辻・本郷 税理士法人

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スキャナ保存制度の見直し

  • 国税・地方税

1. 概要

納税者の国税関係書類の保存に係るコスト削減等を図る観点から、スキャナ保存制度の要件が緩和されます。

2. 内容

(1)対象書類の見直し
スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(現行3万円未満)が廃止されます。これにより、3万円以上の契約書及び領収書についてもスキャナ保存が可能になります。
ただし、重要書類(契約書・領収書等をいいます。)については、適正事務処理要件(※)を満たしていることが条件となります。

※適正事務処理要件:
内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規定等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していること。

(2)業務処理後に保存を行う場合の要件の見直し
重要書類について、業務処理後にスキャナ保存を行う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件が廃止されます。

(3)電子署名要件の見直し
入力者等の電子署名が不要となります。
ただし、タイムスタンプを付するとともに、入力者等に関する情報を保存する必要があります。

(4)大きさ情報・カラー保存要件の見直し
重要書類以外の書類について、大きさ情報の保存が不要となり、カラーでの保存も不要(白黒でも可)となります。

(5)適用時期
平成27年9月30日以後にスキャナ保存の承認申請書を提出した場合に適用されます。

3. 考察

今回の改正によって、上記の通り様々な要件が緩和されます。特に契約書と領収書の3万円未満の金額基準が廃止され、全ての契約書と領収書がスキャナ保存対象になるのはメリットとして大きいのではないでしょうか。
その一方で、タイムスタンプは改正後においても引き続き必要となります。タイムスタンプとは、電子文書が作成された時刻と、その電子文書の内容が改ざんされていないことを証明するものをいいます。タイムスタンプを使用するには専用のシステムを導入する必要があり、タイムスタンプを発行する認定事業者に対して料金も発生します。従って、改正後においてもスキャナ保存の導入をするには手間もコストもかかり、まだハードルが高いように思われます。
また、書類が大量にある場合、スキャンする手間も決して少なくないと思います。
スキャナ保存を導入しようとする場合には、以上のような手間やコスト等を現状のものと十分に比較検討した上で決定する必要があるでしょう。

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