辻・本郷 税理士法人
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【平成28年度 税制改正大綱】事業者にとっての軽減税率とインボイス方式導入の問題点

  • 消費税

1.概要

平成28年度の税制改正大綱が発表され、消費税に軽減税率とインボイス方式が導入される事がほぼ確定しました。
セットであるが故に混同されやすいこれらの論点について、事業者側から見た場合の問題点を整理します。

2.軽減税率 (平成29年4月~)

一部の品目は8%のまま維持されるため、対象品目を売買している事業者にとっては税額に大きな影響があります。
一方、対象品目の取引がほとんどない業種については税額への大きな影響はありません。

3.インボイス方式 (平成33年4月~)

正しくは「適格請求書等保存方式」と定義されています。
軽減税率対象品目を取り扱っていない事業者も含めて、すべての事業者に非常に大きな影響があります。

(1)適格請求書への対応の必要性 -多くの事業者にとって必須になる登録手続き-

最も重要なポイントは、完全なインボイス方式の下では、原則として「適格請求書発行事業者」として登録済みの事業者から交付された「適格請求書類(インボイス)」がなければ、仕入税額控除を受ける事ができない、という点です。
支払事業者側から見ると、同じ仕事を依頼して同じ金額を支払ったとしても、未登録事業者への支払いについては、仕入税額控除の対象とならないため、登録済み事業者への支払いに比べて多くの消費税負担が生じる形になります。
加えて、適格請求書類を交付できない事業者であるという事自体が、その事業者の信用力の低さと認識されかねません。
結果的に、未登録事業者への仕事の発注が減少し、取引全体から排除される可能性があります。
これは未登録事業者側から見ると、現状に比べて売上が大きく減少するリスクを負う事を意味します。

そのため、国内事業者向けの売上を考慮する必要のある大多数の事業者にとって、登録申請を行い、適格請求書類を交付する事はほぼ必須の作業となります。(適格請求書発行事業者登録は平成31年4月1日から申請が始まります。)
なお、未登録の事業者が適格請求書に似た様式の請求書類を交付した場合には罰則の対象となります。

その他の問題点
・交付する請求書類に記載する事項が増える。様式変更を含めた発行システム等の出費・事務負担の増加。
・支払相手の請求書類についても適格請求書類である旨を確認する必要がある。経理の事務負担の増加。

(2)免税事業者にとって深刻な問題 -消費税を納めるか、売上減少リスクを甘受するか-

適格請求書発行事業者として登録をした事業者については、翌課税期間以降、登録を維持している間は免税事業者となる事ができません。つまり適格請求書を交付するには、事実上、課税事業者となる事を強制される、という事です。
その場合には当然ながら、従来は無かった消費税の負担が発生します。得意先に対する立場が弱く、消費税負担が重くなりやすい中小零細事業者が多い免税事業者にとって、事業者相手の売上を維持するために登録を行い消費税を負担するか、事業者相手の売上が減少するリスクを理解した上で登録せずに免税事業者を維持するかは、極めて深刻な問題です。

(3)今後の展望 -インボイス方式導入までの状況は流動的-

上記のような問題を先送りするために、インボイス方式の導入は平成33年4月からとされ、平成29年4月~平成33年3月の間はインボイス方式への繋ぎとなる簡素な経理方式として「区分請求書等保存方式」が採用されます。また、インボイス方式の導入後も、免税事業者への支払いに係る仕入税額控除額については3年ごとにその控除額を段階的に制限していく形となっています。
そのため、日本で完全なインボイス方式が導入されるのは、早くとも平成39年4月以降になる見込みです。

今回の大綱では、「軽減税率導入後3年以内を目処に、インボイス方式の導入に係る事業者の準備状況その他を検証し、必要と認められるときは、法制上の措置その他必要な措置を講ずる」旨も記載されており、追加の経過措置等が導入される可能性も残されています。

※参考

自民党HP 平成28年度版 税制改正大綱

https://www.jimin.jp/news/policy/131061.html

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