 僧侶による法話・中締めの挨拶
  • 納骨式・お墓参り
  • 献杯の挨拶・会食(お斎)
  • 施主の挨拶・引き出物を渡して閉式

9-2.納骨をする

納骨をします。

納骨とは、骨壷に入れた遺骨をお墓などに埋葬することです。
納骨堂や樹木葬などに遺骨を納めることも「納骨」と呼びます。

「いつまでに納骨しなければならない」という規定はありませんが、一般的には四十九日の法要を行った後に、納骨を行うことが多いです。

ただし、お墓を新しく建てる場合は、遺骨をしばらく自宅やお寺で安置した後、百箇日や一周忌を目処に納骨をするケースが多いようです。

9-3.形見分けをする

形見分けをします。

形見分けとは、故人が遺した形見の品を、故人との思い出の品として遺族や親族、故人と親しかった方で分けることです。

形見分けは故人から見て目上の人には贈らないのが一般的です。
ただし、故人や相手から目上の方であっても、形見分けをしたいという要望があった場合は、贈っても失礼にはあたりません。

9-4.遺言書の有無を確認する

遺言書の有無の確認をします。

遺言書がある場合とない場合では、遺産分割の方法が異なります。
遺産分割を進めようと思った際は、まず遺言書の有無を確認しましょう。

主な遺言書の種類は公正証書遺言・秘密証書遺言・自筆証書遺言の3つです。

公正証書遺言公証役場に保管されており、公証役場で内容を確認することができる。
秘密証書遺言公証役場で「遺言書が存在するかどうか」確認することができる。
遺言書がある場合は、故人の自宅や貸金庫などを相続人が探す。
自筆証書遺言2020年7月より、法務局で保管できる制度が開始されているので、まずは法務局で遺言書の有無を確認する。
法務局に預けられていないことがわかれば、故人の部屋や貸金庫などを探してみる。

遺言の種類によって、保管場所は異なりますが、「遺言書があるかどうかわからない場合」「遺言書がどこにあるかわからない場合」は、まずは公証役場へ問い合わせることをおすすめします。

9-5.遺言書の検認をする

遺言書の検認をします。

検認とは家庭裁判所で相続人などの立ち合いのもと、遺言書を開封して、その内容を確認する手続きです。
検認をすることで、遺言書の書き換えなどの不正を防ぎます。

秘密証書遺言・自筆証書遺言が見つかった場合は、開封する前に家庭裁判所に検認を受ける必要があります。
ただし、検認は遺言書の内容が実質的に有効かどうかを確認するものではないのでご注意ください。

検認について詳しく知りたい方は、遺言書の検認とは?必要な状況・理由・流れを網羅的に解説をご覧ください。

検認の期限法的な期限はなし
検認の申し立て先遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
(検索はこちら:裁判所の管轄区域
申立人・遺言書の保管者
・遺言書を発見した相続人
必要書類・申立書(裁判所HP『遺言書の検認』から入手可能)
・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

※以下の場合は追加で必要書類が発生する
・相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合
・相続人が不存在の場合
相続人が遺言者の配偶者のみの場合
相続人が遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合

9-6.相続人調査をする

相続人調査をします。

相続手続きを行うためには、法定相続人を確定させる必要があります。
法定相続人を確定させるために、被相続人(亡くなった方)にはどのような相続人がいるのか、戸籍を見ながら調査することを相続人調査と呼びます。

相続人調査は丁寧に行いましょう。
なぜなら、被相続人の相続人を調査して確定する作業を怠ったまま、一部の相続人だけで遺産分割協議をしても無効となってしまいますし、相続人の数は、相続税の計算に大きな影響を与えるからです。

具体的な作業としては、相続人の範囲と順位を確認した後、戸籍を取得して読み解くことを繰り返します。詳しいやり方は相続人調査とは?正しく戸籍を揃える方法・専門家に依頼すべき基準もに記載してありますのでご覧ください。

相続人調査の進め方

9-7.故人の財産調査をする

故人の財産調査を行います。

財産調査とは、故人の遺産はどれくらいあるか、調べることです。
遺産には、預貯金や不動産のようなプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

故人の遺産を漏れなく調査し、把握することは容易ではありませんが、遺産の範囲が確定できなければ遺産分割を進めることはできません。財産調査は念入りに行う必要があります。

