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ミャンマーの法人税の申告について(ミャンマー事務所)

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  • 税務・会計

ミャンマーの法人税の申告期限は12月末です。
今回は、ミャンマーでの法人税の申告方法について解説します。

全社一律の会計期間

ミャンマーの法人税申告

ミャンマー内国歳入局が2019年5月28日付で発した通達(以下「本通達」)により、会計年度が変更となりました。

従来はミャンマー国内で事業を行う全ての納税者の会計年度は、4月1日から翌年3月31日でしたが、本通達により2019年4月1日から2019年9月30日の移行年度を経て、10月1日から翌年9月30日へと変更されました。

ちなみに、ミャンマーにおける財政年度や国営企業および金融機関等の会計年度は、2018年4月から2018年9月の事業年度を移行期として既に変更されており、海外直接投資の金額等の公的な数値もこれに従って集計されています。

法人税の申告期限は会計年度末から3カ月以内の12月31日ですが、実務的には12月31日および1月1日が祝日のため、毎年1月2日が申告期限となります。
ただし、2020年9月期については、1月2日が土曜日で週明け月曜日の1月4日が独立記念日による祝日のため、1月5日が申告期限となります。

なお、キャピタルゲインについては他の所得と区別され、キャピタルゲインの発生後1カ月以内に申告をすることとされています。

申告先

税務署は、Large Tax payer Office(LTO)、Medium Tax payer Office(MTO)、Township officeに分かれており、法人税の申告および納税はLTOもしくはMTOとなります。
MTOはMTO1~MTO3までの3つに分かれ、税務当局は各企業の売上規模に応じて、LTO、MTO1、MTO2、MTO3の順番で対象企業の管轄を割り振ります。

四半期納税の概要と納税方法

期中段階で、四半期ごとに年度の課税所得見込み額に基づいて計算した税額を分割納付し、年度末の確定申告の際に年税額との差額を確定納付額として納付します。

なお、OAS(Office Assessment System)の下では、税務官による査定により最終税額が当初申告額から増額となった場合には、確定納付額として納付した金額の10%相当額のペナルティが課されました。
SAS(Self Assessment System)に移行後は、納税者が税額を自ら確定させて納付するため、税務調査がない限りは、そのような事態は起こらないものと考えられます。
※OAS、SASについては後述します。

提出書類

申告の際、税務当局には下記の書類を提出します。
(ア) 法人税申告書および指定された明細書
(イ) 貸借対照表
(ウ) 損益計算書
(エ) キャッシュフロー計算書
(オ) 株主持分変動計算書
(カ) 財務諸表の注記

なお、税務申告用の財務諸表については、チャット建てまたはUSD建てのいずれの表示も認められています。USD建てで財務諸表を作成する場合には、計算された税額について、ミャンマーチャットに換算したうえで申告します。
その他、企業を所管する税務署および担当税務官によっては、監査済財務諸表の添付を要求される場合もあります。

帳簿の保存期間

2019年6月に施行されたTax Administration Lawによると、取引日から7年間の帳簿の保存期間が定められています。
また、同法によると、課税当局は事業年度終了の日の翌日から6年を経過する日までの間であれば、調査を行うことができるとされ、当初申告が納税者による意図的な過失によるものである場合には、事業年度終了の日の翌日から12年を経過する日まで、調査を行うことができるとされています。

日系企業の駐在員の皆様は2~3年で交代されることが多いかと思われますので、後任の方のためにも、丁寧に記録を取っておくことが重要になるでしょう。

税額確定までの流れ

2020年10月から開始される事業年度から、SAS(Self Assessment System)といういわゆる自主申告制度が導入されました。

従来、ミャンマーではOAS(Office Assessment System)と呼ばれる実質的な賦課課税制度が採られていたため、税務調査の必要性がなく、税務署から各年度の税額確定通知を発することで一連の税務プロセスが終了していました。
この税務プロセスの期間が長いことや、税額決定の根拠が不明確であること等が外資系企業の悩みの種で、自主申告制度への移行は日系企業をはじめとする多くの外資系企業が待ち望んでいたものです。それぞれの概要は以下の通りです。

1. OAS(Office Assessment System)

いわゆる賦課課税方式です。納税者は事業年度終了後3カ月以内に申告書の提出をしますが、これは所得や税額計算用の基礎資料にすぎません。
各企業の担当税務官は、提出された資料をもとに企業担当者等に質問をしたり、追加資料の提出を受けたりして総合的に検討をしたうえで、当局が正しいと認定する所得金額および納税額を納税者に対して通知し、この通知をもって納税すべき税額を確定します。

2. SAS(Self Assessment System)

日本の法人税などで採用されている申告制度と同じく、納税者による申告によって税額が確定する制度です。
課税当局が申告内容をおかしいと考えた場合には、税務調査等を通じ申告所得または税額計算の誤りを課税当局側で立証する必要があります。ただし、このような処分に関するプロセスについての詳細はミャンマーでは未定です。

税務調査で指摘されるとペナルティも発生しますので、正確な記帳と申告が必要です。

(執筆担当:ミャンマー会計事務所 平井 琢磨)

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