財産調査の詳しいやり方は、相続財産調査とは?自分で漏れなく行う方法・専門家に依頼する基準も紹介をご覧ください。

【主な財産の種類と調査方法】

財産の種類調査方法
預貯金・金融機関の通帳・キャッシュカードがないか調べる
・思い当たる銀行等に問い合わせる
不動産・登記情報通知書、固定資産税納税通知書・課税明細書など不動産に関する資料が自宅にないか探す
・思い当たる市区町村ごとに名寄帳を取得する
上場株式・国際・投資信託・証券会社、信託銀行などの金融機関の取引明細書や年間取引報告書がないか確認する
・株主総会に関する連絡などの郵便物がないか確認する
・株式会社証券保管振替機構に登録済加入者情報の開示請求を行う
借金・債務・自宅に借用書や借入残高を示す書類などがないか確認する
・消費税金融などからの郵便物がないか確認する
・税金・健康保険料等の未納がないか確認する
・通帳上に借入や弁済の履歴がないか確認する
・全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)に対して所定の書式と必要資料と手数料をお支払いの上、問い合わせる

※デジタル資産にも注意が必要

近年、ネット銀行やネット証券会社の利用も多くなっているので、紙ベースでの調査には限界があります。故人が利用していたスマホやパソコンで利用の有無を確認し、利用していたようであれば、それぞれの金融機関に問い合わせるなど、デジタル資産にも注意が必要です。

※マイナスの財産が多く出てきた場合は、相続放棄・限定承認を検討

マイナスの財産である「借金・債務」が出てきた場合、相続人単独で財産のすべてを承継しない「相続放棄」やプラスの財産と同じ金額分だけ借金を相続する「限定承認」の検討をしましょう。

相続放棄・限定承認ともに相続開始から3カ月以内に家庭裁判所への申し立てが必要です。

■詳細はこちら
 相続放棄の期間は3ヶ月!期限を過ぎた時の対処法や期間伸長の申立を解説!

9-8.遺産分割協議を開始する

遺産分割協議を開始します。

遺産分割協議とは、法定相続人全員が参加して行う、誰がどの財産をどのようにもらうかを決める話し合いです。参加することが難しい法定相続人がいた場合は、後見人などの代理人を立てて遺産分割協議を行う必要があります。

遺言書がある場合は、一般的には故人の遺志を尊重し、遺言通りに遺産を分割することになりますが、遺言書がない場合、相続人での話し合いにより遺産の分割を決めます。

遺産分割協議の具体的な流れについては、遺産分割協議の流れをご覧ください。

※もめてしまったら、調停・審判へ

「遺産分割協議」で遺産の分割方法が決まらなかった場合には、家庭裁判所に「調停」を申し立てて解決に向けての話し合いをします。

調停でも遺産分割方法が決まらない場合は、自動的に審判手続きが開始され、裁判官による「審判」が行われます。裁判官が資料や証拠を調べ、必要であれば事情聴取を行い、最終的に遺産分割の方法を決定します。

9-9.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で相続人全員が合意した内容をまとめた書類です。
遺産分割協議には相続人全員の参加が必要で、話し合いによって遺産分割の方法と相続の割合を決めます。遺産分割協議によって相続人全員の合意が得られたら、その内容をまとめた分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の書式は決まっていませんが、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。
また、印鑑証明書も添付し、相続人全員が同じものを1通ずつ所持します。

なお、遺産分割協議書を作成した後、相続人単独でその内容を変更することはできません。
変更するには相続人全員の合意が必要になるなど、時間も手間もかかります。

遺産分割協議書は慎重に内容を検討して、合意した上で作成する必要があります。

詳細は遺産分割協議書とは?雛形付き作成方法も徹底解説!をご覧ください。

遺産分割協議書 全体 基本 

■辻・本郷 税理士法人が作成

9-10.預貯金・不動産の名義変更手続きをする

預貯金・不動産の名義変更手続きを行います。

故人から受け継いだ相続財産は、「その財産の持ち主が変わった」ということを登録する必要があります。

【主な名義変更が必要な財産と手続き場所】

不動産法務局(相続登記)
預貯金銀行などの金融機関
株式などの金融商品証券会社などの金融機関
自動車陸運局

特に不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月に義務化されました。
相続人が不動産を相続したとき(遺産分割があった場合には遺産分割成立の日)から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく、名義変更を怠った場合には10万円以下の過料に処されます。

また、相続登記を行わないと、不動産を売買できない、相続した土地に家を新築することができない、将来的に権利関係が煩雑になるなどのデメリットが生じます。

相続登記の手続きを自分で行うことに不安がある場合は、司法書士に相談することをおすすめします。
司法書士は10万円前後の報酬で、相続登記を代行してくれます。

【相続登記の手続き】

期限相続人が不動産を相続したとき(遺産分割があった場合には遺産分割成立の日)から3年以内
申請先法務局(窓口・郵送・オンライン)
費用・登録免許税:固定資産税評価額の4/1,000
  ex)固定資産税評価額5,000万円の場合20万円
・証明書類の取得費用:1,500円程度
・司法書士への報酬:10万円程度
必要書類・新しい名義人の住民票
・新しい名義人の印鑑証明書
・死亡した人の(出生まで遡った)戸籍・除籍・改正原戸籍
・死亡した人の住民票除票(または戸籍の附表)
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産の登記事項証明書
・遺言書もしくは遺産分割協議書
・相続関係説明図
・法定相続情報一覧図

9-11.高額療養費を請求する

故人が生前、入院や手術などにより高額の医療費を支払っていた場合は、高額療養費を請求します

高額療養費とは同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
(入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。)

ご自身が加入している公的医療保険に、高額療養費の支給申請書を提出、また郵送することで、支給が受けられます。病院などの領収書の添付を求められる場合もあります。

申請期間はお亡くなりになった日から2年間ですが、死後に受け取る高額療養費は相続税の対象となるため、このタイミングで請求することをおすすめします。

全国健康保険協会HP『健康保険高額療養費支給申請書』より引用


10.死亡日から3ヶ月以内に行う手続き

死亡日から3ヶ月以内には次のような手続きが必要になります。

10-1.相続放棄・限定承認の申立て

故人に多額の借金があった場合などは、相続放棄・限定承認の申し立てを行います

相続放棄とは、相続人として遺産を相続する権利を放棄することです。
相続放棄をすると、被相続人が抱えていた借金等の返済義務を負う必要がなくなります。詳細は、相続放棄とは|選択すべきケース、自分で手続きを行う時の流れを解説をご覧ください。

一方で、限定承認とはプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も引き継ぐことです。
限定承認を選択すると、「プラスの財産>マイナスの財産」の場合はすべての財産を引き継ぎ、「プラスの財産<マイナスの財産」の場合はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことができます。詳細は、相続の限定承認とは|相続放棄と限定承認どちらを選ぶべきかも解説をご覧ください。

相続放棄限定承認
期限自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内
申請先被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
費用・収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手(値段は申し立てする家庭裁判所へ確認)
必要書類・相続放棄の申述書
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・申述人の戸籍謄本
・被相続人の戸籍謄本
・その他血縁者の戸籍謄本(該当する申述人のみ)
・限定承認の申述書
・当事者目録
・土地遺産目録
・現金・預貯金・株式等遺産目録
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・申述人全員の戸籍謄本

※追加で書類が必要になるケースもあり


11.死亡後4ヶ月以内に行う手続き

死亡日から4ヶ月以内には次のような手続きが必要になります。

11-1.所得税の準確定申告をする

所得税の準確定申告をします。

準確定申告とは、亡くなった人がしなければならない確定申告を、相続人が代わりに行うことです。
全員が行う必要がある手続きではありません。準確定申告を行う必要がある人は、主に以下の通りです。

【準確定申告を行う必要がある主な人】

  • 事業所得や不動産所得がある人
  • 2,000万円を超える給与所得がある人
  • 複数からの給与所得がある人
  • 給与・退職所得・公的年金による雑所得以外の所得が20万円を超える人
  • 公的年金等による収入が400万円を超える人
  • 生命保険の満期金や一時金を受け取った人
  • 土地や建物を売却した人
  • 株式などを売却して源泉徴収されていない人
  • (任意)年末調整が行われていない場合
  • (任意)医療費控除を受けられる場合
  • (任意)配偶者控除・扶養控除・寄付金控除を受ける場合など

(任意)と記載した項目は、確定申告を行わなくても大丈夫ですが、税金が還付される可能性が高いので、行うことをおすすめします。

■詳しくは準確定申告が不要になる主な3つのケースをご覧ください。

準確定申告は期限を過ぎると延滞税、加算税等の罰金を支払うことになる可能性があります。
期限は必ず守りましょう。

また、自分で行うことが難しいと感じた場合は、税理士に依頼すると代行してくれます。
詳しくは準確定申告とは「亡くなった方の確定申告」をご覧ください。

11-2.自賠責保険の支払い請求をする

自賠責保険の請求をします。

交通事故死の場合、自賠責保険の請求をすると、支払いを受けることができます。
通常、自賠責保険は加害者が保険会社に請求しますが、被害者の遺族などが加害者の保険会社に請求することもできます。

期限死亡した日から3年以内
(被害者から加害者の自賠責保険に請求する場合)
必要書類・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
・医師の診断書または死亡診断書(死体検案書)
・印鑑証明書
・実印
・(加害者が請求するときには)被害者に支払った賠償金の領収書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・休業損害証明書
・(示談成立の場合、加害者は)示談書

■自賠責保険の支払いに関する詳細は、自賠責保険・共済ポータルサイト『自賠責保険(共済金)支払までの流れ』をご確認ください。


12.死亡後10ヶ月以内に行う手続き

死亡日から10ヶ月以内には次のような手続きが必要になります。

12-1.相続税の申告をする

相続税申告をします。

相続税申告は全員が行う手続きではありません。
被相続人から相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計金額」が、遺産に係る基礎控除額を超える場合に、その財産を取得した人が行う手続きです。
なお、遺産に係る基礎控除額とは、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。

また、相続税申告は時間的にも精神的にも負担の多い手続きですので、ご自身で行わず、税理士に依頼することをおすすめします。実際に8割以上の方が税理士に依頼しています。

詳しくは相続税申告は税理士に依頼すべき?その理由と選び方・費用を徹底解説をご覧ください。

期限相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内
申告する必要がある人被相続人から相続などによって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計金額」が、遺産に係る基礎控除額を超える場合に、その財産を取得した人
申告先被相続人の住所地を管轄する税務署
必要書類相続税申告の必要書類一覧

相続税申告が必要かどうか判定したい方は、以下のフローチャートをご活用ください。

■フローチャートの詳細はこちらの記事をご覧ください。
 相続税申告が不要になる3つのケース


13.死亡日から1年以内に行う手続き

死亡日から1年以内に行う必要のある手続きは以下の通りです。

13-1.一周忌法要をする

一周忌法要を行います。

一周忌法要とは、亡くなってから1年目の命日に行われる法要です。
遺族や親族、友人、知人など故人と親しかった人が参列し、僧侶の読経の後、焼香・食事をするのが一般的です。

命日が平日にあたっている場合など、日にちをずらして行うことができます。
ただし、日にちをずらす際は、命日より前倒しにずらすのがならわしです。

一周忌法要の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 僧侶入場
  2. 施主の挨拶
  3. 僧侶による読経
  4. 焼香
  5. 僧侶による法話
  6. 僧侶退場
  7. 施主の挨拶
  8. 食事(お斎)

13-2.遺留分侵害額請求の手続きをする

遺留分を侵害された場合は、遺留分侵害額請求の手続きを行います

遺留分とは、配偶者と子どもなどの直系卑属、親や祖父母などの直系尊属にあたる相続人が、最低限相続できる権利および割合を定めたものです。

遺留分が侵害されていれば、遺留分を侵害している人に対して遺留分侵害額請求を行い、遺留分を取り戻すことができます。詳しくは遺産相続の遺留分とは|法定相続人に保証されている最低限の相続分をご覧ください。

【相続人に「配偶者がいる」場合の遺留分の割合】

相続人の組み合わせ相続人遺留分
配偶者のみ配偶者1/2
配偶者と子供配偶者1/4
子供1/4
配偶者と父母配偶者1/3
父母(祖父母)1/6
配偶者と兄弟姉妹配偶者1/2
兄弟姉妹なし

【相続人に「配偶者がいない」場合の遺留分の割合】

相続人の組み合わせ相続人遺留分
子供のみ子供1/2
父母(祖父母)のみ父母(祖父母)1/3
兄弟姉妹のみ兄弟姉妹なし
遺留分侵害額請求ができる人
  • 配偶者
  • 子供・孫などの直系卑属
  • 親・祖父母などの直系尊属

※兄弟姉妹には、遺留分を請求する権利はありません。

遺留分侵害額請求を行う場所相手方の住所地の家庭裁判所
または当事者が合意で定める家庭裁判所
(検索はこちら:裁判所の管轄区域

13-3.児童扶養手当の申請をする

支給対象に該当する場合は、児童扶養手当を申請します
児童扶養手当の月額は44,140円(児童1人当たり、全部支給の場合)です。

支給対象

以下のどちらかに当てはまる父子家庭の父親、もしくは母子家庭の母親、父母に代わって自動を養育する者(祖父母など)

・18歳に達する日以後最初の3月31日までの児童を監護する
・20歳未満、かつ政令で定める程度の障害がある児童を監護している

申請場所最寄りの市区町村役場
(担当の課は福祉課、または子育て支援課など自治体により異なる)
必要書類・児童扶養手当認定請求書(市区町村役場の窓口にも用意がある)
・申請者と児童それぞれの戸籍謄本の原本
・申請者名義の預金通帳
・印鑑(認印)
・申請者と児童それぞれのマイナンバー確認書類
・申請者の本人確認書類

13-4.復氏届を提出する

復氏届を提出します。

復氏届とは、配偶者に先立たれたあと、結婚前の旧姓に戻すために提出する書類です。

復氏届に提出期限はありませんが、提出する意思がある場合は、相続手続きがひと段落するこのタイミングで提出することをおすすめします。

復氏届を提出すると、配偶者の戸籍から抜けて旧姓に戻ります。
ただし復氏届は、あくまでも姓を変更するだけで、配偶者と離婚したことにはなりません。そのため、復氏届を提出しても、配偶者の遺族年金の受給権や遺産の相続権はなくなりません。

また、配偶者の家族(義父母や配偶者の兄弟姉妹)との家族関係は変わらず、扶養義務も残ります
死亡した配偶者の家族との姻族関係を解消したい場合は、「婚姻関係終了届」を提出する必要があります。

【復氏届の提出手続き】

提出期限なし
提出場所住所地または本籍地の市区町村役場
必要書類・復氏届(各自治体の窓口・HPから入手可能)
・届出人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
・届出人の印鑑

13-5.子の氏の変更許可申立書を提出する

必要があれば、子の氏の変更許可申立書を提出します

子の氏の変更許可申立書に提出期限はありませんが、提出する意思がある場合は、相続手続きがひと段落するこのタイミングで提出することをおすすめします。

配偶者が死亡した際、復氏届を提出すると、その故人の配偶者は結婚前の姓に戻ることができます。しかし、復氏届だけでは、配偶者との間に生まれた子供の姓や戸籍は変わりません。
子供の姓を親と同じにし、同じ戸籍に入れたい場合に必要なのが子の氏の変更許可申立書を提出です。
家庭裁判所から許可が下りると、「許可審判書」が郵送されるので、それを添付して子供(または法定代理人)の本籍地または住所地の役場に「入籍届」を提出する必要があります。

【子の氏の変更許可の手続き】

申立期限なし
申立先子の住所地の家庭裁判所
申立ができる人子供が15歳以上であるなら本人
15歳未満であるなら法定代理人(通常は親)
申立てに必要な費用収入印紙800円分
連絡用の郵便切手
必要書類子の氏の変更許可申立書
・子供の戸籍謄本(全部事項証明書)
・父・母の戸籍謄本(全部時効証明書)

※審理のために必要な場合は、追加書類の提出が必要になることがある。

■子の氏の変更許可申立書について詳しく知りたい方は、家庭裁判所HP『氏の変更許可』をご覧ください。

13-6.姻族関係終了届を提出する

必要があれば、姻族関係終了届を提出します

姻族関係終了届に提出期限はありませんが、提出する意思がある場合は、相続手続きがひと段落するこのタイミングで提出することをおすすめします。

姻族関係終了届とは、配偶者が亡くなったあと、配偶者の親族との関係を法律的に解消する届出です。

配偶者が亡くなった場合、夫婦の婚姻関係は終了しますが、配偶者の血族との姻族関係は終わりません。配偶者の死亡後、姻族関係の解消を望むなら、姻族関係終了届によって意思表示する必要があります。

「死後離婚」とも呼ばれ、姻族関係終了届を提出することで、義理の両親の介護や扶養義務・互助義務を終了することができます。

また、姻族関係終了届で終了するのは、あくまでも姻族関係だけです。
配偶者と姻族関係にあった事実は変わらないので、遺族年金や相続権の受給資格に影響はありません。
姻族関係終了届を提出しても、遺族年金を受給したり相続財産を受け取ったりすることは可能です。

詳しくは姻族関係終了届とは?メリット・デメリットを分かりやすく解説をご覧ください。

【姻族関係終了届の提出方法】

提出期限なし
提出先本籍地、または住所地の市区町村役場
提出できる人生存している配偶者だけ
(事実婚の夫婦は利用できない)
必要書類・姻族関係終了届(市区町村役場の窓口・HPで入手可能)
・戸籍謄本(全部事項証明書)
・印鑑(または認印)
・身分証明書

14.まとめ

死亡当日から1年後までの行動リストを紹介してまいりました。

手続きの全体像を把握することで、計画的に準備を進めることができます。
また、手続きに追われ続ける心理的な負担を減らす効果もあるでしょう。

本記事が死亡後の手続きを行っているみなさんの一助となれば幸いです。

辻・本郷 税理士法人の相続税申告サービス
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